馴染み深い名曲に乗せて、今伝えたい
メッセージを届ける 髙橋ひかる、熊
谷彩春、石井杏奈、伊藤理々杏(乃木
坂46)らによるミュージカル『リトル
・ゾンビガール』制作発表レポート

2022年8月20日(土)よりスタートするNHKみんなのうたミュージカル『リトル・ゾンビガール』。1961年の放送開始より1500を超える名曲を発信し、幅広い世代に親しまれてきた「みんなのうた」のナンバーを全編に散りばめた、日生劇場、NHKエンタープライズ、東宝3社による共同企画・制作のオリジナルミュージカルだ。
主人公であるゾンビの女の子・ノノを演じるのは、本作が初舞台である髙橋ひかると、ミュージカル界で活躍を続ける熊谷彩春。彼女と友だちになる心優しい人間の男の子は、本作が初ミュージカルの石井杏奈と乃木坂46の3期生伊藤理々杏。さらに、エハラマサヒロ、コング桑田、石田佳名子、大和悠河といった個性と実力を兼ね備えたキャストが勢揃いした。
この度、歌唱披露イベント&制作発表が開催され、プリンシパルキャスト8名に加え、演出を務める鈴木ひがし、公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]理事長の松山保臣が登壇。
歌唱披露では、「手のひらを太陽に」、「コンピューターおばあちゃん」、「アップル パップル プリンセス」、「あのね~青色の傘~」、「WAになっておどろう~イレ アイエ~」の5曲がキャスト8名によってメドレーで行われた。
(左から)伊藤理々杏、石井杏奈、高橋ひかる、熊谷彩春
髙橋と石井は初のミュージカルだが、弾けるような明るい笑顔とのびのびとした歌声からは緊張は見られない。熊谷と伊藤も子どもらしいまっすぐさをイキイキと表現。ノノとショウを演じる四人それぞれの個性が感じられる歌唱に、どんなキャラクターができていくのか期待が高まった。
大和は「アップル パップル プリンセス」でかわいらしく楽しい歌唱を披露したあと、「あのね~青色の傘~」で石田と共に大人らしいあたたかさに満ちた雰囲気でしっとり歌い上げる。二人のハーモニーに、まだ曲だけの状態ながら心を掴まれた。そして、エハラとコングが女性陣の澄んだ歌声に深みを与えている。二人の楽しそうな動きと表情から、作品の雰囲気が想像できた。馴染み深い名曲たちを改めて聴くことで感じられるメッセージもあり、子どもはもちろん、大人にとっても魅力あふれる作品になるだろうと楽しみになった。
大和悠河
(左から)大和悠河、石田佳名子
(左から)コング桑田、エハラマサヒロ、伊藤理々杏、石井杏奈
続いて、会見が行われた。
松山保臣​:日生劇場は、1963年、前回の東京オリンピックの前年にオープン。その翌年から小学生の無料招待をスタートし、オペラやミュージカル、人形劇など、幅広いジャンルの作品をご提供してきました。これからも良質な作品を通して子どもたちの記憶に残るメッセージを分かりやすくお届けし、心を豊かにすることをモットーに活動を続けて参りたいと思います。今日お話ししたい思いは三つあり、まず一つは、脚本の徳野(有美)さん、演出の鈴木さんをはじめ、NHKエンタープライズさん、東宝さんの最高のスタッフと、素晴らしいキャストに集まっていただけたということ。二つ目は、素晴らしい作品の公演で、児童の無料招待数累計800万名という記念すべき数字を達成できそうだということ。そして三つ目は、この作品を通じて、私たちがこれまで取り組んできた「子どもたちの心を豊かにする」という活動を、社会に対してより広く・明確に発信できるということ。現在、世の中には理不尽で非日常的な出来事が溢れかえっています。そんな時だからこそ、この舞台のメッセージがご覧になったすべての皆さんの心に芽吹いて、たくましく育ち、これからの社会を作っていってくれたらと願っています。
公益財団法人ニッセイ文化振興財団 理事長/松山保臣
鈴木ひがし​:脚本の徳野さんとお話ししたのは、「上質な絵本を作ろう」ということ。子どもも喜ぶし、大人も共感や感動できるものを全国の皆さんにお届けしたいという思いで出発しました。作品に触れた子どもたちが想像を膨らませて自分の価値観をしっかり身に付けられるような作品を目指したいと思っています。……ということを、キャストの皆さんに今初めて話します(笑)。話の内容としては、300年ほど前にゾンビと人間の間で戦争があり、それ以来ゾンビは森でひっそり暮らすようになった。人間は森には近付かずにいましたが、時が経って記憶が薄れ、より便利で豊かな生活を求めた人間たちが森を開発しようとする。ゾンビたちの生活の場所を奪われてしまうかもしれない中で、新米ゾンビのノノが偵察に行きます。そこで出会うショウはお父さんの仕事の都合であちこち転校していて、勉強はできるけど友だちを作るのが苦手な引っ込み思案な男の子。ノノは人との垣根をどんどん飛び越えられる子で、ショウの悩みを聞いてあげたりする。それによってショウの考え方も変わっていきます。新米のノノはゾンビの親分などから価値観を学んでいるところで、人間は悪だ、敵だと教えられていたけど、出会った人間たちは聞いていたのとは違うと気付くんです。色々なことを質問し、自分で考えるけど、なかなか答えは出ない。その悩む時間って、今とても大切なことだと思っています。彼女が悩み、何を選択していくかも、この物語の見どころのひとつですね。お芝居というものには正解がありませんが、ひとつ言えるのは、この作品で伝えたいのは「戦争は間違っている」ということ。そして、楽曲自体もすごく力を持っていて、皆さんの心に響くと思います。徳野さんがここぞという場面にふさわしい名曲を選んでくれていますが、同時に「ここでこの曲がくるのか」という場面もある。また新たな形態のミュージカルになるんじゃないかと期待していますね。
