DIR EN GREYのShinya(Dr)ソロプロジ
ェクト・SERAPHの成り立ちと2年ぶり
コンサートの構想

DIR EN GREYShinya(Dr)が、ソロプロジェクト・SERAPHとして2年ぶりのコンサート『Shinya Birthday Event - SERAPH Concert 2022「Spuren des Ruins」』を2022年2月24日(木)に大手町三井ホールで開催する。Shinyaと、Moa(Piano & Vocal)の二人からなるセルフプロデュースによるアーティストデュオ・SERAPHについて、その成り立ちと、2年ぶりのコンサートの構想を訊いた。
――最近はどんな過ごし方をしてるんですか?
最近はDIR EN GREYのライブ(1月26日&27日=東京・新木場スタジオコースト)があるのでリハーサルを。あとはアルバムのレコーディングをしたりします。
――レコーディングはどのような状況なんですか?
まぁ、3分の1ぐらいですかね。今年になって始めたばっかりなんですよ。
――そうなんですね。昨年の活動を振り返ると、どんな印象ですか?
いや、特に……普段の感じです。(DIR EN GREYの)ツアーもできたし。
――とはいえ、ライブ自体はコロナ禍での制限が課されていましたよね。
ライブハウスでも座席が設置されていたので、やってる側からしたら、すっきりしてて、何か新鮮でよかったです。
――新鮮ではあると思いますが、歓声がないことに、多くのミュージシャンは最初に違和感を覚えるようですね。
でも、SERAPHはいつも歓声のない着席スタイルですからね。(京が率いる)sukekiyoとかもそうですよね。だから、メンバーの5分の2が慣れてます(笑)。
――確かに(笑)。さて、SERAPHの活動が公になってもう5年となりますが、これまでに開催されたコンサートは2019年と2020年の2回ですね。
そうですね。2年前は2デイズでしたけど、大まかに言うと2回です。
――それぞれどんなコンサートでした?
2019年のときは最初のコンサートなんで、曲も5~6曲しかやらなかったんですけど、それはそれで、すごく自分の想像していたものになった気がします。ドラムとピアノ、それと弦楽器で成り立ってて、広いステージで、みたいな。最初から満足でした。
――翌年の2020年の際には、曲も増えていましたし、臨み方は変わっていったのではないですか? できること、やりたいことも増えたのかなと思いますが。
1回目の反省点を改善した感じですかね、基本的には。ステージでの立ち位置とか、そういったところですかね。
――基本的には定位置で、演奏する、歌うスタイルですよね。
そう。だから、ドラムとピアノの定位置の話なんですけど、最初のコンサートのときは、ドラムが真ん中にあり、台の上に置かれていて、その前にピアノだったんですね。要するに真ん中に2人いる。それが僕の理想としている形だったんですね。目は2つしかないから、ステージの左右にいると、お客さんはドラムとピアノのどちらもは見れないわけじゃないですか。だから、どちらも目に入るように真ん中に寄せるというのをやりたかったんですね。ただ、根本的にステージが狭すぎて、すごい圧迫感が出たんですよ。そこがちょっと理想とは違ったので、次のコンサートからは左にピアノ、右にドラムというふうに分けたんです。ピアノはクラシックコンサートの基本の向きにしてMoaさんが僕のほうを常に向くようになってて、さらにドラムの奥にいるマニピュレーターさんとも向き合うようになって。
――より演奏はしやすくなるわけですね。
Moaさん的にはそうです。僕は逆にMoaさんが見えなくなったんで……。
――ShinyaさんからはMoaさんは右横の位置になりますからね。
そう。だから、それはそれで自分の世界に入ろうかなって感じでしたね。あとはストリングスを、最初は6人いたのを4人にしましたね。それもやっぱりステージの狭さからくる圧迫感が理由ですね。ドラムもピアノもでっかいじゃないですか。しかも、チェロとかもでっかいし、普通のバンドよりもギュウギュウなんですよね。
――確かに言われてみれば、そうですね。でも、今度は左右に位置させることによって、当初懸念していた、視線が右と左に分かれてしまうという事態が起こるわけじゃないすか。
そこは、まぁ……妥協して(笑)。
――妥協(苦笑)。2通りの配置でやってみて、結果的にどちらのほうがやりやすいんですか?
