乃蒼ヒカリ、アイドルとプロレスを両
立させるデスマッチ大好きチャンピオ
ン! 東京女子最大のビッグマッチで
王者としてリングに立つ

アップアップガールズ(プロレス)〈読みは「アップアップガールズカッコプロレス」。以下アプガ(プロレス)〉の乃蒼ヒカリがチャンピオンとして東京女子プロレス最大のビッグマッチに登場する。
アプガ(プロレス)とは、ガールズアイドル、アップアップガールズ(仮)の姉妹グループで、DDT、東京女子プロレスとのタイアップ企画から誕生した。2017年8月にオーディションが開催され4人が合格、アイドルデビューに続き18年1月4日の後楽園ホール大会でプロレスデビューを果たしたのである。
現在も3人が現役レスラーとして活躍中で、そのひとりである乃蒼は今年5月にシングルのベルトを初戴冠。これまでインターナショナル・プリンセス王座2度の防衛を遂げ、10・9大田区総合体育館大会「WRESTLE PRINCESS II」では3度目の防衛戦が組まれている。大舞台を前に、乃蒼に意気込みを聞いてみた。
――乃蒼選手はアップアップガールズ(プロレス)でプロレスデビューしていますが、オーディションに応募したきっかけは?
「私はもともとプロレスがやりたくて、一回、東京女子に応募しているんですよ。そのときはまだ北海道にいたころで、『高校を卒業してからでも大丈夫だから』という話をされていったん諦めたんです。その後、夜中に見ていたアイドル番組で、アプガ(プロレス)の募集を知ったんですね。アイドルもやってプロレスもやる。そこでプロレスをやるのが東京女子だと知って、いましかないと思って応募しました。当時は専門学校に通っていたときだったので、18歳くらいですかね」
――アイドルへの興味もあったのですか。
「実は、アイドル全然知らなくて(苦笑)」
――プロレスは知らずにアイドル好きで応募したアプガ(プロレス)の渡辺未詩選手とは対照的ですね。
「そうなんですよ、逆なんです(笑)。なんかよくわからないんですけど、当時はアイドルって簡単にできるんじゃないかと思ってました(苦笑)。唄って踊るのってそんなに難しくないだろうって甘い考えで、いけるんじゃないってくらいの感じで」
――いま考えるととんでもない?
「そうなんです(苦笑)」
――レスラー志望だったので、プロレスの方が大変だろうという意識が大きかったのかもしれませんね。
「そうなんですね」
――もともと、どういうプロレスが好きだったのですか。
「小さいころからずっとデスマッチが好きでした」
――デスマッチ?
「血が出るのが好きで、生でも見ていたし」
――大日本プロレスとか?
「そうですね。東京まで追いかけていったりもしました。基本、土日といったら北海道から東京にいって、月曜から金曜までバイトしてという生活をしていました」
――デスマッチを見るために?
「そうなんです。デスマッチ見るために(笑)」
――ところで、アプガ(プロレス)に合格したときは、どういう気持ちでしたか。
「ホントは受かると思ってなかったです。そのときは専門学校2年目で、卒業とかも考える時期なので、これからどうしよう?みたいな感じでした。大学いくのも勉強はイヤだし、だからといって働きたくないし…。どうしようと思いながら(オーディション)受けちゃおうかな、受かればいいかなと思ってたくらいだったので、受かったときは逆に大変だ、どうしよう??と思いました。ただプロレスができることに関してはワクワクでしたね。それでもスタートが(アイドルとしての)ステージデビューの方が早かったので、これからどうなっちゃうんだろうと思いながら、蛇行しはじめてました(苦笑)」
――プロレスとアイドル、両方のトレーニングが必要になりますよね。プロレスの練習はもちろん、アイドルとして歌やダンスが求められると思いますが、両立させるのは大変だったのでは?
