反田恭平×JNOメンバー座談会【Vol.
4】管楽器編~鈴木優(Hr.)&古谷拳
一(Fg.)〈前編〉

反田恭平✕JNOメンバー座談会Vol.4。前回までは、コントラバス大槻健、ヴィオラ長田健志、ヴァイオリン宇野由樹子の3名が集う弦楽メンバーによる座談会をお届けしてきたが、今回からは管楽器セクションの2名が新たに登場する。
2021年11月にはファゴットの古谷拳一、12月~翌1月には、ホルンの鈴木優によるリサイタルが行われる。現在、ベルリン在住の古谷は現地からのリモート参加。今回はJNOのオーケストラの在り方についても話が及んだ。
◆JNO参加のきっかけは一本の電話から/“生の声”を重視
――鈴木さんがJNOに所属することになったきっかけを教えてください。
鈴木:ある日突然、反田さんから携帯に連絡があったんです。もちろん、私は反田さんのことを知っているのですが、初対面でしたので、真っ先に「何かやらかしたかな?」と心配になりました(笑)。私たち金管楽器奏者はピアニストの方々と密に関わることはほとんどないんですね。なので、これまで、反田さんとはまったく接点はなく、本当に驚きましたね。
反田:2018年の始め頃、ダブルカルテットからMLMナショナル管弦楽団に移行する際に金管楽器も増やさなくてはということで、僕自身、ネットやYouTubeで個人的にいろいろリサーチしていたんです。優さん(鈴木)はそのようなかたちで知り、アプローチしました。今は、SNSで簡単につながれるので、コンタクトも取りやすいのはいいですね。
――古谷さんもお電話で?
古谷:そうですね、僕も反田君から突然携帯に電話がかかってきて、最初は「マジか?」と思いました(笑)。
反田:メンバーを選ぶ際に、僕はだいたいアーティスト写真を見れば、その人の演奏も想像がつくのですが、やはり電話で生の声を聴くことはとても大切です。古谷君は、もう最初から「音楽命」みたいな感じだったし、優さんも、電話での第一印象でノリの良さやフットワークの軽さを感じました。一言目がすごく純粋で、とても前向きな印象。声でわかるんですよね。それで、その瞬間、「あ、一緒にやっていこう」と思いましたね。
鈴木:最初の電話でも、「少人数で演奏会やりたいんですが、一緒に弾きませんか?」みたいなざっくりとしたお話で、細かいことは絶対言わないんですよ。
反田:いや、そこが重要なんですよ。まあ確かに、本来のプロセスとしては順序があるかもしれないけれど、まずは、「一緒に弾きたい」、「同世代でみんな一緒に弾こうぜ!」というキーワードだけでワクワク楽しくなるという、その気持ちが一番大切なんですよ。僕の中では、「一緒に弾くの?弾かないの?」という二者択一ですね。それで、「みんなで純粋に音楽を楽しみたい」という思いを語ってくれたら、こちらもとことん尽くしますし。
◆「つねに童心!」のソリスト集団 個性と協調性
――ソリスト集団のオケとなると、一人ひとりが個性的でありつつ、一つになるためには協調性も持ち合わせなくてはならない難しさがありますね。
反田:オケのトッププレーヤーやソリストとなると、それなりにプライドも高いですし、個性もありますから、確かにそれが一番難しいです。でも、我々のオケは珍しいくらい仲がいいんですよ。ツアー中にバス移動してても、めっちゃ楽しいですからね。
鈴木:確かに、演奏中はみんな大人っぽいんですが、普段は少年たちみたいで。ツアー中は修学旅行みたいなんですよ(笑)。
反田:やっぱり、そういうの大事ですよ。コミュニケーションの深まり方が違うんですよね。でも、女性陣は基本的に男子より精神年齢が高いので、きっと呆れてると思いますよ。「またコイツらふざけてる」みたいな。
鈴木:いや、なんかワチャワチャしてて、楽しそうだな、と(笑)。
――古谷さんはJNOに関して、最初どのような印象を持ちましたか?
古谷:JNOに関しては、同世代の室内楽オケということで、今までやってきたオケの概念が覆された感じがしています。僕にとっては、譜面に書いてあることの先にある事柄や思いをメンバーみんなと共有して楽しめるのが本当に楽しいです。音楽を読み込んだ上で、ちょっとした大人の上級な遊びを同世代間でできるのがこのオケの最大の魅力だと思っています。
――皆さん、どこからともなくそのようなアイディアが出てくるのですか?
古谷:突然、誰かが意見を出してきたり、演奏中でも突然沸き起こるマジックみたいのを感じることもあります。誰もが予想していなかったものがフッと生まれ出た瞬間をそれぞれが掴み取って、それが連鎖的に広まり、さらにいい音楽が出来上がっていくのを間近に感じ取るという感じです。そういう意味では、メンバーが集まるごとに違う化学反応が起こりますし、つねに進化し続けているので、無限の可能性のようなものを感じています。
――通常オーケストラというのはそういう音楽の作り方ではないんですね?
鈴木:通常は指揮者がまとめる感じですね。指揮者の中でもイメージや思いが固まっているので、それにいかに応えるというのもオケ奏者としては一つのやりがいではあるのですが、奏者一人ひとりが、その場で自由に意見を言って、一つの作品を作り上げていくのは本当にJNOくらいじゃないかと思います。
