【レポート】扇ひろ子の活動55周年コ
ンサートに園まり・佐々木新一ら豪華
ゲスト集結「心から感謝を申し上げた
い」

4月26日、都内ホテルにて、歌手の扇ひろ子が活動55周年を締めくくるコンサートを開催した。

1964年にデビューし、「哀愁海峡」(1965年)や「新宿ブルース」(1967年)などのヒットに、映画女優としての活躍と、輝かしい実績を持つ扇ひろ子。2000年代に入ってからもコンスタントに新曲を発表し、精力的に活動を続けている。豪華ゲストも駆けつける55周年記念コンサートは、本来は昨年予定されていたもののコロナ禍により延期されこの日の開催となった。会場では検温にアルコール消毒、テーブルの上には席ごとにアクリルパネルが設置され、公演は夜8時までといった徹底的な対策が取られた。

オープニングでは、扇の子供の頃から現在までの軌跡をまとめた映像がスクリーンに映し出され、ファンを喜ばせた。8人編成のバンドによる、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の劇中歌「踊り明かそう」のインストゥルメンタルが始まり、会場の後方から扇が登場すると大きな拍子が起こった。笑顔で客席を練り歩き、ステージに上がると「皆様こんばんは。扇ひろ子でございます」と挨拶。「本日は緊急事態宣言の中、本当に命がけで、親戚でも身内でもないのに、こんなにお越しいただきましたことに、心から、感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。今日は日頃の色々なことを忘れて、笑顔で過ごしていただければと思います」という扇に、再び大きく温かい拍手が贈られた。
1曲目は、扇の「レッツゴー!」というかけ声から、1936年に藤山一郎が歌った、古賀メロディの代表曲「東京ラプソディ」で軽快にスタート。コロナ感染対策のため、客席では歌うことができないが、ペンライトを振って楽しむファンの姿も多く見られた。続いて、扇の2000年代のオリジナル曲のメドレー。「♪季節はもう 春なのに 私の心は 冬のまま」と、今の季節に似合う「涙色のタンゴ」、むせび泣くようなサックスのイントロにも引き込まれる「酔いどれほたる」、45周年記念シングルのカップリング曲「越前海岸」と、名曲の連続に、客席も熱くなる。
「シャンソンが大好きで、本当はシャンソンを歌わせていただきたかったのですが、気が付いたらデビューが『赤い椿の三度笠』になっていました(笑)。私の尊敬する越路吹雪さんの歌を2曲お届けしたいと思います」とのトークから、「愛の讃歌」と続く。イントロで姿を消し、スパンコールが輝くセクシーな衣装で再び現れた扇に、どよめきが起こる。「ろくでなし」では、軽やかにステージ上を歩きながら歌い、ファンを魅了した。
パワフルな歌声を聴かた後に、「息が切れてしまいます。76歳と2ヶ月なものですから……」というトークでも会場を和ませる。ここで、「4月21日にコロムビアから発売されました」と最新曲「My Valentine~2月14日に生まれて~」が紹介される。「今まで、演歌や任侠ものが多かったのですが、こういった語りの歌というのは初めての経験です。作詞家の美樹克彦さん、作曲家のKOSEIさんにとても素敵な作品をいただきました」と語りからの、ステージでの初披露となった。トロンボーンが効いたイントロも美しい、「マイ・ウェイ」を彷彿とさせる壮大なバラードである。最後の、「♪運命を楽しんで 人生を楽しんで」という歌詞を、客席に語りかけるように歌う扇。歌い終えると、ひときわ長い拍手が続いた。
佐々木新一

ここで、扇に縁の深い歌手がゲストとして登場。トップバッターは、1966年に「あの娘たずねて」でミリオンヒットを記録した、佐々木新一。「どうも、おばんです」と言って会場を見渡すと、どっと笑いが起こる。「あの娘たずねて」を、ハリのある高音で見事に歌い上げた。
小松みどり

扇の「新宿ブルース」が大ヒットした1967年にデビューした小松みどりは、流山や春日部などの各地の地名が登場する「はしご酒」に、手を振る仕草が色っぽいアップテンポの「華であれ」で盛り上げる。
ロイ白川・黒木美帆

全日本芸能協会の理事長で、栃木を中心DJや歌手、音楽プロデューサー活動を行う、栃木県民的スター・ロイ白川は、「冬子」に、ロイ白川・黒木美帆のデュエットによる「愛の星」を披露。ムード溢れる歌声を聴かせた。
美貴じゅん子

