L→R コイズミキョウコ、上田ケンジ

L→R コイズミキョウコ、上田ケンジ

【黒猫同盟 インタビュー】
黒猫目線で書いて、
言いたいことは全部猫に言わせる

ステイホームの時間が与えられて、
もう一度好きなものを選び直した

「プロヴァンスで夜更かし」の歌詞には《他愛もないと思っていた/くつろぎが今となっては、そう/必要なの》とあって、コロナ禍で変化した暮らしの実感も感じ取れたのですが。

上田
この状況になって、いろんな人とは会わなくなるじゃないですか。だけど、それが実はとても心地良くて。“不自由ではないな”みたいな。自分の生活を見つめ直した時、“これ、すごくいいじゃん!”みたいなところもあるんですよね。
コイズミ
もちろん制限されたこともたくさんあると思うけど、だからこそ発見したこともいっぱいある…と私も思っていて。もともとミュージシャンとかって、ご自宅でレコーディングできる方も多かったと思うけど、みなさんそれをさらに極めたでしょ? それにプラスして、リモート会議とかって前は苦手だったんだけど、移動時間のロスがなくなるし、“なんて便利なの!?”って。そういういいこともあるし、今だからこそ生まれるアイディアもすごくあるし。
上田
うん。コロナ禍による今の制限がなくなったとしても、きっと2WAYになって、もうもとには戻らないと思う。大きなスタジオでずっとやっていたけど、この2年ぐらいで宅録を極めてみると、突き詰めればそんなに変わらないものができるし、そのどちらにも良さがあるってことが分かったからね。だから、いろんな方法でこれからはやっていくんだろうな。
コイズミ
それと、コロナ禍になる前って忙しさに慣れてしまっていて。いろんなことが気にはなっていたけど、大元の主電源まで消しちゃうとまた動くのが億劫だから、ずっと主電源は入ったまま、小さいオン/オフしかしてこなかった感じがするんですよ。だけど、ステイホームの時間が与えられた時に、その時間を私は懐かしくも感じたし、本当に休めた感じもあって。そうなると家の中のものが目に入ってきて、もう一度好きなものを選び直したり。お酒もね、バーとか人が集まるところに行って飲むのも楽しいんだけど、今思えば“止められない”感じだったなって(笑)。“この人に会ったら絶対に飲みに誘われるから会いたくないなぁ”みたいなさ(笑)。
上田
そういう日、あるよね(笑)。
コイズミ
そういうことからも解放されて、“選んでいいんじゃないの?”ってムードになった感じがある。
上田
あるある。だって、18時とか19時とかに仕事が終わったら“飯でも行く?”って誘わないと悪い風潮が以前はあったしね。僕なんか結構年上のほうだから若い人と仕事すると、それを楽しみにしてる子たちもいるし。だから、それが僕の手料理に変わったという感じかな?
コイズミ
いいことも見つかった気がする。ただ、大人はそれでいいと思うけど、小さなお子さん、学生さんのことを気の毒に思ったりはしますよね。自分にとっても未だに忘れられない、あの青春の日々、あそこでしか感じられなかった想いがあるし、それが自分の中に深く根差している…筋肉や骨みたいなものだったりするから。
上田
そうだね…。
コイズミ
せっかく大学に受かったのに一度もキャンパス行ってないとかね。遊びたい盛りなのに、マスクをしていないといけないし、友達にもあまり触っちゃいけなかったり、人がいっぱいいるところで遊べなかったり。でも、リモートでも授業が受けられることによってチャレンジできる人も増えるのかもしれないし。今後、価値観がいろいろと変わるかもしれないですよね。
上田
黒猫同盟も絶対、コロナ禍になっていなかったらやっていない気がする。
コイズミ
私もそう思う。

『ホントのコイズミさん』自体も、コロナ禍の状況を受けて始められたのですか?

コイズミ
その依頼自体とコロナ禍は関係なかったかもしれないけど、番組のテーマについては何度もミーティングして、私が“本がいい”と言ったんですね。今の本屋さんってすごく多様化していて昔と全然違うから、本屋さんだけど本だけを売っているようには見えないですよね。そこに彼ら•彼女らはどんな想いを乗せているのかをすごく知りたくなって。そういうところから、人生だとか、悩みだとか、番組を聴いた人がいろいろなことの解決の糸口を見出すことができる、いろんなお話を聴けるんじゃないかと思うようになったんです。だから、直接コロナ禍がどうというのではないけど、その時の私の心境がそうだったから関係はあったのかなとも思いますね。実際、フェミニズムの本だけを扱っている本屋さんとか、韓国文学だけとか、オーバーマガジンというLGBTQ+の本を買いつけて出版している出版社さんだとかをご紹介しているので。この番組を聴いて、その中の一軒にでも行ってみたいと思ってもらったり、ひとりひとつぐらいは“次のドア”を開けてほしい…そういうことができている気はしているんですよ。だから、そのおしゃべりの間に黒猫同盟の曲がかかるのは大きいですよね。これが私たちのメッセージだったりするから。

ゲストの方とコイズミさんのお話される声も、黒猫同盟の曲も、その空間から聞こえてくる音も、全てを含めて非常に心地良い番組です。

コイズミ
番組のスタッフが全員…プロデューサーの方もディレクターの子も若い女性で、3人でいつもグループLINEとかで打ち合わせをしているんですね。黒猫同盟もそうだけど、今はそういうミニマムなものが、逆に大きな世界に行きやすい気はしています。

本との出会いで力になる言葉を見出すのと同じように、今作の楽曲たちからも力を与えられます。「黒猫探偵団」では為政者を風刺するような歌詞がありつつ、《呆れてばかりじゃ退屈よ》と結び、聴き手の行動を促す前向きなメッセージになっているし。

コイズミ
この曲は一番最後に作ったんじゃなかった?
上田
そうだね。なんかもう我慢できなくなって(笑)。バシャ〜!とやってやりたいと思ったんで、それを歌にしちゃおうと。
コイズミ
私があとからちょっと抑えたぐらいですからね、“これはちょっとキツすぎるんじゃない?”って(笑)。

シニカルで毒がありますが、ユーモラスでキュートで。

コイズミ
猫が言っているからね。
上田
そう! 僕らが言っているわけではない(笑)。ひじきちゃんと小福田さんに耳を傾けたらこういうことを言っていた…ということで。

OKMusic編集部

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