Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
こっちの事情は猫には関係ない!
保護猫支援イベントを続ける理由

2018年から保護猫の支援を目的とした音楽イベントを開催している500.000.000YEN(ゴオクエン)のKyoko(Vo)。2020年以降のコロナ禍で現在もバンド活動自体が思うようにいかない状況ながら、“そんなこと猫には関係ない”というマインドでイベントを続け、今年2月に5回目の『ニャロフェス』を開催。なぜそこまでして保護猫の支援にこだわるのか? その理由やこの先の目標を語ってもらった。
【座談会参加者】
    • ■Kyoko
    • 2016年、Scars Borough活動中止。その後、ソロプロジェクト・500.000.000YENを始動。ジャンルはバイオレンスポップ。個性的なサポートメンバーと都内中心にライヴ活動中。
    • ■石田博嗣
    • 大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicにかかわるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。
    • ■千々和香苗
    • 学生の頃からライヴハウスで自主企画を行ない、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。

猫に対しての恩返しとして始まった
『ニャロフェス』

『ニャロフェス』

『ニャロフェス』

石田
たまに保護猫カフェ駒猫に行くんですけど、そこで昨年の『ニャロフェスvol.4』のポスターを見たんですよ。知っているバンドの名前もあるし、“これ何やろ?”と思っていたら、今年は『ニャロフェスvol.5』のものが貼られてあって。で、気になって調べてみたらScars BoroughのKyokoさんがやっていると分かって、“昔、インタビューしたことあるぞ!”って(笑)。で、今回声をかけさせてもらいました。
Kyoko
すごい偶然!(笑) 最初の2018年に開催した時はNPO法人東京キャットガーディアンさんと協力して、『neko fes.』というイベントをやっていたんです。東京キャットガーディアンさんは日本で初めて保護猫カフェの運営を始めた団体で、ビルの5階で保護猫カフェをやっていて、下の階のシェルター併設ショップでペット用品を購入するとショップの収益が活動費に充てられるというシステムになっているんですよ。これは面白い!と思って実際に店舗に行ってオーナーさんに直談判して、18~20年まで一緒に『neko fes.』をやったんです。ずっと同じ団体で支援をするのではなく、何年かやったら別の団体ともやりたいっていう考えが最初からあったので、東京キャットガーディアンさんとも話して、昨年からは『ニャロフェス』として駒猫さんと開催しています。
石田
保護猫の支援になる音楽イベントをやりたいと思ったきっかけは何だったんですか?
Kyoko
私は生まれた時からずっと猫が側にいて、猫と音楽、このふたつとずっと一緒なんですよ。音楽は自分の意志でできるけど、猫に対しての恩返しってなかなかできなくて。
石田
恩返し?
Kyoko
はい。私、小学生の時に猫を11匹、犬を5匹飼っていたんですね。親猫の2匹からどんどん子猫が生まれて、私は嬉しかったけど、このまま飼うのは親が許してくれなかったんです。それで“来週までに何とかしなかったら山に捨てる”と言われて。子供ながらに“どうしよう…”と思って、自転車の後ろに大きな段ボールを積んで、そこに子猫を入れて近所を一軒一軒ピンポンして“猫、いりませんか?”って回ったんです。でも、一匹ももらい手が見つからず。結局、子猫だけはかわいそうだからと親猫も一緒に山の奥に捨てたんです。それがずっと頭の中に焼きついていて。で、前にやっていたScars Boroughが活動休止になって“自分で好きなことをやろう”と思った時、恩返しがしたくて始めたんです。愛護団体に入るとかは私には向いていないので、音楽でやるしかないって思って。
石田
それは泣ける…。
Kyoko
でも、私はそんなにいい人ではないので、東京キャットガーディアンさんにも駒猫さんにも“ウィンウィンでやりましょう”と言っているんです。全額寄付とか、全部私がやるのではなくて、お互いに宣伝もするし、Tシャツを作る場合は制作費を引いた売り上げを寄付するとか、保護猫カフェの無料チケットをイベントで配るとか。あと、バンドってライヴに来てくれるお客さんが決まってくるじゃないですか。みんな新規のファンが欲しいから対バンして、その相手のお客さんを引っ張ってくるわけですけど、その方法しかないのはおかしいし、難しいと思うんですよね。でも、保護猫カフェでもライヴの宣伝をしてもらえたら、猫が好きでライヴハウスに行ったことがない人がライヴを観て、バンドにも興味を持ってくれるかもしれない。そんな気持ちで続けています。
石田
今はコロナ禍だから自分のバンドも大変だと思うけど、保護猫カフェの状況も知っているからこそ続けきた感じですか?
Kyoko
それがコロナ禍で猫を飼う人が多くて、駒猫さんの子はみんな予約済みなんですよ。新しい子もすぐに決まっちゃうみたいで。猫にとっては幸せですよね。
千々和
じゃあ、バンドのほうがよっぽど…
Kyoko
バンドは大変ですよ! でも、コロナ禍じゃなくてもバンドは大変だから(笑)。感染者数が急増して、今年の『ニャロフェス vol.5』(2月25日@東京・チェルシーホテルで開催)もできるかどうか不安だったんですけど、“そんなの猫には関係ないよね?”ってところに戻っちゃうんですよ。だから、やらなきゃ気が済まない。喜んで出演してくれるバンドもいるし、今回はTシャツが初めて完売したので、過去最高額を駒猫さんに寄付できました。
石田
出演バンドにはイベントの趣旨も併せて声をかけているんですよね?
Kyoko
もちろんです! 猫好き、もしくは動物好きを条件に、私が大好きなバンドに出てもらっています。今年はコロナ禍になって3回目の開催でしたけど、バンドを呼ぶのは本当に大変で。出たいと思ってくれても、メンバー全員にその意思がないと出てもらえないですからね。2020年は10組くらい断られたかな? その時は本当に終わったと思いましたね。逆に昨年は今回出てもらったWho the Bitchに“何で呼んでくれへんの?”って言われましたけど(笑)。500.000.000YENの話で言うと、メンバーには恵まれているのかもしれないです。今は感染症対策のガイドライン従っていればライヴができるけど、メンバーの中にひとりでもやりたくないって人がいたらできないじゃないですか。うちはたまたまそれがなかったんです。最初の緊急事態宣言が出た頃は特にライヴをやりづらい状況だったけど、2020年の6月以降からは止まらずにやっていますね。

