L→R KOHKI(Gu)、TOSHI-LOW(Vo)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)

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【BRAHMAN インタビュー】
時代と何も関係のない
アーティストなんていないと思う

コロナ禍において、バンドの特徴と言ってもいい肉弾戦的ライヴの回避を余儀なくされたBRAHMAN。一年振りにリリースされるニューシングル「Slow Dance」は、不自由な状態だからこそ生まれたと言えるナンバーである。そんな本作に何を考えて臨んだのか? TOSHI-LOW(Vo)に訊く!

お客さんがいないものを
ライヴとは呼ばない

いかにして「Slow Dance」に至ったかという話をうかがいたいのですが、順を追っていくと、昨春の緊急事態宣言が発令された辺りで、やはり何か思うところはありましたか?

そこで何かをやろうということは見えていなかったけど、これは明日明後日で終わる話ではないし、もしかしたら2、3年と続くことで、それを回復させるのには同じくらいの年月がかかるんじゃないかとは、自分の頭の中で思っていたから、その時に明日のことであったり、目の前のことばかり考えても仕方がない。だから、もうちょっと大きく、“10年後に自分はどうあるか?”ということが大事になったというか。バンドをやってから30年間、ここまで何だかんだ、何度も問い直すタイミングがあって、今回はまた大きく自分自身を問い直した…“お前は何で歌っていたのか?”とか“なぜ表現してんの?”というところにもう一度立ち返るために、“正”という文字が今回は“一回、止まる”と書くのが“正しい”と思った。

なるほど。順を追って話をうかがうとすると、「Slow Dance」の初回限定盤に映像も収録されていますが、BRAHMANは昨年10月、『ONLINE LIVE“ IN YOUR【 】 HOUSE”』を行ないましたよね? あのような無観客の配信ライヴはTOSHI-LOWさんにとってどうだったんですか?

何も感じていないよ(笑)。…ただ、目の前のものじゃないものにどこかでつながっていることはもちろん信じているから、“これはできなくないことではないな”とは思ったけど、お客さんが目の前にいるライヴとは全然違うとも思っていて。お客さんが少なくてもいつもと同じ熱量でやれるとは思うけど、“俺たちがやってることはお客さんが0人じゃ無理なんだな”と思った。『ONLINE LIVE“IN YOUR【 】HOUSE”』はオンラインでライヴハウスとつながっていて、そこへ来た人たちには無料で観てもらうという新しい試みだったので、それ自体を感じていないとか、信じていないという話ではなくて、目の前にお客さんがいるかいないかということは自分たちが懸けるものとしては、やっぱり大事なんだということが分かったというか。たぶん今後はとても重要な意味であったり、大好きな人たちに頼まれたりとかしない限りは、無観客配信はやらないと思う。

極端に言えば、お客さんがいないライヴを自発的にやることはないということですか?

お客さんがいないものをライヴとは呼ばない…ということ。自分たちの中でライヴとは呼べないから、“だったら、やらなくていいのかも”という選択肢で、そのオンラインライヴのあとは、肉体的なライヴをやっていない。

なるほど。その後、これもまた「Slow Dance」の初回限定盤に映像が収録されているZepp Haneda (TOKYO)でのライヴを含む、有観客でのライヴツアー『Tour 2021 -Slow Dance-』を開催しました。有観客とはいえ、椅子席、オーディエンスは声が出せないという状態でしたが、実際にやってみてどうでしたか?

まぁ、開催条件は分かりきったことなので、やるとなったらそれをどういうふうにしていくかしかないし。俺は根性がひん曲がっているから、逆手にとるという考え方をするんで(笑)。動けない、声が出せない、マスクをしていて表情が見えないのなら、“だったら、もっと見せなくすればいいじゃん!”と思って。人間って動けなくなった状態でよく見ようとすると、すごい集中するから。今のライヴはお客さんの数は少なくて、規制もあるけど、みんな見ること、聴くことに集中すると思う。どうしたらそれをもっと高めることができるのかと言ったら、もっと見えなくすることだし、もっと聴こえなくすることによって、もっと集中すると思うんですよ。それは結局、自分たちが作っているようで、実は見ている側の問題だから、それを今までのライヴとは違うかたちで作ってみようかなと。

