近石 涼

近石 涼

【近石 涼 インタビュー】
“これが近石 涼です!”という
名刺代わりになる作品

歌いたいことと
サウンドがより合致した

そんなアルバムの核となる「最低条件」を彩る楽曲たちも個性豊かです。中でも今作で初めて聴かせていただいた「ノスタルジークラムジー」と「room 501」には、凝りに凝った新しい近石 涼サウンドを感じました。

そう言っていただけると嬉しいです。特に「ノスタルジークラムジー」は長く温めていた曲で、昨年の秋の配信シングル「ランナースカイ」(9月発表)と冬に出した「お守りの唄」(12月発表)の間くらいにはすでにできていたんです。ただ、デモに僕が結構やりたい放題のむちゃくちゃなアレンジのアイディアを詰めてアレンジャーさんにお渡ししていたので…美しく仕上げて、きれいな額縁に入れた完成形にしてもらうまでが、かなり大変だったと思うんですよ(苦笑)。その結果、気がついたら一年くらい経っていましたね。

近石さんの美しく浮遊感のあるファルセットがアーバンテイストなボサノヴァに乗り、2番ではソフトなラップも登場して、レトロなロックサウンドも融合。めくるめく曲調がすごくお洒落で凝っていますよね。

もともとボサノヴァのノスタルジックなサウンドが僕はすごく好きなんです。今回のアルバムだと「寂しさは夜のせい」もそんな雰囲気ですね。でも、デモを作っている時、1番が終わったあとにボサノヴァっぽくないドンタンドンタンっていうドラムを入れたら“おぉ、これは面白い!”と思って。ヴォーカルもラップのような語り口調が似合うし、サウンドが速まっていく感じが、大人になって子供の頃からの自分を顧みた時にハッとさせられた焦燥感ともリンクしたんです。ただ面白いサウンドをやりたかっただけじゃなくて、歌いたいこととサウンドがより合致した曲になりました。

この曲を書いたきっかけは浅野いにおさんの『おやすみプンプン』だったそうで。

僕、浅尾いにおさんのマンガが好きで。最近、また読み直したんですね。すると子供の頃は気づかなかった伏線だったりが大人になった今だからこそ理解できたりして、改めてハマってしまいました。描かれているのも、主人公が幼い頃から青年になった時の移り変わりのお話で。その世界観を自分に照らし合わせた時に感じたこと、考えたことを曲にしました。

幼い頃の自分にノスタルジーを感じ、あの頃とは似ても似つかない自分になってしまったことに葛藤し、そこには戻れないからこそ先に進めるんだと歌っていて。あらゆる世代がさまざまな読み解き方をして共感できる歌詞ですね。

そうやって聴いてもらえるのはとても嬉しいです。この曲の《投げかける声と同じ数 この世界に僕はいる》という歌詞にもリンクしますよね。曲を聴いてくれる人の数だけ、この曲もこの世に存在できると思う。そして、《僕の中世界の思うまま》と歌っていますけど、この言葉は「兄弟 II」の《『ありのまま』なんて誰が決めたのさ『思うまま』の自分になるだけだ!》という歌詞ともつながるんです。「兄弟 II」という曲は『Chameleon』全体を貫くテーマにすごく寄り添っているから1曲目に置いたのですが、「ノスタルジークラムジー」は裏テーマ的な位置でこのアルバムの芯になっています。

「room 501」も歌詞の世界観からは不思議な感覚を覚えました。好きな人に向けての悶々とした想いを訴えかけている切ないラブソングに思えますけど。

そうですね。同じ部屋にいながら《暗い部屋の隅で眠る/君を見ていた》だけで終わっちゃうんで(苦笑)。でも、《空っぽな部屋》と歌っている“room 501”がいったいどこなのかというのは全然書いていないから、解釈は聴いてくれたみなさんに委ねたいなと。

ふたりがいる部屋の映像は目に浮かぶんですけど、そもそも僕と君がどういう関係なのかもはっきり分からないですしね。めちゃめちゃ想像力が膨らみますよ。

あははは! そうですね。ぜひ膨らませてください(笑)。

シティポップ感のあるアーバンなポップスですが、後半に壮大な男女のコーラスとユニゾンしているのも近石さんの楽曲では新しいですね。

曲の主人公が理想としている“君”との幻を、音でも幻のように聴こえる意味合いを出せたら面白いということで、そういうアレンジになりました。幻だから最後もフェイドアウトで終わるんですよ。でも、その幻は現実と葛藤しているので、途中で僕はシャウトしています。

