琉球交響楽団音楽監督 大友直人が、
初めての大阪公演について熱く語る

沖縄復帰50周年を記念して、沖縄のプロのオーケストラ、琉球交響楽団(以降、琉響)の大阪公演が決まった。楽団初となる昨年の東京公演では、チケットは早々にソールドアウト。満員のサントリーホールに琉響サウンドが鳴り響き、終演後は暖かい拍手がいつまでも鳴りやまなかった。
さあ、待望の大阪公演は目前だ。ちょうど、沖縄を舞台にしたNHKの朝ドラも好調な中での今回の大阪公演、ちむどんどんしに、ザ・シンフォニーホールに集まろう!
琉響の音楽監督を務める指揮者 大友直人に、あんなコトやこんなコトを聞いてみた。
琉球交響楽団 音楽監督 大友直人  (c)H.isojima

―― 大友さんと琉響の関わりを教えてください。
琉響の創設は2001年ですが、前年の準備段階から関わって来ました。沖縄県立芸術大学の卒業生や沖縄在住の音楽家を中心に誕生しました。沖縄で音楽を学んでも音楽活動を続けていく環境が出来ていなかったことから、地元にプロのオーケストラを!との声も多く、必要に迫られるカタチでの誕生でしたが、夢と希望に満ちたスタートでした。以降、21年間をかけて演奏力は磨かれ、オーケストラとしての実力は向上しましたが、琉響を取り巻く脆弱な財政基盤は変わらないままです。コロナの事などもあって、日本中、どこのオーケストラも厳しいと思いますが、財務状況は他とは比べ物にならないほど、どん底の状況にあるのが琉響です。
琉球交響楽団 音楽監督 大友直人  (c)H.isojima
―― 大友さんは2016年に音楽監督に就任されました。どんなオーケストラですか。
オーケストラの編成としては、2管10型のオーケストラです。もっとも、この形で演奏するのは年に2度ある定期演奏会の時くらいですね。普段の学校公演などはもっと小さい編成で活動しています。メンバーは手弁当で、楽器演奏の他に楽器の運搬や、広報、票券、制作など何か一つ、別の役割を兼務する形で活動しています。メンバーは皆さんピュアでひた向きに琉響と向き合ってくれています。危機感が有るが故に、チームとしての結束力は強いです。明るく柔軟性に富んだ魅力的なサウンドが持ち味の、素敵なオーケストラです。

