『BABY Q 納涼祭』大阪場所第二夜、
TENDRE、Kan Sano、ハナレグミ、堀込
泰行が吹かせた爽やかな風ーー心から
バンザイと思える祭に

BABY Q 納涼祭 2021.8.27(FRI)なんばHatch
『Baby Q 納涼祭』
8月26日(木)と27日(金)に大阪・なんばHatchにてライブイベント『BABY Q 納涼祭』大阪場所が開催された。『Q』は、2019年に「CUE=素晴らしい音楽に触れる「キッカケ」に」「休=最高の休日に」という思いを込めて立ち上げられたインドアフェス。2年ぶりの開催となった今回は弾き語りメインのライブイベントとして実施され、「大阪場所」第二夜にはTENDRE、Kan Sanoハナレグミ堀込泰行が登場した。
●TENDRE
TENDRE
トップバッターは、東京場所初日でもトップバッターを務めたTENDRE。「納涼祭ですから、ゆったりといきましょう」と本人が観客に語り掛けたが、まさしく良いゆったりとした空気感を、美しい鍵盤の音色で彩る「Night & Day 〜 SMILE」からスタート。同期のビートも気持ちよく、流れるように「DOCUMENT」、「LIFE」へと繋がっていく。
TENDRE
会場入り口から提灯が飾られていたり、夏祭っぽいBGMがCDデッキで流されていたが、夏ど真ん中というよりは、やはり納涼祭というだけあって涼しげな雰囲気があるイベント。暑さを避けて涼しさを取り込む意が納涼祭にはあるわけで、TENDREも「8月末の秋が近づいてきてる中、涼しげで、少しでも爽やかな風というと臭いもんですが……」と話しながら照れ笑いを浮かべていたが、彼の音楽を聴いていると少しづつゆとりが生まれてくる感覚があった。
TENDRE
弾き語りが充分に堪能できる『BABY Q 納涼祭』が凄く好きだとも話して、キーボードから横に置かれているグランドピアノへと移動する。ドビュッシーの「月の光」を軽く弾いた後に「HOPE」へ。キーボードとは、また違う力強さを感じた。続く「GIVE」を披露した後に「この度はありがとうございました!」と茶目っ気ある感じで挨拶をするのも良かったし、そこから「色々な事がありますが助け合っていきましょう。これからも仲良くして下さい」とさらっとメッセージを伝えるのも粋だった。
TENDRE
ラストナンバー「hanashi」は、同期のビートと共に壮大なサウンドが届けてくれる。キーボードで演奏をしていたが、途中で「やっぱり生ピアノが弾きたくなっちゃった」と移動したり、「助け合い」、「未来の話」、「また、どこかで会いましょうね」といったフレーズを即興で歌詞に散りばめたりと、最後まで自由な感じも素敵であった。「最後に一言だけ言わせて下さい」と言って、「御自愛ください」と別れの挨拶をしてからも、撮影カメラに向かってダブルピースをしたりと、最後の最後までサービス精神たっぷりで、また、ゆっくりとライブを観たいと想えた素晴らしきトップバッター。
●Kan Sano
Kan Sano
2番手はKan Sano。挨拶をしてから、「いきなりですが、水を飲んでいいいですか?! ドキドキしちゃって……」と一呼吸置いてからも、「ほぼ喋らずにやろうと思っていたけどTENDREさんも喋っていましたし。でも喋りが止まらなくなるので。ワンマンで1曲目が始まるまで20分喋った事があって、それ以来気を付けていて」などと、本当にドキドキしていた人なのかと思うくらいに矢継ぎ早に喋り出す。20分喋るのではと不安になるが、これまた延々と聴ける心地よさがある。だが覚悟を決め、客席に向かって正面に立ち、キーボードで<そばにおいでよ>と1曲目「My Girl」を歌い始めると一瞬にして空気を変える。リズミカルなビートで、声も遠くまで飛んでいく感じで、当たり前だが枕の喋りとは全く違う最高の心地よさがある。
Kan Sano
続く「C’ est la vie」では、音を重ねたり、声にエフェクトをかけたり、そして、鍵盤を変幻自在に操っていく。3曲目「Flavor」では、同期で合わせたサウンドに不穏な雰囲気を感じさせられる。そのサウンドに身を委ね、鍵盤に触らず歌う様子も見せたが、また、それが絵になり、歌い手としての魅力も感じさせられた。
Kan Sano
「僕もグランドピアノ少しだけ弾かせていただきます」と移動して、東京場所にも出演した『BABY Q 納涼祭』の「弾き語りという縛りを試されている」と話したり、「このイベントのスタッフとの現場は凄く安心する」と話したりと、演者と裏方の凄く良い関係性を感じた一幕であった。そこから、フィッシュマンズのカバー曲「いかれたBaby」へ。原曲以上にポツリポツリと歌うが、より歌詞がストレートに伝わってくる。そのまま「Stars In Your Eyes」もグランドピアノで演奏して、曲終わりのMCでは適度にライブをしないとしんどくなる事も明かす。そこからの「ほんとは」では細心の注意を払って、少しでも観客と心で触れ合おうと歌いかける姿も素敵だった。
Kan Sano
ラストナンバーは「Natsume」。同期のサウンドに乗っかり、鍵盤より前に出て、ハンドマイクで歌う。そして、しゃがんだり、座ったり、寝転んだりとラフな感じで歌いきる。楽屋で堀込泰行が練習していたマル秘情報をユーモアたっぷりに話しながら、軽やかに去って行った。
●ハナレグミ
ハナレグミ
3番手はハナレグミ。イベントグッズの「休」と大きくデザインされた座布団で顔を隠しながら登場。何でもない事なのに、それだけでワクワクさせるから凄い。そして、エレキギターの弾き語りで「ハンキーパンキー」を自然に歌い出すが、よく考えたら今日初めて聴くギターの音だけに、なおさら新鮮さを感じる。続く「Peace Tree」では、音源ではスチャダラパーが担当していたラップを繰り出す。以前から思っていたが、永積崇は本当にラップが上手い。本来ラップを担当する人がいないから、替わりに歌い手がラップを担当しているという感じではなく、最初から歌い手が歌もラップも全て担っているというオールマイティーな凄みを感じる。歌い終わりに「色っぽいふたりが……、なんてスイートなふたりが……。でも、こっから僕と泰行がガラガラ声で歌います!」と笑い飛ばすが、いやいや、あなたたちの声は、若いふたりとはまた違う素晴らしさを持っているのですからと思わず言いたくなる!