演出/鈴木ひがし
髙橋ひかる:「初舞台・初ミュージカル・初主演」と紹介を受けて、そんなに初が多かったんだとどきっとしました。人前で歌を歌った経験もありませでんしたが、歌の持つ力は感じていたので、歌やお芝居を通して、皆さんにお届けできるものがあればと思っています。
熊谷彩春:2020年に予定していた公演は残念ながら中止になってしまい、悔しい思いをしました。でも、こうして2022年にお届けできることを本当に嬉しく思っています。今、コロナや戦争で分断されている時だからこそ、この作品を幅広い世代に見ていただけたら。私自身、小さな頃に見たミュージカルがきっかけでこの道に進んだので、全国を回ってたくさんの人にこの作品をお届けできるのが嬉しいです。
石井杏奈:私も初ミュージカルです。今日のメドレー披露に対する緊張で、2日前くらいに音符が襲ってくる夢を見るくらい追い込まれていました(笑)。でも、『リトル・ゾンビガール』には子供が持つたくさんのパワーやエネルギーが詰まっているので、たくさんの方にちゃんとお届けできるよう、精一杯努めたいと思います。
伊藤理々杏:お話をいただいた時からすごく楽しみにしていたので、こうして制作発表ができるのを本当に幸せに思っています。この作品は、子どもから大人まで楽しめる作品だと思います。小さなお子さんはこれから生きていく上で大切な何かを学べますし、大人の皆さんは忘れがちになっている大切なことを思い出せるんじゃないかと。作中で歌われる曲が持っているパワーも物凄いので、楽しみながらたくさんのことを感じとっていただけたら。
大和悠河:私は200歳くらいのゾンビの長老役、リリィを演じます。「みんなのうた」は小さい頃から大好きで、聴きながらたくさんの曲を覚えた記憶があります。改めて聴くと、すごく深い歌詞や楽しいけれどシュールな曲など、胸に迫ってくる歌が多いので、丁寧に心を込めてお届けしたいと思っています。悲しいことに、今の世界情勢はこの物語にすごくマッチしてしまいます。子どもはもちろん大人にもぜひ見ていただいて、今一番大切なことをお届けできたらと思っています。
エハラマサヒロ:建設会社でゾンビの森の開発を担当するショウの父親を演じます。僕は「みんなのうた」のミュージカルに出たくて、20年前に吉本興業に入ったんで、やっと夢が叶ったなと思います(笑)。歌うことも人前で表現することもすごく好きなので、今回このお話をいただいてすごく嬉しいです。「みんなのうた」と聞いて懐かしいなと思う方も多いと思いますが、僕には5人の子どもがいるので、家では10年ずっと見続けているロングヒット番組。歌の練習はしっかりできていると思いますので色々な意味で盛り上げていこうと思います!
石田佳名子:今回、小学校の先生の役ですが、私自身、小学校に1日行くと2日熱が出るような子どもで、周りの人にたくさん支えられてきました。その当時出会った実習の先生が、大人と子どもの間にいる存在としてずっと心の支えになってくれていて、今でも親友のようなお友達です。私が感じた人に寄り添う力をこの作品を通して伝えたいです。普段はパッと聞いただけで深刻さが分かる音楽のミュージカルに多く出ていますが、この作品は明るくて心が躍るような音楽でも、人の争いを表現できている。音楽の力を、この素敵なキャストさんたちと一緒に作っていくのが今から楽しみです。
コング桑田:ゾンビとは言っても真っ青なメイクで変な歩き方をするようなゾンビではなく、ちょっと尻尾があるくらい。誰かを見て怖くなったり、不思議だったりでいじめや差別が発生することも世の中にはあるけど、この作品はそうじゃない。本当は2020年にやるはずだった作品が中止になり、戦争が起きてしまっているこのタイミングで上演というのは、神様の見えざる段取りちゃうかなと思ってしまったりもします。だから、お子さんに見てもらって、お父さんお母さんとお話ししてもらったら嬉しいなと思うんです。小さい頃、僕の親は真面目な人やのになぜか差別的な意見を言うので「なんでパパとママはこんなこと言うんやろ」とすごく不思議に思っていたんです。こういう作品を見てもらって、お家に帰って感想会みたいなのをやっていただいたら、子どもたちが感じた矛盾や不思議に対する答えが出るんちゃうかな。親にとっても、ノノと親分の関係なんかで感じることが多いと思うし。それから、「みんなのうた」は1961年に始まったと言うことで、僕は同級生。一緒に頑張ります!
