栗林みな実はまだまだ進化中 39thシ
ングル「Just the truth」発売記念イ
ンタビュー

2021年でデビュー20周年を迎えた栗林みな実の39枚目となるニューシングル「Just the truth」が8月27日(金)に発売された。本作品は劇場版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』の主題歌としてタイアップされており、彼女にとってTVアニメ2期OPの「moving soul」ぶりに、再び『プリズマ☆イリヤ』シリーズへ携わる事となった。20年間の活動の中で、実は”劇場版主題歌”を担当するのは初だと語る彼女の決意や覚悟、そして何より作品が持つシリアスさやミステリアスな部分を存分に詰め込んだ本作の魅力を今回、本人に直接語っていただいた。節目の年を迎えた栗林みな実の新たなステージを、そのルーツから振り返らせていただける貴重なインタビューとなった。
私は『プリズマ☆イリヤ』のシリアス担当なのかな? って(笑)
――今年で活動20周年という節目の年にリリースされた本作ですが、栗林さんはこれまでに劇場版の主題歌って担当されたご経験ってありましたっけ?
それが、実は無いんですよ(笑)。今回の「Just the truth」で39枚目のシングルになるんですけど、今回が初なんです。
――そうですよね!これまで本当に数多くのアニメやゲームの主題歌などを担当されているだけにちょっと意外だったのですが、初の劇場版という事で例えばシアターの音響環境での聴かせ方だったり、楽曲制作の上で普段と違った点で意識された部分など何かあったりしますか?
最初にお話をいただいた際に「淡々としたイメージで」というオーダーを頂いたんです。普段歌っているような高いメロディ……というよりは少し抑えた感じで歌いやすいメロディというのを意識しました。言葉選びにしても、広いところで流れるということもあるので、響かせやすくて聞こえやすい言葉っていうのは意識しました。
――「少し抑えたメロディで……」というのは私も第一印象としてすごく感じました。あとは今回ストリングスに室屋光一郎さんが入っていらっしゃいますけど、そのメロディも壮大かつ幻想的な感じで、なんかこう…劇場版だな!って感じがしますよね(笑)。
そうですね(笑)。その辺は編曲の大久保薫さんなどのお力も借りつつ……という感じで、仕上がっていきました。
――『プリズマ☆イリヤ』シリーズの主題歌を担当するのは『プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!』OPの「moving soul」ぶりだと思いますが、ご自身で本作と比較して、キャラクターたちの成長ぶりであったり、何か感じられた部分ってありますでしょうか?
「moving soul」で携わらせて頂いた7年前は、どちらかというとギャグっぽいというか可愛らしくて楽しい感じの雰囲気の作品だったと思うんですが、今回のシナリオや絵コンテを事前に拝読して、シリアスな内容だったのもありますし、イリヤたちもシリーズを重ねてく毎にやっぱり大人になっていってるのかなと感じる部分はあるので、その辺りは楽曲に反映されてるんだと思います。
――TVシリーズも4期あって、劇場版があってOVAがあって、今回の新劇場版ですもんね。スピンオフ作品としてはかなり異例のシリーズ化と言えるくらいに……スゴいですよね。
いや本当にスゴいですよね! また携わることが出来て、本当に嬉しいです。ただ、前の「moving soul」も他の『プリズマ☆イリヤ』シリーズの楽曲に比べたら割とシリアスめの曲だったと思うんですけど、今回のお話もシリアスだったので「もしかして私って『プリズマ☆イリヤ』ではシリアス係なのかな?」って思ったんですよ(笑)。
――確かに(笑)。栗林さんの他の楽曲と比べても結構シリアスめな曲でしたよね。
だからもう私の中で「この作品においてはシリアス担当なんだ!」って勝手に感じちゃって(笑)。でもそのおかげで光明が差したというか、自分に求められているモノが分かったような気がして、曲の緊張感を出すポイントとか、自分の中で一気にイメージが掴めました。
「Just the truth」【初回限定盤】
実は、私って根が暗いんですよ(笑)
――ボクらの勝手なイメージなんですけど、個人的には栗林さんの曲って明るくて力強い歌声の突き抜けたイメージが強いので、栗林さんが持つ多面性の中の1つとして『プリズマ☆イリヤ』という作品がアウトプットの一部分になってるのかな、という風に感じました。
あー、なるほど……。それって例えば、どの辺の曲のイメージですか?
