ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B
’wayミュージカル非公式ガイド【20
21年秋編】

祝・ブロードウェイ再開! 2021年9月よりいくつかのロングラン作品が大盛り上がりのうちに再開幕を果たし、今月からは新作のオープンも続々と予定されている。米国入国に際してはワクチン接種完了と陰性証明書が、日本に帰国後も10日間の自主隔離が必要な今はまだ、ブロードウェイ旅行を夢見るには早いかもしれない。だが、ブロードウェイでは観客にもワクチン接種完了が求められる代わりに人数制限などはないし、日本でもワクチンパスポートのデジタル化が進んでいたりと、ワクチンの存在感は増している。願わくば次回か、その次の連載更新時には筆者が夢を叶え、トップを最新のブロードウェイ写真で飾れていますように……!(今回のトップ写真は、『ニュージーズ』が流行っていた2013年のもの)
そして現地時間の9月26日、全米と国外の演劇ファンにブロードウェイ再開をアピールするかのように、本来は昨年6月のはずだった2019‐20シーズンのトニー賞授賞式が開催された。授賞式と言っても、演劇とミュージカルの作品賞を除く各賞の発表は事前に行われ、式典ではノミネート作だけにとどまらない様々なパフォーマンスがメインになるという異例の構成。ノミニーとして、パフォーマーとして、またプレゼンターとして、ブロードウェイの重鎮やスターが一堂に会するような豪華な一夜となった。受賞結果などはSPICEでも既報なのでそちら(https://spice.eplus.jp/articles/293187/)をご覧いただくとして、ここでは筆者の個人的名場面3つをピックアップ! なお、公式としてパフォーマンス動画は上げていないようなので、3つともが少しずつ含まれたハイライト動画を貼っておく。

■第1位:オープニング
司会を務めたのは、2016年に『ハミルトン』で主演男優賞を獲得したレスリー・オドム・ジュニア。彼がバックダンサーを従えて歌い踊りながら劇場ロビーから客席に入ってくるという始まり方が、観劇のワクワクは劇場に足を踏み入れた瞬間に始まっていることをまざまざと思い出させてまず秀逸。客席から舞台に上がるとバックダンサーの数はさらに増え、そして既に開幕済みの『ウェイトレス』『ライオンキング』などの扮装キャストが乱入してくる演出も素晴らしく、開始早々もう泣けた。それにしても、司会がオドムで、客席最前列には『ハミルトン』の作者リン=マニュエル・ミランダが座っていて、オドムとミランダの絡みがCM明けで使われて、授賞式の最後を飾ったのもミランダ率いるフリースタイル・ラブ・シュプリームのパフォーマンスで、今のブロードウェイの中心人物は間違いなくミランダなのだなぁと実感させられること山の如し。再開アピールの年に相応しいだけでなく、より広い意味での“今”のブロードウェイを象徴するようなオープニングでもあった。

■第2位:『ムーラン・ルージュ!』
例年のトニー賞では、ノミネート作は授賞式の会場でパフォーマンスされることが多かったが、今年は3作とも上演劇場からの中継。セットをある程度持ち込んで“移動上演”する気合と規模のデカさもトニー賞の楽しみポイントの一つだった筆者としては最初こそ少しだけがっかりしたのだが、中継先の劇場にもしっかり観客が入っていたこともあり、最終的にはどれにも大興奮だった。中でもやはり、作品賞を含む最多10部門で受賞を果たした『ムーラン・ルージュ!』は圧巻! こんなすごいものを週8回毎日見せているブロードウェイの凄まじさはもうなんというか、理解不能である。2023年の日本版も楽しみだ。

■第3位:『ウィキッド』
オリジナルキャストのクリスティン・チェノウェス(グリンダ)とイディーナ・メンゼル(エルファバ)が、初演から20年近く経っても変わらぬハマリ役ぶりと絆を見せつけながら大名曲《For Good》を歌った。この二人がこの曲を歌う動画にはいつどんな状況で被弾しても泣くため、“今年のトニー賞の名場面”という文脈の今回は第3位としたが、最も号泣して嗚咽したのは実はこの場面である…(筆者のブロードウェイ『ウィキッド』愛についてはhttps://spice.eplus.jp/articles/266843をご参照)。次ブロードウェイ行ったら新作を1本犠牲にしてでも久々に『ウィキッド』を観よう。いややっぱり、犠牲にできるものなんてないからできるだけ長く滞在しよう。主催者の思惑通り、まんまとそう決意する筆者であった。

