2年前より必ずもっと面白いものを!
 朝夏まなと主演ミュージカル『モダ
ン・ミリー』製作発表レポート

2020年4月に上演予定だったミュージカル『モダン・ミリー』。
コロナ禍の影響を受け開幕直前に全公演中止となった本作が、2022年9月、東京・日比谷シアタークリエにて満を持して上演される。
ジュリー・アンドリュース主演の同名映画を原作とし、2002年に音楽を一新して作られたブロードウェイ・ミュージカル『モダン・ミリー』。トニー賞作品賞、他5部門を受賞した大ヒット作だ。1920年代のアメリカを舞台に、カンザスから大都会ニューヨークへ飛び出した主人公ミリーが仕事や恋に奮闘する姿を、底なしに明るい華やかな音楽と共に描き出す。
本公演の製作発表会見が、2022年5月10日(火)に都内にて開催された。会見にはキャストの朝夏まなと、中河内雅貴実咲凜音、廣瀬友祐、保坂知寿、一路真輝、演出の小林香ら7名が登壇。2年越しのリベンジとなる本作への熱い意気込みを語ってくれた。
製作発表は登壇者それぞれの挨拶から始まった。
■小林香(演出・翻訳)
2020年4月7日に初めての緊急事態宣言が出たときに、公演の中止が発表されました。まさにその日が初日だったんです。劇場にはすべてのお衣装や舞台セット、照明も出来上がり、あとは初日を迎えるだけという状態で公演が中止となり、みんなとさようならを言うこともままならず別れていったということがありました。
2年の時を経て久しぶりにキャストのみんなと会ったのですが、本当に嬉しくて。またみんなと『モダン・ミリー』の世界を紡げる時が再びきたのだと思うと本当に感慨深いです。公演が中止になったとき、キャストのみんなに手紙を書いたことを覚えています。「これは中止ではなく大幅な延期です。なので、再び会えることをとても楽しみにしています」という括りをしたのですが、その大幅な延期の結果ついにみなさまへ『モダン・ミリー』をお届けできる時期がきて本当に嬉しく思います。とても楽しく明るいミュージカルですので、コロナで疲れた心を癒やすのにとてもいい作品です。2年前よりも一層励んで作品を作っていきたいと思います。
■朝夏まなと(ミリー・ディルモント役)
2年前の4月。お稽古も全て終え、やっと劇場に入れるというときに終わってしまいました。すごくやるせない気持ちと切ない気持ちと、でも仕方ないという気持ちもどこかにあって。なんとも救いようのない想いでいっぱいだったのですが、「大幅な延期」という香さんのお言葉を信じ、こうして2年後に公演できることが本当に嬉しいです。今回この作品に挑戦するにあたり2年間いろいろな作品に携わってきて、自分自身も成長できていたらいいなと思います。
2年前は必死で役作りをしていてまだまだ腑に落ちない部分もあったので、そういう部分を今回はしっかり作っていきたいです。今日みなさんと久しぶりにお会いして、すごく懐かしい気持ちになりました。とっても面白くて楽しいみなさんとまた一緒に作品を作ることが本当に楽しみです!
■中河内雅貴(ジミー・スミス役)
本当に2年前はとても心が苦しかった。そんな時期でもありました。でもとてもハッピーな作品なので、辛いときにこの作品の楽曲を改めて聴き直して、少し心が救われた部分も自分自身ありました。きっとこのミュージカルを観てくださる方の心をとてもハッピーにしてくれる作品なので、ぜひ劇場へ足を運んで、生のライブをしっかり体感していただき、明日への活力となるような存在でいたいなと思います。
■実咲凜音(ミス・ドロシー・ブラウン役)
今回2年ぶりに上演と聞いたときにに、「キャストの方は変わらないですか?」ということを確認しました。ここにいらっしゃるみなさまと変わりないということで、それを聞けて私は本当に嬉しくて! 今日久しぶりにお会いできて、ただただ嬉しいです。2年前に作品が止まってしまったときは「こんなハッピーな作品だからこそやりたい」と思っていたので、2年越しにはなりますが、みなさまにお届けできることを心から嬉しく思います。ハッピーになれるので、たくさんの方に観に来ていただけたら嬉しいです。
■廣瀬友祐(トレヴァー・グレイドン役)