全員は幸せにできないけど、
ひとりくらいはスカッとさせたい

『ニャロフェス』

『ニャロフェス』

千々和
ちなみに『ニャロフェス』を配信ライヴで開催しようと考えたことはありましたか?
Kyoko
配信は苦手なんですよ(笑)。500.000.000YENで3回くらいやったけど、もう生でしかやらないです。疲れちゃうんですよね。わざわざ地方からこんな悪魔みたいな東京という街に来てくれる人もいるのに、それを配信で観られるようにするのってどうなんだ?とも思うし。もちろん事情があって来られない人もいるから、いろんなシチュエーションを考えたんですけど、やっぱりライヴハウスに行くことにワクワクしていたじゃないですか。画面上のライヴでも同じ格好で観ているんだったらいいけど、たぶん肘をついて観ていると思うし(笑)。緊張感がなかったら意味がないと思ったんです。この考えに対しては古いとか、これからは配信が普及するからやったほうがいいとか、断ることがマイナスとか…いろいろ言われるし、それも分かるんですよ。でも、自分にとってはやらないほうがプラスだと思うからやらない。どうしてもイベント的にやるのであればやることもあるけど、自分から率先してやることはないです。
千々和
バンドが何を大事にしているかって、たぶんお客さんにも伝わると思うんですよね。配信をやらないってことが、ひとつのメッセージでもあると思います。
Kyoko
最初はライヴハウスを助けるための手段だったと思うんですけど、今はそれとは別で投げ銭があるとか、気軽に観られるっていう理由でやっていることが増えた気がするんです。うちは配信に慣れたくないし、生のライヴにこだわりたい。コロナ禍で一発目のライヴをやる時も、お客さんはふたりくらいだろうと思っていたんです…当日になってキャンセルもあるだろうし。でも、蓋を開けてみたら10人以上来てくれていて、“いるやん! 大丈夫なの!?”ってびっくりしちゃって。そしたらそのうちのひとりの子が泣きながら“やってくれてありがとう”と言ってくれたんです。日常が嫌で嫌で息が詰まりそうだったから、10分でもいいから観たかったと。それを聞いた時の“やるやる! 絶対にやるから!”って気持ちが今もあるから、全員は幸せにできないけど、ひとりくらいはスカッとさせたいんです。全員なんておこがましいというか、ひとりひとりを見ないとライヴはやっちゃいけないって、今は特に思うようになりました。
石田
お客さんも生で観たいと思ってくれているんですよね。
Kyoko
ありがたいです。これで配信をやって、今も少ない人数なのにもっと少なくなっても困るし(笑)。それに、この2年間の中でも初めて来てくれる人がいるんですよ。これから配信がどうなっていくのかは分からないですけど、ライヴはなくしちゃダメです!

OKMusic編集部

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