我儘ラキア・ロングインタビュー<後
編>、新たなフェーズに突入した日本
一カッコいいアイドルの今に迫る

昨年は豪華作家陣を起用した『WAGAMAMARAKIA』『SUPERIORITY』という2作品のリリース。さらにはSTUDIO COAST公演を含むキャリア最大規模のツアー『WAGAMAMARAKIA TOUR』、初となるZEPP東名阪公演を含むツアー『SUPERIORITY TOUR』の大成功と、確実に勢いを加速してきた日本一カッコいいアイドル・我儘ラキア。そんな彼女らが選択したのは、原点に立ち返り自らで生み出し、既に最高傑作との呼び声高い新曲「GR4VITY G4ME」携えた、過去最大の強敵たちを迎えての対バンツアー『WAGAMAMARAKIA “W” TOUR 2022』だった。確実に新たなフェーズに突入している我儘ラキアに、ツアー直前の今約1万2千字のロングインタビューで迫る。
――引き続き、「GR4VITY G4ME」のお話ですが。歌の話でいうと星熊さんは今回、すごい高い音域を歌ってますよね?
星熊 南巫:そうですね。いままで使ってこなかった音域で、今までは楽に出せるもう少し下の声だったんですけど。a crowd of rebellionさんとコラボした時(a crowd of rebellion「Re:Create of the Re:d (feat.星熊南巫)」)、一番高いところが一番出しやすかったって経験があって。今回、曲が転調したところで一番綺麗に映えたのがいまのメロディで、「高すぎるかな?」と言いながら一回歌ってみたら、ポーンと出たんです。なにか訓練したわけじゃないんですけど、いつの間にか音域が上がってました(笑)。
MIRI:デモの段階では、もっと高いところがあって。聴いた時にはビックリしたんだけど、めちゃくちゃカッコ良かったんです。
星熊:そう。ギリギリ感を出したかったので、楽に歌えるキーで歌っても何も生まれないなと思って。
星熊南巫
――星熊さんの高音域はすごい求心力があるし、ラキアの新しい武器になると思います。そう考えると今回、すごく色んなことに挑戦出来ていますね。
星熊:そうですね。もっとたくさんの人に我儘ラキアの曲を聴いて欲しいと思った時、「自分の中で流行ってるものだけじゃなくて、チャートも理解しなきゃいけないな」と思って、ヒットチャートを聴いて研究したんですけど。そこで気づいたのが、「あれ? いまの時代ってリスナーに寄せなくていいんじゃない?」ということで。みんな耳が肥えてきて、素人受けとか玄人受けというのが無くなってきてるから、人が聴きやすい音楽のレベルがむちゃくちゃ上がってるなと思ったんです。いままでは分かりやすい音楽、みんなに聴かれやすい音楽に抵抗があって、「そんな上辺の良さはいいから、良い音楽を聴かせてくれ!」と思ってたんですけど。チャートを聴いて、「逆に良い音楽がいま、流行ってるんじゃね?」と思って、考え方が変わったし。2022年はリスナーを騙せない時代になっているから、法則だけじゃなくて、感覚でみんなが良いと言ってくれる曲を作りたいと思って。「GR4VITY G4ME」はリード曲っぽくないかも知れないけど、「これが現代のリード曲だ!」と信じて、自信を持って作りました。だから、もしこれが色んな人に届かなかったら、自分らの思う「みんなに届く曲」の概念が間違ってるし、遅れてるんだと思うんで。次はもっと勉強して、もっと精度を上げたいし、もっとトガッてもいいのかなと思うし。
MIRI:やっぱり家にいる時間が増えて、ライブも落ち着いて観ることが増えて。よりみんなが音楽をちゃんと聴くようになったのかな? と思うんです。その時、ラキアがやりたいことや星熊が表現したいことって、すごい時代と合ってると思うし。むしろ、いまはチャンスなんじゃないかと思うんです。
星熊:それは思う。「私、生きやすい時代になってきたな」と思って、ちょっと嬉しい。みんな真価を見極める力もハンパなくて、良い時代になってきたから、「GR4VITY G4ME」がダメだったら、次はより手加減しないものを作りたいと思ってます。
――現在やりたいことと、これまで培ってきたやり方や方法論と、それを求める時代性が合致したら、いよいよブレイクタイミングの到来ですね。
星熊:ありがたいですね(笑)。でも、ここからもどんどん進化していかないと、日本の音楽の速さがすごいから置いていかれそうな気がして。年々好きなものしか聴かなくなってて、なにが流行ってるか分からないから、いまマジで中学生の友達とか欲しいなと思ってて。Twitterで裏アカとか作って、絡みに行こうかなと思ったりしています(笑)。
星熊南巫
MIRI