フォトセッションより
ーー今回は絵本のような作品を目指すとのことです。具体的に、どんな演出を考えていらっしゃいますか?
鈴木:ひとつは、すごく綺麗な舞台セットを用意しています。衣装も人間とゾンビでそんなに変わりはありませんが、森の中で浄化されたゾンビのような綺麗なコスチュームを用意しました。それから、子どもたちの会話ということでやはり平明さが大切かなと。分かりやすい中に深い真理を探そうと言うことで、脚本家とずっとディスカッションをしていました。子どもも大人も、言葉の無限の広がりを感じられるようなものを目指そうと思っています。
ーー初めてミュージカルを見るという子どもたちも多いと思います。公演で楽しみにしていることはありますか?
髙橋:私が初めてミュージカルを見たときは、少しハードルが高いと感じたんです。でもそうじゃなく、音楽って楽しい、もっと気楽に楽しめるということをこの作品を通して知っていただきたいですね。ショウくんが学校で頑張る姿などは生徒の皆さんにもすごく刺さると思います。何も考えず、とりあえず見てみようという気持ちで来ていただいたら、必ず楽しんでもらえると思いますし、楽しませるぞという気持ちです!
熊谷:舞台の地方公演は、大阪や博多など、大きな劇場がある場所が多いんですが、今回は本当に色々な場所を回らせていただけます。ミュージカルに触れたことのないお子さんにも来ていただいて、「こんな世界があるんだ」、「私もこうしてみたいな」など、新鮮に感じていただけるよう、精一杯頑張りたいと思います。
石井:私は2年前の年末までE-girlsというグループにいて、ライブのときに音楽とダンスというのはお客さんとの一体感が生まれる表現だなとすごく感じていました。今回はそれにプラスお芝居ということで、全ての表現の融合になるので、見てくださる方とひとつになれるように頑張りたいと思います。あまり構えず、楽しんでいただけたらいいなと思いますね。
伊藤:私が初めて舞台を観たのは、乃木坂46の先輩が出ている作品でした。それまで一切舞台を観たことがなかったんですが、「舞台ってこんなに面白いんだ」ってすごく衝撃と感銘を受けました。その時の気持ちは今も忘れていませんし、あの気持ちがあって今ここに立っているので、そういう素敵な感情を、この作品を観るお子さんたちにも感じていただけたらすごく嬉しいです。
(左から)高橋ひかる、熊谷彩春、大和悠河、石田佳名子
(左から)コング桑田、エハラマサヒロ、伊藤理々杏、石井杏奈
ーーノノとショウを演じる皆さんが「みんなのうた」のミュージカル出演について思うことと、お気に入りの一曲を教えてください。
髙橋:髙橋家は夕飯の時間が早くておやつどきに食べるんです。ご飯を食べた後、テレビにかじりついてお母さんと一緒に「みんなのうた」を見るのが小さい頃の楽しみでした。「みんなのうた」は映像もあったかいものから笑っちゃうような面白いものまで色々ありますが、一番好きなのは「しあわせだいふく」。歌詞の「ふわふわだいふく」ってワードが小さい頃の私には面白くてよく歌っていました。今でもたまに家族と歌ったりします。
熊谷:私も小さい頃からずっと「みんなのうた」を見ていました。母と自転車に乗りながら口ずさんでいた曲ばかりだったので、今回出演できるのを本当に光栄に思っています。好きなのは「プレゼント」という曲。高校の頃に合唱で歌い、『リトル・ゾンビガール』の中でも歌われています。すごくメッセージ性があって大好きな曲です。
石井:私は四人兄弟で兄と妹と弟がいる賑やかな家庭だったんですが、誰かが歌うとみんな歌い出すような、みんながひとつになれるようなコンテンツでした。今回この作品に参加させていただくことであの頃の気持ちを思い出したいですし、音楽の素晴らしさを皆さんにもお届けしたいと思っています。兄弟みんなでよく歌っていたのが「手のひらを太陽に」。すごく馴染みのある曲ですし、今でも仕事で疲れた時に口ずさんで勇気付けられています。
伊藤:私も小さな頃から「みんなのうた」を見ていました。日常に自然と溶け込んでいたものなので、今回こうして参加させていただけることに驚きましたが嬉しく感じています。歌の大切さや素敵な感情を見ている方にも伝えられたら。好きなのは「ぼくはくま」という曲。メロディーも歌詞も映像もすごく素敵で惹きつけられます。今でも不意に夜風に当たりながら聞きたくなることがある、大好きな曲です。
(左から)高橋ひかる、熊谷彩春、大和悠河
(左から)伊藤理々杏、石井杏奈、高橋ひかる、熊谷彩春、大和悠河
本作は2022年8月20(土)より東京公演、その後全国で公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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