UVERworldの
デビューアルバム『Timeless』は、
あらゆる要素が高い熱量のままに
融合された傑作だ

メロディーも演奏も
それぞれの熱量が拮抗

UVERworldと言うと、漠然とスマートなミクスチャーバンドというイメージがあったし、実際にデビューアルバム『Timeless』を聴いてみても、その印象が大きく覆されることはなかった。それは彼らの全ての作品を粒さに分析したことがないことも関係しているんだろうけど、それにしても、ロックにヒップホップの要素を取り込んだいわゆるミクスチャーロックサウンドを聴くことができるし、バンドの音にデジタルを融合させたという意味でも字義通りのミクスチャーではあって、そう的外れな指摘でもなかろう。

ただ──これもまた偏った見方なのかもしれないが、2000年代以前のオルタナティブロックやラウドロック、ラップロックと呼ばれるものには、その要素をぶち込んだけ…というか、取って付けた感じのするものもあるにはあった。継ぎ接ぎ感と言ってしまうと乱暴かもしれないし、それはそれでいいダイナミズムを生むこともあったのだけれど、正直言ってどこかギクシャクしている感じのものもあるにはあったとは思う。そんな中、その辺は流石に2000年以降のロックバンドと言うべきだろうか、UVERworldのサウンドにはその素振りが感じられない。『Timeless』収録曲は全編そうだ。ロックバンドにあとから電子音やラップを加えたということではなく、最初から全てそこにあったように構築されたサウンドがお見事である。本作に収録されたシングル曲を用いて解説すると──。

2ndシングルのM1「CHANCE!」はラップから始まって、鍵盤が印象的なイントロ→Aメロ→Bメロ→サビと続くが、展開に澱みがないし、アンサンブルに歪さもない。強いて言えば、後半のラウドに転調するところ(《Break! Show time!》以下)では“おや?”と思わせるけれども、それもそのパートの締め(《One Peace!》の箇所)が、当該楽曲のほぼ全編を支配している幻想的なシンセのコード弾きに引き取られる感じで、Bメロにつながっていくので、思ったほど違和感がない。というか、違和感が妙に連続しないのである。ポップソングとしてその塩梅が優秀であると思う。

デビューシングルであるM4「D-tecnoLife」はサビ頭ではあるものの、歌とシンセで比較的静かに始まる。そのあとのイントロで密集型のバンドサウンドでラウドに展開しつつ、Aメロではドラムレスで再びやや落ち着いた印象になるも、Bメロではバスドラムの4つ打ちが入って、そのあとのサビでバンドサウンドが結集する。そう分析してみると、展開がコロコロと変化している、ギクシャクとした感じと思われるかもしれないけれども、そうではなく、どちらかと言うと徐々にテンションが高まっていく印象だ。しかも、頭サビ~イントロで静と動を示しているので、A~B~サビと順序立てて盛り上がっていくことに聴く方も準備ができているようなところもあるのだと思う。

あと、メロディーが途切れないところが最も大きい要因ではあろう。頭サビのあとのイントロにしてもサウンドはラウドだが、そこに乗る♪Oh Oh〜はシャウトではなく、ハーモニーに近い。サウンドは変化していくが、メロディーに一本筋が通っているので、リスナーの耳が惑わされないのだと思う。「D-tecnoLife」もまた後半でラウドになる箇所があって、この辺はUVERworldに限らずこの時期までのバンドの定番なのだろうと思うところだが、ここもまた一旦、“静”の《How can I see the meaning of life》を経てサビへと向かうことで、シームレスさが強調されているようだ。個人的な感想を強いて言えば、サビでの電子音に若干の異物感がなくはない気もするが、その辺の好き嫌いは個人差があろう。

M9「just Melody」は3rdシングル。幻想的なシンセの音色と奥行きのあるディレイが配されたギターのアルペジオから始まるイントロが、ガツンとしたリズム隊とヘヴィなギターサウンドへと展開していく。面白いのは1Bと2Bでのサウンドアレンジの変化。2Bでヴォーカルがラップ調になることに呼応してだろうが、そこでは1Bと違ってオルタナ的なアンサンブルとなっている。そこは少しばかり段差みたいなものを感じなくもないけれど、このM9は楽曲全体の基礎になっているのがサビのメロディーとギターのアルペジオで、それらが圧倒的な存在感なので、あまりギャップを感じる暇がないようだ。もしくは、ギャップを感じてもサビメロや幻想的なアルペジオを聴くと安心感を得るという感じだろうか。

シングル曲以外で最も興味深く聴いたのはM3「Rush」とM5「優しさの雫」だ。前者はいわゆるラウド系、後者はバラードナンバーだが、それぞれ単純なそれではないのである。M3はゴリゴリのエレキギターとグイグイと迫るリズムが楽曲の推進力となっており、それは終始衰えないのだが、サビでは歌メロがそのサウンドの圧に負けないほどにキャッチーと言ったらいいか、まったく見劣りせずに重いサウンドに立ち向かっていく。M5はバラードらしく出だしこそ柔らかな歌メロに沿った繊細なサウンドで始まるのだが、楽曲が進むに連れてドラムはシャープだし、ギターはノイジーでオルタナティブな音色を出す箇所もあって、決して綺麗なだけにまとめようとしていないことが分かる。後半はこの曲がバラードであることを忘れるくらいにリズムが引っ張る箇所もある。つまり、ヴォーカルのメロディーがサウンドを凌駕するほどに優れたものであることは間違いないが、かと言って、バンドアンサンブルがその歌メロだけに頼っていない。

そんなUVERworldの特徴がM3、M5にはよく出ている。歌とサウンドがお互いに遠慮していない証左なのだろうし、譲り合うことがないという言い方でもいいかもしれない。各メンバーがそれぞれに真っ正面から楽曲に臨んでいるのだろう。ヴォーカルであれ、ギターであれ、リズム隊であれ、楽曲に注いでいる熱量が等しいので、妙な段差が生まれようがないのではないか。そんなふうにも推測できる。メンバーの熱が均一であるから、一見、いわゆるミクスチャーロックに思える展開も、スマートに思えたのではなかろうか。

OKMusic編集部

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