1997年に『第7回 NHK新人歌謡コンテスト』優勝賞を受賞した実力派・美貴じゅん子は、最新曲「土下座」を歌唱。「お祝いの席で歌わせてもらうには、どうかな、と思うタイトルです」という曲紹介では笑いが起こる。「♪愛する人に土下座したことありますか」という歌い出しが印象的な、ドラマチックな曲である。
真木洋介

広島が生んだ反戦歌「一本の鉛筆」を、ニューヨークや日本各地で広める活動を続ける真木洋介の「一本の鉛筆」を聴けるのも貴重だ。真木が続けて、映画音楽「慕情」を甘い歌声で朗々と歌い上げると、「ブラボー!」という歓声が起こった。
園まり

ゲストコーナーのトリを飾るのは、1966年に「逢いたくて逢いたくて」が大ヒットし、国民的スターとなった、園まり。1967年に「新宿ブルース」を発売した扇とは、当時から歌番組で一緒になることが多かったのだそう。それからプライベートでも自宅に訪れるほどの仲になったという。園は、昨年8月に足を骨折して手術した時を振り返り、「ひろ子さんに言ったら励ましていただいて。そういう寂しい時に、ひろ子さんは常に電話で私を励ましてくださって、そのことは絶対に忘れません。そういう人に私もなりたいです」と語った。「このさなか、歌、音楽は本当に素晴らしいと、私どもも感じております。私もひろ子さんと共に、声が続く限り、寿命がある限り、車いすであろうが何であろうと、歌を歌える時は、皆様にぜひ色々なことをお伝えしたいと思っております」と園。「逢いたくて逢いたくて」を可憐な歌声で聴かせると、「まりちゃーん!!」という男性客の声が方々で響いた。
後半は、扇が和服姿で登場。「昭和も遠くなりました」という語りから始まり、一気に歌の世界に引き込む「華の女道」に、デビュー翌年の1965年のヒット曲「哀愁海峡」と続く。「次は色っぽい歌を」という紹介からの「深川美人」は、イントロでうちわを片手に舞う姿が艶っぽく、「♪後ろ姿が気にかかる」というフレーズで、後ろ姿を見せるのも粋である。ここで、扇の真骨頂のひとつともいえる、任侠ものの「仁義」と、扇の様々な魅力が存分に堪能できる構成だ。
終盤は、扇が「自分の身にズンと突き刺さる良い作品」だという「おんな流れ花」を披露。「今まで、何十回も記念ディナーショーをやらせていただきましたけれども、今回ほど大変な思いをお客様にさせてしまったことは初めてでございますし、私も一番気になりましたけれども、皆様に感謝の言葉しか見つかっておりません」と感謝を伝える扇。「私は『新宿ブルース』があって、ここまで歌ってこられたのだなと、そう思っております。新曲『My Valentine~2月14日に生まれて~』のカップリングでは、『新宿ブルース』を、私の大好きな斉藤功さんのギターバージョンで、語りも入れて違う形で収録しています。聴いていただけますと幸せに思います」との紹介の後、「新宿ブルース」を熱唱。最後の「♪いつか一度を待ちましょう」の繰り返しの後は、特に歓声が大きく上がり、会場は熱気に包まれた。
アンコールでは、作詞家・美樹克彦もステージに上がるというサプライズ。美樹は歌手時代に、扇の「新宿ブルース」と同じ1967年3月発売の「花はおそかった」が大ヒット。美樹は当時について、「『新宿ブルース』が1位で、ずっと2位だったのが私なんです」「ライバルだった扇さんに、曲を書いてくれませんかと言われて(笑)」と振り返った。歌手生活の集大成ともいえる最新曲「My Valentine~2月14日に生まれて~」を、美樹の指揮により、扇が心のこもった歌唱で歌い上げた。扇の偉大な足跡と現在の活躍を生で感じられるとともに、現役のスター達のパワーあふれるパフォーマンスも感動的を呼ぶコンサートとなった。
取材・文:仲村 瞳
2021年4月21日(水)発売
COCA-17868 / 1,350円(税込)
[ 収録楽曲 ]
1. My Valentine ~2月14日に生まれて~
 作詩 美樹克彦 / 作曲 KOSEI / 編曲 小倉良
2. 新宿ブルース(ギター弾き語りバージョン)
3.My Valentine 〜2月14日に生まれて〜 (オリジナル・カラオケ)
4.新宿ブルース(ギター弾き語りバージョン) (オリジナル・カラオケ)
5.My Valentine 〜2月14日に生まれて〜 (半音下げカラオケ)
6.My Valentine 〜2月14日に生まれて〜 (2コーラスカラオケ)

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