NEE、大進化を遂げたツアー『熱烈ス
タンプラリー』ファイナル・リキッド
ルーム公演のオフィシャルレポート到

東京発・エキゾチックロックバンド・NEE(ニー)が、11月12日に恵比寿LIQUIDROOMにて、『熱烈スタンプラリー2021』追加公演を開催した。本記事では、メジャーデビューアルバム『NEE』を引っさげ、本編の5本、追加2本の計7本を回ったツアーのファイナル公演のオフィシャルレポートをお届けする。

1曲目「ぱくちー」を演奏し終えると、くぅは「開幕しました!」と絶叫した。NEE、1stフルアルバム『NEE』をひっさげての2ndツアー『熱烈スタンプラリー2021』、真のファイナルとなる追加公演東京編、11月12日リキッドルーム。そこで繰り広げられたライブは、それまで観てきたNEEのライブとははっきり言って別物だった。ライブ中にメンバーはツアーを通して成長できた実感を口にしていたが、ちょっと待ってほしい。僕はツアー本編のファイナルとなる10月3日の渋谷クラブクアトロも観ているが、そのときから比べても相当なジャンプアップを果たしていることは明らかであって、ということは単にツアーやってきたから良くなりました、ということではないのではないかと思うのである。じゃあ何なんだと言われると困るんだけれども、もしかしたらこれがバンドが「化ける」ということなのかもしれない。とにかく、ステージに立つ4人からは自分たちの楽曲とパフォーマンスに対するでっかい自信が伝わってきたし、スピーカーを震わせる音はバッキバキに立っていて、息を呑むような迫力に満ちていた。
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大樹のドラムがパワフルなリズムを叩き出し、夕日の繊細にして豪快なギターが曲のテンションを高めていく「アウトバーン」から、くぅのボーカルに真正面からタイマンを挑むようなかほのコーラス(コーラスというより、もはやユニゾンボーカルだが)もキレキレな「万事思通」に流れ込むと、リキッドルームはますます手のつけられない状況に。「九鬼」ではフロア中で上がった手が揺れる。「最強になれますか、みなさん」とくぅが観客に問いかけ、ヒーローポーズを決めて始まった「ボキは最強」ではかほのベースと夕日のギターのバトルも繰り広げられ、フロア全体を巻き込んだ手拍子がバンドを盛り上げる。リキッドルームというハコの特性もあるのだろう、とにかく音がクリアで抜けがいい。手数の多いドラムやギターも、時折予測不能な動きをするベースラインもはっきりと聞こえてくる。くぅの歌もそうだ。言葉のひとつひとつが明確な響きとなって耳に飛び込んでくる。
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くぅとかほのツインボーカル(それにしても、ほんとにかほはずっと歌ってるな)が効いた「第一次世界」(夕日によるエモーショナルなギターソロも見どころ)を経て、くぅがボカロP村上蔵馬として今年発表した「人外」をNEEバージョンで披露。バウンシーなヒップホップのリズムと全体に漂うダークな雰囲気が新鮮だ。というか、くぅこと蔵馬のイマジネーションを具現化するにあたってこのNEEというバンドが高性能なのか、より正確にいえば高性能なものになったのか、ということを、このセルフカバーは物語っていたように思う。楽曲の隅々まで張り巡らされた意図と意味を正確に、そしてさらに強化する形で表現してみせるドラムとベースとギター。イントロでは王道ギターロックなのかと思いきや早口ボーカルと痙攣しているようなギターリフがそこにさざ波を起こし、最終的に不埒なまでにうねうねと動き異形のフォルムへと変貌を遂げていく「aLaLe」あたりをステージの4人が一心不乱に演奏している姿を見ると、これが当たり前に、そしてポップに鳴っていることがだんだん不思議に思えてくる。
