半世紀以上に及ぶ活動の中で
最高傑作のひとつに挙げられる
ロッド・スチュワートの
『ナイト・オン・ザ・タウン』

本作
『ナイト・オン・ザ・タウン』について

バックを務めるミュージシャンは前作よりも小振りになったものの、本作でも基本路線は変わっていない。LP時代は、A面がファストサイド、B面がスローサイドになっていた(前作はスローとファスト面が逆)。収録曲は全部で9曲(2009年にリリースされたデラックス版では24曲)。

カバー曲については前作ほど有名曲が収められているわけではないが、キャット・スティーブンスの「さびしき丘(原題:The First Cut Is The Deepest)」やラルフ・マクドナルド&ウィリアム・ソルターの「貿易風(原題:Trade Winds)」、マンフレッド・マンでヒットした「プリティ・フラミンゴ」など、今回も佳曲を取り上げている。面白いのはギブ・ギルボーのケイジャン・カントリー「ビッグ・バイユー」とハンク・トンプソンのカントリー・クラシック「人生の荒波(原題:Wild Side Of Life)」という2曲のカントリーナンバーが収録されているところ。「ビッグ・バイユー」は盟友ロン・ウッドのソロアルバム『ナウ・ルック』(’76)にも収録されているだけに、ふたりともこの曲にハマっていたのだろう。

アルバムは大ヒットした名曲「今夜きめよう(原題:Tonight’s The Night(Gonna Be Alright))」(8周連続全米1位)から始まる。途中に出てくるフランス語のダイアログはボンドガールで知られる映画女優のブリット・エクランドによるもの。当時エクランドはロッドのガールフレンドであった。続く「さびしき丘」(全英1位)、「フール・フォー・ユー」、「キリング・オブ・ジョージー・パート1&2」(全英2位)のどれもが紛れもない名曲。「フール〜」と「キリング〜」で聴けるジェシ・デイヴィスの泣きのギターが素晴らしい。「キリング・オブ・ジョージー・パート2」では、物語がビートルズの「ドント・レット・ミー・ダウン」のメロディーに乗せて歌われている。

LPではファストサイドとなっていた6曲目以降はカントリー(前述の「ビッグ・バイユー」と「人生の荒波」)でもロックンロール・スタイルで演奏されており、後のヒット曲「ホット・レッグス」の原型はここで生まれたことが分かる。ロッドがもっとも得意とするスタイルではあるが、本作以降のアルバムでは形骸化してしまっているのは残念だ。「ビッグ・バイユー」と「人生の荒波」に登場するフィドルのクレジットはないが、どちらもデビッド・リンドレーによるもの。

前作と本作の大ヒットでロックシンガーの頂点を極めたロッドであるが、次作の『明日へのキック・オフ(原題:Foot Loose & Fancy Free)』(’77)後はロックだけでなく、ジャズやディスコも歌えるポップスターとして活躍の場を広げている。ただ、ジェフ・ベック・グループ時代からロックシンガーとしてのロッドの歌を愛聴しているロックファンにとっては、少し寂しい気持ちになるというのが正直なところかもしれない。

TEXT:河崎直人

アルバム『A Night on the Town』1976年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. 今夜きめよう/Tonight's the Night (Gonna Be Alright)
    • 2. さびしき丘/The First Cut Is the Deepest
    • 3. 君に首ったけ/Fool for You
    • 4. キリング・オブ・ジョージー/The Killing of Georgie (Part I and II)
    • 5. ボールトラップ/The Balltrap
    • 6. プリティ・フラミンゴ/Pretty Flamingo
    • 7. ビッグ・バイユー/Big Bayou
    • 8. 人生の荒波/The Wild Side of Life
    • 9. 貿易風/Trade Winds
『A Night on the Town』(’76)/Rod Stewart

OKMusic編集部

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