ゴジゲン第18回公演『かえりにち』4
/20より下北沢 ザ・スズナリにて上演
 稽古場レポート到着

ゴジゲン第18回公演『かえりにち』が、2022年4月20日(水)より下北沢 ザ・スズナリにて上演される。初日を控え、稽古場レポートが到着した。

これまでも「くれなずめ」(“暮れなずむ”の命令形)や「朱春(すばる)」(青春と朱夏のあいだ)など、絶妙なニュアンスの造語をタイトルに掲げてきたゴジゲン。
約1年ぶりの本公演は、“帰り道”ならぬ『かえりにち』。誰もが日々経験しながらも無意識のうちの通りすぎてしまう帰り道の風景に、どのようにスポットを照らしてくれるのだろう。期待を胸に、稽古場レポートをお届けする。(※以下、内容に言及しているので注意)
今作の舞台は、台風接近の予報が出たために準備された避難所だ。しかし予報は外れて台風は来ず、備えられた数々の物資はその場を持て余している。
登場人物は、避難所の管理をしている市役所員の田所(東迎昂史郎)と島木(奥村徹也)、そのほかには栄治(神谷大輔)、響生(松居大悟)、森本(目次立樹)、与田(善雄善雄)、野々宮(結城洋平)の男7名。
何も起こらないはずの平坦な数時間が彼らの交流により少しずつ動き出し、それぞれが岐路に着くまでの一夜を、丁寧かつ巧妙なせりふ劇で描いていく。
ゴジゲン第18回公演『かえりにち』稽古場風景
稽古の様子を見ていてまず感じたのは、各々のキャラクターがとても際立っているということ。仕事に対して一生懸命だけど空回りしてしまう田所と、対照的に、要領がよく冷めている島木。どちらにも感情移入できるし、どうにかきちんと仕事が全うできるようにと、応援したくなる。
職場の先輩後輩という関係性が持つ独特の不安定さも巧みに表現されている。栄治と響生は兄弟で、二人とも博多弁で喋る。演じる神谷大輔と松居大悟が実際に福岡出身ということもあり、リアルな訛りがリズミカルで耳に心地よい。一見謎だらけの森本には意外な過去があることが明かされ、不器用ながら周りの人を惹きつける話題を持ち合わせている与田と、噂話が好きで饒舌な野々宮のアンバランスさにはクスリと笑わされる。
ゴジゲン第18回公演『かえりにち』稽古場風景
ヒーローでもイケメンでもない、決してドラマティックじゃない、どこにでもいそうなのに一癖も二癖もある人物たちは、きっとこの役者陣でなければ作り上げられない、松居大悟でなければ引き出せない。そんな登場人物一人一人にしっかりと息が吹き込まれることで、ハッピーエンドに区切られることなく現実を生き続けているわたしたちの力になる。
今までのゴジゲンは、“高校時代からの同級生”や“お笑いユニットのメンバー”など、友達同士、仲間同士のやり取りが描かれることが多かった。
今回は、偶然避難所という一所に集まった、“他人”の物語だ。この時間にこの場所がなければ出会わなかった、数分前まで名前も知らなかった他人同士。せりふの間合いや言葉の端々によそよそしさが感じられて、新鮮である。
ゴジゲン第18回公演『かえりにち』稽古場風景
気心の知れた者同士で腹を割って話せるということは、ほかの何にも代えがたい価値がある。しかし、初対面の相手を前にし、探り探りコミュニケーションをはかる時間こそが、もしかしたら、人よりほんのちょっと優れている部分や愛すべき欠点が垣間見える貴重な一瞬かもしれない。フィジカルな人間関係が欠如しつつあるコロナ禍の現代において、この作劇がどのように届くのだろうか。
自分を取り繕ったり空気を読み合ったりしながら、遠慮がちに相手の懐に入り込んでいく、どこか憎めない彼らの姿からは、驚くほどに人間らしさや、人とともに生きていくことの本質が感じられた。

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