が〜まるちょば「パントマイムは奥深
い」 長編舞台作品『PLEAE PLEASE
MIME』が来年1月上演へ

2019年に約20年におよぶデュオ活動に終止符を打ち、ソロアーティストとして活動しているが〜まるちょば。最近では東京五輪の開会式での“動くピクトグラム”のパフォーマンスで、日本のみならず世界でも大きな話題を呼んだ。

 
そんなが〜まるちょばの長編舞台芸術作品『が〜まるちょばLIVE 2022 STORIES“PLEASE PLEASE MIME”』が2022年1月7日(金)から東京・紀伊國屋ホールで開催される。2021年1月にも上演された本作だが、コロナ禍の影響で夜の3公演が中止になってしまった本作。再演にむけて、10月18日、都内で記者会見が開かれ、が〜まるちょばが今の思いを語った。
初めましてのお客さんにも楽しんでもらいたい 
が〜まるちょば
ーーまずは一言、ご挨拶をお願いします!
前回はコロナの影響で、夜の公演が全部キャンセルになってしまい、思うようにいかない部分もあったのですが、今回、リベンジができるということで。1年経っていますので、作品自体もブラッシュアップして、お客さんに喜んでもらえたらなという意気込みでありますので、何卒よろしくお願いします。
 
ーー今年の1月に行われた公演の再演という形になりますが、改めてどういった内容になりますか?
 
基本、再演です。だけれども、この1年で、(自分のことを)初めて知っていただいた方が増えたので、初めましてのお客さんが増えると思うんですね。そういった人たちに向けて、パントマイムってこういうものなんだと知ってもらうために、ちょっと工夫しなければいけない部分もあるかなと思っております。
 
なので、今まで見てくださった方の期待にも応えつつ、初めましての方にも、パントマイムにはこういう世界があるんだというものを見せられたらなぁと思っております。
 
ーーストーリー仕立ての本作。作品のストーリーを考える際にはどのようなところからヒントを得ているのですか?
 
僕、パントマイムを始めて30年になるんですけど、基本、常にアンテナを張っていて。例えば、きょうのような記者会見も、普段は味わえないでしょう。「こういうのもシチュエーションになるんじゃないのかな?」という形で、アンテナを張っていて。そこで喋らないという特別なパントマイムな表現で、これだったら面白くできるんじゃないかと常に考えています。
いざ今度新作を作ろうとなったときに、引き出しからあんなこと、こんなことと取り出して、そういう形で作品に紡いでいきます。
が〜まるちょば
ーー今回再演するにあたって、どういった部分をブラッシュアップしていきたいか、また、どのような変化を作品に加えたいかを教えてください。
まず作品って育つんですよ。僕は演者でもあり、作者でもあるので、作品を育てなければいけない。もっともっと面白くなると思っているし、これで完成ってない。前回のものを自分で見ていると、ダメだしは出てくるので、そこを手直ししていく。もっともっと面白いものにしたいという思いがあるので、それを作品に込めるのがひとつあります。
 
それと、初めましてのお客さんが多いと思いますので、そういったところで間口をちょっと広げたいなと。分かりやすければいいというわけでも、難しければいいというわけでもない。パントマイムって言葉がないので、ストーリーを展開していく時に、最初にわからないと、お客さんが置いてけぼりになることがあるんですね。
言葉で「この水を持った時に、手が痺れてさ」といえば、手に持っているものが水だと分かるけれど、言葉で言わないと伝わらない。なのでそういったところをどうやって面白くするか、どうやってお客さんに伝えていくかを考えながら作品を作るんです。
 
喋りすぎる舞台って面白くないことがあると思うんです。パントマイムも実は説明過多だとつまらなくなってしまうことがあって、その塩梅が難しい。見慣れているお客さんには見やすいけど、初めてのお客さんにはクエッションマークが増えることがあったりする。その塩梅をいつもと変える部分も出てくるかな。
お客さんを置いていくわけじゃないけれど、僕の方から「これ、どうですか? どういう風に心が動きますか?」というチャレンジ的なところもあったりするだろうなと。変わることは必然だと思いますので、そういう形で作品を育てていけたらいいなと思っております。
「動くピクトグラムは出てこないです」
が〜まるちょば
ーータイトルにはどういう意味が込められているのでしょうか?
ご存知の通り、THE BEATLESの『PLEASE PLEASE ME』(どうか俺のことを喜ばせてくれ)に引っ掛けています。
僕の信じるパントマイム、僕の愛するパントマイムをあまり知られることがなくても、パントマイムを皆さんが喜ばせてくれよ、という。そのためには劇場に足を運んで欲しいし、喜んでもらうためには僕にも作品を面白くしなくてはいけないその責任もある。そこで、『PLEASE PLEASE MIME』とつけています。
 
ーー「動くピクトグラム」のようなものは出てきますか?
全く入っていないです(笑)。あれはあれで、パントマイムではないので。そこははっきりしなければいけないなかな。オリンピックはオリンピック、作品は作品。おかげさまで、物づくりのが〜まるちょばを知ってもらえたかなと思いますけど、ピクトグラムを見たくて来てもらっても、大上段に構えると、本意ではないです。
でも、あれを面白いと思ってくれた人は、僕の舞台も面白いと思ってくれる自負はあるので、ぜひ見に来てください。
 
ーーコロナ禍の一年半どういう時間を過ごされたのですか?
止まない雨はないというか、いつかは舞台ができるだろうなという心持ちではありました。舞台やパフォーマンスを生業にしている人たちが、あれやこれやといろいろなことで、お客さんに自分の存在を知ってもらう工夫をしているのを見ていました。声もかかったりはしていました。
だけど、意外と違うなという感覚があって。僕の舞台は、舞台だからこそ面白いものをやっている自負がある。たとえ映像で見せようという話になっても、それはコロナだからやるわけではなくて、昔からパントマイムをどう映像で表現するかということは考えてきたことだったから。
人と人との距離が離れ、世の中の仕事がリモートになっているけれど、僕のやっているパントマイムは昔の状況でないとなり得ないパフォーマンスだなと再確認したというのがあります。今回の東京公演が、どれぐらいのソーシャルディスタンスか分からないんですが、少なくともお客さんと僕のいるところに、空気ができると思うので。……まぁ要するにあまり変わらないということですね(笑)。
パントマイムは奥深い
が〜まるちょば
ーーが〜まるちょばさんにとってパントマイムとは?
 