良いのか悪いのか、作品の記憶がなくてですね(笑)。久々に台本をひと通り読んだのですが、やっぱり記憶はありませんでした(笑)。とにかく、劇場でこの作品をお客様と一緒に共有することを強く強く願っています。その日が来ることを信じて、素敵な作品になるよう精一杯努力していきたいと思います。
■保坂知寿(マジー・ヴァン・ホスミア役)
私も昨日台本を読みまして、廣瀬くんよりはうっすら覚えていたと思います(笑)。すごくあたたかくて明るい作品だったという体感が残っていて、またその世界にいけるんだということを嬉しく思っています。2年前はそれをお客様にお届けできなかったので、まだまだ油断できない状況ではありますが、みんなでできる限りを尽くして私たちの作る『モダン・ミリー』の世界を楽しんでいただきたいと強く思っています。ありがたいことに意外と忘れているので、新鮮に新たな気持で取り組めるかな(笑)。2年の時間がみんなにいろんな作用を起こしていると思うので、また新しい『モダン・ミリー』をお届けできたらと思います。
■一路真輝(ミセス・ミアーズ役)
コロナ禍が始まって初めての(劇場の)休館という経験でしたので、あのときのショックはかなりダメージとしてずっと残っておりました。みなさんは忘れられたとおっしゃっていますけども、私は結構鮮明に覚えております(笑)。朝夏さんのタップ、廣瀬くんの不思議な役作り、保坂さんのかわいらしい歩き方、全て忘れていないんですよ(笑)。そこに輪をかけて、みんなに負けないように自分の役をもっともっと掘り下げたいなと思っています。
ハッピーミュージカルの中で私の役が唯一悪い方のクセがあるので、観た方が「ああ観なきゃよかった」と思うようなドロっとした役にならず、何か一つでもみなさまの心に良いものが残るようにクセのある役をやらせていただこうと思っています(笑)。とにかく、2年経っても忘れられないくらい素晴らしいミュージカルなので、一人でも多くの方に観ていただけたらと思います。
挨拶の後は、報道陣からの質疑応答へと移った。
ーー演出の小林香さんへお伺いします。今回の上演が決まったときの率直な気持ちをお聞かせください。また、コロナの問題がある中、明るく楽しい作品をお客様が心待ちにされていると思います。この作品にはどういった魅力があると思いますか?
小林:まず思ったのが「もっと面白くしてやる」という気持ちです。私にとっても初めての公演中止だったので、本当にやるせない気持ちになりました。同時に命の危険というものも押し寄せて、演出家としてどういう選択をすればいいのかということを日々考えておりました。芸術にどんな意味があるのか、必要なものなのかということにまざまざと直面せざるを得なかった時期でもあります。
キャストへの手紙にも「いつか必ず再会しよう。そのときに待っていた時間を大切に使って、なぜ自分は演劇をやるのか、なぜミュージカルをやるのかを考えるのにこれ程ふさわしい時はない。だから再会できたときは、もっと素晴らしい俳優であり、スタッフ、作り手となっているはずだから。そのときを楽しみにしましょうね」というようなことを書いたと思います。みんながいろんな経験をして、いろんな思いをして、いろんなことを考えてこの舞台に向き合うことになりますので、絶対に2年前より必ず面白くするし、面白くなるはずだと思っています。同じメンバーに集まっていただいて、その気持ちを再び作品に投入できるというのは本当に嬉しいことです。
2つ目のご質問ですが、まあこのミュージカル、“金太郎飴”ですよね(笑)。ブロードウェイミュージカルの楽しさがどこにも詰まっているような作品です。華やかなショーアップのシーンもありますし、切ない恋のアリアもあります。そしてみんな本当にヘンテコリンなコミカルなシーンをたくさん演じるんです(笑)。1922年のお話なのでちょうど100年前になるのですが、当時にしてはとても新しい考えを持った女の子が、ニューヨークにやってきていろんな人と巡り合うことによって成長していく、というメッセージもあります。本当に明るく楽しく面白いので、笑いたい気持ちになったらぜひ『モダン・ミリー』を観にシアタークリエへ足を運んでいただけたらなと思います。
ーーみなさまに伺います。作品紹介に「明日への活力をもらえること間違いなし」という記載がありましたが、お客様がハッピーになれるイチオシのおすすめシーンを教えていただけますか?