やりやすさはそんなに変わらないんですけど、客席から眺めた感じで言えば、やっぱ2回目のほうがすっきりしててよかったです。
Shinya
タイトルが『Spuren des Ruins』で、“破滅の痕跡”みたいな日本語訳なんですけど、1回破壊されて再生される、みたいな感じのイメージです。
――そのコンサートも2年前ですよね。それ以降は新型コロナウイルスの猛威によって、演奏活動自体がどんどん規制されていく世の中になってしまいましたので、SERAPHとしても表立った動きはありませんでしたが、水面下では何かしらの制作作業も進んでいたのかなと想像するんですが……。
いや、何もしてないです。
――何もしてない!?
そうですね。逆に2019年までに、もう制作関係は終えているんですよ。すべての曲は2015年ぐらいからあるんです、未発表のものも含めて。もう新たに作らなくていいぐらいあるんですよ。だから特にやることはないんですね。
――どんどん新しい曲を作ろうという考えには至らず?
作ったとしても、披露する場がないじゃないですか。ファンの子たちもまだ1~2回しか聴いたことがない曲ばっかりなんで、そんな状況で新しい曲をやっていくのも、どうかなとも思うので。
――それはそうですが、2017年にリリースされた1stシングル「Génesi」しか、公式な音源はないですよね。ただ、今の話にもあったように、曲自体はたくさんあるのでれば、なぜそれらが形となって発表されないのかと、誰しも不思議に思うのではないですか?
それはちょっと、いろんな問題があって(苦笑)。複雑な事情が絡み合ってて。
――あえて出さずにいるわけではない、と。
そうですね。でも、出せたとしても、個人的には、CDを出す意味はあんまりないかなと思ってるんですけどね。配信で1曲ずつとか、そういうものなら、いいかなと思ってます。
――とはいえ、配信という形態でもリリースは容易ではないんですね。
そうですね。ただ、何かしらちょっとずつは出していってるんですよね。正式な音源とかじゃなくて、YouTubeに上げたり、最近は謎解きゲーム(『火の鳥・逃れられない運命からの脱出』)のテーマソング(「Kreis」)に使ってもらったりとか。これからも、そういう形で出していければなという感じです。
――これがSERAPHの作品です、と大々的に打ち出すのではなく?
そうですね。
――現時点で何か今後のプランはあるんですか?
いや、プランはないですけど(笑)。何かが来たら乗っかるっていう感じです。
――そうすると、楽曲提供を求めている人は、ぜひお声掛けくださいと。この2年何もしてないとなると……Moaさんとも特に連絡を取るようなこともなかったんですか?
去年は特に取ってないです。一昨年のコンサートが終わった後には、映像に関するやりとりがあったので、何ヶ月かは連絡とってました。
――なるほど。さて、来たる2022年2月24日、つまりShinyaさんの誕生日に、再びコンサートを行うことになりましたね。これはどういった経緯があったんですか?
自分のバースデーのときにはやろうかなって考えなんですよ。去年はたまたまコロナでできなかったので。一応、来年もやろうとしてます。再来年も、その次も。
――そういう計画は立っていると。
そうですね。逆に言うと、誕生日じゃないとできないですよね。
――なぜでしょう?
いや、細かい複雑な事情が……(笑)。でも、ワンマンじゃなくても、イベントとかがあれば全然、出たいんですけどね。
――そう……なんですね。今年はどんなコンサートにしようと考えています?
前回とはまたちょっと雰囲気を変えて。タイトルが『Spuren des Ruins』で、“破滅の痕跡”みたいな日本語訳なんですけど、1回破壊されて再生される、みたいな感じのイメージです。
――なぜそういったテーマ、コンセプトが浮かんできたんですか?
古代から、世界はそういうのが繰り返されてるじゃないですか。前回は『Licht of Genesis』で、SERAPHは神的なテーマでやっているので、次は破壊かなっていう。
――破壊“する”のか、破壊“される”のかと言えば?
やっぱり破壊するんじゃないですか。
――どのように破壊をするんですか?
どのように? 神の力です。
――その神というのは、SERAPHとイコールなんですか?
そうですね。愚かな人間だけが滅びて、残った人、選ばれた人で、新しい世界を作っていくみたいな感じです。
――神はすべての人を救うのではないのですか?
違います。いつも上から見てるんです。それで愚かな人間は滅んでいく。
――創造される新しい世界とは、どんな世界なのでしょう?
人々が住みやすい世界。
――それは現実社会でも置き換えて話ができる気がしますが、Shinyaさん自身も思うところはありますか?
あぁ、漠然とはあります。地球環境的に考えると。地球のためを思うなら、1回人間は滅びたほうがいいんじゃないかとは思いますけどね。僕が死んだ後に(笑)。死んだ3日後に滅びて……でも、多分、滅びるんじゃないですか、そろそろ。
――そう思う理由が何かあるんですか?
