チューリップ
『TAKE OFF(離陸)』に見る
“和製The Beatles”っぷりと
日本的情緒

メドレーからうかがうリスペクト

M8「あの、ゆるやかな日々」以降はアナログ盤でのB面。安部作詞、姫野作曲で、財津が歌うM8は、これもまた跳ねたピアノが印象的なナンバーで、多くの方が指摘しているように、The Beatlesの「Martha My Dear」をかなり意識していることが分かる。ハイトーンに抜けるヴォーカルがちょっとソウルっぽい感じもあって面白い。M9「ハートせつなく」はイントロのギターがカッコ良い。安部の作詞作曲で、財津がリードヴォーカル。歌の主旋律は何か可愛らしい感じなのだが(歌詞も可愛い感じ)、ギター、ベース、ドラム、エレピがそれぞれにシンプルながらも個性的なプレイを聴かせて絡み合う様子は、バンドならではと言ったところだろう。コーラスも他とは違って可愛らしい印象ではある。

チューリップの代表曲でもあるM10「青春の影」。財津が作詞作曲を手掛けてリードヴォーカルも取っている。サウンドは「Let It Be」のオマージュとも、「The Long and Winding Road」とも言われているし、Procol Harumの「A Whiter Shade of Pale」な感じもするけれども、いずれにしても主旋律を盛り上げるサウンドアレンジは見事なものだと言わざるを得ない。ピアノ伴奏のみでも十分に感動的な曲ではあろうが、この楽曲の物語性、世界観をドラマチックに仕上げているのは、ストリングスを含めたこの編曲あってのことだろう。3分ちょっとしかないが、決して短く感じない、むしろ奥深さを感じさせる名曲である。

財津が作詞作曲で、姫野が歌うM11「愛は不思議なもの」は、ほぼ《愛はいつでも 不思議なもの/そして永遠(とわ)に 輝くもの》のリフレインと言っていいナンバーだが、それゆえにバンドアンサンブルとそれぞれのプレイに変化を持たせている。跳ねるようなピアノ、ドラムも相変わらずいいが、間奏以降からグイグイと迫ってくる安部のギターがとても素晴らしい。完全にロックだ。

続く、M12「悲しみはいつも」~M13「ぼくは陽気なのんきもの」~M14「笑顔をみせて」は、曲が連なったメドレー形式。アコギ基調なM12、カントリー調でありつつ、スペクターサウンドも聴けるM13、そして、広大なメロディーがひたすらに美しいM14と、タイプが違うナンバーを上手くつないでいる。この辺は、多くの人が指摘している通り、『Abbey Road』の影響であろう(ライヴではM11からのメドレーを披露したというから、かなり意識していたのだろう)。また、このM12~M14では[メンバーの本来の担当楽器とは別の楽器を所々で弾]いていたそうで、この辺からもチューリップがThe Beatlesを相当強くリスペクトしていたことがよく分かる([]はWikipediaからの引用)。M12~M14は全て財津作詞作曲で、M12、M13のリードヴォーカルが財津で、M14では財津、姫野がふたりで歌っている。

OKMusic編集部

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