J-WALKの
『DOWN TOWN STORIES』から
“大人のロック”とは何かを検証

大人な目線、ロックなスタンス

…と、ここまでは、“大人のラブソング”であり、どちらかと言うと“大人のポップス”寄りのJ-WALKと言えるが、以降は“大人のロック”の顔も見えてくる。M5「自由を纏う女」はまさにそうだと思う。言葉を恐れずに言うのならば、このM5はちょっと不思議な楽曲だ。街の雑踏、ノイズのSEから始まるのはM1と雰囲気が真逆である。そして、イントロではギターとベースのアンサンブルをバックに、浮遊感あるシンセが流れる。歌が入ってからは、コード弾きのシンセが重なったり、サビでは若干旋律は変わるものの、基本的にはそのアンサンブルが続いていく。1番終わりで大道芸っぽいドラミングが入って以降も、ギターのフレーズが少し違うものになるようだが、やはりベーシックは同じ。淡々と…と言っていいテンポ、抑揚で楽曲は進む。歌はメロディアスなので、決して聴きにくくはないけれど、ノスタルジックと言えばそうだし、奇妙な世界を覗き込んでいるような感覚を与えられるナンバーである。
《デジャブのように 何処となく/ふられる事 知ってた君が/別れ際に笑ったのは/聞き憶えのある台詞》《ガラス越しに横目でみる/ストローをくわえたまま/映画のような恋がいい/2時間だけの恋》《愛を告げるなら/字幕をつけてと/困らせるジョークがいつか/本気になってる/自分が見えない/気づかずに 今夜も眠る》《だれもいない君の心の/隅に小さな扉がある/「危険」と書かれたその扉を/見つめる君が見える》(M5「自由を纏う女」)。
歌詞ははっきりとした物語が綴られている様子ではないが、そこにあるキーワードからするとシニカルな視点はあるようだ。サザンオールスターズの「ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)」に近いメッセージ性を感じるが、どうだろうか? そう考えると、それは完全に大人な目線だし、世間に物言うスタンスはロックだと思う。

M6「夜を抱きしめて」は全体のテンポ感といい、ギターやエレピのディレイの深さといい、正調AORと言って良かろう。AOR=アダルトオリエンテッドロック。まさに大人な指向である。ちょっと大陸風なメロディーもいい雰囲気だ。
《自分が嫌いだと 君は心/閉じ込めるけれど/すぐに忘れられる そんなこと/夢が醒めるように》《夜を抱きしめて……/涙があふれても さよなら言えたなら/誰かが待っている》(M6「夜を抱きしめて」)。
歌詞は包み込むような温かさを孕んだ内容である。ある意味でM5とは真逆と言えるが、“飴と鞭”ではないけれど、批判だけでなく、こうした姿勢を持っているのは流石と言える。

M7「You're my friend, revival」は、M6ほどにはまったりとした感じではないが、これもAORと言っていいだろう。メロディー、サウンドもさることながら、とりわけ歌詞が大人な指向だ。
《窓ガラスに雨が降るあの夜のHotel/でも二人して 抱き合って/夜の街並 眺めたね/いつの日か You're my friend/そう呼べる日までさようならEmmey/この街を離れてみるさ》(M7「You're my friend, revival」)。
シチュエーションもそうだし、主人公の秘めた想いも、多分アダルトだ。

OKMusic編集部

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