タイのエンタメを紹介する『レオレオ
、タイタメ』Vol.3ーードラマだけじ
ゃなく、音楽でも盛り上がりをみせる
タイのカルチャー

昨年から日本でもブームになっているタイドラマをキッカケに、タイのエンタメ=タイタメに魅了された筆者がお届けする連載企画『レオレオ、タイタメ』、略して『レオタイ』。3回目を迎えた今回から、メインビジュアルをタイドラマのファン仲間で、デザイナーの友人に作ってもらったものに刷新してみた。個人的な話で恐縮だが、好きが高じて転職でき、さらに友人と仕事ができるだなんて夢のようだ。タイの要素を散りばめてもらったので、少しでも美しさと華やかさが伝わると嬉しい。

本連載でこれまで取り上げてきたようにドラマ人気は鰻登りで、俳優8人の衣装や台本などを展示する『GMMTV EXHIBITION in JAPAN』も現在は大阪で開催されており、全身パネルが置いてあったり、撮影可能なエリアがあったりと、ファンには嬉しい空間となっていた。その勢いは映像だけに止まらず、2ヶ月連続でドラマ関連のCDがリリースされるなど音楽にも波及している。そこで今回は、日本でも活躍するタイのアーティストや、現地で人気のポップスにフォーカス。さらに味覚でもタイの雰囲気を味わえる、日本では珍しいタイティーソフトクリームのお店も紹介する。
ไม่รัก…ก็บ้า (If Anyone Doesn't Love You, They're Crazy)-モス・パティパーン
●日本でも活動しているタイの国民的スターSTAMP
まずは少しだけ日本とタイ音楽の関係性について振り返ってみる。遡って調べていくと、実は20年ほど前に一度タイブームが到来していたことがわかった。しかしインターネットも普及していない時代で資料が少ないため、80年代からタイポップスを追いかけ、専門CDショップを立ち上げたり、大阪のラジオ局FM千里で毎月最終月曜日に専門番組『T-POP WOW』を制作したりと、タイの音楽に詳しい盛岡旅人氏に連絡を取ってみた。盛岡氏に当時の様子を聞くと「日本からアジア進出を狙う傾向があり、30弱のアーティストが日本でCDをリリースしていた」という。ドラマ『He's Coming To Me~清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た』で幽霊のメット(演:シントー・プラチャヤー)が劇中で聴いていたモス・パティパーンも来日していたそうだ。しかし2010年からは、日本であまり聴かれなくなってしまった。そんな中、再びタイポップスの日本進出に突破口を開いたのが、タイの国民的シンガーソングライターSTAMP(スタンプ)。ミュージックビデオにドラマ『TharnType/ターン✕タイプ』のミュー・スパシットが出演したことから、ドラマファンの中には「It take two」を耳にしたことがある人もいるだろう。
STAMP / ジェイルハウス feat.SKY-HI
自身のヒット曲をセルフカバーし、SKY-HIをフィーチャリングした「ジェイルハウス feat.SKY-HI」(2020年)から日本でも本格的に活動を開始。タイ語で歌われた原曲とは雰囲気がガラッと変わり、日本版は持ち前の優しく伸びのある声を活かしながらも、ダークな雰囲気も漂っている。各国の音楽シーンの特徴がよく表れているため、2パターンとも聴き比べて欲しい。反対に8月4日(水)に配信を開始したAwesome City Clubとのコラボ曲「ฝันร้าย/ฝันดี (move on) feat. Awesome City Club」はSTAMPらしさ満載の穏やかな楽曲となっている。これからどのような方向性で楽曲を展開していくのか楽しみだ。
MindaRyn - Like Flames (TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』オープニング主題歌 第二弾) | Music Video
STAMPに続いて、「日本語が上手なタイ人」として話題になった元アニソン系YouTuberのMindaRyn(マイダリン)も、2020年に日本にてアニソンシンガーとしてデビュー。SPICEの過去のインタビューでは「これまでの夢は自分のアニソンを歌うことで、今は本当になりました」と明かしていた。日本特有のアニソンにぴったりの歌声で流暢な日本語のため、タイ出身のアーティストと気づかずに聴いている人も少なくないだろう。続々とタイアップが決まっており、8月25日(水)には放送中の『転生したらスライムだった件 第2期』第2部オープニング主題歌「Like Flames」をリリース。今年4月時点では帰国しているとのことで、コロナ終息後の日本での活躍に期待が高まる。
●ドラマ発で日本限定アルバムも発売
คู่กัน - scrubb