――具体的に言うと、自分の世代もあると思いますが、印象強い楽曲を挙げると「ZERO!!」とか「STRAIGHT JET」辺りでしょうか。
その突き抜けたイメージっていうのは多分ですけど、私が曲を作ってないからだと思うんですよ(笑)。「ZERO!!」は中土智博さんで、「STRAIGHT JET」は菊田大介さんに提供して頂いてるんですけど、すごくキャッチーな曲を作るのが上手な方々に書いていただいてるので、そういう印象が残ってるのかもしれません。おっしゃっていただいた雰囲気の楽曲って、多分自分の中からは出てこないかもしれないです(笑)。
――言われてみれば確かに! 栗林さんご自身では作曲家としての自己評価をするなら「こういうラインの曲が得意!」みたいなのってありますか?
あの……、私って結構暗くて(笑)。例えば『舞-乙HiME』って作品の「Crystal Energy」という曲があるんですけど、それなんかは自分が作曲してて……暗いんですよ(笑)。
――”マイナースケール”ですしね(笑)。
ちょっとそういう所あるんですよねぇ……(笑)。『めだかボックス』の曲は自分が書いた中では明るめな気がするんですが。……いやでもコレ言われてみて、発見でした! 私ってやっぱり暗いのかもしれない(爆笑)。
――アハハ(笑)シンガーとしての印象はそうですね、明るいイメージがありましたね。
へぇー、そうなんですね~。スゴい面白いです。発見しました(笑)。
――作曲家としては、そういう一面もあるという……。
でもやっぱりアニソンなので、作品あってこそな部分は大きいんですよ。だから言い返せばそれだけ作家やシンガーとして色々な作品に関わらせていただいたってことなんですよね。
――“作品ありき”という面で行くと、『プリズマ☆イリヤ』の印象っていかがですか?
イリヤはもう、本当に可愛くってキラキラしてて魔法少女って感じじゃないですか。だから、そこは一旦置いておいて曲を作ってますね(笑)。
――そこはあえて意識しないんですね(笑)。
意識しちゃうとキラキラさせたくなっちゃうので(笑)。今回なんかはやっぱりシリアスな感じの作品なので、特にそうでしたね。
ちょっとした悩みが解決した時の爽快感がテーマです
――今回のシングルで言うと、カップリングの「clear」は個人的に、真逆の明るめなイメージを受けまして、その辺バランスが取れてるのかなと思いましたが、いかがですか?
表題曲がミディアムテンポでマイナー調なので、ちょっと速めの曲で、それこそアニメの主題歌のようなイメージの曲にしたいなっていうのはありました! でも速いんだけど、気軽に肩の力を抜いて聞けるような曲にしたくって、メロディから先に作って、そこに爽やかな歌詞を乗せていきました。
――個人的には可愛らしい感じの印象を受けたんですけど、作詞作曲のポイントなどありますか?
“爽やかな歌詞”って話をしましたけど、例えば悩み事とか考え事があったとするじゃないですか?それが解決した時のちょっとした爽快感ってあると思うんですけど、それをテーマに歌詞のストーリーを展開していきました。
――なるほど、それで「clear」なんですね! それをテーマにしようと思ったキッカケとかって何かありますか?
うーん、ずっと書きたかったテーマの1つではあったんですよね。普段から生活していく中で「何か曲のネタになるような事ってないかな~?」って探しながら日々を送っているんですけど、そうやって思いついた事をスマートフォンにメモしたりしていて、その中の1つって感じですかね。
――皆それぞれ、問題の大小はあれど色んな悩みとかを抱えて生きてると思いますし、特に今のご時世だとみんなが共通のストレスを感じて生きてたりする中で、そういう前向きなメッセージというか、解決した時の爽快感を感じられるような曲って、すごくボクらの生活に寄り添ってくれているなって思ったんですよね。
そうですね! 今だからこそ届けたいメッセージではあったのかもと思います。
「Just the truth」【通常盤】 (c)2021 ひろやまひろし・TYPE-MOON/KADOKAWA/劇場版「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女」製作委員会
“みんな”じゃなくて“あなた”へ届けたい
――「clear」は栗林さんがずっと書いてみたかったテーマの曲ということでしたが、今年は20周年の年ですし、他に何かチャレンジしてみたい事だったりってあったりしませんか?
実はこの取材のちょうど数日後には歌手活動20周年を迎えるんですけど、『君が望む永遠』というPCゲームに自分の歌が入った所からキャリアがスタートしていて、特にシングルがリリースされたとかいう訳でもないんです。だから一般的な”デビューした!”って感じも特にそんなに無いんです(笑)。なので、君望の発売日の8月3日を歌手デビュー日として、そこから数えるようにしています。
――改めて、おめでとうございます!