ここでも歌詞の物語とサウンドがリンクしていると。あと、イントロにドンドンと鳴り響く、重たいリズムもすごくインパクトがありました。

これは総勢22名くらいのコーラスのみなさんに、実際に地面にマイクを置いて足踏みしてもらった音なんです。ハンドクラップもそうですね。大人数だし、僕もそんな機会は初めてだったので、どんなふうに録れるのかワクワクして、めちゃくちゃ楽しい収録でした。

まさにアルバムタイトルにぴったりの8曲が8色の色と光を放つ『Chameleon』が完成しましたね。そして、来年1月にはキャリア初のワンマンライヴ『近石涼『Chameleon』2022』が生まれ育った神戸で開催されます。楽しみですね。

はい! 今回はバンドスタイルでもあるし、会場の神戸VARIT.はまさに僕の実家なので。ここから僕の全てが始まって、今につながっているライヴハウスなんです。今まで何度もワンマンをやらないかと言われていたんですけど、ずっと踏み出せなかった僕にとって、満を持しての初ワンマン。いつも対バンライヴのあと、お酒も飲まずにずっと朝まで相談に乗ってもらっていたブッキング担当の方が今店長になっていたりするので、僕が成長した姿をライヴハウスのみなさんにも観てもらえるのも楽しみです。僕を育ててくれた神戸VARIT.への恩返しでもあるから、めちゃめちゃ気合いが入りますね。

ずっと応援してくれている地元のファンも、神戸VARIT.のスタッフのみなさんも泣いちゃうかもしれないですね。

どうだろう?  “なんや、近石まだまだやなぁ”と思われないように頑張らなきゃ(笑)。

記念すべき地元での初ワンマンではありますが、近石さんはTV番組『アカペラ日本一決定戦 全国ハモネプリーグ』や『THE☆カラオケバトル』へ出演されていましたし、YouTubeでの活躍で知っているファンの方は全国にいますから、全国でワンマンを目撃できるチャンスもぜひ作っていただけたらと。

僕もそれは願っています。今は神戸が拠点ですけど、ライヴ活動は東京、そして全国へと広げていきたい。そして、大切な日には神戸に戻ってみなさんに迎えてもらえるような活躍をこれからもどんどんやっていきたいので、楽しみに待っていていただけたら嬉しいです!

取材:阿部美香

アルバム『Chameleon』2021年12月8日発売 lemon syrup/NEW WORLD RECORDS
    • LS-008
    • ¥2,200(税込)

ライヴ情報

MEETSの光太郎presents「LIGHTのすゝめ」
12/03(金) 大塚MEETS

『近石涼「Chameleon」発売記念インストアイベント』
12/18(土)タワーレコード梅田NU茶屋町店

『近石涼『Chameleon』2022』
1/22(土) 兵庫・神戸VARIT.

近石 涼 プロフィール

チカイシリョウ:1995年12月17日、阪神淡路大震災後の神戸に生まれる。幼少期にピアノを習い始めたのが音楽との出会い。中学3年の頃よりギターを弾き始め、高校生になるとYouTubeにカバー動画をアップし始める。14年に『閃光ライオット』コピバンステージへ出演。初めて作った曲「シンガー」が『COMIN’KOBE16』のオーディションにてグランプリを獲得。20年関西最大級の音楽コンテスト『eo Music Try 19/20』にて準グランプリを受賞。21年には『MUSIC BUSKER IN UMEKITA』ライセンスを取得する。自主制作作品をリリースし、同年に配信シングルを連続で発表。12月にインディーズデビューアルバム『Chameleon』を発売した。22年1月にワンマンライヴ『近石涼『Chameleon』2022』を開催。同年3月から全国7カ所を回った『Chameleon Tour 2022』も大成功させ、4月に配信シングル「自分らしさなんて捨てられれば」をリリースした。近石 涼 オフィシャルHP

「最低条件」MV

「ハンドクラフトラジオ」MV

「兄弟 II」MV

「ライブハウスブレイバー」MV

「生まれて死ぬまでの間に」MV

「寂しさは夜のせい」MV

OKMusic編集部

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