〝美根〟『映画の指輪のつくり方』

〝美根〟『映画の指輪のつくり方』

〝美根〟
『映画の指輪のつくり方』
- 第六十一回 -
「セブン」の指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏・文:〝美根〟

「悪魔じゃない。人間だ。」(1995年『セブン(SE7EN)』)

五月病になっている皆さん、こんにちは。常に鬱々としているので五月病かどうか判別がつかない私です。でも、先月末から今月頭にかけて、下北沢と渋谷のフェスに2つ出演できたり、新曲リリースに向けて動いていたり、ワンマンに向けて動いたりと、ワクワクな5月だ。

ただ、この1週間のうち犯した罪がある。1.お菓子食べ過ぎ。(主にココナッツサブレ)2.計画性のない出費。3.夜ふかし。4.全部締切直前。5.夜中にホラー映画を見た。6.英語のラジオを聞けていない。7.部屋を片付けていない。・・・これはひどい。酷すぎる。7日間で7つの罪を犯しています。今回紹介する映画は7日間に起きた出来事、七つの大罪にテーマにした映画です。

「見るな!」と言われてきた映画

私の両親も映画が好きで、子供の頃からレンタルのビデオやDVDでいろんな映画を見せてもらったり、映画館に行ったりしていて、今でもおすすめしあったりしている。だが、おすすめではないのに、ことあるごとに名前を聞く映画があった。それが「セブン」。母には「セブンっていう映画は怖くて…見ない方が良いよ」と言われ続けていた。そんなに毎回言うほどに見ない方が良いのか…と従順な私は今まで見てこなかったのだが、過去の名作ランキングやおすすめを調べると、必ず登場する「セブン」!見たい気持ちが今になって込み上げ、父に聞いたところ「そこまでではないけど、見終わった時『はぁ…』とはなる。」と言われた。しかし、「でももっと怖いの見てるから平気じゃない?」と私に言う父に、「そうだよな、もっとエグいの見てたわ、『ミッドサマー』も見たしな」と、父と「ミッドサマー」に背中を押され、母を裏切り、鑑賞するに至ったのだった。…ごめん。

犯罪と無関心に沈む街で

新人刑事ミルズ(ブラット・ピット)がある街に配属された日、そこである死体が発見された。ミルズは、1週間後に退職を控えたベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と共に、現場検証を行う。スパゲッティに顔を埋め息絶えていたのは、かなりの肥満体型の大男だった。手足を縛られ、頭には銃口を押し付けられたような痕が。死因を調べると、食べ過ぎによる内臓損傷、その状態で腹部を蹴られたことによる内臓破裂であった。何者かに脅されながら、食べ続けたと推測できることから殺人事件として捜査が始まる。いち早く事件の 始まり を感じ取ったサマセットは、被害者の胃の中から発見されたプラスチック片が、現場の床の削れた部分と一致することに気が付く。引きずったと思われる冷蔵庫の裏には七つの大罪の一つである「GLUTTONY(暴食)」と書かれていた・・・という冒頭から本作は始まる。

グロテスクな事件、
でも描かれるのはそれだけじゃない

七つの大罪に沿って事件が起きていくのだが、一つ一つの事件が繋がっていく手がかりの置き方と、発見していく過程がとても丁寧に描かれている。事件はグロテスクで衝撃的なのだが、手がかりを手繰り寄せていく作業が良い意味で地味。地味だからこそ、勢いで矛盾した飛躍がない。確実に無駄なくストーリーが進んでいく。これが見ていて目を逸らせない。

登場人物たちの描き方も絶妙。サマセットは、ベテランが故に、人や事件に無関心な街や人々に嫌気がさしており、絶望に近い諦めが見える。でも事件の関係者である子供の精神面を気にかけたり、新人のミルズやミルズの妻トレイシーを気遣うといった優しい人柄が垣間見えるのだ。この描き方がわざとらしくなく自然と観てる私たちにわかるように描かれる。また、この映画で描かれる7日間のサマセットの変化も面白い。冒頭、サマセットはメトロノームを鳴らしながら床に就く。これは街の喧騒をかき消しているように思えたんだけど、後半に差し掛かるあたりで、ある会話の後でメトロノームを壊すんですよ。これ、最後の台詞に繋がる兆しなんじゃないかな、と思う。みんなはどう思うかな。ぜひ観て確かめて。

ミルズも同様に、一見、熱心で若さ故のプライドと野心溢れる新人デカって感じなのだが、素直さや機転の良さも垣間見れて、人柄に奥行きを感じられる。サマセットが七つの大罪に関連する本を教えるのだが、悪態を突きながらもしっかり読んでるとこ、いいねぇ。これはサマセット側から考えると、他の人とは違って、ミルズが無関心な人間ではないことをうまく表してる。妻であるトレーシーの孤独さや、その孤独からミルズに断りなくサマセットをディナーに呼んだり、逆に夫に相談できなかったりと、複雑な寂しさと追い詰められてる姿が合間合間に出てくるのも、事件とはまた別なシーンなのに違和感がないのがすごい。

心揺さぶるのは、
カメラワーク、お前か!

