朗読と演奏が引き起こす”レゾナンス
”。『Morfonica Concept LIVE「Res
onance」』レポート

2022年4月24日(日)、TOKYO DOME CITY HALLにて『Morfonica Concept LIVE「Resonance」』が、有観客・Streaming+配信で開催された。「BanG Dream!」プロジェクトのリアルバンドとして、結成から2年を経たMorfonica。今回はベース・広町七深役・西尾夕香が、新型コロナウィルス感染症の陽性であることが確認されたため、出演見送りという残念なアナウンスが事前にあったものの、残る4人で2022年1発目となるライブイベントを大いに盛り上げた。初の「Concept LIVE」の名を冠し、Morfonicaの魅力がたっぷり詰まったステージの模様をレポートしていく。

ステージは大きく薄いスクリーンで覆われ、ライブタイトルである「Resonance」の文字が投影されている。やがて、「Daylight -デイライト- 」のインストゥルメンタルバージョンが流れると、まだメンバーの姿も見えないまま、客席はすでにオールスタンディング状態に。青、赤、オレンジ、ピンク、緑と、思い思いのメンバーカラーのペンライトが会場で踊り、曲に合わせて手拍子が響きわたる。オープニングだけでもう十分、会場は温まった。
曲が終わると、スクリーンにはアニメーションで書斎のような風景が映し出される。映像が向かう机の上には、「Resonance」と書かれた1冊の本。それが開かれ、中から5羽の帳蝶が舞い上がる。
「小さな蝶の羽ばたきが嵐を起こす そんな話を聞いたことがある」
今回欠席ではあるものの、レコーディングデータによる西尾夕香(広町七深)の声で物語のプロローグが紡がれ、やがて透明なスクリーンの向こうにメンバーの影が。薄いスクリーンを隔てたまま、1曲目に「fly with the night」がshort ver.で披露された。ぼんやりと見えるメンバーの姿は霧がかかっているようで、アニメーションで蝶が舞う様子が投影されているのもあり、Morfonicaらしい幻想的な雰囲気が醸し出されている。そしてサビにいく瞬間、スクリーンはステージの上から下へとパッと落ち、文字通り、Morfonica第二章の幕開けを告げた。
ステージは暗転。ワルツのような軽やかなBGMが流れる中、ギター・直田姫奈(桐ヶ谷透子)(直田姫奈)がスポットライトに照らされ、最初の朗読を行う。人々が楽しむことを忘れた忙しい町で、一人の少女が立ち上がる、勇気の物語の始まりだ。
じきにBGMが止み、ギターの音色から始まる2曲目、「Sonorous」が演奏された。イントロのリズムに合わせながら、左右に愛らしく腰をふるメンバー。やがてボーカル・進藤あまね(倉田ましろ)が、華やかで力強い歌を、笑顔いっぱいで紡ぎ出す。中盤の間奏の終わりでは、バイオリン・Ayasa(八潮瑠唯)の元へ歩み寄る進藤あまね。「あなたがいるなら(いつだって)強くいられるよ」の歌詞では2人背中合わせになり、楽器の音色と歌声でレゾナンス(共鳴)していく。
続けて、3曲目「金色へのプレリュード」では、歌い出しから観客の手拍子で会場がひとつに。進藤あまねは歌いながら、アリーナやバルコニーに向かって手を振り、ステージ上やステージ直前のカメラを追ってストリーミング配信先にも視線を送る。その笑顔が、ずっとファンに向けられている。それに対し観客も、曲のタイトルに合わせた黄色いペンライトを振って応えた。
ステージが暗転し、再び朗読劇がスタート。目覚ましい発展と共に音楽を捨ててしまった町。少女が物置で、父親のギターを見つけたことから物語は始まる。音楽の力を信じながらも、結局は辞めてしまった父親。だが彼が残した印象的なセリフ「音楽は誰かを救うためにあるんだ」は、ドラム・mika(二葉つくし)の声で紡がれた。
