橘安子を演じる上白石萌音

橘安子を演じる上白石萌音

【インタビュー】NHK連続テレビ小説
「カムカムエヴリバディ」上白石萌音
「私は現代劇よりも、昭和以前の役の
方がしっくりくるんです(笑)」

 11月1日から放送がスタートするNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。本作は、昭和・平成・令和の時代を、ラジオ英語講座とともに歩んだ家族のストーリー。初代ヒロイン・橘安子を演じる上白石萌音が、インタビューに応じ、現在の心境を語った。
-以前、「“朝ドラ”にずっと憧れていた」というコメントを発表していましたが、具体的に印象に残っている“朝ドラ”はありますか。
 私が中学1年でデビューした年に放送していたのが、井上真央さんの「おひさま」(11)でした。毎日録画して、学校から帰って正座して見ていました。日々の楽しみでした。
-そんな思いを抱いていたのですね。
 毎朝15分でみんなに元気を与えて、それを見たみんなが仕事に行って頑張るって本当にすてきなことだなって感じました。いつか私もこういうことができる女優さんになりたいなとひそかに思っていました。
-いよいよ「毎朝みんなに元気を与える人」になるわけですが、心境は?
 元気になってもらえたらうれしいですね(笑)。12歳からの夢がかなったうれしさもありますし、それとは違った責任感や不安もありますが、出来上がったものを見たら、本当に温かくて素晴らしいドラマになっていたので、自分のことはいったん置いておいて、今は祈っています。
-安子の兄役の濱田岳さんとのエピソードがあれば、教えてください。
 岳さんとは、私が初めて主演した『舞妓はレディ』(14)という映画でご一緒して、それ以来です。大好きな方なので、兄妹役を演じられてうれしかったです。岳さんは、ことあるごとに、私をご飯に連れて行こうとしてくださったのですが、ご時世的なこともあってかなわなくて。でも、それは何年掛かっても実現させたいなと思います(笑)。
-昭和の時代を生きた安子を演じるに当たり、何か事前に学んだことはありますか。
 私は、現代劇よりも昭和以前の役の方が、しっくりくるんです(笑)。「昭和っぽいね」と言われることもあります。なので、一生懸命その時代になじむようにとは、あまり意識はしなかったです。とはいえ、今とは、社会の雰囲気とか、年齢の捉えられ方も全然違って、劇中の安子は16歳で『ちょうどいい見合いの頃合いだ』と言われたりもします。現代とのギャップはとても大きいので、そこは時代背景をしっかりくみながら演じたいなと思って臨みました。
-戦争のシーンも挟まりますね。
 その頃のこともしっかりと勉強したくて、事前に岡山にある空襲展示室に行きました。あとは、祖父母に戦争体験を聞いたりして、物語ではなくて、本当にあった現実のこととして捉えるためにいろいろ調べたりもしました。
-第1週では、安子と松村北斗さんが演じる稔との関係がとても初々しく描かれていました。演じる上で、意識したことを教えてください。
 安子にとって稔さんは、本当に憧れの年上のお兄さん。誰しもそういう経験が一度はあると思います。でも安子にとって、それが恋愛感情なのか、憧れなのかはあまり分からないところがまだあって。初めて安子が、ほんのり淡い夢みたいなものを持ったときの気持ちとか、“うぶさ”みたいな部分は、監督ともすごく相談しながら演じました。2人はとても純粋だし、英語という共通の興味があって話が弾んだりするので、とてもアカデミックな仲でもあると思います。
-安子が14歳で英語に熱中したように、上白石さんが小中学生のときに熱中していたことがあれば教えてください。
 私もその頃から英語が大好きでした。小学3年生から5年生までメキシコに住んでいた時期があり。私は帰国してから英語に目覚めたのですが、そこから塾に通って英語を頑張ったり、中学の英語の授業でも、クラスメートと競って勉強したりもしていました。なんであんなにモチベーションがあったのか分かりませんが、いまだに英語は大好きなので、火はあの頃についたなって思います(笑)。
-安子の娘である2代目のヒロイン・るいを深津絵里さんが演じますが、上白石さんは芝居中に深津さんの顔が浮かんだりすることはありましたか。
 そこは、あまり意識はしなかったです。ただただ目の前にいる幼い(子役の)るいを見て、「この子のために…」という思いでやってきました。でも、ふとわれに返ったときに、「この子が(いずれ)深津さんになるんだな」とたまに思ったりはしました(笑)。あと、あるとき、深津さんが贈り物をプロデューサーさんに預けてくださったことがあって。撮影中はそれを心の支えとしてずっとそばに置いていました。
-地方での撮影中、上白石さんの気分のリフレッシュ法は何でしたか。
 ずっとウイークリーマンションに泊まっていたのですが、自分でちゃんと家事や自炊をすることが気持ちの切り替えになっていました。私は、もともと野菜切ったりするのが好きで、料理も全然手間のかからないものを作っていたので、それは苦になりませんでした(笑)。
-安子はとても優しい子ですが、反対に安子の「ここはちょっと困ったなぁ」という部分は何か思い付きますか。
 うーん。何でしょう。あまり人に相談しない子ですね。そこが偉いと思うし、逆にちょっと心配でもあります。
-稔さんとの関係で悩んでも、お母さんにも誰にも相談しないですもんね。
 そうなんですよ。それが安子の愛で、素晴らしいところでもあるのですが、はたから見ると「安子、誰かに言っていいんだよ」と思います。でも、幼なじみのきぬちゃん(小野花梨)が相談相手になってくれるので、今後、安子にとってその存在は大きくなると思います。
-安子が稔に出会ったように、上白石さんは学生時代に誰かの影響を大きく受けた経験はありますか。
 高校時代、隣のクラスにいた男の子が帰国子女で英語をペラペラ話す子でした。その子が、何かと私に突っかかってくるんです(笑)。「次の模試で勝負ね!」みたいな。それで勉強の意欲をかき立てられて、私も成績を上げなきゃ、上げなきゃと思って頑張れたので、その子にはとても感謝しています(笑)。
-結果は?
 その子とは、テストで勝ったり負けたりを繰り返していました。数学とかだと全く歯が立たないのですが、英語だと「イケる」と思って頑張っていました。
(取材・文/山中京子)

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