松尾太陽

松尾太陽

【松尾太陽 インタビュー】
イメージは“歌う”
ではなく“語る”、
曲の情景を伝える
語り手でありたかった

自分の物語は自分だけのものだから
結果なんて自分で決めればいい

自分の割合が高いとのことですが、特に後半の3曲は語り手としてのポジティブな気持ちが強く出てません?

そうだと思います。

例えば、3ピースバンドのTHREE1989による「Time Machine」は若者の迷いを断ち切ってくれるような曲で、初めてご自身で作詞作曲された「掌」(『うたうたい』収録曲)、今年3月に配信された「ハルの花」とつながるものを感じたんですが、そもそも歌い出しのワードが“掌”なんですよね。これは太陽さんのことをしっかり下調べして書かれたのかなと。

僕もちょっと思いました。そもそもTHREE1989さんは候補曲をいくつも出してくださったりと、今回の楽曲提供を本当にアツく受け入れてくださって、この曲も実はヴォーカルのShoheyさんの実体験がベースになっているんです。学生の頃は“アーティストになりたい!”という夢を周りに馬鹿にされたけど、今は歌を仕事にできている自分がいて、その今の自分が過去の自分に語りかけている曲なんだと。そんなお話をしてくださって、それが今回の“語り手になりたい”という僕のイメージにハマッたんですよね。具体的な実体験を入れてくださったぶん、デモの段階から曲に魂がこもっている感じがして、すごく嬉しかったです。

それだけ大事な曲を自分のバンドでやるのではなく、太陽さんに提供したというのがすごい! きっと“この人ならしっかり語ってくれる”という信頼があったんでしょうね。

だからこそ“絶対にいい曲にしたい!”という気持ちで挑んだし、レコーディングが終わった時には“これで過去の自分が成仏できました”とShoheyさんが言ってくださったんですよ。本当にありがたい経験をさせてもらえたと思います。

さらに、山口寛雄さんとともに太陽さん自身が作詞作曲された「ハルの花」を挟んで、ラストの「起承転々」は完全に太陽さんのことを分かった上で書かかれた曲じゃありません?

まさにその通りです。ずっと一緒に活動してきて“松尾太陽のスタイル”というものを確立してくださった山口寛雄さんの曲に、コピーライターとして言葉を仕事にしてらっしゃる阿部広太郎さんの詞という、考えそうで今までなかったタッグなんですよね。しかも、歌詞を書く前に作った資料みたいなものを阿部さんに見せていただいたんですけど、これが本当にすごかったんですよ! “松尾太陽とはどういう人物なのか?”っていう文字に始まり、僕がどんな映画に出てどういう役を演じたかとか、バイオグラフィー的なものを細かく調べてくださっていて。改行を入れたり、文字の大小も変えながら、最後は“変幻自在な松尾太陽さんは、これから一体どんな道を歩んでいくのか?”と、まさに物語みたいな感じで書いてくださっていたんです。で、“そんな気持ちを込めて書いてみましたので、ぜひ見てください”と…もうね、魂を揺さぶるMCみたいなプロットになっていて、すごいインパクトでした。“ここまでしてくださったんだ!”と本当に嬉しかったです。

そうして生まれた「起承転々」は、恐らく“起承転結”からの造語ですよね。

はい。何かしら結果を残さなきゃダメだったり、締め括って終わらせるのが当たり前の世の中だけど、“結”なんてなくていい、どれだけ転んでも、躓いてもいいっていうことを伝えているんです。だから、タイトルは“起承転々”だけど、気持ち的には“起承転々々々々々…”みたいな感じで(笑)。僕も真っ直ぐな道も急角度で反れる横道も通っているし、これまで自分が歩んできた歌手人生自体にも、それってシンクロしてるんですよ。これまで決して平坦な道を歩いてきたわけでもなければ、これから歩むであろう未来の道筋もきっとそうだろうし。なので、これがエピローグに来るっていうのはぴったりなんですよね。

