中村佳穂、ホームタウン京都で激動の
1年を締め括った『うたのげんざいち
2021』天真爛漫な演奏で会場を魅了
した夜

『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』2021.12.7(TUE)
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
中村佳穂『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』。コロナ禍で約半年の延期になってしまったが、ようやく彼女のホームタウンである京都の大きなホールで念願のライブが開催される。開演時間前から観客の待ちに待った感も伝わってきて、会場は幸せな空気に包まれていた。開演時間になり、お馴染みになった金髪ヘアースタイルの中村が現れる。ライブレポートを担当する時に、事前にセットリストをいただくのだが、彼女の場合はフリーやアドリブと記されている場合が多い。そんなセットリストは彼女のでしか見た事はなく、今回も1曲目には、そう記されている。その通り、ピアノを弾き、京都でライブが出来た事が胸いっぱいで何も思いつかないが、それも音楽であり、とても幸せだという今の思いを語り的に歌っていく。そこに各楽器が入っていき、いよいよライブが始まってきたと、こちらも観ていて興奮してくる。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
<何度も 何度も>と歌い、本格的にバンド演奏となり、より興奮を覚えてきたのは2曲目「きっとね!」。鳴りまくるギター、的確なビートを刻むドラムなど……、ただただ気持ち良い……。歌い終わり、ピアノから立ち上がり、「感無量だよー!」などと言いながら、横の鍵盤に移動する。その姿は無邪気であり、天真爛漫であり、そこから唇を「プルルー」と鳴らし、ラップやボイパもしながら、また演奏に入っていく。自由自在さは彼女の真骨頂であり、鍵盤を立ちながら弾き、時には両手をくねらして踊りながら歌う姿にも惹きこまれた。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
6曲目、7曲目はセットリストにSoloと書いてあるように、演奏メンバーがハイタッチしながら袖へと去っていき、中村ひとりに。ピアノを弾きながら、20歳の頃から書いている曲を良い曲と思う事や、その頃のライブで観客に言われた感想を語りながら振り返り、「悪口」へ。続いて、「私を最初から「いいね!」と言ってくれた友達も観に来てるので」と言って、ティーンの頃から知り合いである村島洋一を呼び込み、20歳の時の楽曲だという「my blue」を一緒に歌う。温かく包み込むようなメロディアスな落ち着いた楽曲で聴き惚れてしまう。細田守監督作品『竜とそばかすの姫』で主人公の声と劇中歌を担当して、その流れから『NHK紅白歌合戦』への出場も決め、ますます幅広い層からのポピュラリティを獲得している彼女。だが、ホームタウンである京都での大きなライブで、ティーンや20歳の頃の原点を忘れずに歌うという姿勢は誠にかっこよかった。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
演奏メンバーが戻ってきて、中村がピアノ弾き語りで歌い出す中、遠くから「シャリーン!」と鈴の音が聴こえてくる。少しすると、袖から鈴を鳴らしながらライトで照らす白装束が登場。よく見ると、その内、2人は男性でライトだけを持っている。7人は中村が弾くピアノを囲むように回っていく。5人の女性は京都のバンドColloidでコーラスとして加わり、2人の男性はスティーヴ エトウと君島大空で、それぞれパーカッションとギターで加わる。そのまま新曲を披露して、「LINDY」へといくが、エトウと君島のエモーショナル演奏が凄すぎて、見入ってしまう。エトウと中村のふたりだけがパーカッションで音を鳴らし合ったりなど、もはや何かとんでもない儀式を観ている気にもなるし、中村の呪文のような歌詞も凄みを増していく。中村の踊りも含め、やはり普通のライブでは有り得ない事ばかりが起きるし、その常軌を逸した様は本当にたまらない。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
中村が指揮を取り、荘厳な雰囲気を醸し出しつつ、リズミカルなメロディーへと突入していく新曲から、「ふみ!」という伊吹文裕(Dr)への掛け声から「アイミル」へ。たゆたうようにマイク1本で歌う姿が印象的だった新曲も披露され、「早いものですね。最後の曲を」とピアノを弾く。本編終盤で新曲が立て続いた流れは攻めを感じたし、それらの曲が音源として発表されるのも本当に楽しみな気持ちになる。彼女の新曲たちは道しるべのように、僕らを新たな道へと導いてくれる気がして、最後の曲となった新曲には、まさしく、そんな思いを抱いた。<道>や<走っている>という言葉が耳に残ったラストナンバーは、不安な気持ちを持ちつつも進んでいく彼女の強さを感じる。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
アンコールでは、「紅白」という言葉を出し、「年末、是非観て下さい! 頑張ります!!」と意気込む。エトウ以外は全員後ろに座り、中村は音楽活動をスタートしてから初めて観たパーカッショニストがエトウであり、「東京に来る時は誘ってよ!」と気軽に言われた事から、著名人とは露知らずオーデション番組に誘って出てしまったという約7年前の思い出を語る。その時も今と同じく金髪だったというのも偶然とはいえ必然を何か感じてしまう。鍵盤を弾きながら、ふたりの思い出を更に語りっぽく歌いながら、そのオーデション番組に出た時の曲である「口うつしロマンス」をエトウと披露した。
『うたのげんざいち 2021 in 京都 ロームシアター』
終わり、そのまま中村は手拍子のみでアカペラで歌い、観客も手拍子で加わり、全体的に音が鳴り、「ありがとうございました!」と叫び、「そのいのち」へ。<いけいけいきとし GO GO>という歌詞の壮大さには改めて感動してしまうし、これぞ締めのナンバーという楽曲。最後は全員横一列に並び、肩を組んで頭を下げて、観客の声援に応えたが、まさしくやりきった状態……。大晦日の大舞台を残しているとはいえ、素晴らしきライブで今年を終えようとしているし、とにかく来年のライブや音源など新しき道を期待して待つのみである。
取材・文=鈴木淳史

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