『FM802 RADIO CRAZY presents LIVE
HOUSE Antenna』オフィシャルレポー
ト――kobore、Kroi、NEEらがジャン
ルレスに魅せた個性

FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna -GSシリーズ- 2022.1.5(WED) Zepp Namba(OSAKA)
1月5日(水)、大阪Zepp Nambaにてラジオ局FM802が主催するライブイベント『FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna -GSシリーズ-』が開催された。本イベントは毎年年末に開催している同局主催のライブイベント『RADIO CRAZY』の名物企画「LIVE HOUSE Antenna」を3日間に亘ってZepp Nambaで開催するもので、2日目となるこの日の出演はOmoinotakeKroikoboreDENIMSTENDOUJI、NEEの計6組。次の『RADIO CRAZY』のステージを盛り上げるであろう注目アーティストのライブパフォーマンスが一同に観られるとあって、会場には2022年の「ライブ初め」な観客が数多く集まっていた。
イベントの開始前にはFM802のDJ板東さえかが「これからの音楽シーンを騒がすアーティストたちのライブ。ライブ初めをこのラインナップで観たことはきっと思い出に残るはず。この日をきっかけにたくさんのバンドと出会ってほしい」と、イベントへの思いを告げ、開幕を宣言。
■NEE
NEE
まずは東京発のエキゾチック・ロックバンド、NEEが登場。昨年デビューしたばかりの彼らだが、テレビ番組や音楽ストリーミングサービスなどで「2021年、注目のアーティスト」として紹介されていたこともあり、感度の高いラジオリスナーにとってはすでにお馴染みの様子で会場の雰囲気も上々だ。メンバーが「おはようございまーす!」と、早足でステージに登場すると1曲目「アウトバーン」へ。濃紫色の照明に照らされるなか、フリーキーなファンクネスが鳴り響き、くぅ(Vo.Gt)のコロコロと音域が変化していくボーカルが耳を離れない。おもちゃ箱の中に入っているような、ぎゅっと詰まった音のなかに入れ込まれたような不思議な感覚に囚われていく。
NEE
続く「万事思通」、夕日(Gt)の中毒性たっぷりのアバンギャルドなプレイに今度は目が離せない。緩急をつけるというか再生停止を繰り返すというか、聴く側を弄ぶようなサウンドも癖になるし、かほ(Ba)のリズムもが変幻自在すぎだし、たった2曲で彼らに夢中になって魅入ってしまう。
NEE
「新年一発目、トッパーでかましちゃって良いということですよね? Zepp Namba、やっちゃって良いの? 楽しんじゃってね? NEEは行きます、最強で最強の! やっちゃいます!」と飛ばし気味のMCに続くのは「ボキは最強」。くぅはハンドマイクに切り替え、踊るというよりもふらつくようにステージを右往左往していく。独創性を突っ走る「第一次世界」でも、大樹(Dr)のタイトなリズム、異国的というより無国籍なメロディ、どっと襲ってくる音の波に心踊らされる。
NEE
ライブ後半は彼らの名前を一気に押し出したキラーチューン「不革命前夜」を。ポップさが増したライブ感高まるサウンドに観客は高々と手を掲げて音に応えていく。サビ前に「せーの!!」とくぅが声をかけると、会場の熱量もぐっと上昇。全7曲、個性と中毒性爆発なサウンドで駆け抜け、トップバッターから観客に盛大なインパクトを残していった。
NEE
■TENDOUJI
TENDOUJI
2番手のTENDOUJIはJリーグ応援ソングの「WE ARE THE CHAMP 〜THE NAME OF THE GAME〜」をSEにご機嫌な様子でステージに登場。「今日から正月気分を切り替えて、楽しんでいきましょう!」と、1曲目「Killing Heads」からお得意のシンプル&ポップなグッドミュージックでフロアを沸かす。たった1曲、たった3分ほどで気持ちが高ぶったのはメンバーはもちろん、観客もみんな同じようだ。
TENDOUJI
