切れ味鋭いファンクブルースで
新時代を築いた
ジェームス・コットン・バンドの
『100%コットン』

『100% Cotton』(’74)/James Cotton Band

『100% Cotton』(’74)/James Cotton Band

本作がリリースされたのは1974年のこと。ロックは成熟し数々の名盤が生まれていたが、60年代後半や70年代初頭のようにあっと驚くような新鮮なサウンドは少なくなっていたように思う。そんな時に、切れ味鋭いファンクやシンコペーションの効いたブギで、ブルースファンだけでなくロックのリスナーをも虜にしたのが本作、ジェームス・コットン・バンドの『100%コットン』である。コットンはこのアルバムでブギやストンプといったリズムにファンクを掛け合わせたようなサウンドを提示しているのだが、それは本作にギターとアレンジで参加しているマット・マーフィーの仕掛けだと言ってもいいかもしれない。マーフィーは後に映画『ブルース・ブラザーズ』(日本公開は1981年)で俳優としてもいい味を出していた。ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが率いるブルース・ブラザーズの音楽の基本路線はまさしく本作の影響下にあり、その圧倒的な生命力は何年経とうが色褪せない魅力を放っている。

シカゴブルースの正統派後継者、
ジェームス・コットン

ミシシッピ州出身のジェームス・コットンは幼少期にマウスハープを始めている。師匠でもあるサニー・ボーイ・ウィリアムソンIIやハウリン・ウルフ
といった大物ブルースマンとプレイし、15歳の時にはサンレコードからソロアーティストとしてデビューしているのだから、かなりの早熟ぶりである。20歳の時にシカゴに移り住み、シカゴブルースの頂点に君臨するマディ・ウォーターズのサポートミュージシャンとして10年近く務める。いわば、コットンはシカゴブルースの正統を引き継ぐアーティストなのである。

ロックグループとの交流から
新たなサウンドを模索

1967年、コットンはジェームス・コットン・ブルース・バンドという白人ロックグループのようなグループを結成し、活動を開始する。当時、実際にコットンはグレイトフル・デッド、レッド・ツェッペリン、スティーブ・ミラー・バンド、サンタナ、ジャニス・ジョプリンなど多くのロックグループとも交流し、東西フィルモアやアルマディロ・ヘッドクォーターなどでも演奏している。こういった彼の音楽に対する貪欲さが、後になって大きな成果を生むのである。

コットンのグループがブルースロック的なサウンドを持っていたこともあって、黒人ブルースマンとしては異例の、フォークやサイケデリックロックが中心のレーベルとして知られるヴァーヴ・フォアキャストから、マイク・ブルームフィールドやバリー・ゴールドバーグといったゲスト(兼プロデュース)を迎えて『ザ・ジェームス・コットン・ブルース・バンド』(’67)をリリースする。翌年には、これまたフォークのレーベルであるヴァンガードレコードとソロ契約し、R&Bやジャズテイストのあるアルバム『カット・ユー・ルース!』(’68)をリリースするなど、この時期は実に精力的な活動をしている。

71年には大手キャピトルレコードと契約(グループ名義ではあるものの実質はソロ作である)、トッド・ラングレンのプロデュースで、デイブ・サンボーン、リッチー・ヘイワード(フラタニティ・オブ・マン〜デラニー&ボニー、後にリトル・フィート)、ジョエル・オブライエン(ジョー・ママ)、マイク・ブルームフィールド、ジョニー・ウィンター、マット・マーフィー、N.D・スマート(カンガルー〜グレート・スペクルド・バード、後にハングリー・チャック)ら、豪華なゲストを迎えて最もロック的なアルバム『テイキング・ケア・オブ・ビジネス』をリリースしている(ウッドストックのベアズヴィルスタジオで収録)。残念ながらこのアルバムは未だCD化されていないのだが、後にコットンがコーラスを重視すること(シカゴブルースではコーラスは普通しない)や、ライブでよく歌うラングレン作「グッドバイ・マイ・レイディ」が収録されていることなどから、コットンにとっては音楽的な転機とも言える重要な作品だとぼくは考えている。

OKMusic編集部

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