Maki×Mr.ふぉるて、対照的なバンド
たちが繰り広げた熱演『ビクターロッ
ク祭り~アタラシイチカラ~』2日目
レポート

『ビクターロック祭り~アタラシイチカラ~』

Maki✕Mr.ふぉるて OA:ヤングスキニー
2022.2.25 Veats SHIBUYA
『ビクターロック祭り~アタラシイチカラ~』の2日目は、友だち同士だというMakiとMr.ふぉるてが対照的とも言える熱演を繰り広げる興味深い共演となった。
この日、オープニングアクトに抜擢されたのは、“嘘だらけで、矛盾だらけな日常の歌を歌う”と掲げる4ピースバンド・ヤングスキニーだ。元々、弾き語りで活動していた、かやゆー。(Vo/Gt)がメンバーを集め、バンドとして活動を始めてから約1年半。ライブハウス・シーンやサーキットイベントで注目を集めてきたという。
そんな彼らの演奏はかやゆー。の弾き語りにバンドが寄り添うバラード調の「ワンナイト」で始まった。そこから「この短い時間で歌いたいことがある! 伝えたいことがある!」と、かやゆー。が声を上げ、「愛鍵」「世界が僕を嫌いになっても」に繋げると、愛が届かない傷心を歌うかやゆー。のナイーブな歌声とともにゴンザレス(Gt)のダイナミックなギター・プレイ、リズムを支えるりょうと(Ba)としおん(Dr)によるタイトなアンサンブルが織りなすバンド・サウンドの魅力も印象づけていく。
ヤングスキニー
「こんな最高の日がずっと続いたらいいと思うけど、現実はそうじゃない。明日からはまた学校が仕事が始まる。でも、そんな憂鬱は僕らが消してあげる!」(かやゆー。)
そんな思いとともに演奏したラスト・ナンバーは「憂鬱とバイト」。8ビートのタイトなロックンロールと思わせ、中盤ではゴンザレスとりょうとがソロをリレー。ぐっと演奏の熱度を上げると、バンドの熱演に応えようと、観客が懸命に振る手にも自然と力が入るのだった。
ヤングスキニー
「アタラシイチカラ! 俺たちの力、見せてやるぜ!」
山本響(Vo/Ba)が声を上げ、なだれこんだアップテンポのロックナンバー「ストレンジ」を爆音で鳴らしたMakiの3人はそこから「Soon」「fall」「虎」と一気呵成にたたみかけるように繋げていった。
15年結成の名古屋の激情3ピースロックバンド・Maki。3ピースロックバンドの前に激情と付け加えるだけあって、序盤からペース配分などこれっぽっちも考えない、その心意気は、山本が言った「ロック祭りって言うくらいだから、ロック・バンド見せてやりますよ!」ということだったのだろう。だが、爆音と彼らが根っこに持つメロディック・パンク由来の2ビートの速さに圧倒されたのか、体を揺らしながらも観客はそこにどう参加していいのかきっかけをちょっと掴めずにいたんじゃないか。
それを感じ取ったのか、「浮いてるよね、俺たち」と山本は佳大(Gt)、まっち(Dr)と顔を見合わせ、苦笑い。「音楽性も(ヤングスキニーとMr. ふぉるてとは)ちょっと違うけど、俺たちもロック・バンドです(笑)。よろしくお願いします」(山本)
しかし、Makiが考えるロック・バンドの本領発揮という意味では、そこからが本番だった。
「なんで俺たちが呼ばれたのかなんて、どうでもいいでしょ。コロナ禍もだらだらといつ終わるかわからない感じなんで、今楽しめる分だけ楽しみましょう!」(山本)
Maki
そんな言葉から始まった後半戦。コードをかき鳴らしながら、ダイナミックなソロもキメる佳大、手数の多いスティック裁きで変幻自在のリズムを鳴らすまっち、そして、大きなストロークでリズムを刻む山本ーーバンドの演奏はさらにパワーアップ。同時に山本は「足りないよ! 楽しみ方わかる人!?」と観客に語りかけながら、その瞬間の気持ちを、即興で言葉にして、歌詞に織りまぜていく。そのたたみかけるような勢いに煽られたのか、観客が跳ね始め、拳を突き上げる。
「ビートルズは音楽で戦争を終わらせた。新しい力ってくらいだから、それぐらいできないとね。これからそれをやっていきます!」(山本)
