小倉 唯

小倉 唯

【小倉 唯 インタビュー】
コロナ禍でもある時代に、
非常に意味のあるシングルになった

TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』の第1クールオープニング主題歌であり、歌詞は共作したという新曲「Fightin★Pose」。その背景には原作の世界観に対する彼女の深い思い入れがあった。そんな作詞に至るまでの過程、さらにはカップリングナンバーの「ハートフォレスト」についても語ってもらった。

歌詞のイメージが湧いてきて
ペンネームで歌詞コンペに参加した

TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』オープニング主題歌の「Fightin★Pose」は、とても変化に富んでいてパワフルな楽曲となっていますが、どのように制作されていったのでしょうか?

今回、楽曲も歌詞もどちらもコンペで選んでいるんですが、先に楽曲が決まった時点で歌詞のイメージが湧いてきていたんです。原作もとても素敵だったので、素直にその世界観を“こういう言葉で表現できたらな”と想像が膨らんで。だから、歌詞もコンペをかけましょうとなった時に、自分もそのコンペに参加してみたいと思ったんです。それで急遽、ワンコーラス分を書かせていただき、歌詞のコンペに参加してみました(笑)。

反応はいかがでしたか?

私は“これしかない!”くらいの自信を持って提出したので、評価していただいたことは嬉しかったですし、逆に“この言葉は違う意味を連想させてしまうかもしれない”といった意見もいただいたりして、すごく勉強になりましたね。

本当にガチンコだったんですね。

はい。ただ今回は曲をオーダーする時点で、自分もある程度完成形のイメージを持っていたので。“どういう歌詞を求めているか?”といった部分では、他の作詞家さんたちよりも少し優位なスタートだったかもしれません。

歌詞を書く際に意識されたことは?

タイアップ曲ということで、“何があっても負けない”というような前向きだけど、ちょっと弱気な部分や傲慢さ…そういったキャラクターの特徴など、原作の世界観を一番大事にしました。トリッキーな構成になっているので、特にラップは耳に残るようなフックのあるものにできたらと。あと、サビに入るとメロディーラインがとてもキャッチーなので、印象的なフレーズやキーワードを散りばめられるといいのかなと思っていました。

評価をいただいて、最終的には共作というかたちになったと?

はい。“Fightin★Pose”というタイトル案は、共作したKIKUEさんのアイディアなんです。何があっても負けない、めげない様子を連想させるからこのフレーズは絶対に使いたいと思いました。サビのフレーズは自分のアイディアが主軸になっているのですが、ラップパートはKIKUEさんのアイディアを基調にしつつ、私のアイディアを足し引きしていきました。本当にいいとこ取りをして組み合わせていった感じです。曲も二面性があるので、そういう意味では共作というかたちで曲の良さをうまく引き出せたんじゃないかなと思います。

そんな歌詞の中で、特にご自身がこだわったフレーズは?

どこにも思い入れがあるのでなかなか選べないですね…。強いて言えば、語尾に少し遊びの要素を入れたりしている部分。例えば、冒頭の頭サビでは《今に見てなさい》とあえて命令形で、ジャヒーのちょっと強気な傲慢さを表現してみたり。あとは、《分かってるじゃん!》など跳ねるようなポップな雰囲気を意識しました。言葉尻のイメージで印象はかなり変わるので、そういうワードを取り入れてみたり。真っ直ぐで前向きなポジティブソングですが、いい意味で斜に構えているというか。“どんなことでもかかってきなさい!”という強気な部分を、あくまで可愛いらしく表現できたらいいなと。でも、やりすぎてしまうと、ちょっと近寄り難くなってしまいますよね。なので、リズムに合わせた言葉選びや四字熟語を取り入れて、それが可愛く留まる範囲内で傲慢さや強がりな部分を表現できたらいいなと心がけていました。

歌詞に顔文字が入っているのも斬新ですね。

ここはまさに自分のアイディアというか、単なる思いつき(笑)。おそらく作詞をする上で、マニュアル的な知識がなかったからこそ提案できたことなのかな、と。ダメもとで提案したら“いいんじゃない?”と言われたので、“じゃあ、入れちゃおう!”といった感じでした。

ラップが入っていたりしてパワーのいる楽曲だと感じたのですが、実際のレコーディングはいかがでしたか?

