【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#219
音楽プロデューサー・松任谷正隆の言

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

20代は列車で例えれば前方車両にいた感
覚があったかもしれないが、8号車くら
いが居心地がいい

より

2021年3月23日に発行された、松任谷正隆の著書『おじさんはどう生きるか』(中央公論新社)は、5年間の新聞連載を1冊にまとめたエッセー集。今回の名言は、その発売を記念したインタビュー記事からの抜粋である。アメリカのロックバンドTOTOをはじめ、海外から新しいデジタルサウンドが入ってきた1980年代、松任谷はその音作りに愕然とし、「腰を軽くして、新しい音楽にも接しないとダメ」と痛感したという。それがやがて、“シティポップ”という、今や世界的に愛されるジャンルの確立につながったのだ。自身が作るものは「最先端の音楽ではない」と名言する松任谷。音楽業界を列車に例え、今回の名言となる。「20代は前方車両」「最新のヒットチャートの音がいいと思えないときは15号車まで下がっているとも感じる」「(音楽業界という)列車に乗っていることが大事。それも、なるべく前のほうにいたい。情報がリアルに感じられるから」と、今もなお音楽に貪欲な松任谷。興味を持つ分野は幅広く、趣味や自宅での過ごし方なども語られている。ポップス界の巨匠の本音が垣間見えるインタビューである。
松任谷正隆(まつとうやまさたか)
1951年11月19日生まれ、東京都杉並区出身。音楽プロデューサー、編曲家、作曲家、キーボード奏者、モータージャーナリスト、雲母社社長、雲母音楽出版社長、マイカ・ミュージック・ラボラトリー校長。1971年、吉田拓郎のアルバム『人間なんて』にミュージシャンとして参加。1972年、小坂忠らと共にロックバンド 小坂忠とフォー・ジョー・ハーフを結成。1973年、細野晴臣らと共にロックバンド キャラメル・ママを結成。その後キャラメル・ママのメンバーを中心にティン・パン・アレイに移行。1974年、谷山浩子の楽曲「お早ようございますの帽子屋さん」の編曲に関わる。それをきっかけに、吉田拓郎、イルカ、尾崎亜美松田聖子岡田有希子山下久美子など、多くのミュージシャンの楽曲の編曲を手掛け続けている。1982年、『FNS歌謡祭』にて最優秀編曲賞を受賞。1986年、音楽学校『マイカ・ミュージック・ラボラトリー』を開校。1987年、妻である松任谷由実の『DIAMOND DUST』コンサートツアーで演出家デビュー。2007年、『YUMING SPECTACLE SHANGRILA III〜A DREAM OF DOLPHINE〜』の総合演出を担当。この功績が認められ、ロシア安全保障アカデミーよりロモノーソフ勲章を受章。2014年、『第9回渡辺晋賞』を受賞。2019年、佐野史郎のレコーディングを切っ掛けに、鈴木茂林立夫小原礼らとロックバンド・SKYEを結成。10月27日にアルバム『SKYE』が日本コロムビア/BETTERDAYSレーベルよりリリースされる。同アルバムのコーラスには、松任谷由実、矢野顕子、尾崎亜美、ブレット&バター、吉田美奈子、小坂忠と、錚々たる人物が参加している。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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