小林:演出家なのでどこも面白いと思って作っていますので、なかなか一つに絞りきれないのですが・・・・・・この芸達者な俳優たちが全力で笑わせにきますので、それを楽しみにしていただけたらなと。あとはやっぱり、二大ベテラン女優のぶつかり合いじゃないですかね? 一路さんと保坂さん、何だかもうすごいんです(笑)。年末、大晦日に観たい感じです(笑)。ちょっと詳しく言えないんですけれども、そこも楽しみにしていただけたらなと。今日、非常に声の小さい廣瀬くんはものすごく大きな声でセリフを仰るんですね。私はその役作りが大好きなんです。一人を褒めるとみんな褒めたくなっちゃいますね(笑)。本当にみんな素晴らしいので、楽しみにしていただけたらなと思います
朝夏:この作品の魅力の一つにタップがあるんですね。最近そういうミュージカルはあまりないなと思っているので、ふんだんにあるタップシーンのすべてが見どころです。私は中河内さんとも踏みますし、実咲さんとも踏みますし、大人数でタップを踏むシーンもあるので、観ていらっしゃる方はスカッとするかなと。そのあたりに注目していただきたいなと思います。
中河内:本当にみなさんクセが強いんですよ。僕だけクセがない役どころで、それが僕の前回の反省点だなと思っています。今回はコメディ要素をもうちょっと増やして役作りをしようかなと思っていて。それはなぜかというと、個人的に好きなんですけど、廣瀬のグレイドンが本当におかしいんですよ、頭(笑)。絶対に客席で観て笑わない人はいないんじゃないかっていうくらいの役作りをされていて。もちろんめっちゃ真面目にですよ。そこからインスピレーションをいただいて、僕もちょっと変えていこうかなと。変な人しかいなくなっちゃうから、どうなるかわからないんですけど(笑)。本当に僕だけ真面目ないい役でしたね(笑)。歌も素晴らしいですし、ダンスナンバーもすごく素敵なシーンばかりなので、全部が見どころです。
実咲:お稽古場で自分が出ていないシーンを観ていたんですけど、笑えるんですよねえ。今はお客様はマスクをして声を出して笑うことも難しいかもしれないんですけれども、全力で笑っていただきたい! もう一つ、プロローグのオーバーチュアの曲が『モダン・ミリー』の世界に本当に引き込んでくれるんです。私は出ていないんですけれど、すごく好きでした。曲もいいですし、あの時代のファッションであるお衣装もすごくモダンでスタイリッシュで。観ているお客様は、目でも耳でも楽しめるあのプロローグが大好きだったので、ぜひ引き込まれてほしいなと思います。
もう一個あります! いいですか?(笑)最初の方で、朝夏さんと一緒に歌わせていただく場面がございます。宝塚にいたときは相手役をさせていただいておりましたが、当時は男役を演じている朝夏さんだったので、手の出し方一つから今は違って、そのことをすごく新鮮に感じながらお稽古をしたことを覚えています。観てくださるお客様も、そういう面で新鮮さを感じるのではないかなと。気を引き締めてお稽古に取り組みたいと思います。
廣瀬:一路さんには「不思議な役作り」、小林さんに「声が大きい」、雅くんに「頭がおかしい」と・・・・・・今、自分の役作りに恐怖を感じています(笑)。これからの稽古がちょっと怖いんですけど、頑張りたいなと思います。記憶があまりない中で振り絞って出てきたシーンで、雅くん演じるジミーが僕の会社に務めているミス・フラナリーの肘を、苦し紛れに褒めるところが大好きだったなと今思い出しました。ぜひそこに着目していただければと(笑)。どこを切り取ってもハッピーな面白いシーンになっていると思います。
保坂:色濃い人たちの中で、ミリーちゃんとジミーが窓の外に出ていくビルの上のシーン。二人のすごく純粋なラブストーリーが主軸にあり、それがあっての周りという。二人のことを応援したいなあという気持ちで観ていたなと思い出しておりました。
一路:小林さんがおっしゃったように、どこを切り取っても面白いんです。なので、私が願うことは上演期間に客席でお声を出さないように、というナレーションがないことを祈るしかないかなあって。みなさまが心の底から笑っていただける時期に入っていることを祈るしかないなと。出ている私たち自らハードルをめちゃくちゃ上げていますけども(笑)、本当に面白いんです。マスクをしていても、オホホでもいいので笑ってください。その笑いが私たちの活力になるんです。笑えない今の現状はとても辛いので、笑っていただける劇場であることを祈っています。
ーー朝夏さんに質問です。当時のお稽古で特に面白かったなと覚えているエピソードがあれば教えてください。
朝夏:それぞれの役が笑いを追求するということがとても多く、みなさん一生懸命考えてやっていらっしゃったのをすごく覚えていいます。私もコケ方とか、椅子からどう転げ落ちるかを香さんに真剣にご相談していました(笑)。今思い出したのは、知寿さんが登場するときの歩き方(笑)。観ていただかないとわからないんですけど、今年はどうなっているんだろうと楽しみです(笑)。アンサンブルメンバーも含めてとても仲が良かったんです。ダンスシーンも多いので、朝は一緒にバーレッスンをしたり、そういうことをしながらチームワークを深めていっていたなということを思い出しました。
会見の最後は、朝夏からのメッセージで締めくくられた。
朝夏:いよいよ始まるんだなと、気持ちをまた新たにしました。いろんな想いが詰まったこの『モダン・ミリー』。2022年版を劇場でお客様と共有してどういう反応をいただけるのか、まだまだ未知の部分もあるので、お客様と一緒にこの作品を作れたらなと思っております。9月にはこのようなご時世が少し落ち着いて、みなさんがもう少し気楽に劇場に来られる時期になっていたらと心から願っております。明日への活力をもらえて、心を解放して楽しく笑える作品になっていますので、ぜひ劇場にお越しください。心よりお待ちしております。
取材・文・写真=松村蘭(らんねえ)

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • POP TUNE GirlS / 『佐々木小雪のイラスト花図鑑』
  • POP TUNE GirlS / 『涼水ノアの、ノアのはこぶ絵』
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」

新着