「プロレスは、自分が見てきたことを自分でできると思うとすごい楽しかったですね。でもやっぱり、歌とかダンスとかは苦手でした。まだ克服できてないです、全然」
――それでも単独でライブをやったり、大会では毎回オープニングで唄いますよね。
「ハイ。でも、まだ全然ですよ」
――とはいえ、両立させていると思います。
「両方を同時進行ではじめた前例がないからこそ、なにがうまくいってて、なにがうまくいってないかもわからず、手探りで夢中でやって現在に至る感じですね」
――プロレスデビューから3年半ほど経ちますが、5・4後楽園でインターナショナル・プリンセス王者となり、初めてベルトを巻きました。
「勝ったときはやっと取れたなって気持ちがあったんですけど、その日が無観客でお客さんから直接おめでとうと言ってもらえることがなかったので、実感がわきはじめたのはホント最近なんですよ」
――ベルトを取る前、プロレスを続けるべきかどうか、悩んだ時期もあったようですが。
「そうですね。タッグパートナーだった汐凛セナがプロレスを卒業して、今後ひとりでやっていけるかなという不安がありました。私って、タッグパートナーが次々やめていくジンクスがあるんですよ。万喜なつみ(現なつぽい)も移籍したりして…。なんていうんですかね、ホントに不安が大きくて、それでやめようかと思ったこともあります。でも、汐凛が私のベルト姿を見たいと後押ししてくれたこともあって、やっていかなきゃなと思ったんです」
――5・4後楽園で上福ゆき選手からベルト取った試合は、堂々の勝利でした。
「あ、ホントですか。でもそのときはさみしかったですよ、お客さんいなくて」
――新型コロナウイルスの影響で無観客試合でしたね。ところで、チャンピオンになってから気持ちに変化はありますか。
「そうですね、やっぱりチャンピオンとして堂々としてなきゃいけないというのもあるし、東京女子のチャンピオンだから東京女子の代表という目で見られるじゃないですか。なので一試合一試合、恥ずかしくないような試合をしたいと思ってます」
――これまで2回防衛しました。挑戦者は2人ともシングル王座初挑戦の選手でしたね。小橋マリカ選手と、らく選手。とくにらく選手は、アプガ(プロレス)のメンバーでもあります。
「まさかマリカさんがくるとは思ってなくて。でも、タッグベルトは取ったけどパートナーがいなくなったりして、なんか自分と似たような心情は持ってるのかなって考えました。とにかく試合では、ゼロ防衛で終わるのはイヤだなと思って闘いましたね。でも、そのときはまだチャンピオンだという自覚は全然なくて、取るか取られるかくらいの危ない試合でしたね。2度目の防衛戦はらくでしたが、いずれはくるだろうと思ってはいました。らくって、ふだんはすごくふわっとした感じの選手なんですけど、ベルトがほしいとかいう話も以前から聞いていたりして結構負けず嫌いだったりするので、きてくれたのはすごいうれしかったです」
――なるほど。いま持っているインターナショナル・プリンセスのベルトはどんな位置づけと考えていますか。東京女子ではプリンセス・オブ・プリンセス王座が頂点のタイトルだと思いますが、インターナショナル王座とは?
「個性が光るベルトだと私は思っています。強さだけじゃなくて、個性が光っていくようなベルトにしたいなって。そのためにもいろんな選手を相手に防衛していかないといけないと思っていますね」
――次は3度目の防衛戦、愛野ユキ選手が挑戦者です。しかも大田区総合体育館という大会場。ビッグマッチで王者としてリングに立ちますが。
「そうなんですよ! 大きい会場でタイトルマッチ。怖いなと思うんですけど、昨年の東京ドームシティホールで私は2試合やってるので、もう怖いものなんてないなって思ってるんです(笑)。選手も増えたなかでチャンピオンとして立たせてもらい、なおかつシングルのタイトルマッチをさせてもらえるのはすごくありがたいと思ってます。そこはもう全力で一番いい試合、その日一番よかったのはインターナショナルのタイトルマッチだったと思ってもらえるような試合をしたいですね」
――愛野選手はいま勢いがありますよね。実際、乃蒼選手はタッグマッチで負けているし、その前にはタッグながらプリンセス王者の山下選手にも勝っている。
「2年前くらいにユキさんと後楽園でシングルしてるんですね。そのとき負けちゃってて、その借りも返さなきゃと思ってます。借りを返すのがまさかタイトルマッチになるとは思ってなかったんですけど、いまはチャンピオンとして2回防衛してきたので、山下さんに勝ったユキさんはすごいとは思うんですけど、私もここまで上福さんという先輩、マリカさんという先輩、そして同期(らく)も倒してきた身なので、そこの自信というのはユキさんにも負けていないと思ってます!」
――借りを返す場が大会場でのタイトルマッチ。しかも王者として迎え撃つとはこれ以上ないシチュエーションですね。
「そうですね。大きい会場とかのプレッシャーがかかればかかるほど、楽しくなっちゃいますね、私は(笑)」
――度胸ありますね。度胸があるからなおさらハードコア、デスマッチができるのでしょう。
「そうですね。防衛したらご褒美にハードコアかデスマッチ、誰かやってくれないかな(笑)。できれば、ベルトをもってやりたいです」
――乃蒼選手は今年、ハードコアマッチ、電流爆破デスマッチも経験しました。
「まだまだやり足りないですね。なんだかんだ一回やったら怖くなってもうやらないんじゃない、みたいなことを言われたりするんですけど、全然。メチャクチャ楽しいですよ!」
――ホントに? 怖いし、痛いでしょう。
「ハイ、そうですね。痛いです。でも私、あこがれてた葛西純選手(FREEDOMS)の背中がすごい傷だらけなので、そういう背中がほしいなって思ってて」
――傷だらけの背中?