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そんななか、ふとくぅというひとりの男のパーソナリティを垣間見るような感覚に襲われたのが、「僕はこっそりとこの歌を歌います。こっそりとあなたの幸せを願います」という言葉とともに歌われた「You areはっぴー」だった。アコースティックギターを弾きながら、まっすぐに前を見て歌うくぅ。本当の気持ちを隠すかのように英語で書かれた歌詞が、かえって普段複雑なアレンジや尖った音に隠された彼の「本音」を物語っているように思える。それまでの沸騰感とは打って変わってじっと聞き入る観客たちの姿が印象的だった。そんな「You areはっぴー」を終えると、一転、メンバーを交えてツアーを振り返るMCへ。「成長しましたねえ、僕たち」とくぅが自画自賛すれば、「喧嘩しなかったね」と夕日も笑顔を浮かべる。広島のくぅの実家(「麺空海」というラーメン屋を営んでいる)にメンバー全員で行ったとか、移動の途中で立ち寄ったサービスエリアでくぅと恋人風写真を撮ったときに大樹の肩が緊張で震えていたとか、ツアー先のホテルで別れたにもかかわらず近くのコンビニで顔を合わせて恥ずかしかったとか、ツアーならでは、バンドならではのエピソードが続々と語られるのだが、その語り口調からはツアーがいかに充実したものであったかがよく伝わってくる。
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ライブはここから後半。洒脱でメロウなグルーヴが心地よい「本当は泣きそうです。」をゆったりと演奏すると、そのままジャムセッションから「嫌喘」へ。かほの5弦ベースによる骨太なラインと夕日の泣きのギターがデッドチェイスを繰り広げる中、サビで一気に開けるメロディが一気に気分を高めてくれる。それぞれの楽器の個性も、楽曲としての総合点の高さもはっきりと感じることができる名パフォーマンスだった。そこから「下僕な僕チン」、そして「歩く花」とNEEの歴史を形作ってきた代表曲を連打。「歩く花」ではフロアから自然発生的に手拍子が起き、くぅも「いいね!」と満足げな声を上げる。性急なリズム、そしてくぅと夕日、2本のギターによって描き出されるドラマをかほのベースとコーラスが補強する――生き物のように変化するテンポを飼い慣らして進む後半の怒涛の展開は、これぞNEEだ。そして続けて投下されたのが「不革命前夜」。イントロから待ってましたとばかりにフロアでは大音量の手拍子が打ち鳴らされる。「いい感じ! 革命起こせるかい?」。そんなくぅの煽りにますますフロアの熱は高まっていく。4つ打ちのリズムも、思わず口ずさみたくなるメロディもひたすらにキャッチー。NEEというバンドを世に知らしめるきっかけとなったこの曲が、今改めて輝きをもって放たれていく。
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「NEEのライブって……楽しいね」。「不革命前夜」を終えたくぅが語る。「僕ははみ出し者だって思う人はいるんだよね。俺も一緒。そんなはみ出し者に愛を歌います」。そうして披露された「こたる」は、この日のクライマックスのひとつだった。アルバムの中でもある種異彩を放つ、ピュアでストレートなミドルチューン。それまでジェットコースターのようなライブの中で忙しかった心をそっと包み込むような優しさを帯びたサウンド。オレンジの光に照らされる中、夕日の長いギターソロがエモーショナルに響き渡る。「幸せになってください」とくぅ。そういうことをさらっと当たり前に言えるようになったというのが、つまり彼の言う「成長」なのかもしれないなと思う。「膝小僧」で最後の花火をドカンと打ち上げると、本編ラストは「ビリビリのーん」。大樹は以前この曲のドラムを「レッチリのチャド・スミスを意識した」と言っていたが、この日のハイファイな音像で鳴らされる「ビリビリのーん」は、まさにレッチリばりの切れ味だった。しっかりヘヴィで、最強にファンキーで、呆気に取られるほどグルーヴィー。最後の最後でバンドの現在の実力をこれでもかと見せつけて、4人はいったんステージを降りたのだった。
アンコールではかほがバンドの公式ファンクラブ「にーラブ」のオープンと1月のファンクラブライブの開催を発表し(くぅが思わずファンクラブの良さを熱弁しそうになって「押し売りみたいになっちゃう」と途中でやめていたのがおもしろかった)、「夜中の風船」へ。中毒性の高いリフレインが、未だ興奮冷めやらぬフロアに再び火をつける。そしてくぅは「今日は来てくれてありがとう」と改めて観客に感謝を伝えると、本当のラストチューン「帰りの会」を歌い始めた。かき鳴らされるパワーコードが下校のチャイムのように鳴り響く。曲を終え「また来てね!」と言いながら帰っていく4人の顔には、見るからに充実感がみなぎっていた。

文=小川智宏 撮影=nakaiso yoshio ヘアメイク=古賀達也(CALM)

なお、現在本公演のセットリストが主要ストリーミングサイトでプレイリストとして公開されている。

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