内田真礼13thシングル「聴こえる?」
リリースインタビュー 内田真礼流「
声優ならではの音楽に対するアプロー
チ」

声優であり歌手としても勢力的に活動を行う内田真礼。本年2月からスタートした久々のソロツアーも大成功をおさめた彼女が、13thシングル「聴こえる?」をリリースすることとなった。本シングルの表題曲は自身も出演するアニメ『社畜さんは幼児幽霊に癒されたい(以下、社畜さん)』の主題歌。果たしてこの楽曲はどんな想いを込めて歌われたのだろうか。そして、会話の中で見えてきた内田真礼の考える声優ならではの音楽アプローチとはどんなものだったのか。今回のインタビューをぜひ確認して欲しい。

■内田真礼にとってライブは脱皮するための節目!?
――今年は久々のツアーである『UCHIDA MAAYA LIVE 2022MA-YA-YAN Happy Cream MAX!!』も開催されました。
無事終えることができてよかったです。開催ギリギリまではすごくピリピリしていましたから。
――ピリピリされていたんですか?
はい、去年の年末頃はコロナウィルス感染に収束の兆しが見えたじゃないですか。それなのに今年に入ってからまた感染者数が爆発的に増えて……。そこで気持ちの切り替えがうまくできなかったんです。自分が感染するわけにはいかない、そんな中で身近な方に感染者が出しましたから。もう不安で仕方がなかったです。
――想像しただけでもかなりのプレッシャーを感じます。
そうなんですよ。でも、その反面慣れてきている部分もありますけどね。コロナ禍と言われる時期も長くなってきて、致し方ないともどこかで思っていますから。とはいえ、今は無事ライブを終えて、持っているものを手放して身軽になれた感じはしています。
――やはりライブ前は多くのものを背負っている感覚があるんですね。
自分でもいろんなもの背負いすぎだと思っているんですけどね、常日頃。皆さんの期待だけじゃなくて、色々と情報を自分の身体に詰め込みすぎている感じ。もう人生の1分も無駄にしないように生きようとしてますからね。
――常日頃からそんな感じなんですか!
もう30分の隙間時間ができようものなら何か得ようとしてしまう。本なんかもかなり読むんですが、読書が好きと言うよりも知識を得たくて読んでいる感じなんですよね。そのせいで知識とか経験とかが自分の中に溜まりすぎてて……。
――その持ちすぎたものをライブを機に手放している、ということなんですか?
そうなんです、ライブを経ると色々手放して脱皮ができる、みたいな(笑)。ライブが私にとってのそういう節目なんでしょうね。
「聴こえる?」通常盤
■そこに存在しているだけで力をくれる……「聴こえる?」は大地系の楽曲
――そんな一区切りのタイミングで今回のシングル「聴こえる?」がリリースされることとなりました。制作はいつ頃スタートされたのでしょうか?
2021年10月にリリースとなったアルバム『HIKARI』のレコーディングが始まる前に、この曲の収録を終えていました。なので、2021年の夏頃。当時は今とは心持ちも大きく違ったのを覚えています。
――今ほど身軽な気持ちではなかった、ということですか?
はい、まだコロナ禍真っ只中で大変な時期でしたから。なので、私にとってこの曲は深刻な状況から一歩踏み出す曲というイメージなんですよ。その踏み出し方も誰かの手を借りるんじゃなくて、自分自身の力で踏み出す感じ。
――その一歩に寄り添うような曲、という印象を受けますね。
そうですね。無理やり背中を押されると、その時に踏み出す一歩は苦しいものになってしまう。そうではなくて、ただ寄り添って一緒にいて一歩踏み出す瞬間を見守っている曲、そうなってほしいと思って歌っています。属性としては大地系というか、そこに存在しているだけで私たちに力をくれる曲ですね。
――大地系、なるほど。そんなメッセージがうまく、タイアップである『社畜さん』の作品世界ともリンクしています。
もう限界近くまで働いている伏原のところに幽霊ちゃんが現れて、寄り添うことで彼女のトゲトゲしたものを癒してくれる。そういう意味ではこの曲自体が聴く人にとっての幽霊ちゃんになってくれるとも言えますよね。
――内田さん自身もキャストとして『社畜さん』には出演しています。やはりアニメも癒される内容になっていますか?
なっていますね。キャストとしても癒し要素満載の演技していますから。『社畜さん』って通常のアニメよりも、ゆっくりなテンポでセリフも収録しているんです。それもあって、見たらのんびりとした気持ちになれるように仕上がっていますよ!
――そんな今回の楽曲、作曲を担当したのがfhánaの佐藤純一さんです。曲の第一印象はいかがでしたか?
難しいメロディだ! というのが第一印象ですね(笑)。どこからがサビで、どこまでいったらサビが終わるのかが掴みづらいんです。ただ、歌ってみたらどんどん頭に入ってくる、すごく気持ちいいメロディでしたね。
――歌う前と後で印象が違ったんですね。
