金属恵比須・高木大地の<青少年のた
めのプログレ入門> 第24回 意外とプ
ログレッシヴ!「30周年」を祝う初の
プログレ・バンド?

おかげさまで、金属恵比須は結成30周年を迎えた。翻って、伝説の五大プログレッシヴ・ロックの30周年はどうだっただろうか。
1967年結成のピンク・フロイドにとっての1997年。『対』発表後、世界ツアーも終わり、活動休止だった。
1970年結成のエマーソン・レイク&パーマーにとっての2000年。1996年にツアーで来日したものの、活動休止状態だった。
1969年結成のジェネシスにとっての1999年。フィル・コリンズ脱退後、レイ・ウィルソンがヴォーカルとして加入したものの起死回生失敗。ノストラダムスの大予言とともに滅びてしまった。
同じく1969年結成のキング・クリムゾンにとっての1999年。6人のバンドメンバーはそれぞれ集合離散を繰り広げられた「プロジェクト」の時期。プロジェクト「1」「3」「4」をリリースした以外はクリムゾンとしての表立った活動をしていない。
1968年結成のイエスにとっての1998年。『オープン・ユア・アイズ』ツアー中で、特にアニバーサリー記念をしていた記憶がない。ただし、今年は8人イエス「ユニオン・ツアー30周年」として30枚組のCDをリリースしていたけれども。再結成の30周年を祝うとは、本当に貫禄のあるバンドだ。というか金属恵比須はその年に結成されたことを考えるとプログレ業界では“ひよこ”ですな。
まともに30周年を祝っているプログレ・バンドはいないのだ。だったら金属恵比須は堂々と祝ってみたらどうだろう。「進歩的」を意味する「プログレッシヴ」。¬最もプログレッシヴになりはしないか。そんな節目の2021年。しかしながら世の中は依然としてライヴなどの企画が立てにくい状況が続いている。そこでディスクユニオンから「ポップアップイベントをやりませんか?」とのご提案をいただいた。渡りに船。このイベントで30周年を祝ってしまおうと考えて出てきたアイデアが、「金属恵比須 結成30周年記念!『キンゾク万博2021』こんにちは〜 こんにちは〜 プログレの国から〜」である。
2021年6月13日から7月11日にかけて、渋谷にあるディスクユニオン・ロックイントーキョーにて開催中の「キンゾク万博2021」。「万博」と銘打つからには大阪万博1970のようなカオスな雰囲気にできればと苦心した。
ここでしか見られないレアな展示物を紹介する。
●後藤マスヒロが人間椅子時代に使用していたスネアドラム2台(初公開)
後藤マスヒロといえば、いわずと知れたロックのレジェンド・ドラマーである。金属恵比須に加入して6年以上経つが、それまでは頭脳警察、人間椅子、そしてジャパニーズ・プログレの代表格GERARDに参加していた。ロック・ドラムの神様が今回「マスヒロ館」というパビリオンで目を見張るような展示をしている。一つ目がこれだ。90年代のマスヒロ在籍時の人間椅子ファンにとってはこれ以上の福音はあるまい。1つは『頽廃芸術展』(1998)で使用、もう1つは『二十世紀葬送曲』(1999)で使用したメインの楽器である。当初、マスヒロから「ドラムを展示して売りたい」との申し出があり、「それはもったいないからやめておきましょう」と伝えていた。設営の際、このようなお宝だということを知り、止めておいて本当に良かった。マスヒロさん、万博が終わったらちゃんと保管しておいてください。
万博会場完成直後の様子(左方に件のスネアドラムが配置されている)
●後藤マスヒロ直筆、人間椅子「不眠症ブルース」作詞メモ(初公開)
こちらも90年代椅子ファンにはヨダレが止まらない展示物。『二十世紀葬送曲』に収録されているマスヒロ作詞・作曲「不眠症ブルース」の詞のメモである。もちろん手書き。この後、和嶋慎治氏の校閲が入る直前の原型だ。マスヒロさん、これも売らないでちゃんと保管しておいてください。
「不眠症ブルース」の歌詞の手書きメモ
●ダミアン浜田陛下の直筆メッセージとD.H.C.関連展示物