メッセージ性といい成り立ちといい、まさしくラストに相応しいですね。

偶然なんですけど、レコーディングも最後がこの曲だったんですよ。だから、自分の気持ち的にも、すごく良い締め方ができましたね。結局、自分は自分じゃないですか。誰かに作り上げられるものじゃないし、自分の物語は自分だけのもので、誰かに指示されてどうこうとか関係ない。“結果なんて自分で決めればいいやん!”って、聴いてくださる方々にも伝えたいですね。

今作はサウンド的にもなかなか前衛的な曲が多いぶん、最後に王道メロディアスなこの曲があると、なんだか実家に帰ってきたような安心感もあります。

分かります(笑)。落ち着きますよね。

それだけジャンルが広がり、歌うハードルも高い曲が揃うと、9月の東名阪ツアーは入念な準備が必要なのでは?

そうですね。曲の数と種類が増えたぶん、セットリストも考えようがあるので、今からワクワクしています。しかも、Zeppツアーっていう誰もが憧れる場所でやらせてもらえるのは、大きな第一歩を踏み込めるチャンスでもあるので、しっかりとものにしていきたいですね。そもそも有観客でのライヴ自体、今回が初めてなんですよ。昨年はCD購入者特典の配信ライヴのみで、正直言って“やっぱりお客さんの前でやりたかったな”と消化不良なところもあったから、今回はその蓄積してた想いをぶつけていきたいです。

しかも、ファイナルの9月23日は太陽さんの25歳の誕生日で。そう言えば、昨年もリリースとライヴは9月でしたよね。

そうなんですよ。なので、“9月になれば松尾太陽の季節”と思ってもらえると嬉しいですね。二十歳が第一の節目だとしたら、25歳は成人として本格的に動き出さないといけない第二の分岐点みたいなイメージなんですよ。よく言うじゃないですか。“25歳を超えると時間があっと言う間に過ぎるよ”って。その感覚が僕はまだよく分かってなくて、これから感じるのかもしれないですけど、ソロ活動は昨年からなのでまだピュアな気持ちでできるかなっていう(笑)。そこはちょっとひと安心だし、もっと吸収できることあると期待しています。

ソロ始動2年目はどんな目標を掲げたいと考えてます?

自分が着火剤となる何かを作り上げたいというのは、前々から考えているところですね。それを最終的には本家本元であるグループ活動のほうにも還元させていきたいですし、もちろんライヴ活動も世の中の状況が落ち着き次第、もっとコンスタントにやっていきたいと思っています。

“松尾太陽から超特急に来ました”っていう人が出てくることでしょうね。

いやぁ、そうなるとすごく嬉しいですね。ソロ活動をしている身からすると、それってアーティスト冥利に尽きるじゃないですか。入口はどっちでも嬉しいので、そうなれるようにもっと活躍の場を広げていきたいです。

取材:清水素子

アルバム『ものがたり』2021年9月8日(水)発売 SDR
    • ZXRC-2080
    • ¥3,080(税込)

ライヴ情報

『松尾太陽 one man live“MONOGATARI”』
9/19(日) 愛知・Zepp Nagoya
9/20(月) 大阪・Zepp Osaka Bayside
9/22(水) 東京・Zepp Tokyo
9/23(木) 東京・Zepp Tokyo

松尾太陽 プロフィール

マツオタカシ:両親の影響で幼い頃より1970年、80年代の音楽に慣れ親しんで育ち、12年6月に超特急のバックヴォーカルとしてCDデビュー。伸びやかな歌声と、ソウルフルなファルセットから艶やかに響く低音までを使い分ける表現力には定評があり、19年9月に開催した自身初となる単独公演『Utautai』のチケットは完売。平成生まれながら音楽ルーツと豊富な知識、さらに、どんな楽曲世界にも没入して登場人物を演じ切る七色の歌声で、今、大きな注目を集めている。20年9月にミニアルバム『うたうたい』でソロデビュー。松尾太陽 オフィシャルHP
超特急 オフィシャルHP

「橙」リリックビデオ

「起承転々」リリックビデオ

「ハルの花」【teaser】

「体温」MV

「Magic」【teaser】

「マンションA棟」アカペラver.
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「anemone」アカペラver.
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OKMusic編集部

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