近石 涼

近石 涼

【近石 涼 インタビュー】
何かに向かって変わっていく姿も
“ありのまま”だと思う

自分と同じ境遇の人にとって
心の傘になれたら

続いて「兄弟 II」ですが、これはもとになった「兄弟 I」もあるんですか?

大学の卒業間際くらいに弾き語りで作ったのが「兄弟」で、友達に向けて言わんでも分かっていることを込めた曲だったんです。「兄弟 II」は卒業してしばらく時間が経ってからの曲なので、冒頭の《兄弟 あれから調子はどうだい?》はそういう2曲のつながりがあります。“兄弟 II”というタイトルにしようと思って書いた曲ではなかったんですけど、“兄弟”という響きが気に入っていたんですよね。本当の兄弟じゃなくても“盃を交わす”というニュアンス、心を許せる親友に対して“兄弟”って呼びかける感じが素敵やなと思ったんです。

《人生というものは中々上手くいかないものだ》という歌詞もありますけど、「兄弟」で別れがあったあと、自分の人生がうまくいかなかった様子が入っているんですかね?

僕が通ってた高校と大学は、周りの人がすごく優秀で賢かったんですよ。今の僕の状態が道を外れているのであれば、道を外すような人はあんまりいなくて。しっかり働いて、お給料をもらって、中には結婚している人もいる。そういう連中に“久しぶりやな!”と言って会いたい気持ちもある反面、“俺、全然うまくいっていないしな”という引け目があるんですよね。そういう人って他にもいるだろうから、自分と同じ境遇にある人にとっての心の傘になれたらいいなと思って書いた曲なんです。

曲調は明るめだし、サウンドもMVの感じもポップじゃないですか。でも、歌詞を聴くと切ないんですよね。

あははは。自分の中にちょっと捻くれている部分があるというか、きれいな曲をきれいなままに書けない、どこが陰みたいなところがあるんだと思います。でも、最終的には前を向きたい。サンボマスターが「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で《悲しみで花が咲くものか!》と歌っているのに近い想いもあるので、ちょっとネガティブだったり、切ない感じがあるからこそ、美しくも感じてもらえるんじゃないかと思います。

終盤の《最後の最後にきっと胸張って笑い合おうぜ/「どうにかなったでしょほらね」って肩叩いて》というところ、いい風景だなと思います。

うん。《「どうにかなるさ」と笑いながら肩を叩いた/あの笑顔をいつしか忘れてやしないかい?》ってフレーズがあるので、伏線回収じゃないですけど、同じことを歌ってます。

《『ありのまま』なんて誰が決めたのさ/『思うまま』の自分になるだけだ!》というのも力強く響きます。

それは本当に思っていることなんです。“ありのままでいなさい”ってよく言われるけど、“ありのままってなんやねん?”って。例えば僕が急にヒップホップをやり出したら、“何か変わったね。もっとありのままでいたらいいのに”って言われると思うんですけど、“それは自分が決めるものなんやから。僕のありのままって何ですか?”と言いたくなるんです。新社会人になって変わった奴もいるし、自分がなりたい姿になろうと変化したり、もがくことはいいことなんじゃないかと。“ありのまま”を考えるのではなく、自分がなりたいところへ向かっていくさまがありのままであれば、変わったっていいと思います。

もの作りをしている人は“自分らしくいて”って言われがちですよね。

そうですね。バンドも急に曲調が変わると、“変わってしまった”って言われるけど、本人はこだわってやっていると思うんですよ。変化する姿勢も、その人の“らしさ”なんじゃないかなって。

OKMusic編集部

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