――わはは。そして、4月23日から始まる、全国対バンツアー『WAGAMAMA RAKIA “W”TOUR 2022』についても聞かせて下さい。いま伝えたいことを「GR4VITY G4ME」に詰め込んで、鮮度が落ちないうちに生で届けられるのも最高ですが。まずはこのツアーが決まった経緯と対バンが決まっての感想は?
星熊:対バンツアーをやろうという話から、対バンを決めることになって。「好きなバンドを教えて下さい」と言われて書き出したバンドとの対バンが、本当に実現してしまいました。例えば、NOISE MAKERさんは、MIRIと一緒にフェスで観に行ったアーティストだったり。自分がラキアを始める前にライブを観たりして、「いつかこの人たちに曲を書いてもらいたいな」とか、「いつか一緒にライブをしたいな」という想いが、何年越しに叶って。NOISE MAKERさんは曲を書いてもらって、アドバイスをもらったり、一緒にモノを作れる関係性にはなったけど、「対バンして下さい」というのは言えなくて。
――関係性は出来たけど、対バンするとなると話は別なんですね。
星熊:そうですね。憧れだったし、好きだったからこそ、お願いするのが怖いみたいな気持ちがずっとあったんですけど、今回は直接お願いしに行ったんです。そしたら、「どうしてアイドルなのに、バンドと対バンするの?」と聞かれて、自分でも「何でなんだろう?」と思ったし、答えることが出来なくて。「とにかく好きなんで、対バンして欲しいです!」と答えになってない答えで返答しちゃったんですけど、それでも快くOKしてくれて。「自分たちはアイドルだけど、音楽をやってると堂々と言える立場なのか?」とか、色んなことを考えたし、そんな自分たちのまだ足りない部分、認められてない部分も取っ払って、一緒にやってくれるバンドのみなさんに絶対恥をかかせちゃいけないと思って。いまは気合いとか感謝とか、色んなものが混じった気持ちなんですけど。このツアーをやり遂げたら絶対に良い経験になるし、「とりあえずここまで来たぞ」という自信にもなると思うので、絶対に成功させたいと思っています。
――「どうしてアイドルなのに、バンドと対バンするの?」という話、今だったらちゃんと答えられますか?
星熊:色々考えたんですけど、逆にアイドルですごい好きな音楽をやってる人がいたら、その人たちにお願いしてると思うんです。だから、アイドルだからとかバンドだからとか、そういうことにとらわれていなさすぎて。好きな音楽がNOISE MAKERだったし、バンドだったということで。「ジャンルとか関係なく、好きな音楽をやっている人と対バンしたいんです」いうところにたどり着くのかなと思いました。
――なるほど。それを面と向かって聞かれた時、言葉にすることが出来なかったのならば、その好きだって気持ちをステージで証明するしかないですね。
星熊:そうですね。自分らのライブを初めて観てくれるバンドさんもいると思うので、「ありがとうございます!」という感謝の気持ちだけじゃなくて、ちょっとでも喰らわせられたらいいなという気持ちでやれたらと思っています。心から素敵だと思える人たちにお声がけをして、自分たちのツアーに来てもらうんだから、絶対に負けちゃいけないと思うし、めちゃくちゃ頑張らないといけないと思っています。