仕事です。
パントマイムというのは、僕は舞台でやるものだと思っています。パントマイムって、見ている人の心が動くんですね。逆にいうと、演者が心を動かすことで、感情移入していただいて、見てくださる方が喜ぶ、楽しむ表現なんです。笑いだったり、言葉にならない感情だったり、悲しみだったり。言葉を使わない舞台を見ることによって、見ている人がいろいろ心動かして、見終わった後に満足して帰るのが、パントマイムだと思っています。
僕もパントマイムを習い始めた時は、パントマイムってこういうものなんだって、知らなかったんですよ。ないものをあるように見せる技術なのかなと思っていたけれど、やればやるほど、奥が深くて素晴らしいものなんだと知った。そして、僕は一生の仕事にできるなと思ったんです。
 
あと、しゃべりが下手でパントマイムを始めたというのもあります。なるべく伝えたいなぁと思うんだけど。パントマイムって言葉を使わないから、受け手がどう捉えるかで何か違ったものになるかもしれないけど、何か思いや言葉にならない思いが伝わるのが、パントマイムだと思っています。
が〜まるちょば
ーーこれまで35カ国でパフォーマンスされてきたということですが、今後行ってみたい国は?
 
ないです(笑)。こういう仕事をさせてもらったから、35カ国行ったんですけど、もともとどこかに行きたいとか、そんなにないんです。なぜ35カ国行ったかというと、そこに見てくれる人がいたから。
 
実は最初は日本だけでやっていたんですね、日本だとお金の都合や集客の問題で、そんなに公演数を打てない。でも、海外に行けば、世界中から大勢の人が来るフェスティバルなどがあったり、僕らに興味を持って呼んでくれたりする。
最初に海外に飛び出したのは、そこにたくさんの見に来てくださるお客様がいたから。だから、見てくれる方がたくさんいてくださるところに行きたいですね。パントマイムは言葉を使わないので、人として生ける人の前では、どんな人でも楽しめるパフォーマンスだとは思っています。なので、お客さんがが〜まるちょばを見たい、パントマイムを見たいというのであれば、そこに行きたい。
 
ーー国によって見せ方は変えるのですか?
 
僕は日本で生まれて、日本で知識を学んだので、やっているのは日本の文化に沿ったものだと思うんです。だけれど、パントマイムの作品を作る時に、言葉にならない思いは、違う文化で育ったとしても、意外と変わらないことが多いんです。だから作品自体はそんなに変えない。
ただ、作品の中にジェスチャーが出てくるときがある。ジェスチャーってある意味言葉ですから。例えば、子どもを可愛がる時に頭を撫でる。それが失礼にあたる場合がある。そういう言葉として情報を伝えるようなものは変えたりしますが、作品のストーリーは基本変えないで、楽しんでもらっています。
が〜まるちょば
ーー最初にパントマイムを始めた時と、今で、パントマイムに対する想いは変わりましたか?
最初はまず、これを仕事にできるとは思っていませんでした。だけど、ラッキーなことに、やり始めていったら、奥が深い……なんでもそうだと思うんですよ、仕事って。極めようと思ったら。僕の想像以上に奥の深い表現だったんです。
 
(パントマイムも)身体表現ですから、体がバンバン動く若者の方が表現として素晴らしいものができるのかなと思っていたんですけど、お客さんが心を動かすのは、肉体をどれだけ動かしたではなくて、この人がどういったことを感じているのか。それをどれだけ伝えられるか。結局そこなんです。
 
舞台って嘘なんですよ。舞台で雪山で遭難して……なんて嘘じゃないですか。嘘をどれだけ本当に99.9%に近づけて表現できるかというのが、パントマイム表現の中で最高の技術。それを習得することには限りがないなと思ったので、これは一生できる仕事なんだなと思って。だから、今でも続けられています。
今、怖いのは、肉体の衰えがものすごく来ていること。若い時から、気力と体力って、僕はどちらかといえば、気力が落ちることがものすごく怖かった。年を取ると、気力がなくなっちゃうんじゃないかと思っていたんですけど、今でも気力はある。肉体が衰えることで、気力が落ちないようにすることをすごく危惧していて、そうならないように頑張っています。昔以上に頑張っている自分がここにいます。
ーー公演を心待ちにしているみなさんに一言お願いします。
 
コロナが蔓延して、エンターテインメントの世界はなかなか難しい状況になりました。ただ、この頃、100%回復しているわけではないですけど、少しずつ息を吹きかえしている。
僕自身も舞台ができることがとても嬉しかったし、ありがたいと感謝しています。それと同時にお客さんには、ぜひ見逃さずに、一期一会、一回の舞台を大切にしていただけたら嬉しいなぁと思います。見たいか見たくないか、面白くするかどうかは、僕の責任だと思いますけども、見て後悔はしないと思いますので、ぜひぜひ、以前のようにエンターテインメントに力を貸してくれたらなぁと思います。
取材・文・撮影=五月女菜穂

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