いや、何かもうおかしいじゃないですか。世界中で地震やら火山の噴火やら何やらで。そういうものも、まず人間のせいとかじゃないですか? いろんなことが絡んでいって。たとえば、南極の氷が溶けるのも、人間が日常の生活で発生させる(温室効果)ガスのせいとか、いろいろあるじゃないですか。もっとちっちゃいとこで言うと、ソーラーパネルを(乱開発などを伴って)設置したことで土砂崩れが引き起こされるとか。でも、僕は環境破壊は駄目だとか……いや、環境破壊してもいいとは思ってないですけど、しないために運動を起こすとかまでのものではないです。
――アクティヴィストではないけれども、メッセージを発しているわけですね。普段の生活で、これは地球環境的にマズいなと思う場面もあります?
いや、ないですね。レジ袋やらなんやら、プラスチック削減とかも、意味あるのかなと思ってる派です。
――重要性は理解しているけれども、ということ?
いや、そういうことではなくて。たとえば、工場とかによる汚染とかは問題あると思うんですけど、環境破壊を止めるようなことは、普通の人である自分たちには、一個人には何もできないと思ってます。
――一人ひとりの行動が大きくなれば世の中を動かせる、みたいなこともあるじゃないですか。
いや、それは微々たるものしか動かないと思ってる派です。
――そうすると、究極的な話ですが、やはり一度は世界が破滅するしかないと……。
そう。そうしないと、もう戻らない。
――コンサートのコンセプトについては、Moaさんとどんな話をしながら決めていったんですか?
確か僕が“破壊じゃないですかね?”みたいに言って、そこから進んだ感じですかね。破壊から、愚かな人間が滅んで、新世界を作るみたいなテーマに持っていった感じです。
――Moaさんは現時点でも謎めいていますが、このSERAPHをどういうユニットと捉えているのでしょうね?
わかんないですね、それは。多分、Moaさんが書いている歌詞にメッセージが込められてるんで、それを伝えることをテーマにしてやってる気がします。
――その歌詞の世界については、どう感じています?
もう素晴らしいなと。僕はすごく漠然としたテーマしか持ってなかったんですね、SERAPHについても、その曲それぞれについても。それをMoaさんが具現化して言葉にしてくれるんですよ。そこで自分が思っていたものと違うということはなく、思っていた以上の素晴らしいものができるっていう感じなんですね。
――それはなぜなのでしょうね。
好みが似てるんですかね。
――Shinyaさんが曲を書いたとき、そのイメージはどのように伝えるんですか?
めっちゃ漠然としてます。たとえば、「Génesi」だったら、“まず世界が生まれた感じ”みたいな。そのぐらいのイメージですね。
――確かに漠然としてますね。ただ、それに対して返ってくるものに、すごく面白みを感じるのでしょうね。
そうですね。
――Shinyaさん自身は作詞をしようという願望はないんですか?
SERAPHができたときに、挑戦しようとは思ってたんです。でも、先にMoaさんの書いた歌詞を見て、絶対にこれ以上のものは無理だと思うぐらい素晴らしかったので、全部委ねることにしました。
――それこそがSERAPHの世界なのだと。曲はすべてをShinyaさんが書いているわけではないんですよね?
でも、Moaさんが作ってるのは2曲ぐらいです。ただ、オーケストレーションやら何やら、アレンジはMoaさんがやってます。
――作曲家と編曲家は性格が異なるところはありますが、彼女はあえてSERAPHにおいてあまり曲を書いていないのですか?
うーん、どうなんですかね。その辺はわかんないですね。SERAPHを結成する前からの曲があったりもしたんですよ。まずはそれをやって、みたいなのがあって。Moaさんも元々あったものを、SERAPHに持ってきた感じです。だから、結成したときにすでにいっぱいあったんですよ。結成してから書いたものも何曲かはありますが、数曲ですね。
――結成して以降に書いた曲は、それ以前とは書き方が変わっているんですか?
ほぼ一緒です。
――では、ShinyaさんのSERAPHにおける曲作りのポイントになるものは何なんでしょう?
やっぱりメロディじゃないですかね。自分が一番好きなメロディです。SERAPHがもう、ばっちり好みのメロディなんですよ。
――これまでにいろんな曲を聴いてきたと思いますが、Shinyaさんの好きなメロディの曲を挙げるとするなら?
