牧野由依

牧野由依

【牧野由依 インタビュー】
デモを初めて聴いた時に
“おかえり”と
言ってもらえた気がしました

ニューシングルの表題曲「エスペーロ」はアーティストデビューした頃から携わっている『ARIA』シリーズの最新作『ARIA The BENEDIZIONE』の主題歌。そして、カップリングには同シリーズの初代オープニングテーマを新録した「ウンディーネ〜2021 edizione〜」と、ピアノ弾き語り曲「きみの鳥は歌える」を収録。“再会”をキーワードに、さまざな想いが蘇る一枚に仕上がった。

「エスペーロ」を最初に聴いた瞬間、
“『ARIA』だ!”ってなりました

『ARIA』はTVシリーズ放送開始から16年。最初から主題歌を歌ってこられて、最終章で再び主題歌を歌うというのは感慨深いものがありますね。

私が歌手デビューをしてから2枚目のシングル「ウンディーネ」(2005年10月発表)が『ARIA』の1作目のオープニングテーマで、挿入歌を含めると10曲近く歌ってきました。「ユーフォリア」(2006年4月発表)や「スピラーレ」(2008年1月発表)など自分のコンサートでも歌っていて、振り返ってみるとアーティストとしての生活の中にずっと『ARIA』がいてくれたんだなと思います。ただ、16年という数字を改めて聞くと“そんなに経つの!?”という衝撃もありますけど(笑)。

『ARIA』は長く愛されている作品ですが、どんなところが魅力だと思いますか?

今回「エスペーロ」を歌わせていただくにあたって、テレビシリーズを改めて観返したのですが、リアルタイムで観させていただいた当時はサーッと観ていたところに改めて感じるものがあったり、新鮮な気持ちで感動しましたね。年齢を重ねても刺さる部分があるのは、『ARIA』シリーズの魅力だと思います。実際、最近お仕事をさせていただく役者さんや作家さんから“『ARIA』がすごく好きでずっと観ていたんです”と言っていただくことも多くて。大人の方が仕事で疲れて家に帰って、ふとテレビをつけたら放送されていて癒やされたというお話もたくさん聞きます。

ストレスの多い今の時代にもぴったりですね。

本当にそうですね。私も昨年は『ARIA』にかなり救われました。心が浄化されて、“こんなやさしい世界に行きたい!”と思ったほどで。きっと“こうでありたい”とか“自分もこうなりたい”といった、誰もが理想とするものがそこにあるんじゃないかと思います。

作品の根底に流れているものは変わっていないのは、テーマソングに関しても同じことが言えますね。

はい。「エスペーロ」を最初に聴いた瞬間、“『ARIA』だ!”ってなりました。この世界観がずっと恋しかったです。「ウンディーネ」から変わらず窪田ミナさんの作曲編曲で、『ARIA』のテーマソングを担当させていただくのが久しぶりだったのもあって…すごく自分本位な考え方ですけど、デモを初めて聴いた時に“おかえり”と言ってもらえたような気がしました。

実家に帰省したみたいな?

そうです、そうです(笑)。でも、嬉しかったのと同時に、すごく難しそうだとも思いました。ミナさんの曲は美しく歌うととても気持ち良いのですが、そこに至るまでがすごく大変なんです。テクニカル的な面やアプローチなど、自分の中で揉んでからでないと、そこに辿り着けないので“これは大変だぞ!”って。

すごく心地良く耳に響くので難しさを感じさせないですね。

そのほうがいいんですよ。その難しさはメロディー的な部分よりも、自分の声と音程とのバランスや、いかに求めてもらっている声を出せるかといったものなので。そういう擦り合わせを自分の中でやっていくのが、楽しくもあり、わりと細かくてカロリーが高い作業でもあるという感じです。

声色とか感情の表現はどんなイメージで歌ったのですか?

例えばサビをバア〜ッと地声で出してしまうと、『ARIA』のたゆたうような水面がキラキラした世界にはキツく刺さってしまうところがあって。ゆったりとしたやさしい感じを表現するために、ミックスヴォイスと呼ばれるファルセットと地声のちょうど間の声を、どうやって使うか考えましたね。あと、私はもともと倍音が出やすい声なので、それをいかに効果的に使うか。実際、自分で声を出しながら探していく作業をしていました。

歌詞には《何度でも夢は見れる》と出てきたり。16年前から『ARIA』を観てくれている、今は大人になった人たちに向けられた言葉のような気がしました。

きっと歌詞を読んだら泣いちゃうと思います、ズシーンと刺さるものがあって。こんなにやさしいのに心にストレートに入ってくるからウルッときちゃいますね。

レコーディング現場はどんな雰囲気でしたか?

嬉しさと不安感が入り交じった感情で歌入れをしたことが忘れられないです。

不安感?

はい。劇場版3作品の最終章を歌わせていただくというところで、ここまでいろんな方がいろんな想いで紡いできたものがあるので、がっかりさせたくなかったのと、“この十何年の中で私は大切なものをなくしてはいないだろうか?”という不安とかいろいろあって。

『ARIA』シリーズと自分の16年を振り返るような機会にもなった?

そうなんです。それにレコーディングスタジオのブースが、私が初めてフライングドッグさんの作品で『創聖のアクエリオン』のエンディングテーマ「オムナ マグニ」(2006年12月発表のアルバム『天球の音楽』収録曲)を歌わせていただいた時の、オーディションが行なわれた部屋と同じだったんです。そういうことも相まって、これまでの全てが走馬灯のように蘇った日になりました。スタジオは改装されていましたけど、ドアを開けた時ふと思い出すものが残っていたので。
牧野由依
シングル「エスペーロ」【ARIA盤】
シングル「エスペーロ」【YUI盤】

OKMusic編集部

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