確かに、普通に考えたらチャレンジングな楽曲かなと思います。でも、曲選びの段階から何度もこの楽曲を聴いていましたし、歌詞のコンペに参加させていただいた時も、たくさん聴いて言葉のハマりや語尾の伸ばし方などを研究しながら考えていたので、すんなり歌うことができました。なので、レコーディング自体は挑戦というよりも、自分が想像していたゴールに向けて淡々と完成形に近づけていく作業だったな、という印象です。

コンペから関わっていたぶん、イメージしやすかった?

そうですね。イメージがある程度固まっていたので、そういった意味ではとても歌いやすかったです。いきなり“今回はこの曲です”と受け取っていたら、ちょっとパニックになっていたかもしれませんが(笑)、もともと楽曲の完成形のイメージがあったので、むしろ楽しんでいましたね。

ラップをうまく歌いこなすには技術がいると思うのですが、小倉さんはラップを表現する時はどういうことに気を遣いましたか?

ラップのフローという、言葉の上がり下がりのメロディーは自分で考えました。それを自宅でiPhoneに収録してから現場に持ち込んで、“こういう節回しはどうですか?”と提案したんです。単調な言い回し方ではなく、ジェットコースターのような緩急が出たらいいなって。歌えそうで歌えないというか、難しく感じるようなラップパートにしたかったので、女性アーティストさんのラップが入ってる曲をいろいろ聴いて研究しました。どう言ったら可愛いのか、面白いのか、というのを何通りも試して、それを持ち込んだという感じですね。

声のお仕事で語りをしている点もラップ表現の強みになるのかなと思ったのですが。

台詞を言うのに近い感覚があったので、それはあるかもしれないですね。“ここでこう上げて”あ、“こういう言い方もあるな”とか。ひとつの文でも瞬時に3パターンくらいの言い回し、節回しがパッと想像できた部分では、声優としての活動がすごく生かされたのかなと思います。あとはひたすら練習というか、何度も練習して体に覚えさせていきました。

でも、これは本当に小倉さんオリジナルのラップですね。

“オグラップ”です(笑)。

オグラップ! またキラーワードが出ました(笑)。この曲を歌いこなすためには、オグラップをマスターしなくてはいけませんね。

このフレーズでオグラップ教室とかやってみたいな。先生ができそうなくらいこだわりましたから(笑)。

改めて歌の難しさがすごいと思います。

さらにMVではここに高速ダンスがつくという前代未聞なチャレンジをしています。

えっ、高速ダンスですか!? またハードルが上がっていますね。

どちらかと言うと、最後の方はダンスに四苦八苦でした。歌は難なく歌えるようになったんですが、まさかラップでこんなに難しいダンスが入るとは思っていなかったので、少しびっくりました。もともと“ダンスナンバーにしよう”という話はあったものの、ラップは特に振り数がとても多くてスピードもあったので難しかったですね。今回は振り付けの先生がおふた方いて。作詞も共作なんですが、実は振り付けも共作というかたちで付けていただいたんです。サビはキャッチーで可愛らしい振りになっていますが、ラップはまばたきを一瞬でもしたらどんどんと踊りが変わっていくテンポ感になっています。

そんな詰め込まれた振付になっているんですね。

はい。ライブで披露する際には歌いながらになるので、そこが一番ハードルが高かったですね(笑)。

最初に振り付けしたものから、あまり変えなかったですか?

そうですね。

やはり(笑)。小倉さんは根性の塊というイメージがあるので、そうかなと思いました。

確かに。負けず嫌いがこういうところで発揮されています(笑)。

「Fightin★Pose」は“何があっても負けない”という内容の歌詞ですが、小倉さんは壁にぶつかった時、どういうふうにして乗り越えているのですか?

やはり世界を見渡すということが大事かなと。目の前のことだけにとらわれると“自分には乗り越えられないんじゃないか?”と感じるかもしれないけど、その視野を世界に向けてみると、もっと困難な想いをされている方もたくさんいるので。それに比べたら自分なんてまだまだだと。なので、今の自分にできることを頑張って乗り越えよう…みたいな感じですかね。

視点を変えるということですね。

はい。世界観を広げるというか、何か問題に直面した時って、視野が狭くなりがちだと思うんですよね。だから、“なんてことない!”じゃないですけど、身軽な気持ちに切り替えて乗り越えます。
小倉 唯
シングル「Fightin★Pose」【期間限定盤】(CD+DVD)
シングル「Fightin★Pose」【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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