実際、Zepp Haneda(TOKYO)でのライヴでも5曲目「霹靂」までは、ステージの前に薄い幕があり、そこに映るシルエットやライティングで魅せるという演出でしたね。オープニングから派手さはなく、そこからスロー~ミドルが続きました。これは観客をライヴに集中させようとする意図があったわけですね。

コロナ禍のライヴは何が違うかと言ったら、“俺たちはいつもどおりにやるけど、みんなはマスクをして、大声を出さず、動かないでください”ってことで。あれは全然イーヴンじゃないし、勝負にならんというか。客席と同じ規制がステージにあっていい…それこそ自分たちもマスクをしてやってもいいし。だから、自分たちにも同じような規制があるべきだと思って、ハードな曲、暴れる曲…曲を鳴らすのに身体が動いてしまう衝動を止める楽曲を並べることによって、ステージ上の自分たちにも今までやったことがない規制が入る。それは俺たちが力ずくでやってきた27年間とは全然違うことで、それはそれなりに緊張するし、新しいことをやっている気もするし、“息苦しいな”と感じる瞬間もあるし。今までは別にギターの弦が切れようが、マイクがなくなろうが、ライヴを止めることなんてなかったのに、ギターを持ち換えて“ちゃんと弾こう”とか変な話で…今までそんなことを言ったこともないのに(笑)。

ステージも客席と同じ緊張感を持って臨んだということですね。

イーヴン。50対50だったと思う。

そして、そのライヴのラストで披露されたのが「Slow Dance」で。まさに今の時代を切り取った楽曲となりましたね。

今の曲なんで、それは当然だと思う。タイトルもツアーもこの名前から始まっているもので、それは今のコロナ禍じゃなかったら出ないんだから、余計にそうなるというか。

奇しくも、それが浮き彫りになった?

いや、“奇しくも”ではない。それであるしかないというか(笑)。狙ってやっているかどうかと言えば、狙ってやっている。その時代を切り取っているわけだから。なんだけれども、“コロナ禍だからやった”わけではないという。そういう手法なんだけれども、やっぱり浮き彫りにはなるよね。…ということが、今の時代ではないのかと。時代と何も関係のないアーティストなんていないと思う。

その時代をとらえることから普遍を見出そうとしているようなところはないですか?

普遍というのはね、何万年も前から“人間は生きて死ぬ”ってだけなんで、その儚い人生をどう生きるかということに関して言えば、俺のやっていることはとても普遍的だと思う。ただ、こんなに長く表現の世界にいれるとは思わなかったので、自分の中で移り変わりもあるし…例えば、少年だったのが青年になって、青年が中年になって、ここからは老年期になって、そこで見えてくるものをそのまま描きたいと思っているから。そう考えると、ずっとやっていることは変わらないとは思うの。だから、「霹靂」(2011年9月発表のシングル)の時は「霹靂」の時を切り取ったんだと思うし。みんな、勘違いしてるけど、「霹靂」を作ったのは震災前なんだよ。

えっ、そうなんですか!?

震災前の曲が奇しくも震災を表しているようなことになった。でも、今ならそれも理解できるわけで…“こんなことが起き得るかもしれない”って。「霹靂」を作った時、“また、この人、“死ぬ”みたいなことを言ってるよ”みたいなことを自分たちのファンからも感じたところがあって、“こういうことって伝わらないんだな”と思ったんだよね。でも、そこから10年経って、「霹靂」が表しているようなことが目の前で起きている。コロナ禍でも同じ。昨日まで元気だった人が一瞬で目の前からいなくなる。でも、それはコロナがなかろうが、地震や津波がなかろうが、起きていることなんで。交通事故なのかもしれないし、不慮の何かかもしれないけど、目の前から大事な人が突然いなくなったり、もしかすると自分がいなくなる可能性があるというのが、“生きている”ということだし、それを俺はずっと歌っているだけだから。「霹靂」や「Slow Dance」に代表される何かを歌っているわけじゃない。
L→R KOHKI(Gu)、TOSHI-LOW(Vo)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)
シングル「Slow Dance」【初回限定盤A】(CD+2Blu-ray)【初回限定盤B】(CD+2DVD)
シングル「Slow Dance」【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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