次の4曲目に披露されたのは、カバー曲「unravel」だ。町が選んだ未来を憂うように、少女の気持ちを代弁するように、前の3曲とは打って変わって、メンバーの表情もシリアスに。進藤あまねが頭を押さえながら悲痛な叫びのように歌声を放ち、ステージも真っ赤な照明で染まった。続く5曲目のカバー曲「深海少女」でも、スカートの裾をギュッとつかみながら歌うなど、感情を絞り出すような鬼気迫る演奏を見せていく。
そこから変わって、6曲目のカバー曲「V.I.P」。この曲では、ギターを手にした少女の喜びを表現しているのだろうか。メンバーも眩しい笑顔を見せながら、力強い演奏を見せていく。中でもギター・直田姫奈は、ステージ上を飛び上がるかのごとく軽やかに体を上下させながらキレのよいストロークを見せていった。
再び朗読劇へ。父親のギターをこっそり練習する少女の前に、友達が現れる。「何の役にも立たない」と、友達役として批判の言葉を口にする直田姫奈(桐ヶ谷透子)。「私は辞めない。音楽が好きなの。また始めようよ」と、少女役として友達を巻き込もうとする進藤あまね(倉田ましろ)。「それじゃ、あの日音楽を辞めた私が、バカみたいじゃない」と嘆く友達に、少女は父親が残した印象的なセリフを伝えた。「音楽はね、誰かを救うためにあるんだよ」。
7曲目には、「Secret Dawn」が披露された。2人の少女が踏み出した一歩を祝福するようなバイオリンの旋律。華やかに、可愛らしくステージを魅せていく。「ゆびきりげんまん」の歌詞では、ドラム含むメンバー全員で小指を中央に向かってあげていく息の揃った動きも美しい。8曲目「ブルームブルーム」では、さらにエネルギッシュな舞台を展開。ステージ前の切り株(お立ち台)を使い、中盤の間奏ではギター・直田姫奈が片足を乗せて長いストロークを奏で、終盤ではAyasaも両足でのぼって雄大なバイオリンソロを響かせた。
曲が終わった後も、mikaのドラムソロは続く。観客の手拍子を受けながら、進藤あまね(倉田ましろ)が再び口にしたのは「音楽はね、誰かを救うためにあるんだよ。またやろうよ、音楽。私と一緒に」のフレーズだ。やがて直田姫奈と背中あわせとなり、響き出されたのは、まさしく朗読劇で音楽に踏み出した少女と友達の2人を象徴するような、9曲目の「chAngE」だった。
再び朗読パート。少女は友達と一緒に、町の広場でライブを行う決意をする。実行はなんと、3日後だ。「私たちが変えるの!町のみんなを変える!」。そして10曲目に演奏されたのは「ハーモニー・デイ」である。中盤には、メンバーが一人ずつ歌詞を紡いでいく場面があるが、西尾夕香の「何よりも強く輝く」のレコーディングフレーズが流れたときには進藤あまねが後ろを振り返り、あたかもそこに本人がいるような錯覚を起こさせた。
次の曲へ移る前に、ゆったりとしたドラムロールが始まる。観客の手拍子も浴びながら、進藤あまね(倉田ましろ)が口にしたのは「私は 私のまま 誰にも邪魔させない」「物語は 結末を変えては導くよ」という、とある楽曲のフレーズである。演奏は続けて、11曲目のカバー曲「Nevereverland」へ。冒頭の歌い出しを終えてテンポが上がった直後には、ステージ前から煙も吹き出す派手な演出もあり、会場の盛り上がりはピークに。
曲は終わらず、ステージ中央でバイオリン・Ayasaとギター・直田姫奈が背中合わせとなり、2人のかけあいで12曲目へと続く。タイトルはもちろん、数分前に進藤あまね(倉田ましろ)が紡いだフレーズが歌詞になっている「flame of hope」だ。全力を振り絞るようなメンバーのパフォーマンスに、観客も激しくペンライトを揺らす。
ステージは暗転。ライブの冒頭と同じように、ベース・西尾夕香(広町七深)のレコーディング音声が、物語のクライマックスを語る。「ふたりの音が鳴り響く」「世界を変えるプレリュード」「そして生まれた“Resonance”」と、ここでライブのタイトルにつながっていく。
