中川晃教×井上芳雄が時空を超えた共
演に向けて収録「僕たちの関係があっ
て成立し得る収録だった」〜『Japan
Musical Festival 2022』囲み取材レ
ポート

ミュージカルの新時代の幕開けを予感させる新たなフェス、『Japan Musical Festival 2022』が、2022年1月28日(金)にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で開催される。中川晃教をはじめミュージカルを中心に活躍する豪華キャストが全28曲を披露する本イベントには、井上芳雄と海宝直人の映像出演も予定されている。
開催まで残すところ約2週間。日本テレビのスタジオにて中川晃教と井上芳雄の映像収録が行われた。報道陣向けに公開された歌唱の一部と囲み取材の様子をレポートする。
(左から)中川晃教、井上芳雄
グリーンバックで覆われた収録スタジオの中央に、中川と井上が姿を見せた。フォトセッションでは、中川が「よっしー」と井上の愛称を掛け声にポーズをキメて笑いを誘う。歌唱準備の待ち時間でさえ、二人で近況を語り合うなど仲睦まじい様子がうかがえた。
中川と井上は2002年のミュージカル『モーツァルト!』日本初演、2005年の再演、2007年の再々演でタイトルロールをWキャストで担った過去を持つ。ミュージカル界で切磋琢磨しあってきたライバルであり盟友でもある二人は、『Japan Musical Festival 2022』で『モーツァルト!』の代表的なナンバー「僕こそ音楽」を披露する。これまでにも歌番組やコンサートで同曲を二人で歌うことはあったが、今回は舞台上のリアルな中川と映像出演する井上が歌唱するという新たな試みとなる。
(左から)中川晃教、井上芳雄
この日は先程収録したばかりの井上の歌唱音源に乗せ、二人で「僕こそ音楽」の一部を披露してくれた。それぞれの個性を活かした歌い方で、非常に伸び伸びとした歌声がスタジオ中に響き渡る。
中川晃教
井上芳雄
歌い終えた中川は「本番では僕はステージにいます。井上さんはホログラムとして現れます。つまり、僕は収録された井上さんの臨場感ある歌に合わせて、生で歌っていくということをやります。楽しみな初めての経験です」と丁寧に説明してくれた。中川自身は本番に出演するため収録の必要はないのだが、井上の映像収録で歌を合わせるために、この日の収録現場に参加していたということになる。
以下、囲み取材の模様をお届けする。
ーー『Japan Musical Festival 2022』に映像出演される井上さんですが、出演にあたって何か魅力的な口説き文句があったのでしょうか?
井上:妻(知念里奈)が出演するので、その時点で人質を取られているようなところがあって断りづらいというか……まあそれは冗談ですけど(笑)。本当は僕も舞台上で歌うことができれば一番良かったのですが、公演中なので叶わず。アッキー(中川)がやろうとしていることにはできる限り協力したいという気持ちは元々持っているので、ぜひ、という感じでしたね。
中川:でもまさかのホログラム!
中川晃教
井上:思いもよらぬ展開ですよね。いいなと思ったのが、全編をホログラムでやろうとすると大変かもしれませんが、コンサートのワンシーンに使うことで「こういうやり方もあるんだな」とお客様も僕たちもわかると思いますし、それが次に繋がっていくのだろうなと。この新たな試みに自分が参加させてもらえることになって、すごくワクワクしています。
ーー中川さんは以前からミュージカルが主役のフェスをやりたいとおっしゃっていましたが、それがついに実現しますね。
中川:そうなんです! 同じくミュージカル界で頑張っている素晴らしい仲間たち、そして何よりもそれを楽しみに待っていてくださるお客様に何かできないだろうかと。それを実現できるのは神様に感謝、そして井上芳雄様に感謝です。(井上さんが)今回ホログラムで出演してくださることも含め、僕たちの関係があって成立し得る収録だったなと今実感しています。会場にいらっしゃるお客様に、ここに今実際にいるんじゃないかと思わせてくれるような時間を作れた気がするんです。
ーーやはり井上さんはミュージカルフェスには欠かせない存在だと。
中川:僕たち、近年ミュージカル界の中で様々なことにチャレンジしていると思うんですね。井上さんもちょうど昨年やってましたよね? 42時間フェスでしたっけ?
井上:42時間は長いよ(笑)。僕のは4時間(笑)。何だか僕のフェスがしょぼくなるような紹介やめてくれる?(笑)
井上芳雄
中川:やっぱり井上さんは新しいことをやろうと先に始めたわけですよ。そういうところから脈々と繋がっていっているものもあると思います。ね!