ありがとうございます。改めて20年の節目を迎えて強く思うのは、ファンの方々のありがたさなんですよね。それで、自分を応援してくださってる方々みんなにと言うよりは、一人一人に対して何か伝えられるような歌を作りたいなとはなんとなくずっと頭の中にはあって。まだイメージの段階ではあるんですけど、具体的なカタチにしたいなって思っています。
――みんなへ、というよりは一人一人というイメージなんですね。
そうですね、私はステージに立った時に大勢の皆さんと向き合うんですけど、皆さんからしたら私は1人なワケじゃないですか。なのでちゃんと個人として向き合って何か届けられるような曲を作りたいなって思いますね。
――言うだけならタダなので、その他にやってみたい事とかありませんか?(笑)
やったことが無い事で言うと、アコースティックライブは一回もやったことが無いんですよ。私、アニソンってそのままのオケで歌うのが1番良いと思っちゃってたんですけど、ファンの皆さんからは「アコースティックライブやってください!」って声も結構頂いていて。20年も続けていると、もう「ライブ会場で騒ぎたい!」って感じじゃなくなってる人もいるんじゃないかなって(笑)。そういう座れるライブとかもいつかはやってみたいかなって思いますね。
――劇場版の主題歌が初っていうのも意外でしたけど、アコースティックライブをまだやられてないっていうのも意外でした。
私、意外とまだやってないことって結構多いんですよ(笑)。例えばバースデーイベントなんていうのも、実はこないだ初めてやらせてもらったんですけど……。
――そういう、これまでやって来られなかった新しいことに対してのファンの皆さんの反応ってどうなんですか?
スゴい喜んでくれていました。バースデー記念のファンミーティングに関してはそもそもみんなで会える機会っていうのが最近あまりなかったというのもあったと思うんですけど、楽しんでくれてたみたいで安心しました(笑)。
――今のお話を聞いて、私もこれまでの代表曲のアコースティックverを聞いてみたいなって思いましたし、まだやれることがたくさん残ってるって良いですよね。
私がオタクなので、単純に他の人の曲を聴くとなったらアレンジがされてないCDのまんまの方がいいよな~って考えだったんですけど、その考え方ももう古いのかもしれませんよね(笑)。自分が活動してきた20年間って、例えばちょうどアニサマが始まって……みたいな流れだったので、アニソンのライブってみんなでサイリウム振って盛り上がって、みたいなイメージが染み付いちゃってるんですけど、もっと音楽的に捉えていっても良いのかなって考えさせられますね~。
劇場版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』主題歌「Just the truth」-Music Clip Short Ver.-
栗林みな実が変えてきた、20年
――シンプルに、この20年間でオタクを取り巻く環境も大きく変わっていったと思いますし、最近はアニソンにも多様な音楽性が取り入れられるようになっているなっていうのも感じます。
確かに、最近のアニソンは普通にオシャレな曲も増えましたし、オタクがかなりオープンな存在になりましたよね。
――でもそれの根底にあるのは、栗林さんの存在って大きいと思いますよ。
そうですか!?
――それこそ君望の時とかってコスプレされて歌ってらっしゃっていましたし、変な話PCゲームの世界であれだけ前面に出て活躍されるって当時としてはエポックメイキングなことだと思うんですよね。
確かに、他にやってる人あまりいなかったかもしれないですね。桃井はるこちゃんはやってたけど、それくらいかもしれないです。
――オタクの中でもPCゲームってさらにディープな世界の中で、桃井さんとか栗林さんみたいに表立って「好きだ!」って言ってくれる方が出てきたことで背中を押された人も多いと思いますし、そんなマイナージャンルが逆輸入されてTVアニメになって……、みたいな流れって『君望』だったり『To Heart』だったり、それこそFateシリーズもそうですけど、絶対に栗林さんたちみたいなクリエイターさんの功績がデカイと思います。
わー、ホントですね(笑)。同人からの流れってある時期からすごい増えましたし、そう言ってもらえると……スゴい嬉しいですね!やってきてよかった(笑)。
――かなり脱線しちゃったんですけど(笑)。Fateの話が出てきた所で、改めて今回のシングルに話を戻しますと、発売日が金曜日で不思議に思ったんですが、劇場の公開日に合わせてリリースされるんですよね?
そうなんです! ぜひ映画館の環境で曲を聞いてもらって、帰りにCDも買ってもらって……(笑)。
――最近だと劇場の売店に主題歌やサントラが置いてあったりすることもありますしね! 最後になりますが、改めてファンの皆さんへのメッセージなど、ぜひお願いします!
久しぶりに『プリズマ☆イリヤ』に関わらせて頂けてホントに光栄でしたし、本当に心を込めて大切に作りましたのでたくさんの方に聞いてほしいです。何より、ぜひ劇場へ足を運んでいただいて劇場版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』を楽しんでいただけたらなと思います!
取材・文:前田勇介

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