13曲目は、冒頭でも演奏された「fly with the night」がフルバージョンとして披露される。1曲目では「必要なんだよ あなたが」で終わっていたところが、ここでは「私にはみんなが いるから」の歌詞まで続き、この日一日のライブを象徴付けるような終わり方になっているのが見事だ。
演奏を終えたメンバーがステージから去っていき、再び西尾夕香(広町七深)のレコーディング音声で、物語のエピローグが紡がれる。「それは、一人の少女が生み出した、大きな嵐の物語」。物語が完結するとともに客席から拍手が起こり、そのハッピーエンドを祝福した。
ステージが暗転しても、拍手は鳴り止まない。しかもそのまばらだったその音は、だんだんとひとつにレゾナンスを起こし、アンコールを求める音へと変わっていく。
やがて4人の影がステージに戻ると、一層大きな拍手が鳴り響く。バイオリンの旋律とともにステージの照明が再び灯り、現れたのは衣装をライブTシャツに着替えたMorfonicaメンバーだ。アンコール1曲目として、「Fateful...」を披露する。
曲が終わり、今回のライブで初めて、「アンコール、ありがとうございまーす!改めて、Morfonicaでーす!」と、直田姫奈(桐ヶ谷透子)が挨拶の言葉を口にした。「配信で観てくれるみんなも、イェイ、楽しんでるー!?今日は、オレンジ色のペンライト目立つなー!ありがとうみんな、うれしいよー!」と、桐ヶ谷透子そのままの口調で語り、笑顔を振りまく。
その後は、メンバー同士の微笑ましい寸劇や、早くも次のライブへ向けての告知などがの発表を挟んだ後に、写真撮影タイムへ。ステージ上のメンバーは4人だが、進藤あまね(倉田ましろ)が「七深ちゃーん!」と言い、アンプの上に飾られていた広町七深のアクリルスタンドを持ってステージの前へ。Ayasa(八潮瑠唯)から「倉田さん、広町さんがテカってるわ。ちゃんと向きを」などのパワーワードも飛び出す中、メンバー揃い踏み(?)で、会場全体を写真に収めた。
メンバーの挨拶が終わった後は、いよいよ最後のナンバー。進藤あまね(倉田ましろ)が「焦がれる光を、いつかこの手に。最後の曲、聴いてください」と曲紹介をし、ライブ開始直前のインストゥルメンタルでも流れた「Daylight -デイライト- 」が披露され、ライブは終演を迎えた。
2022年、第1回のライブながら、メンバー1人が新型コロナウィルスのために出られなくなるという危機的事態を迎えたMorfonica。しかし不在を感じさせないような演出や、メンバーの気遣いがあり、さらには客席で揺れるペンライトにも、広町七深のイメージカラーでもあるオレンジが目立つ場面が何度もあったのが印象深かった。
また最後の挨拶で、広町七深のアクリルスタンドを手に持った進藤あまね(倉田ましろ)が、「次は、5人で、輝く景色に向かって羽ばたき続けていけたらなって思います。誰一人、欠けてはいけないので」と述べたのも感動的だった。今回披露された「fly with the night」の歌詞にもかかった挨拶ではあったが、その言葉が「今回のライブは、決して残念なものではなく、思い出深いものになった」と印象付けてくれた。またそれ以上に、「次のライブがフルメンバーで行えることで、またどれほどの感動がもらえるだろう」という期待も感じさせてくれたのだ。
次回は6月18日の富士急ハイランド・コニファーフォレストと、9月25日の有明アリーナでの演奏がすでに決定しているMorfonica。今度はどんな新たな物語が紡ぎ出されていくのだろうか、また彼女たちから目が離せなくなる、新たな日々は始まった。
取材・文:平原 学

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