THE BACK HORN マニアックでも名曲
揃いなことを実感、『マニアックヘブ
ンツアー Vol.14』レポート

マニアックヘブンツアー Vol.14

2021.12.5 新木場USEN STUDIO COAST
タイトル通り、普段のライブでは殆ど演奏されないマニアックな楽曲を多数披露する『マニアックヘブン』。今年は『マニアックヘブンツアー Vol.14』というタイトルを掲げて各地を巡り、ファイナル公演が新木場USEN STUDIO COASTで行われた。1階フロアは床に表示されている印の上に観客の一人ひとりが立つ形でソーシャルディスタンスを保持。入場時に検温、手指消毒を行うなど、入念な感染症対策が整えられていた。
会場内が暗転した瞬間、待ちわびていた観客の間から起こった大きな拍手。開演を告げるSEが流れるとそれは激しい手拍子へと変わった。集まった人々の熱い気持ちが早くもまざまざと伝わってくる。そしてステージに山田将司(Vo)、菅波栄純(Gt)、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)が登場してライブがスタート。オープニングを飾ったのはインディーズ時代の曲「ワタボウシ」。スタンドマイクにまっすぐに向き合いながら歌う山田をバンドサウンドが包み、静と動の間を行き来しながら高鳴っていく様に観客はみるみる内に引き込まれていた。続いてこれもインディーズ時代の曲「魚雷」。観客が掲げた腕がフロアで揺れる様が壮観。特別なライブとなることを予感させるオープニングであった。
「孤独な戦場」が披露された後、松田が観客に語りかけた。「イントロが始まった瞬間、“これはあれだ!”と思い出せる人。“これなんだっけ? ……あれだ!”っていう人。いろいろな感じ方があると思うんですけど、『マニアックヘブン』ならではのディープな夜を過ごしていきたいです。たっぷりと味わってください。濃厚な夜にしましょう!」というMCを経て「路地裏のメビウスリング」「さざめくハイウェイ」「情景泥棒~時空オデッセイ~」「墓石フィーバー」「アカイヤミ」……シングルのカップリング、アルバムの収録曲などがさらに披露されていった。マニアックであっても名曲揃いであることを実感させられる瞬間の連続。爆音、ビート、音像を重ね合いながら1曲1曲に刻まれているドラマを描写するメンバーたちの表現力が圧倒的であった。
THE BACK HORNにとって最後のSTUDIO COASTでの『マニアックヘブン』であることに松田が触れた後、ツアーグッズについて和やかに語り合ったメンバーたち。木刀のグッズ化を検討していたらしいのだが、某ファッションブランドが商品化したことを先日知り、彼らは驚いたのだという。そんなひと時を経て演奏を再開。「ゆりかご」「君を守る」「ホログラフ」「ハロー」が披露されたこのブロックでは、山田がアコースティックギターを弾きながら歌う場面もあり、穏やかで温かなサウンドをじっくり味わうことができた。力強いエネルギーに満ち溢れていると同時に郷愁を誘うメロディ、抒情性も堪能させてくれるのがTHE BACK HORNだ。そういう魅力を再確認させられた。
「楽しんでますか? みなさん。マニアックな曲たちに、みんなついてきてるよね。1年前のマニアックヘブンに比べて2倍以上のキャパになって、たくさんの人の顔を見られるようになっていることがとても嬉しいです。覚悟を決めて来てくれているんだなと。その想いもすごく感じます。胸が熱くなります。どうもありがとうございます。まだまだマニアックな夜をお届けするよ!」と観客に語りかけた山田。そして、この日リリースされたシングル「希望を鳴らせ」のカップリング曲であり、ライブでの初披露となった「疾風怒濤」を皮切りに、マニアックな空間はますます美しい色合いを浮かべていった。哀愁を帯びたメロディがエネルギッシュに響き渡った「浮世の波」。ハンドマイクでステージを動きながら全力で歌っていた山田の姿が雄々しかった「反撃の世代」。前のめりな疾走感が猛烈に心地よかった「赤い靴」……至福の瞬間が続いた。
「もちろんライブは人数ではないけれど、エネルギーの交換は大きい方がテンションが上がります。正直、これだけたくさんの人の前でライブをやるのはコロナ以降初めて。何でも大丈夫な気がしてきました。不安ももちろんあるけど、こういうライブができるとどうにかなる気持ちになる。とても嬉しく、楽しくライブをやらせてもらってます」と想いを語った山田。そして「コーストでの『マニアックヘブン』、今日が最後ということで。また1月にここでライブはありますけど。スタジオコースト、どうもありがとうございました! THE BACK HORNでした。また会いましょう」という言葉を添えて本編を締めくくったのは「パレード」。観客が打ち鳴らす手拍子が、演奏、歌声と一体となる様が何とも言えず心地よかった。
アンコールは『マニアックヘブン』ならではのお楽しみとなっている「天気予報」からスタート。岡峰(Gt)、菅波(Ba)、山田(Dr)という変則編成のバンドサウンドと松田が繰り広げたポエトリーリーディングが観客を沸かせていた。
「このツアーは10月から始まって、コーストでファイナルを迎えるということで。みんなの存在を改めて感じさせてもらったツアーでしたし、またマニアックな夜をいろいろな形で続けていこうと思います。今日も最高の夜になっております!」(松田)。
「どんな状況であれ希望を鳴らしたいよね? まだ楽しいことがあるはずなんだよね。こんなところで挫けていられないという気持ちがあります。それを支えてくれてるのはみんな、メンバー、スタッフ。みんなで声を出して希望を鳴らせる日が来ることを楽しみにしています。希望を鳴らしたい気持ちでいっぱいです。希望を鳴らしていいですか?」(山田)。
そんな言葉を噛み締めながら聴いた新曲「希望を鳴らせ」は、とても深く胸に沁みた。耳を傾けながら心の中で歌い、いつか戻ってくるはずの平時の形でのライブに想いを馳せた観客がたくさんいたはずだ。そして、「また生きて会いましょう」と山田が言い、ラストに届けられた「さらば、あの日」は、未来へと希望を繋ぐ原動力となり得るエネルギーを我々に授けてくれた。メンバーたちが手を振りながらステージから去り、終演を迎えた時に会場内に漂っていた余韻が実に爽やかであった。
取材・文=田中大 撮影=Rui Hashimoto
※『マニアックヘブンツアーVol.14』ライブの模様はStreamPassおよびFanStreamにて12月12日(日)23:59までアーカイブ配信中。チケットの販売期間は12月12日21:00まで。

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