明るく柔軟性に富んだ魅力的なサウンドが琉響の持ち味  写真提供:琉球交響楽団

―― 今年が沖縄復帰50周年という事で、初の大阪公演を企画されたのでしょうか。
そうですね。昨年、初の東京公演をサントリーホールで行いました。本当は2020年の春に行うはずだったのですが、コロナの影響で延期に次ぐ延期。2年越しの開催となりましたが、チケットは早々にソールドアウト。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のソリストが辻井伸行さんだったことも券売を押し上げた要因のひとつだったと思いますが、沖縄出身者が全国で活躍していることもあって、ホールのホワイエなどでは同窓会のような場面も多く見られたようです。マスコミでも取り上げられ、話題となりました。その時から、次は大阪に行きたいねぇという話になりました。何と言っても沖縄と大阪は結びつきが強いですからね。そして行くなら、沖縄復帰50周年の今年しかないのではということで色々と探ってみました。
強い信頼関係で結び付く音楽監督 大友直人と琉響  写真提供:琉球交響楽団
―― 大友さんご自身が動かれるのですか。音楽監督と同時に、プロデューサー的な役割も大きいですね。
琉響に関しては思い入れも強く、私も色々と動いています。本当なら沖縄県や内閣府の沖縄振興局などが中心になって文科省や文化庁も協力に入り、企業数社が協賛するといったイメージが勝手に出来ていましたが、実際にはそんなに上手く事は運びません(笑)。資金調達に行き詰まり、さすがに諦めかけた時に、偶然が重なってザ・シンフォニーホールをベストな日程で借りることが可能となりました。またご縁が有って、吉本興業さんと話す機会を頂き、主催をお引き頂く事になりました。お笑いの吉本さんですし、オーケストラの公演を手掛けるのは初めてだったようで、そんな状況でのご決断には本当に感謝しています。琉響でしか奏でられないサウンドを、多くの大阪のお客さまに聴いていただき、大成功という形で協力頂いた皆様のご恩に報いたいと思っています。
沖縄復帰50周年の年に、大阪公演が実現出来て幸せです!  写真提供:琉球交響楽団
―― 今回の大阪公演の聴き所を教えてください。
前半は、ブラームスの「大学祝典序曲」とチャイコフスキーのピアノ協奏曲で、ソリストは琉響との共演実績もあり、信頼関係にある清水和音さんにお願いしました。そして最も注目して頂きたいのは、後半のプログラムです。萩森英明さんに作曲して頂いた琉響のオリジナル曲「沖縄交響歳時記」を演奏します。通常こういうケースでは、ベートーヴェンやブラームスの直球勝負か、マーラーやブルックナーの大曲勝負かを迷う所でしょうが、素の琉響を、本当の沖縄を知って頂きたいと思い「沖縄交響歳時記」を選びました。この曲は全6楽章まであり、50分の大作で、沖縄の四季をテーマに沖縄の伝統楽器を取り入れた、沖縄テイスト溢れる名曲です。琉球王朝時代から受け継がれた沖縄の文化や風習をモチーフに作曲されていて、琉響にしか出せないリズムやサウンドを感じて頂けるはずです。
琉球交響楽団 音楽監督 大友直人  (c)Rowland Kirishima

日本を代表するピアニスト 清水和音  (c)Mana Miki

―― 大友さん、ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。
クラシックの世界でも沖縄は多くの人材を輩出していますし、ポップスやダンスの世界での活躍は、皆さんご存知の通りです。中高の吹奏楽のレベルも高いですし、何よりも音楽が鳴ると身体が反応し踊りだすといった、天性のリズム感や音楽性を持ち合わせている方が多いのも沖縄です。沖縄県内で、琉響の認識が変わり、サポート体制が変わると、色々な可能性が開けて来るように思います。出生率が高く子供が多い沖縄にとって、教育問題や文化活動に琉響が果たす役割は大きいのではないでしょうか。昨年の東京公演の成功で、琉響の評価や認識が少し変わりましたが、今回の大阪公演でも大成功を収めて、琉響の認知度が更に高まればと思っています。
普段クラシック音楽を聴かれる方も、今回初めて聴くという皆さんにも、楽しめるコンサートになると思います。ぜひお越しください。
ピクニックコンサート  写真提供:琉球交響楽団
琉球芸能とのコラボレーション  写真提供:琉球交響楽団
琉球交響楽団をよろしくお願いします!  写真提供:琉球交響楽団
―― 事務局長の高江洲貴美恵さんからもメッセージをお願いします。
高江洲貴美恵 今回、多くの方のご尽力で大阪公演を開催出来ることとなりました。ありがとうございます。大阪公演が決まって、大阪の沖縄県人会にご挨拶に伺ったのですが、最寄り駅JR大正駅の発車メロディが「てぃんさぐぬ花」で、それを聴いただけでもう気分が上がりました(笑)。
今回演奏する「沖縄交響歳時記」にも第5楽章に「てぃんさぐぬ花」のメロディが出てきます。私たち琉球交響楽団の悲願ともいえるザ・シンフォニーホールでの公演で、私たちの奏でる「沖縄交響歳時記」をお聴き頂きたいです。公演当日、最終楽章「カチャーシー」のメロディで大いに盛り上がって、踊りたくなれば踊って頂いても結構です(笑)。一緒にちむどんどんしに、ザ・シンフォニーホールにお越しください。お待ちしています。
皆さまのご来場をコンサートホールでお待ちしています!  写真提供:琉球交響楽団
取材・文=磯島浩彰

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