伊藤麻希、顔面骨折を乗り越えつかん
だ最高峰王座挑戦権! 団体史上最大
のビッグマッチで東京女子のカリスマ
が運命の相手・山下実優に挑む

東京女子プロレスが10月9日(土)東京・大田区総合体育館にて「WRESTLE PRINCESS II」を開催する。
この大会は、昨年の11・7東京ドームシティホールを上回る団体史上最大のビッグマッチだ。メインでおこなわれるのはプリンセス・オブ・プリンセス(以下プリプリ)選手権試合。王者・山下実優に「第8回東京プリンセスカップ」優勝者・伊藤麻希が挑戦する。
伊藤は全23選手参加のトーナメントを制し、挑戦権とともにビッグマッチのメインという重責も請け負った。王者とはタッグパートナー対決でもあり、これまでシングルでは一度も勝てなかった相手でもある。とくに19年1月の初挑戦ではトラウマ級の敗北を味わわされている。が、伊藤は常に逆境を力に変える人間力で発信を続け東京女子のカリスマと言われるほどになった。それだけに、3度目の正直として期待がかかる。本欄では挑戦者の伊藤にインタビュー、大一番を迎える胸の内を聞いてみた。
――先日のプリンセスカップでは準々決勝(7・31新宿での鈴芽戦)で顔面骨折(左頬骨不全骨折)を負いながらも欠場せずに優勝(8・15後楽園で中島翔子に勝利)。ふつう、顔の骨を折ったら試合には出ないでしょう。
「そうですねえ(苦笑)」
――なぜ、出られたのでしょうか。棄権しなかったモチベーションとは?
「ウフフ。たぶん、ラッキーだったんですよね。ただ、ホントに絶望的なほど顔は腫れたんです。それでもなんだか、運よく腫れの引きが早くて、まわりが思ってた以上に治りが早かったんですよね。まあ、相手の技が当たるとけっこう痛かったんですけど…」
――当たらなくても痛いでしょう。
「アハハ。そうですね。でも、表に出られる顔であれば大丈夫かなあと思って」
――外を歩ければ試合もできる?
「なんか、賭けに出ちゃったんですよね(笑)。これでダメならダメだし、これで勝てば伊藤麻希って最強だなって自信にもつながるだろうと思って、ギャンブルに乗ったんですよ」
――無茶だとは思いますが、ギャンブルとして出場してしまったと。
「そしたら見事、大当たりでしたあ(笑)」
――ただ、骨折した状態での試合なんて、ほかの選手には決して勧められないですよね。
「ハイ、それはホントにできないです。もしこのインタビューを見てる人のなかでプロレスラーになりたいという子がいたら、顔面骨折したらさすがに休んだ方がいいとアドバイスしますよ」
――そうですよね。伊藤選手は以前、小顔整形したことを告白しましたが、骨折により整形のやり直しとか、影響はなかったですか。
「アハハ。そこはなにも関係ないです(笑)。そもそも小顔整形じたいがなかなか気づいてもらえず結果を得られていなかったので。あれはただの自己満足の世界ですね。まあ、大した成功ではなかったのかなって(笑)。あれはあれでよかったんですけど」
――骨折はすでに完全に回復したのでしょうか。
「いや、押すとまだ多少は痛いんですよ(苦笑)」
――骨折は時間がかかりますよね。
「そうなんですよねえ。あせっちゃいけないです、骨折は」
――ケガをしてしまいましたが、骨折を乗り越えて見事に初優勝を成し遂げました。そして、プリプリ王者・山下実優選手の方からタイトルマッチを要求、10・9大田区で伊藤選手が挑戦することになりました。今度の大田区大会は東京女子年間最大のビッグマッチであり、初進出の大会場。そのメインイベントに挑戦者としてリングに上がることに関してはいかがですか。
「なんかまず、自分がこんなに早くそこに立てるものとは全然思ってなくて、できたとしても、もっと時間がかかると思っていたんですよ。今後やっていくうちに、そういう大きなステージでのメインに立てる存在にはなるんだろうなというのはなんとなく思っていたけど、まだまだ時間がかかるだろうと。たとえば、いまから5年先とかね」
――ビッグマッチのメインを飾るとしても、キャリア10年目くらいからだろうと。
「ハイ。なので、今度のビッグマッチでメインができるなんてまったく想像してなかった。それでも出られることになって、この世に絶対ってないんだなって思いましたね。自分しだいでどうにでもなるんだなって」
――伊藤選手は自身の行動で常識を覆すというか、加速度をアップさせてメインに立てる状況を作り出しましたよね。
「ハイ」
――伊藤選手はプリプリ王座に今年4・17後楽園での辰巳リカ戦以来、通算で3度目の挑戦になります。山下選手とは何度もシングルで対戦していますが、タイトルマッチでは1度、今回が2度目になりますね。プリプリ王座はまだ届いていない東京女子の最高峰王座ですが、このベルトについてはどう考えていますか。
「あれを取ったら自分のことだけじゃなくて、団体も上げていくこととかも考えていかないといけないですよね。負担とかプレッシャーとかが大きくなるだろなというのは普通にわかります。でも、トーナメントで優勝してから世界(海外)からでも『伊藤麻希っておもしろいよ』と言ってくれている人が多いから、いまのタイミングで挑戦することが自分にとってのベストなんだろうなと思ってますね。難しいベルトだってことはわかってますよ。でもやっぱ、挑戦していかないとダサいじゃないけど、現状維持が一番ダメじゃないですか。現状維持では衰退するから、私はどんどん挑戦していこうと思ってる」