「プロレス会場でなら『あの子はデスマッチやってるからね』と思われるんでしょうけど、アイドル会場にこんな人がいたら、メッチャおもしろくないですか?」
――傷だらけで?
「ハイ、傷だらけで(笑)」
――目立つでしょうねえ。
「そういう存在になりたいです」
――新しいアイドルの形を作ると。
「そうですね」
――背中はコスチュームで隠れるので見えないでしょうが、肩や腕は…。
「そういうところが傷だらけのアイドルレスラーになりたいなって」
――新分野の開拓ですね。
「ハイ!」
――では、乃蒼選手にとって東京女子とはどんな団体ですか。
「初期から言ってるんですけど、オモチャ箱みたいだなと思ってます。一人ひとりがホントに個性的で、プロレスに興味ない人でも一度会場にきたら絶対に好きな子が一人は見つかると思うんですよ。一人ひとりの個性が輝いているからこそ、誰かの心にささると思ってて、そこは東京女子の強みなんじゃないかなって」
――まったく知らなくても、お気に入りが必ず見つかると。
「そうです。東京女子はみんな個性が強いから大きい会場も強いと思います。みんな際立ったキャラがあるし、一番後ろの席からでも誰が誰だかわかるんですよ。東京女子のそういうところは素敵だなって思いますね」
――お気に入りの選手を見つけてほしい?
「ハイ。そのなかから私を好きになってほしいです(笑)」
――そんな乃蒼選手にとって一番のライバルとは? 絶対に負けたくないのは誰ですか。
「え~、誰だろう? 誰ですかね」
――アプガ(プロレス)で、「負けたくない」「負けたくない」と唄っていますが。
「ハイ。そうですね、勝てたことはないんですけど(プリプリ王者の)山下選手はいま同じチャンピオンとして闘っているので、ちょっとライバル視しているところはあります。どちらもシングルのベルトを持っているので、どっちがいい試合ができるか、闘わなきゃなって」
――10・9大田区はタイトルマッチ同士の間接対決でもありますね。タッグ王座戦も含め3大タイトルマッチでどの試合がよかったか、比較されるでしょう。
「そうですね、そこも張り合って(挑戦者の)ユキさんだけじゃなく、ほかの人たちとも張り合っていかないと。ゲスト選手とかもきてくれておもしろいカードも増えたので、そういうところも負けられないですよね!」
経験を積むにつれてどんどんカッコよくなっていく乃蒼ヒカリ。どんな王者像を築いていくのか興味深い。10・9大田区でのタイトルマッチは、彼女にとってプロレスキャリア最大の大一番だ。デスマッチ好きが高じてプロレスラーとなり、アイドルも兼任。異色のレスラーは実力もどんどんアップしているだけに、今後がもっとも期待される選手のひとりと考えていいだろう。ハードコア、デスマッチの入口にはまだ立ったばかり。だからこそ、キャリア最大の試合をキャリアの通過点として注目したいと思うのだ。
聞き手:新井宏

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