Dragon Ashの音楽性の広がりと進化の
変遷を物語る新旧25曲、デビュー25周
年記念ライブをレポート

DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”

2022年2月21日 豊洲PIT
大きな拍手に迎えられ、ステージに出てきたメンバーたち――hiroki(Gt)、櫻井誠(Dr)、BOTS(DJ)、T$UYO$HI(Ba)がおもむろに始めたセッションから、Kj(Vo,Gt)がギターをガガガガと鳴らしてなだれこんだ1曲目は、「The Day dragged on」! Dragon Ashがまさにちょうど25年前のこの日、リリースしたデビューミニアルバムのタイトルナンバーだったのだから。ファンのリクエストを基に考えたセットリストを演奏するというコンセプトを持つこの日のライブ、懐かしい曲も含め、他にもレアな曲がたくさん聴けるんじゃないかといきなり期待が高まった。
Kj
この日のライブには、『DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”』とタイトルでも謳っているとおり、Dragon Ashのデビュー25周年を記念するアニバーサリーイヤーの幕開けというテーマも込められていたのだが、自分たちの25年の歩みを振り返るセットリストをファンに選んでもらうというアイデアにも後述するようにちゃんと理由があった。そんなところもDragon Ashらしいと思うのだが(銀婚式を連想させるタイトルから彼らがファンのことをどう思っているかが窺える)、その「The Day dragged on」からこの日、Dragon Ashが披露したのは、音楽性の広がりを含むバンドの進化の変遷を物語る新旧の25曲だった。
たとえば、「The Day dragged on」から繋げた「天使ノロック」「Public Garden」と初期のオルタナ調ロックの流れに「Fever」「Under Age’ s song」ではラップの要素が加わり、彼らが同時代のロックシーンにしっかりと向き合いながら音楽を作り続けてきたことを今一度、印象づけた。そしてKjらしいピースフルなラップで客席を揺らした直後に繋げた「Just I’ ll say」ではスカの裏打ちのリズムに加え、hirokiのカッティングとT$UYO$HIのウォーキングベースが作るグルーヴ、さらに櫻井とBOTSの掛け合いのコーラスが、体を動かし始めた観客の気持ちをさらに刺激する。
櫻井誠
しかし、Dragon Ashによる音の冒険は、まだ始まったばかりだ。「運命共同体」「Los Lobos」「Let yourself go,Let myself go」を、BOTSによる曲間のDJプレイも交えながら繋げたブロックで、我々を楽しませたのはラテンのパッションとカラフルなサウンドだ。
ピースルフな「運命共同体」を、同期で鳴らしたオルガン、スチールドラム、さらにはBOTSが叩いたスネアドラムの音色も加えながら、パーティー調に盛り上げたバンドは、そこにラテンラップパンクなんて言えそうな「Los Lobos」を繋げ、ステージと客席の温度をぐっと上げる。そして、「Let yourself go,Let myself go」が持つ祝祭感の下、ステージと客席が一つになる――と書いたら、一口にラテンと言っても曲ごとに趣向を凝らしながら、バンドが観客の気持ちを揺さぶろうとしていることがわかっていただけると思う。
BOTS
そんな興奮をいったん冷ますようにフォーキーなサウンドとポジティブなメッセージが印象的だった「Beautiful」で前半戦を締めくくったところで、「前半、かなりレアな曲をやりました。D.A. CREW(Dragon Ashのオフィシャルファンクラブ)のアンケートを基に曲順を考えましたが、どうでしょうか? hirokiが入ってから1回もやってない珍しい曲もやってます」と櫻井が観客に問いかけ、それに応えた大きな拍手からは、観客が選曲に大満足していることが窺えた。
hiroki
櫻井によると、25周年記念のライブを開催するにあたって、25年間の感謝を伝えるために、こういう特別な日を作り、時勢柄、声を出したり、自由に体を動かしたりできないのであればと、イスがあっても楽しめる曲順、構成を考えたそうだ。
