三浦一馬(バンドネオン)×大萩康司
(ギター)×宮田大(チェロ)「この
アーティストたちだからこそできるピ
アソラは、新しいものになる」――ピ
アソラ生誕100周年を祝う『ピアソラ
・フェス』まもなく開催

バンドネオンの三浦一馬を中心として、ピアソラ生誕100周年を祝う『ピアソラ・フェス“リベルタンゴ”』が2021年9月2日(木)にサントリーホールで開催される。出演は、三浦のほか、宮田大(チェロ)、大萩康司(ギター)、上野耕平(サクソフォン)、山中惇史(ピアノ)、そしてゲストに角野隼斗(ピアノ)を迎える。
チェロの宮田大、ギターの大萩康司、そして三浦の三人が集い、コンサートへの抱負や楽しみについて語った。
なお、本公演の会場チケットは完売となったが、イープラス「Streaming+」での配信が予定されている(アーカイブなし)。
――集まっていただいた御三人の、それぞれの出会いや関係について、お話ししていただけますか?
大萩:昔、六本木にスイートベイジルというライヴハウスがあり、1年に2回ずつくらい、コンサートをさせていただいていました。12~13年前、そこのライヴに三浦さんが聴きに来てくれて。「この曲、やりたいんです」とピアソラの『タンゴ組曲』の楽譜を渡してくれたのが、彼との最初の出会いでした。三浦さんはまだ10代でしたが、その楽譜はちゃんとギターとバンドネオン用にアレンジしてありました。話し方も今と変わらないくらいしっかりとしていて、こんなにちゃんとしているなら、やらなきゃな、と思いました(笑)。あのとき、熱意をもって行動する人だなと思いましたが、今回のこのピアソラ・フェスにつながっていくものを最初から持っていた人なんだと思います。
大萩康司
三浦:僕、そのとき18歳だったと思うのですが、その後、ことあるごとに大萩さんにはお世話になっています。宮田さんと初めてご一緒したのは、10年くらい前の、『題名のない音楽会』の収録でしたか、王子ホールでのデュオ・リサイタルでしたか。
宮田:『題名のない音楽会』が先だと思います。お二人とも、それぞれよくデュオを組ませていただいていて。大萩さんとは今、ツアーでまわっています。
大萩:宮田さんとは、松本のサイトウ・キネン・フェスティバルでのリハーサルの休憩時間にお話ししたのが初めてでしたね。それから、長野や王子ホールでご一緒させていただきました。それでCDを作りましょうということに。
三浦:十年くらい前から両先輩方の背中を追いかけてと言いますか、いろいろ教えていただきました。ピアソラ生誕百周年の節目に、尊敬するお二人にご出演していただけるのはこの上ない喜びだと素直に思います。
――これまでに三人の共演はありましたか?
大萩:三人そろったのは、2018年の長野市芸術館のアートメントNAGANOオープニング・ガラ・コンサートの1回だけですね。最後に出演者全員で「リベルタンゴ」を演奏しました。
三浦:いろんなところでそれぞれ共演はあったわけですが、三人が同じステージで演奏したのはその1回だけということです。それだけに今回、この組み合わせでの共演が楽しみです。
――三浦さんはピアソラのスペシャリストですが、宮田さんと大萩さんに、ピアソラの音楽との出会いについてうかがいたいです。
宮田:一馬くんの音楽から学ぶことが多いですね。一馬くんと共演するときに、バンドネオンの音を聴いて、ピアソラの色彩感や光の加減を音でキャッチして、学ばせてもらったことはたくさんあります。激しい曲よりは抒情的な曲の方が好みです。
宮田大
大萩:自分がピアソラという作曲家を知ったのが高校2年生のときで、フランスであった講習会でフルーティストと「タンゴの歴史」を演奏したのが初めてでした。その後、ギター・ソロのための「5つの小品」を演奏する機会もありました。そして、ピアソラはことあるごとにプログラムに入って来る作曲家になりました。
三浦:「5つの小品」は大萩さんのCDで初めて知りました。
――今回のピアソラ・フェスへの期待・楽しみについてお話ししていただけますか?