ハナレグミ
3曲目に入る前に「弾き語りライブだと知らずで、3日前に弾き語りライブだと知って! 既にサポートを頼んじゃっていたんです!」とベーシストの鈴木正人LITTLE CREATURES)を紹介する。「野球で言うとDH(指名打者)」などと言い訳しながらも、「on & on」へと入るが、鳴らされる音はベースのみで永積は歌に徹する。そのベースが、まぁ、もう艶やかな音で、時には速弾きにもなり素敵すぎた。ベースに心身を委ねた永積の声も伸びやかで、ふたりならではの良さを感じまくる。
ハナレグミ
永積もギターを持ち、イントロのメロディーラインが聴こえてきただけで高揚する「家族の風景」や「僕のBUDDY!!」も歌われる。とにかく永積の声が抜け良く響き渡る。MCでは今の御時世にライブをする事を「禁酒法時代に音楽をやっているみたい」と冗談交じりに話しながら、弾き語りはオーディエンスの優しさでできていると伝え、ハンドクラップをお願いして「独自のLIFE」へ。ふたりで演奏するには困難な曲とも話していたが、またもや永積のラップも聴けて、そこの合わさる鈴木のベースラインも軽やかで最高だった。
「迷ってる後ろ姿こそ輝いているのでは……。揺れてる時こそ僕らみたいな音楽が力になれるのでは……。一生懸命音楽をやります」と話して、ラストナンバー「発光帯」へ。盟友のレキシ池田貴史が書き下ろした楽曲だが、ただただ聴き惚れるのみだった……。
●堀込泰行
堀込泰行
ラストは堀込泰行。「じゃあ、まぁ、ちょっとやっていこうかなと。お客さんが入っているのを見て、びっくりしているのか、安心しているのか、わからないですけど、案ずるより産むがやすしでやってみようかと」と飄々とマイペースで話しながら、アコギ1本で歌い出された1曲目は「光線」。終盤のハミング部分に魅せられ、この後どのようなライブが続くのだろうと楽しみになるが、そこは話し出すと、また先程までの飄々としたマイペースに戻っていく。今日ピックを忘れてしまい、永積のところに借りにいったものの「自分の好きなおにぎり型では無くティアドロップ型だった」とボヤいたりもする。でも、また先程の繰り返しで、2曲目「サンシャインガール」が歌われると、その独特なのどかさで気持ち良くなり、すっかりボヤキの事など忘れてしまう。
堀込泰行
曲が終わると、リハと違うイントロを付けたら入りにくかったとか、足置きを用意してもらっているが丁度良い置き場所がわからず、「俺の弾きやすい場所どこ?!」と自問自答したりと、すぐにボヤキへと戻っているが、何かもうツボに入ってしまい、一生聴いていられそうな感覚に陥っている。で、既に書いているが、歌い出すと凄い歌声なわけで、この行き当たりばったりなマイペースワールドの虜に……。これまた、気が付くと心理学の話になっていて、よくこれだけ話が飛びまくるのに、歌い出すと凄すぎるという事には感心するしかない。
「マイガール・マイドリーム」を経て、「Sunday in the park」が終わると、余韻に浸る暇も無く、「やっと足の良い場所がわかりました」と話し出されるが、もはや、この合わせ技を求めてしまっている自分がいるのも確かで、本当に不思議な気分になる。また、聴き手の我々は何もしていないのに、何故か足の置き場所がわかった事に「ありがとうございます。サンキューです」と感謝されるし、いつの間にかSiriへと話題は移っているしと、良い意味で振り回れているのに、それが全く嫌な気分じゃない。そして、名曲「エイリアンズ」へ。最上級の余韻に浸るつもりでいる中、曲終わり「ヘイ! Siri!」と突然叫ばれる! 「何なんだ、このルーティンは」としか言いようはないが、もはや天晴れとしか言いようも無い。で、あっという間に本編ラストナンバー「季節の最後に」へ。
堀込泰行
アンコールは、本編ラストナンバー「季節の最後に」と同じく馬の骨名義時代の「少しでいいのさ」。まったりとムーディーな気分になれるナンバーで〆。出演者全員の名前を呼びあげ、「『BABY Q』バンザイ!」で完全に締める。よくよく考えてみると、全組が歌はもちろんの事、喋りでも涼しさを感じさせてくれて、本当に納涼祭という名にふさわしいイベントであった。また、全組のバンドセットライブも、この『Q』シリーズで観てみたいものだ。
取材・文=鈴木淳史 撮影=渡邉一生、小川星奈

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