――同世代間ですから年功序列とも無縁で、縦組織でもなく、完全にフラットな組織ですね。
反田:僕自身、ピアノを弾きながら振っていても、僕の音楽を押し付けたいともまったく思わないですし、みんなと意見交換をしたいがゆえにこういうことやっている感じですね。
みんなが音楽について真剣に考えるという姿勢は中高生くらいまではあったと思うんですが、大人になると大人の付き合いが出てきて急に変化してしまうんですね。だから、「俺たちはつねに童心でいようぜ!」みたいな感じなんですよ。
◆ホルン&ファゴットの魅力とは?
――お二人の楽器との出合いも伺いたいのですが。ホルン、ファゴットとの出合いは?
鈴木:私、本当はクラリネットをやりたかったんですが、中学生の時、部活で先輩から無理やりやらされたんです(笑)。
――それはもしかして、他の人よりも肺活量に恵まれていたという理由で?
鈴木:いや、一般女性と比べるとむしろ肺活量は少ないと思います。
反田:へー、優さんの演奏聴いてると、そんなことまったく感じさせないけど。
鈴木:いかに効率良く鳴らすかということはいつも考えていますね。やっぱり、肺活量は男性にはかなわないので。
――ホルンは最も演奏が難しい楽器という印象があります。
鈴木:世界一難しい金管楽器としてギネスブックに載ったんですよね。コントロールがすごく難しいんです。
――「ホルンの丸いフォルムが好き」と鈴木さんの紹介サイトにありますが、ホルンの魅力とは?
鈴木:ホルンは楽器としても歴史がありますし、どの楽器とも混ざりやすい音色感が魅力かなと思っています。ハーモニー楽器とソリストとしての魅力の両方があるところもホルンならではです。だから、今では私にこの楽器を押し付けた中学校の先輩に感謝しています(笑)。
今回の演奏会では、三人のホルン奏者で演奏するんですが、ハーモニー楽器としての美しさと、三人のそれぞれの個性が出せるラインナップを考えてみたので、ホルンの魅力を存分に楽しんでいただけると思います。
――楽しみですね! ホルンの魅力を知るのにおススメの作品はありますか?
反田:ピアニスト目線で言ったら、一番有名なのは、チャイコフスキーのピアノ協奏曲だよね。第一番の、あの最初のフレーズ。
鈴木:そうですね。嫌々ホルンを始めた(笑)私が、「ホルンってカッコいいかも!」と初めて思えたのは、マーラー一番の「巨人」を聴いた時でしたね。最後はセクション全員で立ち上がって弾くところもありますし。
反田:ああ、確かに! いやね、僕もこのオーケストラがもう少し大きくなったら、最初にやりたいのが「マーラー一番(巨人)」なんだよね。
――古谷さんはいかがですか?
古谷:僕もはじめ、本当は花形のトランペットが吹きたかったんです。でも、競争率が高くて……。(ファゴットは)小学校4年生の頃から吹いているのですが、“あまりもの”なので、小学校の先生に、「ファゴットを吹いたらスゴくいいことがあるよ」と言われて吹き始めました。一つには指が長かったのと、ピアノを弾いていたのでヘ音記号が読めたんです。
――先ほど反田さんが、「ふるけんは“音楽命”みたいな感じと仰っていましたが、小さな頃から音楽に接していたのですか?
古谷:はい。すでに小学生の頃から東京藝術大学に入りたいと作文を書いていた音楽一筋の少年でした。
反田:すごい! 小学校で「東京藝術大学」なんて知らんわ。
古谷:大学に入って(※古谷は東京藝術大学出身)一つの目標を果たしてしまったので困りましたが、その分、新たなことに視野が広がっていろいろ考えるようになりました。
――ファゴットを吹いていて「良かったな」と思う瞬間は?
古谷:ファゴットはあまり目立たない楽器ですが、それでも、たまに目立つ時があって、その時に一つのフレーズの中で「いかに輝かせるか」ということを考えるのが好きです。普段は地味なのに、急に「ここで魅せてやるぞ!」という、ちょっとストレートでない感覚が好きです。
――古谷さんとファゴット。楽器とご自身の共通点はありますか? 例えば、普段の性格も控えめとか、どこかストレートじゃない部分があるとか……。
古谷:うーん……僕自身は、どちらかというと、AとBがあって、10人がAを選んだら僕はBという感じですね。
反田:そうだね。
古谷:確かに集団行動も大事だと思うんですが、できる限り人と違うアプローチで行きたいという思いはつねにあります。もしかしたら、ファゴットという楽器自体もそういうところがあって、共通しているのかもしれません。
反田:彼はスゴくカルチャーを大切にする人なんですよ。リハーサルに甚平で来たり(笑)。
鈴木:そんなことも、ありましたね(笑)。
反田:海外で生活していたからこそ日本の文化を大切にしているんだと思うんですが、彼は人に対しても、物であっても、とにかく愛情を注ぐことに秀でているんです。
そういえば、ふるけんとは、今まで意外と一緒にごはんに行ったり、遊んだりしたことないよね。今度、日本に戻ってきたら絶対行こうね!

次回は、お二人の演奏曲などについて詳しくお伺いします。
取材・文=朝岡久美子 撮影=鈴木久美子

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