メンバー個々の個性が爆発しまくりの「FIREBALL」。アサノケンジ(Vo.Gt)がかき鳴らすギターはヒリヒリとしたスリルを体感させ、モリタナオヒコ(Vo.Gt)のラディカルなメロがさらに追い打ちをかけていく。2022年も変わらずオーバーオールなヨシダタカマサ(Ba)はバンドの音に陶酔した表情を見せながら、武骨なリズムでバンドの音を強固なものにしていくし、オオイナオユキ(Dr)の軽やかなドラミングもまた良い具合で、バンドは、ライブは楽しいなと切に思わせてくれる。
TENDOUJI
Young Love」「I don't need another life」と、甘酸っぱかったり、郷愁に駆られたりと、パワーポップ味のあるギターサウンドが堪らなく胸を締め付けてくる。それなのにMCでは「2021年はアルバム2枚出した年。全部出してもうストックがないので、2022年は期待しないでください!」と肩透かしな発言が。もちろんそれはフェイクで、「やれることをやっていく。これからツアーが始まる。去年はライブの数が少なかったけど、今年はライブを重ねてみなさんに会いにきます。素晴らしい年になりますように。みなさんに捧げます。ハッピーニューイヤー!!」と叫び、「COCO」へ繋ぐ。ワクワク感がたまらない魅惑的なメロとポップなバンドアンサンブルに誘われ、2022年のバンドの活路に期待が高まって仕方がない。
TENDOUJI
ライブ後半もグランジにオルタナサウンドにと、バンドが持つ多彩さを全面に押し出した楽曲陣で突き進む4人。ラストは「アルバムから良い曲ができたので、それを最後に」と「Boys」へ。じわりと染み込むギターのメロも心地よいけれど、映画のエンドロールが終わるように静かに音が薄れていく瞬間もたまらなく愛おしくて、35分のステージは気付けばあっという間に終わってしまった。
TENDOUJI
■DENIMS
DENIMS
イベント中盤はDENIMSのライブから。ステージ前にはFM802のDJ板東さえかに「大阪の音楽シーンを作り上げているバンド。FM802のヘビーローテーション、イベントの出演も。新体制となったバンドを目撃してください!」と、熱いバンド紹介を受け、真っ青なデニムカラーに染まる照明の下、DENIMSのメンバーはステージへ。
DENIMS
昨年から続く全国ツアーの真っ最中ということもあり、この日のDENIMSはとにかく絶好調だった。2021年から土井徳人(Ba)を正式メンバーに迎え、新体制で活動してきた彼ら。気合も新たに新年一発目のライブ、1曲目に選んだのは新体制となって初の楽曲「RAGE」だ。釜中健伍(Gt.Vo)の鬱屈した世界に喝を入れるような爽快なボーカル、キレッキレな岡本悠亮(Gt)のギターサウンド、息の合った土井徳人のグルーヴも抜群に気持ちが良く、江山真司(Dr)のタイトなドラミングも高揚感を突き抜けさせてくれる。
DENIMS
軽やかなポップスに安定感抜群のグルーヴが際立つ「Crybaby」で体を縦に揺らし、「Goodbye Boredom」のご機嫌さんなバンドアンサンブルで今度は体を横に揺らす。すっと体に馴染む「えぇお出汁」みたいな、仕立ての良いDENIMSサウンドに誰もが心掴まれていく。
DENIMS
「ずっとZepp Nambaに立ちたかったので、2022年最高の幕開けになりました! 声は出せないけど、最後までご自由に楽しんで」と、「fools」ではリラクシンなサウンドに心がまったりととろけてしまう。それでもバンドの音はグッと大きく前に出ていて、しっかりと音の強さを主張していく。「自分自身を認めて、愛して、先に進んでいこうという決意の曲」と披露した「I'm」では、柔らかいけど芯が熱い、そのギャップにまた心奪われてしまう。
DENIMS
「ライブ初めがこの会場で、この一年がバンドにとって大きなことになる予感がしている。いつも小さなライブハウスでやっているけど、今年は大きい会場でもライブができるように。大きなことができる一年になれば」と、決意を新たにしつつFM802へ、そして観客へ感謝の思いを伝えると、「DAME NA OTONA」「わかってるでしょ」など、クオリティ高く極上のDENIMSサウンドを連投し、ステージを後にした4人。2022年も大阪のバンドシーンにとって頼もしい存在になりそうだ。
DENIMS
■Omoinotake
Omoinotake
ギターレスなピアノトリオOmoinotake、この日のステージはサポートにサックスを加えての4人編成で登場。深く濃い青色の照明に照らされるなか、静かにステージインするとそのまま1曲目「彼方」へ。清廉で、深く広がる藤井レオ(Vo.Key)の歌声に、会場の空気が一瞬にして変わったのを感じる。透明感もあるけれど、しっかりとした強さを持つ、ずっと聴き惚れる歌声。冨田洋之進(Dr.Cho)のたおやかなリズムはメロディを、歌詞が持つ凛とした強さをしっかりと引き立たせていく。