――以前、インターナショナル・プリンセス王座を保持していましたよね。あのベルトと、今度挑戦するプリプリ王座のベルトにはどんな違いを感じていますか。
「インターナショナルはもともと海外選手との闘いが中心だったんですけど、このご時世もあって、ちょっと意味合いが変わってきつつありますよね。いまはキャリアの若い子が奪い合ってるようなイメージ。プリプリの方は、やっぱり団体の頂点なんだと思います。インターナショナルが下だと言いたいわけじゃないんですけど、インターナショナルよりも絶対的にいい試合をしなきゃいけないと思いますね」
――プリプリ王座戦の方がより高いレベルを求められると。
「ハイ、そうですね。タッグに関してもそうですよ」
――プリンセスタッグ王座とも比較されると。
「ハイ。タッグのベルト以上にいい試合をしないといけないと思ってます」
――となれば王者はもちろん、挑戦者の責任も大きいとなりますね。
「そうですね」
――以前挑戦したときは、山下選手が絶対王者と言われていました。山下選手とは同い年で福岡県の同郷。今年に入ってからは121000000(ワントゥーミリオン)というタッグチームでも活動しました。シングルではまだ勝ったことがない山下選手とは、どういう存在ですか。
「いままでは、山下実優に対して“強い人”ぐらいにしか思ってなかったんですけど、年月を重ねるにつれて、あの人と出逢えたのはホントに運命だなとか勝手に思っちゃってるんですよ。自分のプロレス人生を変えてくれた人でもあるし、挫折もあの人から味わわされた。プロレスの楽しさもあの人から感じさせてもらったし。ホント、伊藤にとって大事な人なんですよね。たぶん東京女子プロレスのなかで一番大事な人だと思う。私はそう思ってます」
――プロレスのスタイルからすると正反対でもありますし、かつてはあまりまじわらないようなイメージがあったんですけども、ここ数年で関係性がものすごく深まったと思います。
「そうですね。ファイトスタイルは全然違うんですけど、なんか山下実優と闘うと、私も知らなかった伊藤麻希がどんどん出てくるんですよね。たぶんそれが伊藤的には楽しいし、山下実優もそんな伊藤麻希を見られることが楽しいと思っているんじゃないですか。そうなるとやっぱり、会場の空気とかも変わってくるんですよね。そこも2人でしか作れない空間だから、山下実優って出逢うべくして出逢ったというか、やっぱり自分にとって大事な人なんだなと思います」
――会場の空気を変えるというところでは、山下選手に負けてないと思っているんじゃないですか。
「うん、思ってる! メチャメチャ思ってる(笑)。会場の空気を自分のものにするというのは、むしろ伊藤麻希の方が長けてると思ってるよ」
――東京女子のエースと言われるのは山下選手だけれども、その部分では勝っていると。
「お客さんの共感力を武器にして自分を奮い立たせることができるのは、自分だと思ってる」
――そこが東京女子のカリスマと言われるゆえんだと思うのですが、逆に劣っているところはなんでしょう?
「う~~ん、なんだろうな? う~~ん。強さって言っちゃうとなんか薄っぺらく感じちゃうんですけど、強さだと表現するしかないんですよねえ」
――とはいえ、山下選手にはっきりと勝っている部分があると言えるものがあるのは大きいですよね。
「そうですかね。でもなんか、なんだろうな? 伊藤はその場の思いつきとかで結構変わったりするとかもあるんですけど、会場を100%自分の空気にもっていけさえすればいけると思ってるんですよね」
――ということは、大田区の大会場を伊藤麻希の世界にもっていく自信があると。
「あります、ハイ!」
――大田区総合体育館はいままでで試合をしたなかでもっとも大きな会場になると思いますが。
「そうですね、でも、全然恐怖には感じていないですね。自信がつきました、トーナメントで」
――顔面骨折という、あの逆境から勝ったわけですから。
「そうなんですよ。ただ、トーナメントなしでこのタイトルマッチに挑むとなってたら、ちょっと気負ってたかもしれないです」
――では、あのトーナメントが伊藤選手をさらに強くしてくれたと。
「そうですね。完全にそうです!」
――では、大田区での勝ちをイメージできていますか。
「できてます! 覚悟もできてますし、ハイ」
――では今回、伊藤選手がプリプリ王座を取る意味とはなんでしょうか。
「東京女子プロレスを新しくしていく意味があると思ってますよ」
――新しくしていく?
「そう。いままでの常識をとりあえず壊していくところから始まるんだろうなと思ってて。新時代の幕開けじゃないけど、そんなふうに伊藤は思ってますね」
――ということは、「東京女子を満員の東京ドームに連れていく」との発言がありましたが、実現への足掛かりということになりますかね。
「そうですね。いままであるものも大事だと思うけど、新しいものも大事だと思ってて。そうやって変化していくうちに東京ドームに行けるんじゃないかなと、伊藤は思っているんです」
――そういう意味でも、今度の大田区大会は見逃せないですね。
「そうですね。そこが大事な過程になりますね!」
伊藤の決意からしても、10・9大田区のメインイベントが東京女子プロレスの分岐点となることは間違いないだろう。初代プリプリ王者で3度戴冠の山下が3度目の防衛を果たし、再び絶対王者へと君臨するのか。それとも伊藤が悲願の初戴冠で、東京女子にまだ見ぬ風景をもたらすのか。
聞き手:新井宏

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