聖飢魔IIの創始者であり、2020年に10万59歳にして地球デビュー(メジャー・デビュー)したダミアン浜田陛下。陛下に「改臟」されて金属恵比須もメジャー・デビューした縁で、展示物も豊富。まずは陛下の直筆メッセージカードと、それを魔界から東京都に郵送した際のパッキング台紙。なぜか入浴剤の箱。陛下は魔界でこんなお風呂に浸かっているのか。そしてD.H.C.で実際に大地“ラスプーチン”髙木が使用したギター「ZEMAITIS MFGV22」(協力:神田商会)。ラスプーチンって? ――筆者です。
極めつけは、ムチ。「Angel of Darkness」のミュージックビデオで宏美“ローズ”稲益がマスヒロ“バトラー”後藤を叩いた実際のムチである。稲益が店舗にいる際は叩いてもらうのもまた一興(応相談)。
ダミアン浜田陛下館
●樋口真嗣監督所蔵の『日本沈没』模型
2019年「小松左京音楽祭」で知り合った『シン・ゴジラ』の樋口監督が万博にご協力くださった。子供の頃から『日本沈没』にハマり、2006年にはリメイク版のメガホンまで取った筋金入りの『日本沈没』マニア。そんな監督が個人で所蔵しているケルマディック号としんかいの模型を貸していただき、惜しげもなく展示。こんな近くでは見られない。
樋口真嗣監督個人所蔵の『日本沈没』コレクション
そして展示だけでなく、販売物として注目するのは先ほども言及した「マスヒロ館」。こんなに一挙にマスヒロが参加したCDたちが1箇所に並んだことはなかった。大槻ケンヂのUNDERGROUND SEARCHLIEにてみうらじゅんとコラボした「君は千手観音」が収録された『スケキヨ』も。
また、新品では入手困難のGERARDの作品も中古品であるが並べられている。この機会にマスヒロの歴史を振り返っていただきたい。GERARDのドラム・プレイはプログレ史に残る名演が数多く収録されている。
CD以外にも目玉商品はある。その名も「福音の黒ビール」。
昨年リリースしたCD『黒い福音』のジャケットを模したデザインで、おかげさまで評判も上々。かのスターレス髙嶋(髙嶋政宏)氏に『夕刊フジ』(6/23号)で取り上げていただき、「リーダー高木大地自らがホントにおいしい黒ビールを探して、出会った最強のビール」と説明いただいた。たしかに美味しい黒ビールには出会ったが、何かいいネーミングはないかということで考え出したのが、「福音の黒ビール」である。「黒い福音」だとちょっと悪そうな気がするが、「福音の黒ビール」だと悪さゼロ。何せ「福音=良い知らせ」。幸福感満載の商品名なのでお中元などの贈答品にも最適。「ハリガネムシビール」だと昆虫食のイメージになるし、「彼岸過迄ビール」だったらアル中の黄泉路になってしまう。
万博といえばやはり太陽の塔~右に「福音の黒ビール」
さて、「万博」初日。開店と同時にお越しくださったのが、小松左京氏を長年サポートしてきた元マネージャー乙部順子氏だった。「あなたたちは本当のロックを知っているね!」という熱いエールをいただいた。
1番目のお客様、乙部順子氏
次にお越しくださったのがスターレス髙嶋氏。「30周年を祝いたいんだけど、一緒に肉食いたいよね。牛? 羊?」と、いきなり熱い打ち上げ話。グルメ通でもあるスターレス氏にいわれるとどちらも美味しそうだ。ふと、ジェネシスの『Lamb lies down on Broadway』が頭をよぎり、すかさず「羊で!」と答えてしまった。
年表を丹念に見るスターレス髙嶋氏
なお小松左京氏と、スターレス氏のお父様である故・高島忠夫氏は、神戸一中時代に同じバンドを組んでいた縁があった。75年前の話であるがなぜか因縁を感じる。
ということで大御所プログレ・バンドが誰も成し遂げなかった「30周年」のイベントを行ない、さらにプログレッシヴに進化する金属恵比須である。あ、ロバート・フリップは「キング・クリムゾン7年周期説」を唱えていたな。とすると、さして30年には重みはないのか。であれば7の倍数の35年が重要なのだろうか。その時また、ディスクユニオンさん、よろしくお願いいたします

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