Omoinotake
続く「産声」はイントロもなく、藤井の歌声から華やかに始まる楽曲。テレビドラマやCM、アニメなど数々のタイアップで起用され、FM802リスナーにとってもラジオで幾度となく聴いてきたOmoinotakeの楽曲だが、やはり生のライブでのインパクトは格別。サックスの音色が加わり、より華やかになったサウンドに魅せられ、手拍子で楽曲に参加していく観客たち。福島智朗(Ba.Cho)の心地良いリズムも会場の朗らかな雰囲気を後押ししている。
Omoinotake
「2022年、(この日が)ライブ初めの人も多いはず。決意を新たにするのに良いタイミング。みなさんの2022年が素晴らしいものになるように、精一杯演奏していきます」と、清々しい挨拶をするも、緊張のためか何度も噛んでしまう藤井の姿に、フロアからは和やかな笑い声が漏れ聞こえる。それでも「踊れる曲をたくさん用意してきたので一年の最初、最高のスタートにしていきましょう!」と「プリクエル」へと繋ぐ。80年代のシティポップを感じさせる楽曲に、高音域が際立つ凛とした歌声がハマる。かと思えば、「モラトリアム」では強くも儚い歌声で感情の奥深くを揺さぶっていく藤井。福島、冨田が生み出すジャジーなリズム感が濃密な世界観を一層際立たせていく。
Omoinotake
ライブ後半は「トニカ」「By My Side」と、美メロが響く多彩なR&Bサウンドで観客の視線を奪っていく。そしてラスト「EVERBLUE」、跳ねるリズムにパワフルな歌声、爽やかなシティポップサウンドに乗せられ、手を振って音に応える観客の姿に満足げな表情を見せる3人。新年一発目、思い入れのある大阪の地で確かな手応えを感じたようだ。
Omoinotake
■Kroi
Kroi
「皆さん、ブチ上がってください!!」サウンドチェックからすでに好感触の音を見つけ出したKroiの5人はハイテンションで「Fire Brain」に突入していく。ヒップホップもファンクもソウルも混ぜ込んだ、踊る以外どうするんだ? と言わんばかりのご機嫌なサウンドに早くも観客は馴染み、遊び心たっぷりなストップ&ゴーを効かせまくった音もとにかく気持ちが良い! 内田怜央(Gt.Vo)のソウルフルな日本語ラップは日本人離れした耳なじみの良さがあり、1曲目から前のめりになって彼らの音を欲してしまう。
Kroi
「改めましてKroiです。興味ない方はちょっと我慢してくださいー。変なバンドなんで、変なバンド観たとSNSに書いてください」、観客を挑発していく内田。次曲「Balmy Life」では関将典(Ba)のリズムも千葉大樹(Key)のメロディーも自由度が高く、ボコーダーの音色がなんとも言えない中毒性を作り上げていく。
Kroi
続く「selva」では、曲間にメンバー同士がテンション高く声を掛け合う姿により一層強いライブ感を感じる。長谷部悠生(Gt)のスマートなメロと、スピードアップしていく益田英知(Dr)のリズムに合わせ、気持ちよさげにヨコノリで音に乗っかっていく観客たちの表情も良い。
Kroi
「あざっす!」、ラフな挨拶を挟んだところでMCへ。「東京に住んでるけど、ライブ納めもライブ初めも大阪。大阪ラブでございます! ガンガン曲やるんで楽しんでってください」と「Juden」へ。ファンクネスなサウンドに、関のベースがこれでもかと唸りまくる。Kroiは昨年メジャーデビューしたばかり。多ジャンルの音を昇華した音楽性を持つとは言うものの、あまりに個性が際立ちすぎて、もはやベテランバンドに見えてきてしまう……。
Kroi
「HORN」からのライブスパートもまたすごかった。5人が生み出すグルーヴは開放感にあふれていて、もっと彼らの音を全身に浴びたい、まだまだイケる! と思ったところであっという間にラスト「WATAGUMO」に。先ほどとは一転して、大人の渋みを効かせたジャジーなサウンドでステージを締めた彼ら。「セトリ、緩急激しかったかな」と、内田は自らライブを振り返るも、Kroiの旨みを存分に味わえた緩急鋭い楽曲陣は満足度も高く、余韻に浸る時間さえも幸せだった。
Kroi
■kobore
kobore