STAMPやMindaRynなど、日本デビュー組以外のアーティストの日本盤リリースも進んでいる。「タイでは海賊版が横行しているため現在はほとんどCD化されず、ここ10年間でデジタルへの移行が完了している」(盛岡氏)という中、連載第一回目でも紹介したタイドラマブームの火付け役『2gether』関連のアルバムが、日本限定で2枚も制作された。1枚目は7月14日(水)にドラマの題材となったScrubb(スクラブ)が、挿入歌として使用された全19曲を収録した『Songs In 2gether』を発売。Scrubbは2000年に結成し「当時あまり海外の音楽要素を取り入れるアーティストが少ない中で積極的に取り組んでいたことから人気があった」(盛岡氏)ということもあり、収録されている曲も10年以上前のものがほとんど。ゆったりして不思議と懐かしさもある、耳馴染みのいい楽曲が多い。
ยังคู่กัน (Still Together) Ost.เพราะเรา(ยัง)คู่กัน Still 2gether - ไบร์ท วชิรวิชญ์, วิน เมธวิน
8月25日(水)にはドラマのオープニングテーマを担当したシンガー兼俳優のマックス・ジェンマナや、主演のブライト・ワチラウィット、ウィン・メタウィンが歌う挿入歌全7曲が収録された『2gether スペシャル・アルバム』もリリースされた。歌詞カードにはタイ語と日本語訳、英語訳に加え、タイ語の読み方まで書かれていて、まさに痒い所に手が届く仕様になっている。サブスクリプション型は海賊盤を防ぐには最適で、気になった楽曲をすぐに聴ける便利なサービスだが、やはりCDにはCDの良さがあると痛感している。
Billkin - กีดกัน (Skyline) OST.แปลรักฉันด้วยใจเธอ [Official MV]
同アルバムに収録されている、ブライトの「คั่นกู(Kan Goo)」は8月5日(木)に開催された『LINE TV AWARDS 2021』の「BEST THAI SONG」賞でノミネートされていた。他にもトップアーティストの楽曲が候補として挙げられていた中で圧倒的な投票数を集め受賞したのは、ビウキン・プティポンの「กีดกัน (Skyline) 」だった。同楽曲は自身が主演を務めたドラマ『I Told Sunset About You 〜僕の愛を君の心で訳して〜』(以下『ITSAY』)のオープニングテーマのタイ語カバーバージョンで、同楽曲をキッカケにビウキンは俳優だけでなく歌手としても注目され始めた。その歌唱力はディズニーの企画に起用されるほどで、ディズニーメドレーでは女性陣とともに綺麗なファルセットを披露していた。『ITSAY』も日本で話題となっており、関連曲も比較的多いため『2gether』に続いて日本盤CDが発売されるといいなと切に願っている。
●タイでもチル系ラップが人気か……?
เพื่อนเล่น ไม่เล่นเพื่อน (Just Being Friendly) - Tilly Birds Feat. MILLI |Official MV|
比較的ゆっくりめの曲を紹介してきたが、Spotifyのランキング上位曲を聴いていると、様々な国の要素を取り入れた曲調とハイトーンボイスが流行っているように思える。理由について盛岡氏は「タイの昔からの歌唱法と関係があるのかもしれない。民謡など昔の歌にブラックミュージックのファルセットのように高音で歌う曲があるので、見えない伝統として残っている可能性がある」と分析している。Spotifyで8週間ランキング1位を獲得したティリー・バーズFeat.ミリの「เพื่อนเล่น ไม่เล่นเพื่อน (Just Being Friendly) 」を聴いたら感覚的にわかってもらえるかもしれない。同楽曲は人気バンドティリー・バーズと18歳のフィメールラッパーミリのコラボ曲で、繰り返される歌詞をつい口ずさみたくなるような中毒性がある。
How To Love (feat. GRAY) - ALLY [OFFICIAL MV]
ハイトーンボイスといえば筆者的に外せないアリー。15歳の頃、1年間韓国で歌やダンスのトレーニングを積み、2020年に韓国のラッパーグレイがプロデュースした「How To Love (feat. GRAY) 」でデビューし、1stシングルでいきなり1位を獲得。グレイが参加していることもありK-POPさを感じるが、アップテンポで華やかさのある曲調の中にタイポップスらしい心地よさもある、絶妙なバランスが保たれた曲だ。
LUSS - 247 【Official Music Video】
ヒップホップデュオのルスも高音域が綺麗な人気アーティストのひとつ。YouTube再生回数1,300万回を超え、歌詞に<たこ焼き? 刺身? キムチ? いくよ!>と日本語が入る「247」をはじめとした楽曲がSpotifyでは常にランクインしている。同楽曲のミュージックビデオには英語字幕が付いているため、日本語歌詞を聴き逃してしまったとしても目で追いかけられる。