「すごく楽しいです」
観客にそう語りかけた櫻井や、終始笑顔のKjはもちろん、他のメンバーたちもレアなセットリストを楽しんでいるようだ。
「常に進化し続け、新しい曲を、熱量を持って届けるのがDragon Ashだと思うのですが、こういう特別なライブも楽しいと、演奏しながら思ってます。もちろん、バチバチに盛り上がる曲も用意してます!」(櫻井)
T$UYO$HI
そんな予告から後半戦はメロウな「花言葉」でスタート。アルバムのシークレットトラックだった曲だが、バンドはさらにもう2曲、アルバムのシークレットトラックだった「Hot cake」と「Iceman」を披露。前者はオールディーズ風の3連符のバラードだが、後者はメロディックパンクだ。そこでギアをぐぐっと入れ替えたバンドは、前述の予告通り、そこからラウドロックの要素もあるパーティーナンバー「Life goes on」、メロディックパンクの「Snowscape」、ドラムンベースサウンドも鳴るアンセミックななラップロック「Revolater」とたたみかけ、ぐいぐいと会場の温度を上げていく。そこにSBKのSHIGEOとSHUNが乱入し、ビッグビート風のダンスロックサウンドに合わせ、Kjとともにラップを応酬したんだから、《Put ya hands up》と言われたからって手を挙げるだけじゃ満足できない、と言わんばかりに観客がバウンスする。
そんな盛り上がりはKjがハンドマイクでラップする「ダイアログ」「Jump」「Canvas」の3曲を経て、Dragon Ashを代表するライブアンセム「百合の咲く場所で」で最高潮に達した――と思いきや、「25周年おめでとうございます! 援護射撃に来ました!」とラッパ我リヤが登場したハードロッキンなミクスチャーロックナンバー「Deep Impact」、曲が持つ胸を焦がすようなエモさに気持ちを持っていかれた「Lily」とライブのハイライトを更新しながら、山嵐のSATOSHI、GNz-WORDのKO-JI ZERO THREEを迎えたアンセミックなロックナンバー「ROCK BAND」でついにピークアウト。もちろん、「Episode 4」「Deep Impact」も25周年の記念ライブにふさわしい大きな見どころには違いなかったが、駆け出しのバンドマンだった頃を振り返りながら、ロックバンドを称えるこのアンセムが、「この曲があったから今までやってこられました」というKjの言葉とともに観客に見せた青春譚を思えば、この曲を一番の見どころとすることに反対する人はいないんじゃないか。
「25年間、俺たちの青春につき合ってくれてありがとう!」(Kj)
潔くアンコールなしのラストナンバーは、21年6月30日にリリースした目下の最新シングルのタイトルナンバー「New Era」だ。バンドが奏でるアンセミックなロックサウンドに合わせ、ダンスするようにKjが歌う《今日だって僕達は 生まれ変われるよ そう願って僕達は 歌い奏でるよ》という言葉が胸を焦がす。25周年記念ライブの最後にこの曲を選んだのは、最新曲であることもさることながら、コロナ禍が終わった後に訪れるに違いない新しい時代を祝福しながら、今この瞬間を新たなスタートにしようと考えたからだ。
「まだやりたりなから、もうちょっと俺たちは続けていくよ」(Kj)
この日、1曲目に「The Day dragged on」を聴いた感動からさらに遡って、2000年の『SUMMER SONIC』で初めてDragon Ashのライブを見て、たちまち彼らのファンになった時の記憶が蘇ってきた。その時も今日と同じように胸を焦がすような、いてもたってもいられない気持ちに駆られたのだった。音楽性の進化を2時間の熱演から改めて感じ取ると同時に、デビューから25年経ってもこれっぽっちも変わらないバンドの心根がうれしかった。
25周年のアニバーサリーイヤーにDragon Ashが踏み出す新たな一歩が楽しみだ。

取材・文=山口智男 撮影=TAKAHIRO TAKINAMI

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