志の大きさがそのまま言葉になった山本の大言壮語も心地いい。
「アタラシイチカラって言うくらいだから、いつかは古くなる。でも、古くなっても俺たちはこれをやり続けていきます。音楽が好きだから!」(山本)
「斜陽」「平凡の愛し方」「シモツキ」とアップテンポのロック・ナンバーをノンストップで繋げてきたバンドがラスト・ナンバーに選んだのは、じっくりと聴かせる「落日」だった。山本が語った「ライブハウスを、音楽を信じられる人のために歌います」という気持ちをミッドテンポの演奏に込めながら、爆音や速さだけに頼らず、メロディが持つメランコリックな魅力やダイナミックなアンサンブルのスケールのデカさをダメ押しでアピールしたのだった。
Maki
17年結成の東京の4ピースロックバンド・Mr.ふぉるてがこの日、1曲目に選んだのは、シンプルな8ビートが跳ねるポップ・ロック・ナンバー「トライアングル」。阿坂亮平(Gt)と福岡樹(Ba)が早速、手拍子を求め、観客を自分たちのペースに巻き込んでいく。
<優しいメロディで包んで 悲しみを溶かすのさ>
Mr.ふぉるてがロックバンドとして持つ矜持を歌ったと思しき歌詞を聴き、だからこの曲を1曲目に選んだのかと思ったりも。爆音で圧倒するわけではないが、彼らもまた闘志を静かに燃やしている。そこからバンドは「なぁ、マイフレンド」、3月2日にリリースするメジャー1stフルアルバム『Love This Moment』から「夢なずむ」を繋げ、手拍子で応える観客と一体感を作り上げていった。
「この状況でライブができること、これだけたくさんの人にライブを見てもらえることがほんとにありがたいです!」
Mr.ふぉるて
稲生司(Vo/Gt)の短い挨拶を挟んでからの中盤のブロックでは、「俯いていても気づけるものがほんとの救いだと思います」(稲生)と序盤のムードから一転、ダウナーな「エンジェルラダー」「嬉し涙よ雨になれ」の2曲を披露して、バンドが持つ振り幅をアピール。胸を締めつけるような稲生の歌に観客がじっと聴きいる光景も印象的だったが、福岡がシンセ・ベースを演奏したこの2曲では、同期で鳴らしたストリングスの音をはじめ、ギミックも使いながら作り上げたアンビエントとも言えるサウンドも聴きどころだった。
中でも、同期で鳴らしたティンパニの重厚な響きと、それぞれ別々に鳴らしたキック、フロアタム、シンバルの音を巧みに組み合わせた吉河はのん(Dr)のオーケストラルなドラム・プレイには目と耳を奪われた。
前述した『Love This Moment』からさらにもう1曲、「オーバーテイク・ミー」を披露して、再びテンポアップした後半戦は、リズムが跳ねるポップ・ロック・ナンバー「シリウス」と繋げ、「トライアングル」で歌っているとおり、懸命に手を振る観客を優しいメロディで包み込む。
Mr.ふぉるて
「去年12月にメジャー・デビュ―できたのは、応援してくれたみなさんのおかげです。コロナ禍の中でもバンドを続けられて、ほんとうれしいです!」(稲生)
その感謝を伝えるため、バンドが選んだラスト・ナンバーは、「幸せでいてくれよ」。ゆったりしたリズムに乗せ、稲生が観客に投げかける言葉は、「トライアングル」同様、Mr.ふぉるての矜持を歌っているのだろう。
<どうか幸せでいてくれよ>
稲生の歌に阿坂、福岡、吉河が重ねたハーモニーとマーチ風のドラムは、まるで聴く者の背中をやさしく押しているように聴こえたのだった。

最後に、終演後に行われた来場者プレンゼントの抽選会を締めくくった3バンドの抱負を記しておきたい。
「今年こそライブをめちゃくちゃやりたいと思います」(Mr.ふぉるて)
「ミスチルより有名になります! がんばります!」(Maki)
「オープニングアクトじゃなくて、(Maki、Mr.ふぉるてと)肩を並べて共演できたらと思います」(ヤングスキニー)

文=山口智男 撮影=中山優瞳

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