我儘ラキア

――MIRIさんはツアー決まっての感想、いかがですか?
MIRI:クマが言ってたみたいに、まさかこんなラインナップで決まると思わずに、好きなバンドを書き出すところから始まって。ツアーが決まった時、そこに書き出してたバンドが本当に並んでいたし、学生の頃にフェスで自分が転がってたバンドの方々と共演出来るということで、すごい気合いが入りました。まだまだバンドのライブにアイドルが出ることってあまりないのですが、私はそれが結果だと思ってて。まだアイドルに偏見があるし、カッコいい音楽をやっているアイドルがいないってことかも知れないけど。「いいよ、面白いじゃん。新しいことやろうよ!」とそれでも言って、ゲストとして出てくれるバンドさんの気持ちが本当に嬉しいし、私も新しいことに挑戦してる子たちに協力してあげられる大人になりたいと思ったし。対バンが決まってから、NOISE MAKERさんやMY FIRST STORYさんのライブを観に行かせていただいたんですが。「じゃあ、ラキアはどういう見せ方をしていこうか?」って話し合ったり、次の日のライブ感がちょっと変わったり。ライブを見ただけで、「自分たちはこうでありたい」っていう理想像がさらにハッキリした気がして。まだツアーは始まってないけど、すでにすごく刺激を受けているし、勉強になってて。自分の人生で一番の刺激になるツアーに、もうなってるんじゃないかと思います。
――このツアーが終わる頃、すごくたくましくなっていると思いますよ。
MIRI:だと良いですね。あと欲を言えば、ラキアのライブってファンの人込みで作るライブが一番の魅力だと思うので。まだライブに規制がある中で、100%で挑めないのが残念ではあるんですけど。アイドルファンって本当に凄くて、どこに行くにも一緒についてきてくれるし、声も出せないし暴れられない中でも、「いまここで応援してるよ」ってことをすごい前面に押し出してくれたり。そういうアイドルファンの凄さも、普段あまり交わることのない、対バンの方や対バンのファンに伝わったらいいなと思います。
川﨑怜奈
海羽凜
――川﨑さんはツアーに向けての意気込みいかがですか?
川﨑 怜奈:私はあまりバンドを聴いてこなかったので、正直メンバーの中では少しフラットで。だからこそ、対バンを引き受けてくれたバンドさんに失礼のないように、私たちはどうパフォーマンスするか? を考えようと思っています。あまり交わることがないからこそ、「こんなアイドルもいるんだ」とか、「こういうカッコいい曲をやってるんだ」と思ってもらいたいですし。対バンのファンの方に好きになって欲しいとか、ファンになって欲しいとは言わないけど、「新しいことが知れて良かった」と思ってもらいたいし、「楽しかった!」と思ってもらいたいので。全力でステージにぶつかって、ツアーを走りきりたいと思っているし。MIRIとクマの熱い気持ちが伝わってくるからこそ、その気持ちに負けないくらいのパフォーマンスとバイヴスで上乗せしていきたいと思ってます。
――海羽さんはいかがでしょうか?
海羽 凜:私はこのツアーで、以前から観ていたバンドさんとかとライブが出来ることが信じられなかったし、夢にまで見たという気持ちだったので。一緒にやって下さるバンドさんに恥じないステージをしたいし、ここまで付いてきてくれたファンの人たちのためにも頑張りたいし、アイドルとしてしっかり表現して、私たちを初めて観る人たちにも目を向けてもらえるライブにしたいと思ってます。
星熊南巫 / 川﨑怜奈
――強豪揃いの対バンですが、いま、ツアーに向けて考えている構想や秘策はありますか?
星熊:いままで、対バン相手にセットリストを合わせてきた部分もあって。今回のツアーでも、対バンによっては合わせていきたいと思ってるんですけど、私たちらしさもしっかり出していけたらと思ってて。逆に相手に合わせず、まんま行くのもカッコいいのかな? と思ってます。例えば、メロコアっぽいバンドとやった時、相手に合わせてラキアの数少ないメロコアっぽい曲をぶつけて、ファンになってもらったとしても、結果、ガッカリさせるのってどうなんやろな? と思ったりして。ホンマに自分らがカッコいいと思うものを全力でぶつけてみたら、我儘ラキアの色がもっと濃くなるし、しっかり伝わるのかなと思うので。いま、1日目のCVLTEさんとの対バンのセットリストを作っているんですけど。CVLTEさんが自分の好きな音楽像に近かったから、自分全開で行こうと思ってるんです。他のバンドさんはどうしよう?って考えた時も、ここで自分たちの色をどう出そうか? とか、ここは合わせすぎないで行こうとかそれぞれに野心があるし、色んなことを考えています。結構チャレンジで、伝わらない人には全然伝わらないかも知れないけど、「自分らはこうです!」っていうのをジャンル問わずでぶつけて行こうという気持ちもあります。
――よそ行きの服を着るんでなく、自分たちが一番カッコいいと思うスタイルで勝負したいと。そんな中でもそれぞれと関わりや関係のある部分は出していってね。
星熊:MY FIRST STORYさんのライブで「SURVIVE」や「One」をやるとか、プロデュースしていただいた楽曲とかはやりたいですね。だから、良いと思って合わせていくことはするけど、違うなと思いながら合わせるようなことはやりたくないなと思って。ラキアらしく、ホンマに良いと思えるセットリストをぶつけたいと考えてます。どうしても頭で考えちゃう部分はあるけど、自分たちがアガらないと、お客さんもアガらないですから。自分たちのやりたい音楽をそのままぶつけられたら、精神としてすごくカッコいいんじゃないかと思って。仙台は「結構、攻めてるやん!」のセットリストだよね?
MIRI:そうだね、星熊のやりたい放題になってます(笑)。却下されたこともたくさんあったけど、「私の世界観はこれでいく!」って頑なに譲らない部分もあって。でも、クマがそこまで気持ち入ってる時って強いんで。私はそれに乗っかっていくだけだなと思うし、大丈夫なんじゃないかなと思っています。
星熊:行き過ぎてても、みんなの感覚で良いと思ったらそのまま行かせてくれるし。違うと思ったらちゃんと言ってくれるチームなので。みんなのことを信頼しながら、自分の衝動で戦えるようなものを作っていきたいという気持ちになってます。だから、初日も攻めすぎてるかも知れないけど、「これで一回、反応を見よう」という話になってて、反応がすごく楽しみなんです。本気で食らいついていかないと負けちゃう相手ばかりなので、せめてもの礼儀で、全ての相手に必死で真剣に食らいついていこうと思っています。
――それってラキアを喰おうとしてきた、先日の対バンの高校生の精神と一緒ですね。礼儀をもって、遠慮はしないと。
MIRI:でも、そうですね。あの日に私たちが思ったようなことを、対バンの方たちに思ってもらえたらいいですね。
星熊:そう思ってもらうには、ちょっと邪念が多すぎるけどね(笑)。

取材・文=フジジュン
我儘ラキア
SURVIVE〜Melody (LIVE at Zepp Haneda) SUPERIORITY TOUR 2021

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