はい、歌詞もこれまでの私の曲に比べるとあまり詰め込んでいない。音楽的な面白さが詰まっている曲だと思います。これまでに歌ってきた曲とは一味違う新鮮な雰囲気を楽しんで欲しいですね。
■「Sensation Dancin' Show♪」を受け取った皆さん、是非とも感想を聞かせてください!
――そして今回、カップリングにフューチャーファンクを感じる楽曲「Sensation Dancin' Show♪」が収録されました。
まさかファンクやろうってことになるとは思っていなかったので私もびっくりしています(笑)。
――その中で歌われている歌詞もこれまでの内田さんの楽曲とは一味違ったものだと感じましたが、何かこれまでと違うアプローチがありましたか?
歌詞の視点が今までの曲と違うんですよ。「Sensation Dancin' Show♪」は歌詞が書かれた視点が私の視点じゃないんです。
――内田さんではない誰かについての歌、ということですね。
そうなんです。この曲で歌っているのは、日本のどこかにある、深夜も働きながら必死に生きている誰かの日常。こういったアプローチの歌って実は今まで歌ってきてないんですよ。それで、実は結構歌うの苦戦して……。
――なるほど、苦戦ですか。
はい、曲の世界観を飲み込むのに時間がかかったといいますか……。曲に出てくる日常と私が生きている日常の間に少し距離があるんですよ。なので最初実感を込めて歌うことができなくて。スタッフさんたちと時間をかけて打ち合わせもして、歌詞に描かれている世界観を吞み込んだ上で歌えるようにしていきました。
――そうするとこの楽曲、聴いた人がどんな感想を抱くかも気になるあたりかと思います。
すごく気になっていますね。この曲を受け取った皆さん、是非とも感想を聞かせてください!
――『社畜さん』の伏原に感想を聞いたら「わかるわかる」なんて言うかもしれませんね。
確かに! この曲で歌われている状況って、幽霊ちゃんが出てくる前の伏原そのものなのかもしれないですもんね。『社畜さん』の前日譚を歌っているのかもしれない。
――そう思うと「聴こえる?」とCDとは逆の順番で聴いても楽しいかもしれないですね。
それも是非やってみてほしいです!
「聴こえる?」初回限定盤
■声優として身につけたスキルを全面的に活かした音楽活動
――今回の「Sensation Dancin' Show♪」も含めてですが、最近の内田さんが歌がクラブミュージック調の曲のすごく相性がいいのを感じています。
私は元々R&Bとか好きなんです。だからリズムに合わせて歌をはめていくの、好きなんだと思いますね。
――ご自身がもともと好きな音楽ジャンルの曲を歌う機会が増えていると言うことですね。
それは大きい気がします。あと、私自身が歌うことに余裕ができて、曲をちゃんと聴きながら歌えるようになってきたのもあるかと思います。曲を意識してどう声を乗せていくか考えながら歌えるようになった、と言えばいいですかね。それが結果曲と歌の親和性を上げているのかもしれない。
――意識的に歌い方ののアプローチを進化させている、と。
それはもちろんありますね。ただ、正直言うと収録した後で聴き返して「よくこんな難しいところ歌えたな!」なんて思うことも多々あります(笑)。
――その瞬間出てきたフィーリングで歌った結果うまくいっている部分もある。
ありますね。そう考えると「Sensation Dancin' Show♪」も歌う前の話し合いの時間がなかったらこんなにうまく歌えなかったかもしれない。
――うまく乗るためには曲の世界観を掴む必要がある、ということですか?
ありますね、それは強く感じています。歌詞覚える時もそうなんですけど、内容が飲み込めていないと全然覚えられないし、うまく歌えない。内容が理解できた瞬間にスルスルと歌詞も頭の中に入ってきて、自然と歌えるようになる感じはしています。
――演技に対してのアプローチに近しいものを感じました。声優として演技をする際も同じようなことがあるんですか?
もちろんありますね。出演するアニメの原作を読んでいる時も、そのキャラクターのことがうまく掴めていないとセリフの理解が追いつかない。キャラクターが掴めた瞬間にキャラに躍動感を感じはじめて自然と演じられるようになる、みたいな。
――内田さんにとって声優の活動と歌手の活動は直結している部分があるんでしょうね。
そうですね、歌に対してのアプローチの仕方は声優ならではなんじゃないかと思います。そこに声優が歌う面白さっていうのもあると思いますしね。言葉に感情を乗せることは声優活動を通してスキルとして身についている、それを全面的に活かして音楽活動をしているんだと思います。
――そんな内田さんの曲へのアプローチも踏まえて、今回の二曲を楽しんで欲しいですね。
そうですね、今回の二曲は悩みや葛藤を抱えている人に寄り添って包み込めるような楽曲になっているのでそれも楽しんで欲しいと思います。そして曲を聞いて、歌詞を読んで、皆さんが感じたことを私に聞かせてもらいたいです! 
インタビュー・文=一野大悟

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