歌と共に前へ、ただ前へ 『Songful
days SEASON2 with“遠藤正明”』レ
ポート到着

前回のArgonavisに続くシリーズ2番目の男性アーティストとして、「アニソン界の若獅子」が遂に「Songful days SEASON2」に降臨した。ソロとして、JAM Projectのメンバーとして、ロボットアニメや特撮ヒーローもの主題歌など数多くのヒットを持つ遠藤正明は、言わずと知れたアニソン界のビッグネーム。誰もがひれ伏す圧倒的な声量と熱すぎる表現力が、MCなし、物語仕様、アコースティック演奏という「Songful days SEASON2」の世界の中で、一体どんな輝きを放つのだろうか?
雪の降りしきる深い森の中、声優・高木美佑のナレーションが、飢えた狼たちに追われる「旅人」の窮地を生々しく描写する、スリリングなオープニング。不意に登場した「私」と父親が狼たちの前に立ちはだかり、旅人を救い出すシーンから物語はいきなり動き出す。今夜の「Songful days SEASON2」は展開が早く、一瞬たりとも目が離せなくなる予感がする。
撮影:大塚正明
場面が切り替わり、いよいよ遠藤正明の登場だ。バックで支えるのは、パーカッション、エレキベース、アコースティックギター、キーボード、女性コーラスと、シリーズ始まって以来最多人数のバンド編成。「恍惚ラビリンス」の大人びたジャジィ&ファンキーなグルーヴに乗り、エンジン全開のパワフルボイスにいきなり度肝を抜かれる。熱く激しく正確で、なおかつしなやかで心地よいフィーリング。無駄にスピードを上げない大排気量の高級車のような、圧巻のラグジュアリードライビング。スタートダッシュは完璧だ。
三日月の輝く夜、焚火の傍らで語られる物語。それは「私」と、血のつながっていない育ての「父」とが、長い旅を始めたその理由。「私たちはお姉ちゃんを探しているんです」という言葉に、旅人の眉がぴくりと動く。その物語はかつてどこかで聞いたことがあるような気がする――。
遠藤正明の2曲目は「またあした」。アニメ『みつどもえ』『本気戦隊ガチレンジャー』主題歌を、軽やかなボサノバ調に衣替えしたリズムに、力強い歌声がよく映える。一転して「夕凪-Pray for you-」は、穏やかにじっくりと聴かせるバラード。あくまで控えめに、しかしがっちり土台を固めるバンドがいい。さらに、この日最大のハイライトの一つになったのが、斉藤和義のカバー「歌うたいのバラッド」だ。大勢のアーティストがカバーした名曲に真っ向から挑み、ひたすらに純粋な情熱を傾けてマイクに向かう。まさに歌詞の通りに、ただ声に身を任せ、頭をからっぽにするだけ。「愛してる」という最後の一言に込めたとてつもないパワーと説得力に魂が震える。
撮影:大塚正明
歌と共に、物語も佳境へと入ってゆく。「私」が、幼い頃に姉と過ごした「秘密の花園」の美しい思い出を涙ながらに語りだす。それを見ていた「父」がおもむろに楽器を取り出し、悲しい時にだけ歌う特別な歌を歌い出す――。物語と演奏シーンの間を、絶妙な設定とセリフで一つに繋いでゆくのが、他の配信ライブ番組とは一線を画す「Songful days SEASON2」らしさ。物語と音楽と映像詩、すべてが密接に絡み合ってドラマは続いてゆく。
撮影:大塚正明
ここでArgonavisのカバー「ゴールライン」を披露したのは、前回シリーズでArgonavisが遠藤正明の「キミの詩-Sing a Song-」をカバーしたことへの返答だろう。聴き手に勇気と自信を与えるエールソングに、息の合ったコーラスがよく似合う。抑えきれず、メンバーの顔からも自然に笑みがこぼれる。そこから一気にスピードを上げ、Supercellのカバー「君の知らない物語」(『化物語』エンディングテーマ)へ。滑走路から飛び立つ飛行機のように、空高く駆け上がるセツナポップチューンを、疾走感いっぱいのバンドサウンドで表現する。さらに、グランドピアノとボーカルのみで表現した「キミの詩-Sing a Song-」の、全身全霊を捧げ尽くす激唱は圧巻の一言。「歌うたいのバラッド」と対になるような、愛にあふれた歌詞がずしりと胸を打つ。あらためて、遠藤正明はとてつもないボーカリスト、そして素晴らしいソングライターだ。
撮影:大塚正明
夜が明け、再び旅立ちの時が来た。「旅人」は意を決して、この旅の中で「私」が探している姉と出会っていたことを告げる。そうか、これは前回のArgonavisの歌と共に語られた、幼い頃にさらわれた妹を探し続けた「姉」の物語と対を成す、「妹」の物語だったのか――。それぞれの視点で語られる、二つの物語が交錯するドラマの結末は悲しいものだが、それは絶望ではない。「妹」は心に深い悲しみと挫折を抱えながらも、足はひたすら前向きに未来を目指す。命ある限り、前へ進め。そうだ、それはまるで、歌に人生を捧げてすべての挫折を乗り越えてきた、遠藤正明の生きざまのようじゃないか?
撮影:大塚正明
茅原実里のカバー「みちしるべ」(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』エンディングテーマ)は意外な選曲だが、アカペラから始まる穏やかなミドルバラードを慈しみ歌う、豊かな表現力が素晴らしい。さらに圧巻だったのは「YAKUSOKU NO MELODY」(『遊☆戯☆王5D's』挿入歌)で、リズミックなバラードを歌う声が徐々に熱を帯び、遂にはマイクを外して生声を披露する。その驚異的なパワー、巧さ、情熱、説得力を言葉に置き換えるすべがない。「すごい」とつぶやきながら、ただ浴びるように聴き惚れるのみ。そしてこの日の10曲目、フィナーレを飾るのは「星海を往く希望の歌」(PCゲーム『マブラヴ アンリミテッド ザ・デイアフター』主題歌)だった。火照った体と心をゆっくりとスローダウンさせていくスローバラードを、愛おしみ包み込む歌声が、物語のエンディングに寄り添って深い余韻を残す。「旅は、続く」。最後にひとこと、「どうもありがとう」と告げたボーカリストの表情は、新しい挑戦を成し遂げた充実感に満ちた、穏やかなものだった。
撮影:大塚正明
若獅子の勢いとパワーに、円熟のスキルと人生の深みを加えながら、進化し続ける遠藤正明の姿を堪能した「Songful days SEASON2 with“遠藤正明”」。それは、アーティストも番組も新たな挑戦を重ねながら前進してゆく、「Songful days SEASON2」のコンセプトを象徴する必見のプログラム。ぜひ体感してほしい。
撮影:大塚正明

レポート・文=宮本英夫 撮影:大塚正明

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