塩谷哲×大林武司インタビュー 東京
芸術劇場主催『VS』シリーズにて初共

ステージに置かれた2台のピアノ。そこに登場するふたりのピアニストが織りなす瞬間のコラボレーション。東京芸術劇場主催『リサイタル・シリーズ「VS」(ヴァーサス)』は2021年12月に<反田恭平vs小林愛実>の競演からスタートし、大反響を呼んだ。そして、意外な顔合わせによる<山下洋輔vs 鈴木優人>のVol.2に続き、2022年3月25日(金)にVol.3の開催が決定している。舞台を彩るのはこの日が初共演となる塩谷哲と大林武司。但し、ふたりが出逢ったのは、大林がバークリー音楽大学に留学する直前に小曽根真と塩谷哲のデュオ・コンサートを鑑賞した15年前の2007年である。
大林:グルーヴやハーモニー、音による会話のエネルギーに圧倒されました。終演後に並んだサイン会でおふたりにご挨拶をし、その時、塩谷さんから熱いエールをいただいたことで2ヶ月後に控えた渡米の決意が固まりました。
塩谷:確かその2年後だったよね、室蘭で行われたジャズフェスで偶然、再会したのは。前夜祭でたまたま聴いたピアノに惹き込まれ、よくよく見たらあの時の大林くんじゃないですか。それ以来、ずっと気になる存在でいつか共演したいと思っていたので、今回のヴァーサスは“ついに来たな!”という感じです。
大林:僕の方こそ、あのジャズフェスで聴いた塩谷さんの生き生きした演奏を今もはっきりと覚えています。しかも、プレイ中だけでなくバックステージも最高にカッコ良くて、塩谷さんみたいなミュージシャンになりたいとずっと頑張って来たんですよ。だから、この企画のお話をいただいた時は狂喜乱舞! 音楽家という職業を選んで本当に良かったと思いました。打ち合わせを兼ねた初めての音合わせの時も、そのプレイはまさに“神の領域”で授業料を払わなければいけないと思ったほどでしたし。
大林武司
1987年生まれ、バークリー時代から世界的ジャズ・ミュージシャンと共演を重ね、卒業後はニューヨークを拠点にワールドワイドに大活躍。飛ぶ鳥を落とす勢いの大林武司に賛辞を送られ、驚きながらも嬉しそうな笑みを浮かべた塩谷哲。
塩谷:キャリアや年齢を考えると確かに自分は先輩ですが、大林くんには僕にない素晴らしいモノがたくさんあるんですよ。その個性やフレッシュな感覚をしっかりと吸収し、存分に刺激を受けたいですね。それとね、ピアノはたった1台でオーケストラのように豊かな表現が可能な楽器です。それが2台並ぶのですから、ふたりの指揮者がふたつのオーケストラをテレパシーで動かしているような感じとでも言いましょうか。いずれにしても、シリーズ・タイトルが示している通り、違う感性を持った、でも共通点もあるふたりのピアニストがぶつかっていく醍醐味をお客さまには味わっていただきたいです。
1966年生まれ、東京藝術大学在学中からオルケスタ・デ・ラ・ルスのピアニストとして世界中の音楽ファンを魅了し、ソロとしても自己のグループや様々なプロジェクト及びプロデュース、テレビ番組への楽曲提供など多方面で躍進し続けている塩谷は、かつて2年連続で<N響JAZZ at 芸劇>に出演し、会場の素晴らしさも熟知している。それを大前提にミュージシャンとしての信念を語った。
塩谷:大切なことはリアリティです。演者自身が音楽に表れているかということ。そこに込められた“借り物ではない必然性”に少なくとも僕は感動します。発信する立場になった以上はそういうことに使命を感じて演奏したいと思っています。
塩谷哲
一方、大林は『Visions In Silence Project~470 songs,1 journey』と題した全都道府県ソロ・ツアーを見事完走し、音楽家としては勿論、ひとりの人間としてもさらなる成長を遂げている。
大林:以前の僕はフルコンサート用のピアノを弾くと、時折、押し返されるような感覚があったのですが、日本各地で演奏している内に何故か体重が増え(笑)、そのお陰で大きなサイズのピアノも楽しんで弾けるようになりました。蓄えた脂肪をエネルギーに変えて、その全てを3月25日の演奏に注ぎ込みます!
塩谷:(笑)。お客さまがよくご存じの曲や互いのオリジナル曲も演奏しますし、実は新曲も書き下ろそうかと思っています。まだ書いていませんけれど(笑)。
大林:書きましょう! 僕は手紙風にしたためた譜面を塩谷さんに当日お渡ししようかな。
塩谷:えっ、初見で弾くの? が、頑張ります(笑)。どうやら本番はお互いを触発し合いながら普段とは別の何かが出て来そうだね。
大林:はい! 即興的なアレンジ、アドリヴ、ソロなどが産声を上げる瞬間を是非、多くの方にご覧いただきたいです。
塩谷:池袋駅から至近距離の東京芸術劇場コンサートホールで皆さんのお越しをお待ちしています。様々なご事情で来場が難しい方は生配信でお楽しみくださいね。
左から 塩谷哲、大林武司
取材・文=菅野 聖

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