「ばかみたい」からたどる松本千夏の
ルーツーー話している時よりも、歌詞
の方がリアル

2020年3月にリリースされた自主シングル「KEMURI」はノンプロモーションながらYouTubeで58万回再生(2021年10月23日時点)を突破し、2018年8月にはデジタルシングル「歌って」のリリースとともに〈KING RECORDS〉よりメジャーデビュー。多くの人々の共感を生む楽曲を発表してきたシンガーソングライター・松本千夏。
10月20日(水)にリリースされたデジタルシングル「ばかみたい」は、NakamuraEmiなどを手掛けるカワムラヒロシがアレンジメントに参加し(松本本人曰く)“ヒリヒリ”した楽曲に仕上がっている。
彼女がギターを手に紡ぎだすのは、自身の半径1メートルの世界だ。リリースを重ねるほど、世界を描写する解像度が高くなっていく。松本はどのように言葉を選び、世界観を構築しているのか? 彼女自身のルーツを遡りながら、新曲「ばかみたい」を含めた曲づくりについて、話を聞いた。

「早く売れたい」ってずっと焦っていた

―幼少期からダンスとミュージカルを習っていたと聞きました。最初に音楽に興味を持ち始めたのはその頃からですか?
最初のきっかけはモーニング娘。ですね。保育園の頃から好きで、何も習ったことがないのに妹とダンスを作って踊ったりしていたんです。その流れで、ダンスは小学校3年生から習い始めました。
―ミュージカルもだいたいその時期から。
4年生からです。ダンスレッスンでずっとセンターを担当している上手な先輩がいて、「この先輩には敵わないな….」ってずっと思っていました。
その先輩が100人規模のミュージカルサークルにも所属していて。公演を見た時にレベルの高さに衝撃を受け、そこからみっちり高校3年生くらいまで、ずっとミュージカルを習っていました。
―その時点で、夢は歌手だったんですか? それともアイドル?
いや、その時はとにかくセンター、主役になることしか頭に入ってなくて、その道のプロになろう、みたいな思いはありませんでした。はっきりと目指し始めたのは、アコギを持って歌い始めた高校2年生の時かもしれないです。実はそれ以前に弾き語りには興味があって。ギター好きの父からエレキギターを買ってもらったことはあったんですよ。
―最初がエレキだったんですね! なんだか意外です。
でも重たいし、家でアンプに繋ぐと「うるさい!」って怒られるじゃないですか(笑)。しかもアンプに繋がない状態のエレキギターってカラカラの音。弾き語りをするにはテンションが上がらなかったんです。しばらくほったらかしにしていました。
でも高校2年生の時、演劇部に入っていた後輩がギターをやっていることを知って。彼女を相方にみかんサイダー(松本がソロデビュー前に組んでいたアコースティックユニット)を結成しました。そこで私はアコギを買ってもらい、改めて真剣にやり出したんです。エレキと違って“弾き語り感”が一気に増したから「なんだこれは、楽しい!」ってのめり込み、柴田淳さんの「夢」をずーっと弾いていましたね。
―じゃあ、歌手になりたいって思い始めたのはみかんサイダーを結成した後?
そうです! 高校3年の頃かな。実は成績も悪くはなかったので、先生からは「もったいなすぎる」と言われたんです。でも音楽学校に入ることを決めた時点で歌手になるって決めました。「ちゃんと売れなきゃ」と真剣になりましたね。そこから路上ライブをしたり、東名阪ツアーもやりました。「早く売れたい」ってずっと焦っていたと思います。
―なぜそこまで「音楽のプロ」という道にこだわったのでしょう?
進路のことを考えた時、いろんな道を考えたんですよ。大学を何校も見に行って、保育のボランティアも経験して、地方の芸術大学も視野に入れたりして。全てがピンとこないなかで音楽の専門学校の体験に行ったら「これだー!」ってなったんです。
今の私の師匠であるRUNG HYANG(以下ルンヒャン・音楽プロデューサー)さんの即興で曲を作る体験授業を受けて、プロの力に痺れちゃって。「やっぱり音楽じゃないとこんなにワクワクできないんだ」って思いました。実際、専門で一緒に音楽塾のルンヒャンゼミを受けているメンバーにはすごく影響を受けていると思います。
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