イベントはいよいよ最後、koboreのステージへ。サウンドチェック中には昨年末に開催された『RADIO CRAZY』の出演者たちの音源が会場に流れ、転換中もライブの盛り上がりを思い出し、イベントの高揚感が途切れることはなかった。メンバーも少しでも早くライブを始めたいのかサウンドチェック後もステージに残り、そのまま本番へ向かう。と、その前にステージ横では再びFM802のDJ板東さえかが登場し「今日のラインナップはライブパフォーマンスがすごい人ばかり。トリにバトンを繋ぎたい。(koboreは)ストレートに心に伝わるバンド!」と、最後まで紹介を言い終えないうちに、メンバーは急くように「ヨル ヲ ムカエニ」からライブスタートさせ、伊藤克起(Dr)のドラミングがライブのクライマックスかというほどダイナミックなプレイを見せつけていく。

kobore
1曲の短い演奏時間のなかに、音楽への思いをまっすぐに綴った「FULLTEN」。それをZepp Nambaの大きなステージでも、いつものライブハウスみたくステージ中央でぎゅっと集まって音を鳴らす4人の姿からライブバンドの確固たる決意が感じられる。しかも続く「ダイヤモンド」では夢に向かって進む人の心を鼓舞するような熱い思いがバンドに向けて歌われているようにも感じて、思わず胸が熱くなってしまう。一度聴くだけで口ずさめる<月火水木金土日>とポップなサビも、田中そら(Ba)のシンプルなリズムラインも楽曲のポジティブさを後押ししている。太陽みたいに燦燦としたロックは観る者の表情を自然と笑顔にしてしまうようだ。

kobore
「大阪にプレゼントで1曲やります!」と、お年玉代わりの新曲「MARS」を披露。安藤太一(Gt.Cho)の翔け上がるような清涼感あるギターに、気持ちよさそうに肩を揺らす観客たち。次曲「HEBEREKE」は佐藤赳(Gt.Vo)の力強い歌声がど真ん中にぶつかっていくロックサウンド。今は手を掲げるしかできないけれど、コロナ禍以前であれば、今頃ファンはもみくちゃにぶつかりあって、汗だくで満面の笑顔を浮かべていたんだろうな、なんて想像して楽しいはずなのになんだか少し寂しくなってしまう。
kobore
MCの最中、タオルでガシガシと汗を拭き上げた佐藤の表情からは満面の笑顔が見える。「幸せそうな顔してるでしょ? 七福神ってわかる? あれっぽくない? オレ」と、新年一発目のライブから大きな手応えを感じているようだ。次曲「HAPPY SONG」では、タイトルのまんま多幸感にあふれたサウンドが、メンバーはもちろん、観客もみんな笑顔にしていく。「ここに何かを残すんじゃなくて、何も残さないことだと思います!」、全力でライブにたち向かうことを約束し、「幸せ」「爆音の鳴る場所で」と続けていく。ライブバンドの決意を表すようなフルスイングなライブパフォーマンスに観客は高く、大きく手を掲げて音に応える。

kobore
ラストは言葉のひとつひとつが心に染み込む優しくて壮大なロックアンセム「ヨルノカタスミ」。奏でる音楽に自分を重ね、メンバーはギターをかき鳴らし、ベースを打ち鳴らし、ドラムを叩きだし、ロックバンドたる姿を全力で打ち出していく。思いを全部吐き出して、より高みへ、より大きなステージへ進んでいこうとする4人の姿はとても頼もしくて、2022年もkoboreの歩みを追いかけたいと思わせてくれる熱量高いライブに、会場からは称賛の拍手が沸き起こった。
『FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna』
音楽のジャンルはもちろん、個性もパフォーマンスも多彩な面々がそろった『FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna -GSシリーズ-』の2日目。この日のステージが彼らのライブ初体験という人も多かっただろう。2022年、彼らがどんな音楽で、ライブで輝くのか。この続きは全国のライブハウスで体験してほしい。そして今年の年末に開催される『RADIO CRAZY』のメインステージに誰が出演するのか、その動向もぜひチェックしてほしい。
取材・文=黒田奈保子 撮影=渡邉一生
2021年12月25日(土)〜28日(火)RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM
オフィシャルレポートの記事は→こちら

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