【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#227
作詞家・喜多條忠の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

負けて学ぶ 転がって知る・・・・・

より

『ドコモ団塊倶楽部』とは、2009年4月11日から2015年3月28日まで文化放送で放送されていたラジオ番組である。漫画家の弘兼憲史とアナウンサーの石川真紀をパーソナリティに、各界のゲストを招くトークショー形式で人気を博した。今回の名言は、その放送のレポート記事で、“喜多條忠の好きな言葉”として取り上げられたものである。喜多條は、子供の頃に少し動いただけで熱が出るほど身体が弱かったという辛い思い出を語る。しかし、「一生懸命 小学校1年生で本を読んだり、広辞苑を読んだり、それが今、結果的に役に立ってる」と振り返る。25歳でミリオンヒット曲「神田川」を作詞した以降も多くの名曲を生み、順風満帆のように見える喜多條の人生にも“負け”と感じる時があったのだ。「毎日負けて転がってます」「勝って知ることって、あまりないですよね」 「『今 失敗しているから』『今 くじけているから』っていうことは、きっと、すごい栄養になってるはず」と喜多條。このような姿勢が、生涯現役で活躍を続けた秘訣なのではないだろうか。
2018年2月17日掲載<船村徹 一周忌法要>より

喜多條忠(きたじょうまこと)
1947年10月24日 生まれ、大阪府大阪市出身。作詞家、小説家。早稲田大学在学中に、銀座のシャンソン喫茶『銀巴里』にて、浅川マキのステージを観たことが作詞活動に大きく影響する。大学中退後、文化放送のラジオ番組の放送作家となり、南こうせつと出会う。学生の頃から近代詩を書いていたことから、フォークグループ・南こうせつとかぐや姫の作詞を担当することになる。1971年2月に発売された、南こうせつとかぐや姫のシングル「変調田原坂」のB面「マキシーのために」が、初めての作詞作品。同年9月に発売された浅川マキのアルバム『MAKI II』に「雪の海」を提供している。1973年、喜多條自身の学生時代の体験をモチーフに作詞した「神田川」を南こうせつとかぐや姫に提供。同曲は100万枚以上の売り上げを記録し、喜多條は新鋭の作詞家として注目を集める。以降、梓みちよの「メランコリー」(1976年)、キャンディーズの「やさしい悪魔」(1977年)「暑中お見舞い申し上げます」(1977年)、アグネス・チャン柏原芳恵の「ハロー・グッバイ」(1975年/1981年)、SHŌGUNの「男たちのメロディー」(1979年)などのヒット曲をはじめ、吉田拓郎春日八郎五木ひろし島津亜矢秋元順子城之内早苗、純烈など、多くのスターに楽曲を提供している。2015年には、山内惠介のデビュー15周年シングル「スポットライト」を提供。同曲で『第57回日本レコード大賞』作詩賞を受賞。南こうせつとの合作による楽曲「からたちの小径」(2013年)は島倉千代子の遺作となった。2017年には、伍代夏子の「肱川あらし」で『第50回日本作詩大賞』を受賞。2021年8月に発売された石川さゆりの「獨(ひと)り酒」が最後の作品となった。2008年には、喜多條の初となる書き下ろし長編小説『女房逃ゲレバ猫マデモ』(幻戯書房)を発表。その他、エッセイスト、ボートレース評論家としても活動。日本音楽著作権協会(JASRAC)理事、日本作詩家協会名誉会長も務めていた。2021年11月22日、肺がんのため死去。享年74。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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