【2021-2022シーズンの新作】
*情報は2021年9月30日時点のもの
『1776』2022年秋プレビュー開始予定
1969年のトニー賞受賞作をD・パウラス演出でリバイバル。米国独立宣言の裏側を描く。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/upcoming/1776/
『ビートルジュース』2022年4月8日プレビュー開始予定
2019年作品の再演。『ムーラン・ルージュ!』でトニー賞に輝いたA・ティンバース演出作。
https://beetlejuicebroadway.com/
『Caroline, or Change』2021年10月8日プレビュー開始予定
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/upcoming/caroline-or-change/
『アメリカン・ユートピア』上演中!
映画版も話題となった、ミュージカルに近いコンサート。2019-20シーズン以来の再演。
https://americanutopiabroadway.com/
『Flying Over Sunset』2021年11月11日プレビュー開始予定
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/
『Freestyle Love Supreme』2021年10月7日プレビュー開始予定
『ハミルトン』クリエイター陣が製作する即興ミュージカル。2019-20シーズン以来の再演。
https://freestylelovesupreme.com/
『ファニー・ガール』2022年春プレビュー開始予定
1964年初演作品の58年ぶりのリバイバル。ロンドンで好評を得たM・メイヤー演出版。
『MJ The Musical』2021年12月6日プレビュー開始予定
マイケル・ジャクソンの半生を『パリのアメリカ人』のC・ウィールドンの演出・振付で。
https://mjthemusical.com/
『ザ・ミュージックマン』2021年12月20日プレビュー開始予定
H・ジャックマンとS・フォスターが夢の共演。スタッフ陣も盤石で大ヒット確実!
https://musicmanonbroadway.com/
『Paradise Square』2022年2月22日プレビュー開始予定
『生きる』の作曲家J・ハウランドの新作。19世紀マンハッタンを舞台に人種間の絆を描く。
https://paradisesquaremusical.com/
『シング・ストリート』2022年プレビュー開始予定
同名のアイルランド映画(副題「未来へのうた」)の舞台化。オフでの好評を受けてBW入り。
https://singstreet.com/
『お熱いのがお好き』2022年プレビュー開始予定
M・モンロー主演の名作映画をC・ニコロウ(『アラジン』)の演出・振付で舞台化。
『ウェイトレス』上演中!
2016年作品の再演。作詞作曲のS・バレリスが10月17日まで主演中。来年1月まで。
https://waitressthemusical.com/
The Who’ s Tommy』2021年プレビュー開始予定
中川晃教主演で日本でも上演されたロックオペラの新演出版。演出は再びD・マカナフ。
https://tommythemusical.com/

【2019-2020シーズンの新作】
『カンパニー』2021年11月20日プレビュー再開予定
ソンドハイムの傑作コメディの、主人公を女性に置き換えたリバイバル。P・ルポン主演。
https://companymusical.com/
『ダイアナ』2021年11月2日プレビュー再開予定
ダイアナ元妃の人生を描く。無観客収録された舞台が10月よりNetflixで配信中。
https://thedianamusical.com/
『Girl From the North Country』2021年10月13日再開予定
ボブ・ディランの楽曲がちりばめられてはいるが、作りとしては完全にプレイ。要英語力。
https://northcountryonbroadway.com/
『Jagged Little Pill』2021年10月21日再開予定
アラニス・モリセットの同名アルバムをミュージカル化。2021年のトニー賞で脚本賞受賞。
https://jaggedlittlepill.com/
『ムーラン・ルージュ!』上演中!
2021年のトニー賞受賞作。原作はB・ラーマン監督の映画。2023年に日本で上演される。
https://moulinrougemusical.com/

『ミセス・ダウト』2021年10月21日プレビュー再開予定
同名映画を『サムシング・ロッテン!』の作家兄弟と売れっ子演出家J・ザックスが舞台化。
https://mrsdoubtfirebroadway.com/
『SIX: The Musical』上演中!
ロンドンで大ヒット。ヘンリー8世の6人の妻がガールズパワーを炸裂させる痛快作!
https://sixonbroadway.com/

Tina:ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』2021年10月8日再開予定
ロンドンでの好評を受けてBW入り。トニー賞受賞の主演女優の登板は10月31日まで。
https://tinaonbroadway.com/

【ロングラン作品】
■日本で既に上演された/されている作品
『アラジン』上演中!
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯は本当に魔法。
https://www.aladdinthemusical.com/
シカゴ』上演中!
『オペラ座の怪人』に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。出来は割とキャスト次第。
https://chicagothemusical.com/
『ライオンキング』上演中!
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/
『オペラ座の怪人』2021年10月22日再開予定
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/
『ウィキッド』上演中!
開幕から15年が経ち、ようやくチケットに多少の余裕が。定期的に観たい傑作。
https://wickedthemusical.com/

■日本未上演の作品
『Ain’ t Too Proud』2021年10月16日再開予定
『ジャージー・ボーイズ』のチームが描くテンプテーションズの軌跡。二番煎じだが良い。
https://www.ainttooproudmusical.com/
『ブック・オブ・モルモン』2021年11月5日再開予定
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/
『カム・フロム・アウェイ』上演中!
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/
『ディア・エヴァン・ハンセン』2021年12月11日再開予定
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。映画版が間もなく公開。
https://dearevanhansen.com/
Hadestown』上演中!
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/
『ハミルトン』上演中!
チケット超入手困難なモンスター級ヒット作。ディズニー+で配信中(英語音声のみ)。
https://hamiltonmusical.com/

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