80年代歌謡曲ぐらいな感じですかね。中森明菜さんみたいな暗めのもの。
――中森明菜の曲で何が一番好きですかと言われたら?
一番!? 「LIAR」が一番好きですね。ちょうど一旦活動を休止する前の曲ですね。中森明菜さんは5歳ぐらいの頃から聴いてたんですよ。普通にテレビで観てましたし、親がカラオケ的なお店をやっていたので、そこでも当時のヒット曲をよく聴いてて。
――そういう幼少期の体験が、今に引き継がれているわけですね。自分の好きなメロディを形にしたいと思い始めたのはいつだったんですか?
あぁ……20歳ぐらいとかですね。曲を作るようになったのがその頃で……DIR EN GREYのデビュー直前ですね。当時は今と違って、作曲者がメロディをつけることになっていたので、そのときにコードとか作曲の仕方とかを覚えたんです。そこで自分が思っているものを作れるようになったと思って、当時めっちゃ作ってたんです、DIR EN GREYに関係なく。
――その頃に書いた曲をSERAPHで採り上げてもいるんですか?
いや、その当時の曲はないですけど、十数年前のものはありますね。
Shinya
SERAPHは“ライブ”ではなく“コンサート”と言っているんです。ライブは熱がある、生きている感がある。コンサートは、ちゃんと鑑賞するみたいな。
――SERAPHの始動が公になったのは2017年ですが、その構想につながる前段階のものという意味でも興味深いですね。現時点では東京でしかコンサートは実現していませんが、今後、全国的に行う考えはないんですか?
やれるならやりたいっていう感じですかね。
――会場で観られない人のために、コンサートの映像作品化を期待している人も少なくないと思うんです。
そうなると音源を持っているのと同じじゃないですか。そういうのはYouTubeでちょこちょこやってるんで。1~2曲ですけど。逆に全部を出してしまったらもったいない……それがSERAPHのすべてなんです。だから、そこで出すと、もう何もかもなくなってしまう。ちょっとずつ小出しのほうがいいかなと。
――コンサート自体を配信することも考えていないんですか?
全曲を? それも同じことじゃないですか。(配信を観ることが)1回なら全然いいんですけど、配信だったとしても、録画は絶対できるじゃないすか、この時代なら。スマホで構えてるだけでもできちゃいますからね。
――確かにできなくはありませんが、すごく不思議な感覚でもあります。
普通のバンドのように、毎回、アルバムを作って、コンサートをしてという活動ができるのであれば、また考え方は変わりますけど、活動にちょっと制限があるので。
――頑なに嫌だと言っているわけではなく、現状では、そういう見せ方が適切ではないと考えていると。
そうです。でも、観られない人の声が多ければ、何か変わってくるんじゃないですかね。
――今回のコンサートに向けては、すでに準備も進んでいると思いますが……。
もうめっちゃ進めてます。セットリストを出して、その日しかやらない、過去にはなかった、いろんなことを煮詰めてます。リハーサルはこれからですけど、楽器編成は前回と一緒です。ステージの配置も前回の感じですね。
――今回は過去2回の公演が行われた渋谷Pleasure Pleasureではなく、大手町三井ホールに会場が変わりましたよね。
そうですね。その会場は行ったことがないので、どういった見え方になるかまだ自分でもわかんないんですけど、写真を見たら、綺麗なとこでしたね。ただ、SERAPHのコンサートは着席形式なんですけど、客席が今までの緩やかに高くなっていくのと違って、ちょっと平べったい感じなので、後ろの列の人もちゃんと観られるかなとか、そういうのがちょっと心配です。
――それは大丈夫だと思いますよ。このSERAPHのコンサートを通して、Shinyaさんは自分自身の何を表現したいと思ってます?
うーん……やっぱ人間の愚かさや尊さじゃないですか。それがSERAPHの大本のテーマなので。それはいつのコンサートでも変わらず。それから、SERAPHは“ライブ”ではなく、“コンサート”と言っているんですね。
――ライブとコンサートはどう違うのでしょう?
ライブは、熱があるみたいな感じですかね。生きている感がある。コンサートは、ちゃんと鑑賞するみたいな。
――それはSERAPHの立ち位置を言い表すものの一つでもありますね。
そうですね。クラシックのコンサートに出かけるような感覚で観に来て欲しいっていうのはあります。
――ドレスコードがあるわけじゃないですよね。
それはないですけど(笑)。あってもいいんですけどね。SERAPHのツイッターとかに、ティーザー的なものはアップしてるんで、そのイメージで来てもらえればと思います。
取材・文=土屋京輔

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