12カ月連続シングルリリースの集大成
UEBOが示した“ネオサーフミュージ
ック”のネクストフェーズとは

UEBO presents Calendar』 2021.11.20 TOKIO TOKYO
2020年11月から2021年10月にかけて、12カ月連続でシングルをリリースしてきたシンガーソングライター・UEBOが、その集大成となるワンマンライブを開催した。
自ら“ネオサーフミュージック”と掲げる、ソウル/R&Bやレゲエ、フォークやロックなどさまざまな要素を取り入れた、持ち前のスムースでレイドバックしたサウンドを、季節の移ろいとともにアップデートしてきた12カ月間。それは、コロナ禍という逆境に見舞われながらも、制作においてはUEBOのこれまでのキャリアのなかで、もっとも充実した期間だったことが、ひしひしと伝わってくるステージだった。
今回はフルバンドセットとアコースティック弾き語り、二つの編成を展開。バンドメンバーにはUEBO(Vo/Gt)のほかに、12カ月連続シングルでも何曲かのトラックメイカーとして活躍したYUUKI KANAYA(Gt/Mani)、LUCKY TAPESからKensuke Takahashi(Gt)、そして西原浩(Ba)、神林祥太(Dr)の4人を迎えた。久しぶりのワンマンライブということで、メンバーが登場すると早くも場内には割れんばかりの大きな拍手が巻き起こる。
1曲目は「Pocket」。一連のシングルのなかでも、もっとも足取りが軽く開放感のある曲に、5人の生演奏による厚みが加わり、ライブならではの豊かなサウンドスケープとグルーヴが生まれる。今も予断を許さない状況は続いているが、ようやくポストコロナ時代に向けて一筋の光が見えてきた今だからこそ響く<Everything gonna be alright>というメッセージとともに、思い思いに体を揺らす観客が織りなすフロアの景色が感慨深い。
2曲目のShin Sakiuraがプロデュースを手掛けた「Mabataki」では、ソウルフルで甘い時間を演出。その流れを汲みながら、後半では60~70年代のヒッピー/サーフカルチャーを彷彿とさせる野太く濃厚でサイケデリックなギターが炸裂する「Sign」へ。終演後、運良く話せるタイミングがあったTakahashiの、「(この曲に限らず)今日は思う存分(ギターを)弾かせてもらった」という言葉が、UEBOのさまざまな解釈のできる多面的で自由度の高い作風と、メンバー間の信頼関係を象徴していた。そして、シティポップやディスコからの影響を感じる「Wave」と、序盤からこの12カ月間で打ち出してきた多彩な音楽性を惜しげもなく披露する。
続いては、KANAYAがトラックメイキングを担当し、レーベルメイトでもあるsankaraからラッパーのTossを迎えた「Wasted Years」。TossとKANAYAも旧知の仲ということでハッピーでアットホームな空気が流れるなか、そんなフッドの繋がりをより広い世界に届けようとする、チルななかにもストイックな力強さの光るパフォーマンスが印象的だった。
そして、サビの<いつまでも いつまでも 醒めない夢のように>という歌詞が五臓六腑に染み渡る「Small Lens」、コロナ禍に抱いた諦念から希望を見出す瞬間を描いたようなエモーショナルな「Drops」へ。12カ月のなかでもとりわけメロディの輝きと言葉の浸透度が強い2曲の流れは前半のハイライト。そこからいったんメンバーがステージを捌け、UEBO一人の弾き語りゾーンに入る。
ここでは未発表曲「Good Luck」と、12カ月連続シングルより前にリリースした「Milk & Coffe」、「Photograph」の3曲を披露。メドレーで「Milk & Coffe」と「Photograph」をシームレスに繋いだパフォーマンスでは、その間にジェイソン・ムラーズの「I’ m Yours」とハナレグミの「サヨナラCOLOR」もマッシュアップし、UEBOのルーツが垣間見える粋な演出で魅せてくれた。
そのまま弾き語りを続け、曲の後半でバンドメンバーが再びそっと登場し演奏を重ねた「Stand」の、グルーヴのグラデーションは見事だった。この曲は12カ月連続リリースから間髪入れず11月24日にリリースする新曲。先日紅白歌合戦への出演も発表されたAwesome City Clubのギタリスト・モリシーとタッグを組み、来年にリリースするEPからの先行配信曲で、モリシーの営むコーヒースタンドをUEBOが訪れた際の店の雰囲気に着想を得て制作したのだそう。
焦燥感や虚無感がループし自暴自棄になっている様を描いたと思われる「Veranda」から、失われた日々へのノスタルジーに浸りつつその先に灯りを見つけたような「December」の、ちょうど1年前にあたる12カ月連続シングルの序盤の流れが、コロナ禍の記録として心に響く。そして、コロナ禍を通して昔は好きじゃなかった故郷の大切さが身に沁みたと、UEBOがMCで語ってから演奏に入った「Hometown」、決定的なメロディとともに大切な人のことを想う「Memories」の流れには、思わず涙を浮かべる観客の姿も。
ラストはゲストボーカルに安次嶺希和子を迎えた「Good Night」が鳴り渡る。安次嶺のフェアリーな歌声とUEBOの耳元で囁くような歌声のデュエットを、ドリーミーなサウンドが包み込み、癒しを与えてくれる極上の締め。“ネオサーフミュージック”、すなわち自然や日常に寄り添ったオーガニックでチルなサウンドのなかに、強いメッセージもエスケイピズムも盛り込み、偶発性も含めたコンセプチュアルでドラマチックな世界を描いたUEBOの12カ月間が結実し、ネクストフェーズを示した素晴らしい時間だった。
アンコールでは2021年の3月に、12カ月連続シングルとは別枠でリリースした『Acoustic Ep』から、“人を思うエネルギー”をテーマにした中国電力のウェブCMソング「Lights」を披露。あらためて、ソフトななかに力強さを内包した歌声をじっくりと堪能させてくれた。
そんなUEBOの精力的な活動はまだまだ止まらない。先述したAwesome City Club・モリシーとのアコースティックEPは絶賛制作中とのこと。12月には今回披露した新曲「Stand」に続いて、クリスマスソング「Wish」を配信し、同月18日には今回と同じTOKIO TOKYOにて、コロナ禍のため一度頓挫した自主企画イベント、『BO’ s Marchè vol.1』を開催する。2021年の残り、そして2022年もUEBOから目が離せない。
取材・文=TAISHI IWAMI 撮影=後藤壮太朗

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