「演劇界にとって明るいニュースに」
ミュージカル『レ・ミゼラブル』が開
幕!~ 初日囲み取材レポート

ミュージカル『レ・ミゼラブル』が2021年5月25日(火)、東京・帝国劇場にて開幕した。

本作はフランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーの小説を原作とし、1985年にロンドンで世界初演、日本で1987年に初演されて以降、熱狂的な支持を得ながら上演され続けてきた。そんなミュージカルの金字塔である本作の2021年公演の初日、開演前に劇場ロビーにて行われた囲み取材の模様をレポートする。
囲み取材には福井晶一、吉原光夫、佐藤隆紀、生田絵梨花、六角精児森公美子ら6名のキャストがカンパニーを代表して登場。プレビュー公演(2021年5月21日〜24日)の手応えと、本作に対する意気込みを順に語った。
まず、2013年からジャン・バルジャンを演じ続ける福井は、プレビュー公演について「作品を待っていてくれたお客様の圧を全身で感じました。カーテンコールでありったけの拍手をしていただいてその熱意が伝わって、作品の力も強く感じました」と述べ、さらに「みなさんそれぞれ苦しんできて、演劇界も苦しい時間が多かった中で『レ・ミゼラブル』がお客様を入れて公演できるということが、演劇界にとって明るいニュースだと思います。僕たちもいろんな想いがある中で、なるべく冷静にいつも通りにやるということに必死でした(笑)」と笑顔を見せた。
ジャン・バルジャン役の福井晶一
2021年公演で6度目のジャン・バルジャン役となる吉原は「また帰ってきたな、という感覚がすごくあります。去年はどうなってしまうんだろうと不安が渦巻いていたけれど、プレビュー公演を俯瞰して観たときに、変わらずに守られて温められて先に進んでいくものもあるんだな、と。そして舞台が開いていくということが日本の日常の中にあるんだな、とすごく安心しました」と感慨深げに述べた。続けてNHK連続テレビ小説『エール』(2020年)に出演したことによる変化を問われると「おふくろが家に来たときにサインを頼まれるようになったことくらいで、僕は変わらず日常を過ごさせていただいております」と笑いを誘った。
ジャン・バルジャン役の吉原光夫
2019年の前回公演から2度目のジャン・バルジャンを務める佐藤は「拍手の圧にすごく感動しました。本当に様々な想いでこの会場まで来てくださったと思うと、こちらも胸がギュウっとあたたかくなるような、本当にありがたい気持ちに包まれました」と観客への感謝の気持ちを述べた。続けて、コロナ禍で仕事がなくなったときのことを振り返り「僕たちは自身を見つめ直し、今こそ研鑽していつか進化したものをお届けしたいという想いで、自分に向き合ってきました。それが一つ実ったような充実感もありながら、この想いで千穐楽まで感染対策をしながら、安心安全な公演をお届けしたいと思っております」と力強く語った。
ジャン・バルジャン役の佐藤隆紀
2017年、2019年公演でコゼット役を務め、2021年公演で初のエポニーヌ役に挑戦する生田は「今まで開幕のときは緊張でフワフワした感じだったのですが、今年はすごく地に足を踏みしめている感じがしています。それはエポニーヌという役に力を借りているのかもしれないです。あとは、今目の前にある当たり前の光景がいつなくなってしまうかわからないからこそ、今できること一つひとつに集中して、魂を込めて舞台に臨んでいるからかもしれません」とこれまでの公演との違いに触れた。コゼット役からエポニーヌ役を演じることに対して葛藤を感じたことはないか問われると、「今までずっとコゼットっぽいと言っていただいて、それは本当に光栄なこと。ですが、そのイメージがある分、どんなエポができるのかという不安はありました。でも稽古場でキャストの方々が、私が役に臨む姿勢を見て、『エポもすごくいいね』と言ってくださったり、『最初からエポやってた?』という声を聞けるようになったんです。そのことで、私はこの方向でいいんだと進める勇気をもらえた感じがします」と新たな役への確かな手応えを語った。
エポニーヌ役の生田絵梨花
本公演から初参加となるテナルディエ役の六角は「新鮮でしたね、全てが。僕はプレビュー公演で初めて帝劇に立ったんですけど、この大劇場での拍手を体で受け止めたときに感動を味わいました。それと、人々が非日常のところに訪ねていって自分の心を動かすということが、決して不要不急ではない、生活の一部なんだということを強く感じました。人の心を動かすということに対して一つ役目を持っていることに、誇りも感じました」としみじみ感想を述べた。本作に出演することになった経緯について「ミュージカルを全く知らない自分が本格的なミュージカルの舞台に立ったときに、どういう風にミュージカルというものを捉えられるのかということを、体の中で確かめてみたい気持ちがあったんです。来月で59になるんですが、還暦を超えたらはたしてそんなことができるだろうかと考えたとき、頭も体もちょっとだけ融通が効くタイミングで思い切って挑戦しました」と胸の内を明かした。
テナルディエ役の六角精児
本作に出演し続け24年目となるマダム・テナルディエ役の森は「みなさんに飽きられないようにと、それだけを祈っております。役どころでマイナーチェンジがありますので、それでまた新しいマダム・テナルディエをお届けできればと思っているんですけれど、何しろ衣裳がパンパンで(笑)。コロナ禍で自炊が増えてしまったので、これだけがちょっとみなさんにご迷惑をかけているという状況です」と笑いを交えて語りつつ、「リハーサルの回数が前回よりもすごく少なくて、5分の1くらいしかなかったんです。全員が揃ってのお稽古もなかったのと、みんなマスクで稽古してきたから、本番になってマスクを取った途端に『あんた誰?』という状況。人の顔がわからない状態が続いておりましたので、舞台に入ってやっとご本人と対面するという感じでした」と感染対策を徹底した稽古の苦労を振り返った。
マダム・テナルディエ役の森公美子
(左から)生田絵梨花、森公美子
囲み取材の最後は、福井からの挨拶で締めくくられた。「いよいよ今日、『レ・ミゼラブル』2021年の公演がスタートします。このような状況の中で舞台に立てることを本当に嬉しく思います。まだまだ状況はすぐには良くならないと思いますが、明日舞台があるということで、私たちはその準備をしっかりしてそこに挑むだけです。地方公演も合わせて10月までと長い公演になりますけども、最後までなんとか完走できるよう頑張りたいと思いますので、ぜひ応援の程よろしくお願いいたします!」
(左から)六角精児、佐藤隆紀、福井晶一、吉原光夫、生田絵梨花、森公美子
東京公演は7月26日(月)まで東京・帝国劇場にて上演される。その後、8月4日(水)〜28日(土)まで福岡・博多座、9月6日(月)〜16日(木)まで大阪・フェスティバルホール、9月28日(火)〜10月4日(月)まで松本・まつもと市民芸術館にて上演予定だ。
歴史ある大作ミュージカルの開幕を祝いつつ、大千穐楽まで無事に完走できることを願ってやまない。
取材・文=松村蘭(らんねえ)

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