井上:みんなやりたいという想いはそれぞれあっても、実現に持っていくというのはなかなか難しいこと。自分の想いだけではできないし、制作のみなさんをはじめ協力してくださる方がいらっしゃらないと成立しないことなので。今回の『Japan Musical Festival』第1回目は、アッキーの求心力や魅力によって結実したんだなと感じています。
ーー先程終えたばかりの映像収録の感想を聞かせてください。
井上:「僕こそ音楽」という曲自体は『モーツァルト!』をやっていたときよりも歌っているんじゃないかというくらい二人で歌わせていただいているので、変わらず楽しくできました。アッキーは本番ではホログラムの僕と歌うことになるので、また違う感覚になるんじゃないかなと思います。今回の映像があるので、これがあればどうにでもなるというか、自分が忙しいときは「映像あるんで送ります」みたいな。そういういい商売もしていけるんじゃないかな(笑)。
(左から)中川晃教、井上芳雄
中川:ミュージカルの1曲に込めたストーリーにはすごいものがあると思っていて。僕たちがこれまで歌ってきた「僕こそ音楽」のひとつの完成版として、その都度ステージでお届けしてきているんですね。今回も僕たちでなければ表現できない「僕こそ音楽」の新たな完成形が見えてきているような気がして、「頂上を登るとまた新たなスタートラインが見えて、いつまでもゴールってないんだな」という気持ちになりました。
井上:歌の前後にトークもしちゃったので、ここからアッキーが大変で。内容は言えませんけど、ホログラムの僕と自然にトークしていたらすごく面白くなるんじゃないかなと思います。それをアッキーができるのかというのはちょっと僕にもわからないです(笑)。グダグダになるかもしれないですけど(笑)、それも含めて初めての試みですからね。
ーーホログラム出演という最新の映像技術が取り入れられますが、こういった技術は今後エンターテインメント界にとってどういうものになっていくと思いますか?
中川:今回の映像出演ではFusion Wallという魔法のようなスクリーンが舞台上に降りて、このスクリーンに投影することによってホログラムの井上さんが現れるというものなんです。僕も話だけ聞いたときには、正直、その精度を疑っちゃったんです。でもFusion Wallの開発がされているファクトリーに行って実際に見せていただいたとき、本当にびっくりしたんですよ。例えばFusion Wallを使うことによってこの場所が何にでもなるし、僕たちはどこにでも行ける。前澤友作さんのように宇宙に飛ぶこともできます。僕たちがこれからどんなエンターテインメントを作っていくのかと考えたとき、Fusion Wallを用いた何か新しい可能性が生まれるように思います。
中川晃教
井上:演劇って同時性というか、その場にいて一緒に楽しむところが最大の魅力ではあると思っていて。そういう意味で今回生身の僕はいないんですけれど、その場に投影はされているので100%でも0%でもなくて。同時性のまた違う楽しみ方ができるのかなというくらい、精度が高いんです。
あと、今気付いてすごく悲しい気持ちにもなっているんですが……例えば僕がこの世からいなくなったとき、アッキーが泣きながら今日撮った僕のホログラムと歌う絵が浮かんで、そういう使い方もあるなと思いました。……自分で話してて悲しくなってきた(笑)。でもそういう使い方もできるだろうし、舞台の良さを消すものではなく、むしろ増やすものなんじゃないかなという気がしています。
ーーお二人が出会った『モーツァルト!』日本初演(2002年)から、今年でちょうど20年が経ちます。今改めてお互いの存在をどう思いますか?
井上:本当に幸運な出会いだったなと思います。同じミュージカル界で頑張ってきて、いろんな時期を経て、今はすごくいい仲間であり同志みたいな感じです。僕の方がちょっと年上でもありますが、年々その差はなくなってきている気がしています。アッキーが自分からやりたいことを発信していると近年感じていて頼もしいですし、すごいなあとも思っています。相変わらず刺激を受けていますね。
井上芳雄
中川:僕は当時、音楽畑の中からミュージカルの世界に飛び込みました。一方、王道のミュージカルの世界で活躍されていた井上さん。そんな僕たちが『モーツァルト!』で出会うというのは、今振り返ってみてもすごく運命的なものがあったと思います。二人で役を作っていくということを初演、再演、再々演とやらせていただいて、素晴らしいカンパニーとお客様と一緒に作っていった作品です。それが今もなお愛される作品になっているということを感じられる20年間だなとすごく思います。
舞台がより世間一般のみなさまに近づいていくことが何よりも幸せなことだと感じるのですが、それを牽引しているのが井上さんだと思うんです。そこにたくさんの仲間たちが続いていって、どんどんミュージカルが広まってきているという喜びも、この20年を振り返るとありますね。
ーー最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします。
井上:今思ったのは、Fusion Wallで出ている自分と生のアッキーが歌っているところをライブビューイングや配信で観る人がいるということで、さらに複雑なことになるんですよね。でも、もしかしたら映像で見たらどっちが本当にいてどっちがホログラムなのかわからないんじゃないかなって。そういう面白いことが起きるんじゃないかって思いました。僕は本番にはいませんが、面白いことになると思いますのでぜひ!
中川:『Japan Musical Festival』は本当にゼロからイチを作っていく作業だと思っていて、ゼロから全てを創造していくことになります。これらが融合し合うことで結果としてミュージカル界が盛り上がっていけるよう、応援していただけたらと思っております。
(左から)中川晃教、井上芳雄
取材・文=松村蘭(らんねえ)   撮影=荒川潤

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