玉城裕規インタビュー~『湊横濱荒狗
挽歌~新粧、三人吉三。』テレビ初放
送記念

2021年8月~9月に横浜のKAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉で上演され、好評を博した舞台『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび~しんそう、さんにんきちさ)』(作:野木萌葱/演出:シライケイタ/出演:玉城裕規、岡本 玲、森 優作/渡辺 哲、山本 亨、ラサール石井、村岡希美、大久保 鷹、筑波竜一、伊藤公一、那須 凜、若杉宏二)が、2022年年1月23日(日)に、CS「衛星劇場」で放送される。今回がテレビ初放送となる。
悪事を重ねるアウトローな人間たちや哀しき因果など、歌舞伎のあらゆる魅力を詰め込んだような河竹黙阿弥の『三人吉三』を現代版にアレンジしたハードボイルド現代劇である。2021年4月よりKAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史により導入されたシーズン制で1年目のテーマ「冒(ぼう)」の始まりを告げた記念すべき第一作目が本作だ。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)
戯曲は、「パラドックス定数」を主宰する野木萌葱の書き下ろし。東京裁判、大逆事件、グリコ森永事件などの歴史や史実を題材にした脚本で高い評価を受けてきた野木が、歌舞伎『三人吉三』の世界観を、現代の横浜を舞台に鮮やかに蘇らせた。演出は、蜷川幸雄演出の舞台で俳優としてデビューしたのち、2010年「劇団温泉ドラゴン」の立ち上げに参加し、脚本家・演出家として活躍の幅を広げているシライケイタ。読売演劇大賞杉村春子賞の受賞歴もあるその手腕は本作でも大いに発揮された。
本作で、歌舞伎版「三人吉三」の和尚吉三にあたる役を存在感たっぷりに演じたのが玉城裕規だった。「先の読めない脚本、尊敬する先輩方との競演など、刺激に満ちた舞台でした」と語る彼に、このほど作品への思いを振り返ってもらった。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)

■親子二世代による“三人吉三”の展開に注目
ーー 昨年の夏に上演されたこの作品を振り返り、改めてどのような舞台だったと感じていますか?
とても刺激が強めの作品でした(笑)。豪華すぎる共演者の皆さんもそうですが、演出のシライ(ケイタ)さんの攻めの姿勢がすごくて。稽古前にシライさんが、「全員が主役で、全員が看板役者になる舞台にしたい」とおっしゃっていたのですが、まさにそのとおりになったなと感じています。
ーー 最初に台本を読んだときは、どのような印象でしたか?
稽古中に少しずつ台本が出来上がってくるという流れでしたので、シライさんを含め、誰もが物語がどう展開されていくか分からなかったんです。でも、それが逆に面白かったですね。この作品は歌舞伎の人気演目である『三人吉三』を現代版の任侠劇にアレンジしたものなので、みんながみんな、「自分は最後に死ぬんじゃないか?」と想像していたりして(笑)。また、『三人吉三』の核ともいえる3人の人間の物語については、3人の父親たちと、その息子や娘という2つの世代を使ってエピソードを展開させているんですね。しかも、オリジナルに近いのは親たち(渡辺哲、山本亨、ラサール石井)であり、僕たち“子どもチーム”の3人(岡本玲、森優作)は親子の血の繋がりに振り回されるという内容でしたから、そうした部分でも新鮮でした。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)
ーー 親世代の3悪人は迫力がありました。
“悪”のレベルが強すぎですよね(笑)。でも皆さん、普段はとても優しくて。なかでも、僕の父親役を演じられた哲さんは、見た目に怖さがあるものの(苦笑)、ご本人にもお芝居にも、すごく愛があるんです。劇中で哲さんが仲間に自分の息子のことを語るシーンがあるのですが、初めて稽古場で見たときは、僕も息子の純の気持ちになって、理屈じゃなく涙が出てきました。2人は決していい親子関係ではないんです。でも、たまに出る愛情がものすごく深い。あのシーンを見た瞬間、僕と哲さんの親子の関係性が出来上がったような感じがしました。
ーー 一方、“子どもチーム”による3人の関係性はどのように作っていかれたのでしょう。
台本が出来上がってから、3人でよく話し合いをしました。先ほどもお話ししたように、親たちによる「三人吉三」で物語が転がっていくような印象がありましたので、そうしたなかで、僕らはどのような存在でいればいいのか。そこをすごく話しました。シライさんからも、「若者3人に関しては、ただ悪ぶっているだけではなく、青春も感じるような雰囲気がほしい」というオーダーがありましたので、そこでも親世代との違いを感じていただけると思います。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)
ーー 岡本さんとは3度目の共演、森さんとは初共演でした。改めて感じる、お2人の魅力とは?
役柄的な部分もあるのですが、玲ちゃんは色気が増し増しでした(笑)。佇まいや存在感に重みがあり、稽古の最初の頃は飲み込まれそうになりました。それに、僕のほうが年上なんですが、姉御っぽさがあるといいますか(笑)。舞台上では常に堂々としているので頼れるし、僕がぶっ飛んだ表現をしても、すべて受け止めてくれるんです。また、森ちゃんとは稽古前のビジュアル撮影で初めて会ったのですが、そのときから森ちゃんにしか出せない空気感を持っているなと感じていましたし、羨ましさがありました。しかも、とても素直なお芝居をされるし、一瞬一瞬を生きているのが伝わってくる。そうかと思えば、楽屋では可愛い部分をいつも見せてくれていて(笑)。お2人とも、一緒にいて安心できる存在であり、たくさん勉強もさせていただきました。
ーー 親たちとはまた一味違う、若い世代の“悪”も魅力的でした。
みんな荒ぶっていて、まともな奴は一人もいませんしね(笑)。でも、それぞれに生き様があり、筋の通った生き方をしようとしている。セリフにもそれは表れていて、共演者の皆さんが放つ、その“生き様”の演技を近くで見るたびに、僕も大きな刺激を受けていました。また、そのなかで純は、キャリア組ということもあり、スーツにネクタイ姿で、話す言葉も敬語だったりするんです。ですから、ただ荒ぶっているだけでなく、一見普通に見える青年だけど、中身はまともじゃないヤバイやつという役でもありました(笑)。その演技を、観てくださった方に褒めていただくことが多くて。本番中はとにかく必死だったんですが、見た目だけは分からない内面の狂気をしっかりと表現できていたことは、役者として大きな自信になりました。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)
ーー では、放送に向けて楽しみにされていることを教えてください。
いろんな心情を描いた作品でもあるので、同じ舞台上からは見られなかった共演者の皆さんの細かい表情を見るのがすごく楽しみです。そして、改めて大人の皆さん方の魅力を、今度は画面を通じて感じてみたいと思っています。きっと威力がすごすぎるので、視聴者の皆さんも、画面越しでも圧倒されると思いますよ(笑)。
【玉城裕規プロフィール】Yuki Tamaki 1984年7月10日、沖縄県出身。2010年に参加したJapan Anime Liveの『NARUTO -ナルト-』サスケ役や、翌年からスタートした舞台『少年ハリウッド』シリーズで注目を集める。代表作に、舞台『弱虫ペダル』『刀剣乱舞』、主演映画『浅草花やしき探偵物語 神の子は傷ついて』『さよなら グッド・バイ』など。2月から舞台『文豪とアルケミスト 捻クレ者ノ独唱(アリア)』に出演。
『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三』 (撮影:宮川舞子)

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