三浦:このメンバーにお集まりいただくだけでも物凄いことです。サントリーホールという輝かしい舞台での素晴らしい一夜が楽しみでなりません。
このアーティストたちだからこそできるピアソラは、新しいものになるでしょうね。年がら年中ピアソラを弾いている僕ですが、そんな僕でも初めて体験するようなピアソラになると思います。この編成は、もちろんピアソラのオリジナルとしてはないのですが、新たなアプローチによって、僕自身も何かを見つける時間になると思います。おのおののデュオやトリオを経て、後半のクライマックスに向かって、広がっていくのが楽しみです。
宮田:この組み合わせでの音にわくわくしています。ただ、編曲の一馬くんがたいへんだろうと思います(笑)。毎回毎回、一馬くんはチェロのパートをすごくチェロらしく書いてくれます。ピアソラの作品であると同時に一馬くんの作品でもあると思います。この編成での編曲がすごく楽しみです。
大萩:まだ始まってないですが、一回で終わるのがもったいない感じがします。上野耕平さんや角野隼斗さんとは初対面で、初めての出会いも楽しみです。
宮田:私も角野さんとは初めてです。YouTubeなどで革新的なことをやっている方ですよね。実際に会って、音を聴きたいですね。
大萩:今回は、いろいろな楽器が集まるので、エレアコのギターを使おうかなと思っています。他の楽器の音を拾ってしまうマイクを通すよりもエレアコの方がいいかなと。
左から 宮田大、三浦一馬、大萩康司
――楽曲の編曲(アレンジ)を担うのは三浦さんですね。どのようなものになりますか?
三浦:その楽器がどう映えるか、どう生きるか、そのためにはどんなことができるのか、いろいろ先輩方におききしています。ギターなら、ギターならではの音の積み方がありますから。いまだにギターの譜面を書くときはギターを手に持っていています。今回、それぞれがオーケストラでいう楽器群を代表して来ているような、小さなオーケストラとして並んでいるイメージです。そこからどう発想を広げていくかですね、頑張ります。
――サクソフォンの上野耕平さんについて、お話ししていただけますか?
三浦:お世辞でも何でもなく本心として、今まで聴いたサックスの中で最高。トップ。すんばらしいです。どんな音色も自由自在で、こんなことが軽々とできちゃうんだと思います。サクソフォンは吹奏楽やジャズで親しまれていますが、クラシック的なアプローチをここまでされたときの驚きですよね。
彼ならできるだろうという編曲は多いのです。僕の編曲には、この人だからという、脚本の当て書きみたいなところがあります。彼のキャパシティの広さゆえに、安心して書けます。
――上野さんへの当て書きは楽しみですね。
三浦:結局、編曲は毎回、当て書きなんです。誰が演奏するのか知らないで編曲したら、無難で平凡なものになってしまいます。
――ピアノの山中惇史さんについては?
三浦:山中さんは作曲科出身のピアニスト。何が来ても大丈夫。彼は僕と同い年で、僕と音楽的な共通の言語を話せる数少ないアーティストです。彼の楽譜は、音の鳴り方が気持ちいいんです。ピアニストとしても素晴らしいですし、編曲のことで質問したり、手伝ってもらったりすることもあります。盟友です。
三浦一馬
――ピアソラの音楽の魅力について、語っていただけますか?
大萩:ピアソラって、演奏者が自然と興奮してくるような音を書いてますよね。一音一音が強くて、こっちがちょっと気を抜くと負けてしまう作曲家。
宮田:ピアソラは気を抜けないですね(笑)。一曲一曲にパワーが宿っていて、音が少なく、休符も音楽の一つになっているような曲もあります。イージーリスニングじゃないんですよね。ピアソラは、たくさん曲があるので、どの曲にするか、どんな組み合わせにするのか、アイデアが尽きません。
三浦:それぞれの奏者にスポットがあたる曲を入れたいので、出演するみなさんに聞き取り調査をしています。
――最後に今回のピアソラ・フェスへの抱負をお願いします。
三浦:これだけの方々にお集まりいただく奇跡、ありがたく思っています。僕は、お客さんに、難しいことを気にするよりも、心から楽しんでいただけることを一番に願っています。これだけの素晴らしいアーティストによる、ピアソラの世界、100年の節目でないと実現しなかったことです。それを思い切り体感していただきたい。
宮田:ピアソラはパワーを使います。お客さんも、汗をかきながら聴くくらいの感じで、ピアソラの情熱の世界に入り込んでほしいです。サントリーホールでの6人の共演が楽しみ。フェスという名前がついているので、音楽で会話して遊ぶ、特別なことがやりたいですね。お客さん、奏者ともども、いい思い出の日になりますように。
大萩:ピアソラが、フェスティバルできるくらい、1曲1曲、キャラクターの強い作品を作ってくれたことに感謝しています。そして、一馬くんが少数精鋭を集めてくれたことにも感謝。それに選ばれたからには一音一音、魂こめて弾きます。
左から 宮田大、三浦一馬、大萩康司
取材・文=山田治生 撮影=池上夢貢

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