石崎ひゅーい

石崎ひゅーい

【石崎ひゅーい インタビュー】
どんな時でも
僕の側には音楽がいてくれる

“立ち止まっているだけではいけない”という強い想いを持ち、コロナ禍でも菅田将暉とのカバー曲「糸」をはじめ配信シングルをリリースし、ライヴ活動も続けてきた石崎ひゅーい。2022年にデビュー10周年を迎える彼から届いた5年振りのオリジナルアルバム『ダイヤモンド』に込めた想いとは? 作品を紐解くべく本人を直撃した。

“生身の人の温かさ”みたいなものを
軸にして作ったアルバム

世の中がコロナ禍に入り、石崎さんも2020年3月に発表したシングル「パレード」のリリースツアーが中止になるなどの影響を受けながらも活動を続けている印象があります。石崎さんにとってこの2年間はどんなものだと感じていますか?

ライヴが中止になったり、レコーディングが延期になったりと、やっぱり悔しい想いをしました。ただ、それを“未曾有”という言葉だけで片づけてしまってはいけない…そんな気持ちが強かったです。正直言って、“音楽を止めざるを得ない”という感情になるのはもう嫌でした。2011年の東日本大震災の時、自分は音楽という表現の必要性を深く考えさせられたのですが、コロナ禍もそれに少し状況が似ていたから、あの時と同じように考えて、立ち止まっているだけではいけないと思って。なので、制作や発信を止めずにできたことは良かったです。人と密になれないぶん、自然と音楽のことを考える時間が増えましたから、この2年間で音楽との距離がだいぶ縮まった感覚がありますね。

まだ、光が見えたと言える状況ではありませんが、コロナ禍で新たに知れたことや自分を変えたことはありますか?

新たにというか再確認になるんですけど、自分は人が好きなんだということですね。人がいないと何の意味もないと思えたことが良かったし、人がいてくれるということが一番の幸せなんだと確認できましたね。

そして、オリジナルアルバムとしては5年振りとなる『ダイヤモンド』ですが、制作はいつ頃からスタートしたのですか?

2021年の夏頃から制作を始めました。曲も溜まってきていたし、スタッフとも話し合って、2022年のデビュー10周年という節目の前に、ファンに対しても自分自身に対しても弾みになるような作品を、2021年のうちに残しておきたいという気持ちがあったんです。

今作を通して“人の温もり”や“人とのつながり”の大切さを考えさせられました。それは今の時代で出会えた作品だからなのかもしれませんが、石崎さんはどのようなコンセプトを持って制作されたのでしょうか?

既存の曲もあったので、あまり一貫性は意識していなかったのですが、最終的に“生身の人の温かさ”みたいなものを軸にして作ったアルバムだと思います。それはコロナ禍で生活や人との距離感が変わっていく中で、単純に僕は人を求める人であり続けたいと思ったからですかね。

今作のタイトルを“ダイヤモンド”にされた理由もうかがいたいです。これまでのアルバムタイトルとは少し毛色が違い、ストレートな言葉をチョイスされていて、いろいろと考察をしてしまいました。この“ダイヤモンド”は単純にきれいとか、冷たい鉱石というイメージではなく、温もりがあってやさしく両手で抱きしめたくなる儚い物体のように感じたのですが。

実は“ダイヤモンド”という言葉は、2019年くらいから何かの作品のタイトルとして使いたいと思っていたんです。ただ、当時はまだその言葉を使うには少し早いと思ったからしまっておいたんですよね。そんな中、特にこの2年間は外に出られないぶん、音楽のことを考えたり制作したりする時間も増えたことで自然と感じたのは、どんな時でも僕の側には音楽がいてくれる…“音楽というのはこの先も一生苦楽をともにしていく大切なパートナーなんだ”ということでした。要するに“音楽との結婚”と言いますか、強い結びつきみたいなことを確認できたタイミングだったので、そこに“ダイヤモンド”という言葉がカチっとハマったんだと思います。

ここからは収録曲についてうかがいます。1曲目には2019年に私立恵比寿中学(以下、エビ中)に提供した「ジャンプ」のセルフカバーが置かれています。エビ中のメンバーも強い想いを持って歌い続けているこの楽曲は、イントロのアコギのストロークからバイオリンが重なることによる音の広がりが、まさにアルバムの始まりに最適だと思います。《今だ》や《もう一度愛を込めて》という歌詞にシンガーソングライター・石崎ひゅーいの想いや決意が込められていると、今聴くからこそ改めて感じたんです。なぜ、この楽曲のセルフカバーを収録することにしたのでしょうか?

まず、この曲は出来上がった時から、いつかセルフカバーしたいと思っていました。テーマは“青春や葛藤”で、社会に対して漠然とした不安を抱えながらもそこに飛び込んでいかなくてはいけない、そんな人たちの歌だと思っています。僕は自分を形成しているものってほとんどが10代や20代の経験であり、青春であり、葛藤であり、成功であり、挫折であると思っているんです。2021年現在はコロナ禍にあるからこそ、10代や20代の彼らの大切な2年が奪われてしまったことがすごく悔しくて。それでもこの時代を生き抜いていかなくちゃいけない彼らや僕らに向けて、自分からもこの歌でエールを送りたいと思ったんです。

7月にはエビ中メンバーと同曲をYouTubeチャンネルの『THE FIRST TAKE』で歌唱されていましたが、撮影はいかがでしたか?

緊迫していたと思います。とにかくエビ中のみんなの歌唱力と集中力に圧倒されましたね。

打ち込みサウンドが心地良く、壮大なサビのメロディーに失恋の歌詞が自分も経験したことがあるような身近な恋愛を思い出して切なくもなる2曲目の「スノーマン」はアコースティックテイストでも聴きたくなる楽曲ですが、この曲はこのサウンドアプローチが一番合っていると思いました。

デビューからアレンジをずっとしてくれているトオミヨウさんがソロで何枚か音源を出していて、そのエレクトロな音像にしたいという話をして制作が始まって。なので、この曲はサウンドイメージが先行してありましたね。歌詞に関してはクリスマスソングを作りたいという漠然とした気持ちからスタートして、最終的に素敵なストーリーが生まれたので良かったです。

3曲目はボクシング映画『アンダードッグ』の主題歌「Flowers」。映画が放映されていた時から疾走感と主人公の葛藤が映し出されたような歌詞に“この曲しかないな”と思っていました。この楽曲は映画のイメージを軸に制作されたのでしょうか?

はい。初めに台本をいただけたのと、撮影現場に行って武 正晴監督と森山未來さんにお会いできたのが良かったですね。この時期はみなさんも同じように表現活動が止まってしまう悔しさとやりづらさを感じていたはずだから、そんなフラストレーションを爆破させるような歌を作れば共鳴するかなとは思っていました。《世界中が敵だらけの今夜に 感謝するよありがとう》という皮肉にも希望にも聞こえる歌詞が生まれたのは嬉しかったですね。
石崎ひゅーい
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OKMusic編集部

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