ストーリーの巧妙さはさることながら、カメラワークもよくみると面白い。この連載を書くのにもう一度見直して気がついたのだが、まず、途中まで残虐な事件が起きようと、画角が冷静なんです。淡々と写していく。グロい現場もギョェとはなるものの、そこまでオエッとはならない(保証はしません)、そのバランスを左右する色合いもかっこいいのだが、途中犯人と追いかけっこするときにめちゃ手持ちカメラ?になる。すんごい揺れて、うぉぉぉ!と走ったりして、急に臨場感と焦り、やばい!っていう感情を引きずり出される!この抑揚すごい。あと、最後の方のカメラワークはすごいもどかしく感じる!多分わざとなんじゃないかなと思うんだけど、見たい部分というか、わかっておきたい感覚が封鎖されてるような気持ちにさせられるんだ…。どこにきたのかとか、登場人物たちの距離感もわからないし、観てるのにその場に居合わせられなかったような感覚というか、麻痺させられてあのラストに集中せざるを得ない。

ただの胸糞映画ではない

よく「胸糞映画」というカテゴリーに入れられる本作だが、きっとこれを見終えて、もやもやしたという方へ。私は少し前に友達に誘ってもらって、邦画の「キャラクター」という映画を見たのだが、「セブン」でもやつく場合もしかしたらこちらを見てみると良いかもしれない。漫画家の主人公が猟奇的殺人とその犯人を目撃するところから始まる映画なのだが、その映画を始め、よく物語の中で猟奇的殺人を犯す人間は、その異常性、経緯や動悸、狂人っぷりがセンセーショナルに描かれる。そこが映画的には良くも悪くも「魅せどころ」だったりする。これを「セブン」に期待すると肩透かしを喰らうかもしれない。セブンはそこではないことが、ミソなのだ。「犯人がきっと悪魔だったら、お前も納得なんだろう?違う。奴は人間だ。」サマセットは言う。奴は人間。そして私たちも、人間。…あなたはラストをどう思うだろうか。

観るときは元気な時に!

サイコ・サスペンス映画なので、向き不向きがあるし、不安になったり落ち込んでしまわないように、観る人は客観的に鑑賞できる元気なメンタルの時に見てみてください。行ける人は2回目観ると解像度上がるので楽しめるよ。ダンボールは質感と臨場感にこだわって作りました。どうでしょうか。

全体的に象徴的で神話のような作品。これがきっと語り継がれる所以なのでしょう!見応えあり。

お母さん、私、見ちゃいました…。好きな映画になっちゃいましたぁ!と書いていたら母の日になりました。いつもごめんね、いつもありがとう。
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モチーフ:あのダンボールの小包(中身アリ)
音楽:David Bowie「The Hearts Filthy Lesson」
   Johann Sebastian Bach「G線上のアリア」
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5月25日新曲「零れる光」配信
各音楽サイトで配信されます。是非聴いて下さい。

〝美根〟Link集
https://lit.link/minelink
■〝美根〟ワンマンLIVE
2022年7月8日(金) A Special Day of Mine 〖光の色〗 
会場: duo MUSIC EXCHANGE(渋谷) 
開場18:15 / 開演19:00 
問い合わせ先:ネクストロード 03-5114-7444(平日14:00〜18:00)
チケット受付URL:https://eplus.jp/mine/
〝美根〟 プロフィール

ミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2017年より、みねこ美根名義で本格的に活動を開始し、15曲の楽曲を配信。22年4月より〝美根〟に改名し、5月に配信シングル「零れる光」をリリースした。7月8日には〝美根〟としての初のワンマンライヴを渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催。チケットはイープラスにて販売中!〝美根〟オフィシャルHP

【連載】〝美根〟『映画の指輪のつくり方』一覧ページ
https://bit.ly/37oAaSY

OKMusic編集部

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