ここまでチャートやアワードなどの結果を元に紹介してきたが、ハイトーンボイス以外に俗にいうチル系のラップも特徴として挙げられるのではないかと思うほど、緩やかなラップが曲中に入っているものが多いように感じる。もしここに挙げた以外のタイポップスを聴く機会があれば、ラップが入っていないかをチェックしながら聴いてみてほしい。
●日本のアイドル文化ブームも健在
【MV Full】Koisuru Fortune Cookie คุกกี้เสี่ยงทาย / BNK48
日本、韓国、中国などで定着しているアイドル文化は、タイでも古くから存在している。日本でも活躍していたゴルフ&マイクやNeko Jumpなどもそのうちのひとつだが、特筆すべきは2017年にAKB48の姉妹グループとして結成され、爆発的な人気を獲得したBNK48。その後なんと100以上の日本風アイドルグループが結成されるなど、社会現象を巻き起こした。中でも「恋するフォーチュンクッキー」のタイ版は、音楽が流れたら人々があのダンスを踊れるほど一般的になっているようだ。
JAONAAY ft. Juné - แปะหัวใจ [Official MV]
卒業したメンバーも女優兼歌手として活躍しており、元メンバーのジュネ・プルーンピチャヤーは、主演を務めた『Bad Genius The Series』で共演したジャオナ・ジンジェットと「แปะหัวใจ (14th Feb)」でコラボ。同楽曲はリリースから半年経った現在でもSpotifyでランクインし続けている。歌詞は全くわからないがすぐ覚えられるサビと、1番と2番でリズムも音程も変わるため覚えるのが難しいAメロが混在していて癖になる。
4EVE - วัดปะหล่ะ? (TEST ME) (Prod. by URBOYTJ) - Summer Video
可愛い系のアイドルが一気に広まった一方で、タイ出身のリサが所属しているBLACKPINKをはじめとした韓国アイドル人気も根強い。BABYMETALと「PA PA YA!!」でコラボしたエフ・ヒーローやSTAMPなどが審査員を務めたK-POP系のオーディション番組から、昨年7人組のガールズグループの4EVEが誕生した。K-POP系と言いながら様々な曲調の楽曲を歌いこなす彼女たちのデビューまでの道のりはYouTubeで公開されているので、オーディション番組が好きな人には『4EVE Girl Group Star』で検索することをオススメしたい。
◇タイポップスを聴きながら食べたい映えソフト◇
そして音楽のお供にオススメしたいのが、タイのお茶を使ったタイティーソフトクリームだ。タイでは有名紅茶店が提供し行列ができるほどのようで、現地に行けた際には寄ろうと心に決めていたのだが、なんと飛行機で飛ばずとも大阪の天王寺で食べられるお店が誕生していた。
raming tea shop
raming tea shop
自家製ソフトクリームなどを販売
平日不定休(土日は営業)、13:00〜ソフトクリームがなくなり次第終了
〒543-0056 大阪府大阪市天王寺区堀越町10−16
天王寺駅北口 徒歩5分
https://www.instagram.com/ramingteashop/

タイティーというと砂糖がふんだんに使用されていて、麦茶気分で飲むとびっくりしてしまうほど甘いのだが、このソフトクリームはすっきりとした甘さで、好みでかけてもらえるシナモンとの相性が抜群だった。中務(なかつかさ)幸子店長は「タイに行った時に初めて食べ、日本では味わえない味だったので新鮮だった。ソフトクリーム屋をオープンする時にはタイティー味もフレーバー展開すると決めていた」とし、昨年12月にオープン。意外にもコーヒーゼリーやパフェなども人気なようだが「バニラもタイティーも拘っているので、おすすめはソフトクリーム」だそうだ。店内の椅子に座って、もしくはテイクアウトをして部屋でゆっくりしながらタイポップスと共に楽しんでもらいたい。
raming tea shop
今回は、最近タイで流行っている音楽を紹介してきた。他の国と同じように一概にコレと断定することはできないが、落ち着いたテンポで高音がきれいな楽曲が多いことがわかってもらえたのではないだろうか。タイ語に声の上げ下げで意味が変わる声調があるために、言葉数が少なくて済むということが大きいのかもしれないが、「微笑みの国」と称される国民性も大きく関わっていると感じている。聴いているだけで体内時間もゆっくり動き出すような楽曲が揃っているため、リラックスしたいときに一つでも再生してもらえたら嬉しい。その際は是非ハッシュタグ「#レオタイxタイポップス」でのシェアを!
◇今日のひとことタイ語講座◇
เพลง(プレーン、phleeŋ)=歌
文=川井美波

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